仙人山
- GPS
- --:--
- 距離
- 7.7km
- 登り
- 707m
- 下り
- 700m
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2009年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
2009年11月7日、この日は和賀にある「仙人山」に登ってきました。
仙人山は里山の部類に入るのでしょうが、登山道は見つけやすい山です。
それというのも登山道の一部が、旧平和街道(秀衡街道?)と重複していたり、姥杉という巨木があったりするので、それらへの案内看板が充実しているからです。
国道107号を北上側から横手方面に向かっていき、和賀仙人駅を過ぎ少し行くと、和賀川にかかる橋があります。その橋のすぐ手前に小さな道があるので、そこを左折します。この交差点には小さいながら「姥杉」への案内看板があります。
この道、一瞬工場の敷地かと思わせるほど、隣接した工場との境界が曖昧ですが気にせず進みます。道はしばらくいくと未舗装になりますが、すぐに駐車場があります。
「姥スギ専用駐車場」という看板がありますので、ここに車を停めます。
ちなみに、この先まで車で行くこともできるのですが、登山口の前は狭く駐車スペースもほとんど無いので、手前の駐車場に停めたほうが無難です。
駐車場から登山口まで、50mもありませんから。
登山口には久那斗神社の鳥居が立っています。回りには比較的新しい石碑や石像が立っていて、篤く信仰されていることがわかります。鳥居をくぐって進んでいくと小さな沢があり、JR北上線の鉄橋を上に見ながら渡渉します。
小さな沢なので靴を濡らす心配はないのですが、コンクリートで固められた河床を歩かねばならず、これが恐ろしいほどによく滑ります。雨が降ったらどの程度増水するのかわかりませんが、これだけ滑るとなると、コンクリートを洗うくらいの水の流れになったら、すぐに歩行不能になるかもしれません。それくらい滑ります。通行注意です。
ここから中腹の久那斗神社までは、旧平和街道をなぞって進んでいくことになります。道幅も広く、道床もよく踏み固められており非常に歩きやすい道です。紅葉した木々からの木漏れ日が注ぎ、雰囲気も抜群。ツートンも「いい山だねぇ〜」と早くも感動モードに突入したようです。
上空に高圧電線が通っているため、登山道のあちこちから鉄塔巡視路が分岐しています。この巡視路が、本線と同じくらい立派な規格で作られており、ぱっと見ただけでは、どちらが登山道で、どちらが巡視路なのか容易に判断がつきません。
実際に道迷いがあったのか、誰かが苦情を申し立てたのかわかりませんが、ほぼ全ての巡視路に真新しい看板が立てられていました。この看板があったので判断に迷わず済みましたが、これが無かったら、いちいち、どちらの道に進むか迷ったことと思います。
登山開始からおよそ45分。姥杉の下までやってきました。この巨木は、林野庁が『森の巨人たち百選』に選定したようで立派な案内看板が立てられると共に、根の保護のために足下の登山道が通行止めになり迂回路が造られていました。白神のブナの巨木も、観光客が増えると根が踏みつけられて木が弱ってしまったといいますので末永く保存していくためには、こういった措置が必要不可欠なのでしょう。
姥杉の迂回路から左に折れると、久那斗神社奥宮があります。鳥居と社殿は予想外に立派なもので、供物も上げられており恒常的に管理されていることが伺えます。また、どこかのハイキングクラブが毎年訪れて絵馬を奉納しているようです。ここまでの登山道が、やけに手厚く整備されているのはこういう人達のおかげなんですね。
神社の前で休憩させてもらい、先へと進みます。ここまでの快適な山行で、我々はすっかり気をよくしており、元気いっぱいでした。「いやぁ、仙人山っていい山だね〜♪」などと軽口が出てくるくらいに。
ところが、高圧線の鉄塔下でふいに道が消えてしまいました。最初は鉄塔巡視路に迷い込んでしまったのかと、分岐点を探しに戻ったりしたのですが、どう考えても尾根づたいに仙人山山頂を目指すはずで、藪の生い茂る向こう側に道がなければならないのです。
まさか、と思い藪の中に入ってみると、うっすらと踏み跡が続いているではないですか。ってことは、やっぱりこの方角でいいわけで…。方角が正しいとなると、これはやはり…
遅ればせながら
=== 藪 キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!!!! ===
いやぁ…、びっくりした。まさか登山道の状況がこれほどまでに激変するとは…。
「人間の目は見ようと思っている物しか見えない」という話を聞いたことがありますが、実感しました。立派な登山道を探している目には「藪の中にうっすら続く踏み跡」は認識されないんですね。
確かにガイドブックにも「一部に藪っぽい場所がある」と書いてありましたが神社までの整備された道を見て、頂上まで整備が行き届いていると近い時期に刈り払いなどがされたんだなと、そのように勘違いしておりました。
整備されているのは姥杉・神社までなんですね…。
楽しかったハイキングは過去のものとなり、ここからは苦行の山行となりました。まず大嫌いな藪が行く手を阻みます。藪は朝露にじっとりと濡れており、それをかき分けて進む私は下半身ずぶぬれ…。とどめに、このコース一の急傾斜が始まりペースがた落ち。背の低い灌木に囲まれているので眺望も無く、黙々と登っていくしかありません。
神社から50分を要して、706mピークまで登ってきました。道に迷わなければ40分くらいで登って来れたかもしれませんが眺望のない藪っぽい急斜面を40分登り続けるなんて苦行以外の何物でもないですな…。
ここで大休憩を取ることにしました。コーヒーも煎れちゃいます。パンも食べます。
706mピークは、ここまでの藪がウソのように回りが開けていて、絶好のビューポイント。休憩場所には最適です。っていうか、ここ以外考えられません(^^;
…さて、長めに休憩をとりましたが、いつまでもここに居るわけにはいきません。
先に進みますかぁ…。まだ結構先が長いなぁ。遠目に見ても藪っぽいなぁ…。
高度が上がるにつれて、登山道脇の木々の背が低くなり道幅を圧迫してきます。ごく細い枝が登山道に張りだしてきている状況から考えて、やはり、この山は登る人が相当に少ないようです。登山者が多ければ、こういった細い枝は折れてしまいますからね〜。
そして、時折進路を阻むように現れる笹の激藪。写真で伝わるかな〜。背丈は2m近くに達しています。わりと身長が高めの私でさえ、頭まですっぽり隠れるほどの笹藪。それよりも30儷瓩身長が低いツートンなどは言うまでもなく、どっぷりと笹の海の中に沈んでしまいました(笑
みるみる顔が曇っていくのが分かります。言いたいことは分かりますよ、ツートンさん。私だって帰りたくなってきてるもの(笑
最後の急傾斜を登り切ると「展望台」と書かれた標柱がありました。その標柱から左に入ると、南東方向に視界が開け、和賀の山々が見渡せます。方向から考えて、金ヶ崎駒ヶ岳や経塚山あたりまでは見えているはずですが、どれがどれやらさっぱりわかりません(^^;
夏油近辺の山って微妙に遠くて、まだ手を付けていないんですよね〜。
登ったことがない山って、愛着が湧かないからなのか、なかなか認識できません。
展望台から少し進むと、岩沢コースとの分岐点があります。左手が岩沢コースなのですが…藪に埋もれて判然としません。わりと新しく拓かれたコースらしいのですが…行きたくないなぁ(笑
ガイドブックでは、下山は岩沢コースをたどるようになっていますが、ピストンにして良かった(笑
分岐点から山頂までは、さほど距離がないように思えたのですが登山道も判然としない低木の密生地が続き、思うようにペースがあがりません。藪も嫌だけど、密生した低木地帯もやっかいなものですなぁ…。枝に頬を叩かれ、倒木にスネを蹴られ、色々と痛い思いをしながら進みました。
登山開始から2時間半で山頂に立ちました〜。
山頂も藪でーす。眺望、ほとんどありませ〜ん(^^;
今年のキングオブ藪は、私の中ではダントツで十和田山なのですが山頂の見晴らしの悪さは十和田山を上回りますね…。登山道の藪はマシでしたが。
一応、記念写真を撮りますか〜。来た証拠ってことで。
撮影後は休憩も取らず、滞在5分で下山を開始します。
下山は、落ち葉+急傾斜+木の根という三点コンボに足下をすくわれまくります。
「うわっ!」とか「うひょっ!」とか妙な声をあげながら山を下っていく二人は端から見たら変な二人組だったことでしょう(^^;
頂上では、とても休む気になれなかったので、706mピークでお昼にしました。
ここは快適です♪ 頂き物の松茸ご飯の元で炊いたおにぎり♪
加工品ではありますが、今年二回目の松茸♪
お昼ご飯を食べ終わると、もはや気持ちは温泉に入る事に移り、そそくさと下山を再開します。神社を過ぎ、姥杉を過ぎ、そろそろ北上線が見えてくるかな?というところまで来た時、谷の向こう側の木の上に、なにか黒い生き物がいるのが目にとまりました。
遠目には「でかいカラスだな?」と思ったのですが、その生き物は私が近づいていくと、ばさっと『木から落ちて』ギャーギャー!ともヴォーヴォーともつかない叫び声を上げながら尾根の向こう側に走り去って行きました。
…鳥、なわけは無い。
…猿、にしては色が黒すぎる。
…
…
…
て、ことは、アレだ。
∩___∩
| ノ ヽ
/ ● ● | クマ──!!
| ( _●_) ミ
彡、 |∪| 、`\
/ __ ヽノ /´> )
(___) / (_/
| /
| /\ \
| / ) )
∪ ( \
\_)
だ。
…
…
うわっ、ついに遭遇した!
本腰入れて登山始めてから3年目にして、ついにクマを見てしまった…。
いや、なんか登りの時から、このあたりにだけ妙にたくさん熊の糞があったからもしやとは思っていたんですが…。
みなさ〜ん、登山口と神社の中間付近の登山道はクマの通路とかぶってますよ〜!
縄張り主張してますよ〜!
お気を付け下さい〜!!!
ホント、岩手はどこにいってもクマがいると思わなければダメですね。
神社までは遊歩道然としていますが、侮ってはいけません。
ハイキングでもクマ鈴必携です。今さらかもしれませんが。
そこからは順調に下り、2時ころに無事に下山しました。藪だわ頂上からの眺望は無いわで、テンション低めの登山でしたが、まさか最後であんなサプライズ?があるとは…。妙な興奮と余韻を胸に、お気に入りの温泉「ふるさと」に寄って帰路に就きました。
いや〜、正直、藪と視界が悪いのとでヘロヘロ隊的には、あまり面白くない登山となるかと思ったのですが終わってみると実に印象深い登山となっていました。
こういう意外性もあるので、やっぱり山は楽しい♪ 止められませんね〜。
あ、でも熊との遭遇は勘弁デス!(笑
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