和賀岳
- GPS
- --:--
- 距離
- 10.7km
- 登り
- 1,381m
- 下り
- 1,381m
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
日本に残された数少ない「秘境」と言われる和賀岳に登ってきました。
登山口へのアクセスですが、いろんな人から「ひどい林道だ」という話を聞かされていましたので、ちょっと心配していました。
和賀岳そのものの厳しさもさることながら、このアプローチの困難さも、この山に近づき難かった要因であります。
結果的には楽勝でした
なんだ、このくらいの道なら「酷い道」とまでは行かないんじゃないかな〜。
もっと酷い林道を何本も走っているので、私の感覚がおかしいのかもしれませんけど
登山道は始め植林地っぽい林の中を行きます。
まもなく雑木の林となり、すぐに立派な広葉樹の森となっていきます。
しかし、いきなり急坂に次ぐ急坂で、まったく周りを観察する余裕がありません
登山口から700m。赤沢分岐に到着しました。
所要時間は25分。かなりいいペースで登って来たようです。
やまめさん曰く、ちょっとペースが速かった…とのことでしたが気温も低めだし、樹林帯で日光にも晒されていないので体力的にはまだまだ余裕があります。
ちなみに赤沢「分岐」ですが、現在は分岐していた道が廃道になっており「分岐」とは名ばかりになっています。ランドマークとして地名だけ残ったんですね。
さらに700m進むと、今度は高下分岐に到着となります。
写真奥側に登っていく道が高下岳への登山道。
和賀岳へは左側へ進んでいきます。
登山口から高下岳分岐まではほとんど登り一方、それもけっこうな急傾斜で初っぱなから体力を削られ、汗を絞られました。
いやはや、噂に違わず和賀岳は大変な山だな…と思いました。
しかし、実はこれはホンの序の口だったんですよね…。
高下岳分岐から少しの間、道はフラットになり勾配も緩くなります。
つかの間の平穏。
希少種のイワテシオガマが咲いていました。
和みます。
数百メートルの水平移動の後、登山道は下りに転じます。
知識として知ってはいましたが、せっかく登ったものを下るというのは、やはり心理的抵抗が大きいですなぁ(笑
しかも、この下りかたがハンパじゃなく、沢に向かってどーん!と落ちていくような感じ。勾配を緩和しようなんていう考えは端から無く、沢に向かって直滑降。
帰りはここを登り返すのかと思うと…
通天閣二個分の高度が無に帰し、沢底に降り立ちます。
ここでこの沢を渡渉しなければならないのですが、橋が架かっているわけでもなければ、飛び石できるような場所があるわけでもありません。
…というわけで、サンダルに履き替えてバッシャバッシャと水の中を歩きます。
この水が冷たいこと! 1分と立たずに水に浸かっている部分が痺れてきました。
ドボン!したら心臓麻痺で死にそうです。
「幸いなことに」誰もドボン!しないで渡渉完了。
お互いにカメラを構えあって、シャッターチャンスを待っていた…というのは
ここだけの秘密ですよ(笑
こんなふうに靴を脱いで水に入って渡渉…というのは初めての体験でした。
いい経験だったし、楽しかったのですが、やはり突然雨が降ってきて増水したら…とか心配の種にもなるわけで、このコースから入山する大きな心理的抵抗であります。
まぁ、だからといって橋とか架けるのを望む気持ちも無いですがね〜(笑
無事に渡渉を終えてホッと一息つきますが、そんな穏やかな時間もホンのつかの間。
早速、ズどーんと急登が始まります。
登ります。
ひたすら登ります。
モクモクと登ります。
ああ…、気持ちのいいブナ林だなぁ…。
ちょっと現実逃避…。
まだまだ登ります。
いや〜、ここの登り、ハンパなくきっついッスわ。
胸突き八丁ならぬ顔つき八丁? 油断すると地面に鼻の頭ぶつけそうってくらいキツイ坂です。おまけにあちこちで洗掘が進み、ガレ場が多くとても歩きづらいのです。
半分くらいきましたかね…。
この頃はまだ余裕が残っていて、カメラに向かってポーズしてみせたりしてますが三十分後には、まったくそんな余裕は無くなっていました(笑
和賀岳の登りは三十分で人を別人のように変えてしまいます(笑
いいかげん登るのに嫌気がさしてきた頃、それまで頭上を覆っていた木々が途切れ
目の前には青空が広がってきました。
登山開始から3時間。やっとの事で樹林帯を突破できたようです。
振り返ると大パノラマが広がっていました!
いや〜、これだけ苦労して登ってきたんだもの。
こういう景色が無かったらウソというものでしょう。
我ながら現金だとは思いますが、テンション急上昇!
岩手側から登っているので当然の事ではあるのですが、まず岩手側から景色が広がってきます。
遠くに綺麗な三角形の山が見えますが、あれは早池峰山と薬師岳のようです。
早池峰山というと、もっと横に広いどっしりとした山容を思い浮かべるので一瞬どこの山かと不思議に思ってしまうのですが特定の方角から見ると綺麗な三角形に見えるんですよね〜。
景色が良くなってきてテンションが上がってきたところでコケ平に到着しました。
先ほどまでの樹林帯・笹藪地帯とはうって変わって広々として気持ちの良い場所です。さすがに花の季節は終わっていましたが、シーズンに来ると一面の花畑が楽しめるらしいです。
目指す和賀岳山頂も目前に迫ってきました。
キツイ登りも終わり、あとは気持ちの良い稜線歩きが楽しめます。
足取りも軽く進んでいきましょう♪
北側に岩手山も見えてきました。
この角度から見る岩手山もなかなかないので新鮮です。
っていうか、一瞬何山なのかわからなかったです…。
いよいよ和賀岳山頂直下に取り付きましたが…
おやぁ? なんかこう…急坂のような気がするんですが…。
遠くから見るとたおやかな山容で、楽に行けそうに見えるのですが…騙された!
こーんな風に空を見上げるほど急坂ではないですか!
さっきコケ平に着いたときに「急坂はここまで」って思って油断してました!
足の筋肉や、心臓や肺からは「おい! 聞いてないぞ!」という抗議の嵐。
もはや体が言うことを聞いてくれませーん
なんとか山頂まで無事に到着することができました。ほげ〜きつかったぁ…。
これから登る方は、最後まで油断してはいけませんよ〜。
グダグダだろうが、ヘロヘロだろうが、登頂に成功したのは間違いありませんので
ここはやっぱり全員で記念写真を撮りましょう♪
苦労して登ってきたのでうれしさもひとしおですな!
和賀岳の山頂からはぐるり360°のパノラマを楽しむことができます。
北側の景色は手前に高下岳、奥のツンととがった山は羽後朝日岳…らしいので、その右手のピークは大荒沢岳で、さらに右のピークはエリカ様岳…かな?
その奥には岩手山から秋田駒に連なる山並みが見えています。
少し左に目を転じると田沢湖が見えました。
少し考えてみれば田沢湖が見えても不思議はないのですが、和賀の山に登って田沢湖…というのはどうもピンときません。
南に目を転じれば、秋田側から登ってくる登山道が見えます。
その向こうは薬師岳。さらに奥には真昼岳。
そのうち秋田側からも登ってみたいものです。
さて、とても良い景色ではあるのですが、少々風が出てきて寒くなってきました。
誰からともなく風を避けられる場所でランチにしましょうということになり山頂をあとにします。山頂直下に広場があったので、そこでランチタイムにしました。
暖かい日差しの下でのんびりと休憩していると時間がたつのがあっと言う間でした。
知らず知らずのうちに一時間以上経過していました。
さぁ、帰りますか…。いや〜、帰りたくないなぁ…。
しかし、今日の「帰りたくない」は、いつもとはちょっと違うニュアンスです。
いつもは『もっとこの素晴らしい景色を見ていたい』から帰りたくないのですが今日は『また、あの急坂を登り降りしたくない』から帰りたくない、という気持ちが多分に含まれています(笑
それでも帰らないわけには行きませんからね〜。
覚悟を決めて下山します。
案の定、下りも相当にきつく、一時間くらいで膝が笑ってきました。
さらにそこへ追い打ちをかけるように突然アブに噛まれましてね…。
激痛に驚いて体勢を崩したら、転んで2、3メートル滑落もしましてね…。
もうね、ほとんどコントのようです。
しかも、誰かに見られていたら、それはそれで「おいしい」ネタになったでしょうが
誰の目にも入らない状態でやらかしましたからね…。
もうただただ痛いだけという最悪の状態でございました。
…というわけで、初登頂を果たした和賀岳でしたが、いや〜噂に違わず「素晴らしく」「きつい」山でしたなぁ。多くの登山者から、あこがれと畏敬の念を持って見られているのがわかる気がします。
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