瑞牆山-横尾山 第3部第1章〜令和、新たな時代に〜
- GPS
- 12:26
- 距離
- 29.0km
- 登り
- 1,800m
- 下り
- 2,319m
コースタイム
- 山行
- 5:55
- 休憩
- 0:43
- 合計
- 6:38
- 山行
- 5:29
- 休憩
- 0:19
- 合計
- 5:48
天候 | 快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2019年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
4/28(日) 甲府駅発6:46(240円)韮崎駅着6:59、発7:45(山梨交通、1230円)増富温泉郷着8:44、発8:50(山梨峡北交通、820円)瑞牆山荘着9:05 4/29(月) 増富温泉郷発12:20(山梨交通、1230円)韮崎駅着13:20、発13:33(240円)甲府駅着13:47、発14:30(中央高速バス、1960円)バスタ新宿着17:15 |
コース状況/ 危険箇所等 |
岩場に氷が張り付いている箇所有り。特に山頂直下の鎖場はアイゼン履かないと手こずる。黒森コースは桟橋現れるまで必要だった。 |
その他周辺情報 | 黒森の「五郎舎」 50年続く立派な民宿。南アルプスを望む客室、山菜中心の食べきれない夕食。夕食のみで6200円。 |
写真
装備
備考 | すみません。もう戻ってきてしまいました。 思いきって大好きな奥秩父へ向かった途端、山に居る時間の素晴らしさを思い出しました。 そしてヤマレコの大切さを改めて知らされました。 これからも応援してゆきます。 |
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感想
2か月半ぶりの登山、再開してからこんなに空けたことは無かった。瑞牆山荘から恐る恐る一歩を踏み出した。
新システムになってからの中央線特急に乗車するも、あまり良い仕組みでは無さそうだ。甲府駅から徒歩5分の宿には迷わず辿り着いた。料亭を兼ねた宿泊施設、22時前の到着は些か迷惑だったかもしれない。テレビ、浴室は無いが、シャワールーム有り、館内は清潔だった。
翌朝、やや遅めの出発だったが、6時46分発松本行き、予定より1本早い列車に乗った。韮崎駅バス停には、同じ列車から降り立った6名の登山客が並んだ。6時14分高尾発松本行きでは間に合わない1番バスに乗車する。増富温泉郷行きのバス故、終着地から瑞牆山荘行きに乗り換えた。
路上にまであふれる車。好天、百名山、そしてほとんどが往復登山、当然なのだろう。登山届のポストはいっぱいで、その場で認めた届出書を無理やり押し込んだ。富士見平までは緩やかな上りが続き、ブランクによる「拒絶反応」は生じていないようだった。それにしても富士見平小屋の物価の高さには驚かされる。
小屋を過ぎ、健脚のS医師に聞かされていた下り、それほど勿体なくはなかった。川を渡り、沢を登りつめて行く。次第に巨岩が現れ、やがてその合間を縫うように進むようになる。ヤスリ岩の下で、或る家族が休んでいた。二人の子供はまだ幼い。「さあ、もう下りようね。もう少ししたらまた来よう」賢明な父親だった。成り行きとはいえ、同い年くらいの子供を連れて蓼科山へ登ってしまった、どこかの父親とは大違いである。
途中、数か所の鎖場を経て、呆気なく直下の分岐点に到達した。後ほど辿るべき黒森への道にはびっしりと残雪があった。山頂まであと10分ほどの登りだったが、凍結個所多く、下りてくる人々は皆滑り止めを装着していた。1ヶ所手こずる個所を通過し、岩峰の頂に立った。
標識を写真に収めると、周囲から、虹だ、の声。富士山の上には、虹色の環水平アークがあった。皆いっせいにシャッターを切る。眼前の荘厳な光景から目を離せなかったが、南アルプスも八ヶ岳も北アルプスも待っている。ゆっくりと右に旋回をし、その場を離れた。
何とかコーヒーを淹れる場所を確保し、腰を下ろした。山頂は広く、大勢の人々が快晴の下、眺望を、食事を、会話を楽しんでいる。今日は人の多さも気にならない。山の良さを全身で感じていた。約40分の滞在ののち、下山の長い道のりと凍結した道を思い浮かべ、軽アイゼンを装着してその居心地の良い場所を後にする。
予想どおり黒森への道に人影は無かった。凍結した道にアイゼンの噛む音のみが響いていた。小気味よく急坂を下ってゆくと、右手に不動滝が現れる。赤茶けた地肌と水量の少なさから、長く見つめる必要は無かった。やがて道は沢の渡渉を繰り返し、多くの桟橋をつないでゆく。
山頂を発ってからおよそ2時間半、駐車スペースのある、林道終点に到着した。数台の車が停まっていたが、こちらから登る人は圧倒的に少なく、静かな時間を過ごせる。林道もよく整備されていた。
爽やかな林道歩き、宿までの1時間強、飽きることは無かった。黒森の集落で一際目立つ切妻の大きな屋根が見える頃、湯船に漬かりながら今日一日を振り返る姿が思い浮かんだ。
「五郎舎」は50年以上続く老舗の民宿で、建物はどっしりとした架構で守られている。趣のある玄関を通り、客室に案内された。南アルプスを望める角部屋だった。そそくさと準備をして貸し切りの浴室へ急ぐ。先刻思い浮かべていたとおり、至福の時間が過ぎていった。 夕食は、山菜のてんぷらを始め趣向を凝らした料理が次々と現れ、最後のそばは食べきれなかった。そして急速に訪れる睡魔に抗えず、19時のニュースを見ながら眠りに就いた。
よく眠れた。自然に目覚めた。6時前に、その快適な宿をあとにする。天候は予報より早く崩れ始めていた。今にも泣きだしそうな曇天の下、峠に向かった。予想どおり昨日の疲労を少し引きずり、足が重い。行き交う車は少なく、最短ルートをとりながら舗装路をゆっくりと進む。
信州峠に、まだ車の姿は無かった。今日は静かな山歩きを楽しめそうだ。笹原の道が気持ちよく、小鳥の囀りが心地よかった。起伏の少ない緩やかな上り坂、疲労は消え去り、本来の速度を回復していた。
峠から1時間20分、ほぼコースタイムどおりに横尾山に到達した。晴れていれば南アルプスを望めそうだ。ゆっくりコーヒーを味わいたかったが、より強くなった風に気弱さも戻って来てしまった。好天であれば、そのまま進みたかった清里への道に別れを告げ、山頂を後にする。
往復歩行の、安心感と物足りなさに気づかされながら、来た道を引き返す。時折青空が顔を覗かせる。それが疑似晴天と知りながらも幕の上がることを期待してしまう。展望の広がるカヤトの原からは僅かに川上村、南北相木村方向は望めた。岩場歩きの楽しい男山、天狗山、その向こうに御座山が見えていた。後半の長い長い舗装路歩きに備え、体力を温存させながら笹原を進む。
峠には、すれ違った4組分の車が並んでいた。休むことなく黒森への道を辿る。途中、瑞牆山が姿を現した。こうしてみると秀麗だ。しばらく足を止め見つめた。
それにしても覚悟をしていたとはいえ、長い舗装路歩きは堪える。黒森の集落を過ぎ、次の和田集落に差し掛かる頃から急速に足取りが鈍り始めた。和田峠への緩やかな上り坂に何度か歩みを止めさせられた。全くもって物好きなハイカーだ。9キロメートルを2時間20分かけてようやく増富温泉郷に到着した。
バス停前の土産物屋で食事を済ませ、街へと戻る準備を整える。1本早いバスに乗車することで、特急列車から高速バスに切り替えた。昨日の碧空と大展望、今日の白の緞帳に囲まれた静けさ、どちらもかけがえのない時間を与えてくれた。自分のために登り、友のために楽しみ、大切な人たちのために下りる。これからもそうやって歩いてゆこう。やっぱり山はいい。
コメント
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kimichan2様
こんにちは。
瑞牆山山頂から富士山と虹の光景!!
何の形容詞もいらない、一期一会の世界。
レコに挙げていただいてありがとうございました。
私も素敵なお裾分けをいただきうれしいです。
お山は確かに自分のために登り、待っている人達の元に無事に帰ることが一番大切なことですね。改めて思いました。
kimichan2様のおだやかな時間を過ごさせていただけるレコ、また楽しみにしています。
ありがとうございました。
reochi19様
そうなのです。あの衝撃的な光景を目の当たりにした嬉しさと、穏やかな、気のおけない時間を大切に思うことができ、満ち足りた山行でした。
新たな発見や、当たり前のことを見直す機会が得られることは幸せです。
これを書いたのちに、昨日終えた節目の山行について書き記します。
これからも懲りずにご覧ください。
いつもコメントやメッセージをありがとうございます!
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