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Yamareco

記録ID: 1830266
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

〔撮影山行〕GW針ノ木岳 〜北アルプス全山モルゲン!大量デブリと雪壁を越えて〜

2019年05月05日(日) [日帰り]
情報量の目安: S
都道府県 富山県 長野県
 - 拍手
体力度
4
1泊以上が適当
GPS
09:22
距離
12.0km
登り
1,489m
下り
1,494m
歩くペース
速い
0.70.8
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
6:50
休憩
2:10
合計
9:00
0:10
170
3:00
3:10
70
4:20
6:20
50
7:10
120
9:10
扇沢駅
天候 快晴
過去天気図(気象庁) 2019年05月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
00:00 扇沢発
以前の記録を見ていると、登りだけでだいたい5〜6時間かかっている。
標高差1,400mだから、1時間当たりの登りの標高差をMax400mとすると3.5時間で着くはずなんだけれど、先人たちがそれほど時間かかっているには訳があるはず。
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00:00 扇沢発
以前の記録を見ていると、登りだけでだいたい5〜6時間かかっている。
標高差1,400mだから、1時間当たりの登りの標高差をMax400mとすると3.5時間で着くはずなんだけれど、先人たちがそれほど時間かかっているには訳があるはず。
うかうかしていると日の出に間に合わず目的が達成できない。
早々に準備をして、車にshibawanwanを残し扇沢を飛び出すように出発する。
前日までの踏み抜いたトレースが硬く締まりステップ状になっており、雪渓はだんだん急になるもののアイゼンも不要なくらい。
順調に標高を稼いでいく。
気温も低く汗もかかず踏み抜きもなく、これは楽だわ。
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うかうかしていると日の出に間に合わず目的が達成できない。
早々に準備をして、車にshibawanwanを残し扇沢を飛び出すように出発する。
前日までの踏み抜いたトレースが硬く締まりステップ状になっており、雪渓はだんだん急になるもののアイゼンも不要なくらい。
順調に標高を稼いでいく。
気温も低く汗もかかず踏み抜きもなく、これは楽だわ。
雪渓に入ると、信じられないくらいのデブリが雪渓の大部分を覆う。
大きい塊は自分の背の高さ位もあり、こんなものを食らったらひとたまりもない。
暗闇から浮かび上がるデブリが恐ろしげである。
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雪渓に入ると、信じられないくらいのデブリが雪渓の大部分を覆う。
大きい塊は自分の背の高さ位もあり、こんなものを食らったらひとたまりもない。
暗闇から浮かび上がるデブリが恐ろしげである。
03:00 針ノ木小屋着
軽快にゆっくり休まず歩いて、3時間半で針ノ木小屋着。
ここから1時間のコースタイムで針ノ木岳山頂へ。
夜明けに間に合わないことは許されないので、そのまま休まず稜線歩きへ突入する。
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03:00 針ノ木小屋着
軽快にゆっくり休まず歩いて、3時間半で針ノ木小屋着。
ここから1時間のコースタイムで針ノ木岳山頂へ。
夜明けに間に合わないことは許されないので、そのまま休まず稜線歩きへ突入する。
歩いてしばらくすると、闇夜の中ヘッドライトに照らされた超急斜面のトラバースが浮かび上がる。
これか〜、俺こういうの大っ嫌いなんだけどなー(焦)。
トラバースする斜面が急すぎて恐ろしすぎる。
ダブルストックからピッケルに換装し、ヘルメットを被る。
リスク軽減のため念のためピッケル2本持ってきましたが、トラバースで意味なし。
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歩いてしばらくすると、闇夜の中ヘッドライトに照らされた超急斜面のトラバースが浮かび上がる。
これか〜、俺こういうの大っ嫌いなんだけどなー(焦)。
トラバースする斜面が急すぎて恐ろしすぎる。
ダブルストックからピッケルに換装し、ヘルメットを被る。
リスク軽減のため念のためピッケル2本持ってきましたが、トラバースで意味なし。
ようやく急斜面のトラバースを渡りきり、あと少しと思いきや、今度は急斜面の登りが立ちはだかる。
ダブルアックスにするのが面倒だったので、横着してそのままピッケル1本で登る。
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ようやく急斜面のトラバースを渡りきり、あと少しと思いきや、今度は急斜面の登りが立ちはだかる。
ダブルアックスにするのが面倒だったので、横着してそのままピッケル1本で登る。
04:20 西の空が明るくなり始めた頃に針ノ木岳山頂着。
なんとか乗り越えた〜。
ノンストップで来たけど、結構かかったな。
後半慎重に行ったせいか。
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04:20 西の空が明るくなり始めた頃に針ノ木岳山頂着。
なんとか乗り越えた〜。
ノンストップで来たけど、結構かかったな。
後半慎重に行ったせいか。
鹿島槍ヶ岳。
夜明け前のピンクの空の色が綺麗。
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鹿島槍ヶ岳。
夜明け前のピンクの空の色が綺麗。
白馬三山。
今日も日が昇った。
ありがたやありがたや。
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今日も日が昇った。
ありがたやありがたや。
夜明けとともに北アルプス全山が朝日に染まる。
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夜明けとともに北アルプス全山が朝日に染まる。
まずはお決まりの槍穂高。
昨日の燕岳よりはコンパクトに纏まって見える。
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まずはお決まりの槍穂高。
昨日の燕岳よりはコンパクトに纏まって見える。
あの広大なカールを有するのは薬師岳か。
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あの広大なカールを有するのは薬師岳か。
いい色に染まります。
背後に何か見える。
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いい色に染まります。
背後に何か見える。
槍穂高→剱立山→槍穂高→剱立山と、撮るのが忙しい。
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槍穂高→剱立山→槍穂高→剱立山と、撮るのが忙しい。
剱岳は夜明け直後はあまり朝日が当たらない。
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剱岳は夜明け直後はあまり朝日が当たらない。
ばっちり朝日があたる立山三山。
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ばっちり朝日があたる立山三山。
山の重なりが凄い。
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山の重なりが凄い。
尾根尾根の向こうにははるか乗鞍岳まで見ることができました。
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尾根尾根の向こうにははるか乗鞍岳まで見ることができました。
手前の山にも光が当たってきていい感じに。
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手前の山にも光が当たってきていい感じに。
この双耳峰っぽいのは水晶岳か。
水晶岳を見ると北アルプスの最深部にきた感がある。
超望遠だけど。
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この双耳峰っぽいのは水晶岳か。
水晶岳を見ると北アルプスの最深部にきた感がある。
超望遠だけど。
北アルプス南部山々がほぼ見渡せる。
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北アルプス南部山々がほぼ見渡せる。
北アルプス最深部。
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北アルプス最深部。
槍穂高。
剱岳にも日が回ってきた。
5
剱岳にも日が回ってきた。
何枚も撮ってしまう。
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何枚も撮ってしまう。
剱岳の奥の山は何だろう?
等倍で見ると、あの綺麗な斜面にシュプールが刻まれていた。
ひえ〜、登れるのか。
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剱岳の奥の山は何だろう?
等倍で見ると、あの綺麗な斜面にシュプールが刻まれていた。
ひえ〜、登れるのか。
こんなんで切り取ってます(超望遠ズーム100-400mm)。
いかようにも切り取ることができ、絶大な威力を発揮してくれました。
通常の登山者の方は、こんな食えない重たい代物を担ぎ上げてはいけません(笑)。
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こんなんで切り取ってます(超望遠ズーム100-400mm)。
いかようにも切り取ることができ、絶大な威力を発揮してくれました。
通常の登山者の方は、こんな食えない重たい代物を担ぎ上げてはいけません(笑)。
難所のトラバース前半。
傾斜が急で幅が狭く、トラバース時のアイゼンの引っ掛けに細心の注意が必要です。
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難所のトラバース前半。
傾斜が急で幅が狭く、トラバース時のアイゼンの引っ掛けに細心の注意が必要です。
トラバース後半。
こちらは前半ほど怖くはない。
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トラバース後半。
こちらは前半ほど怖くはない。
日が昇り、通常の色になりました。
スバリ岳と後立山連峰。
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日が昇り、通常の色になりました。
スバリ岳と後立山連峰。
登ってきた針ノ木雪渓。
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登ってきた針ノ木雪渓。
難所のトラバース斜面と蓮華岳。
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難所のトラバース斜面と蓮華岳。
立山と剱岳。
黒部湖は日陰。
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立山と剱岳。
黒部湖は日陰。
立山・剣。
だいぶ雪が融けている。
厳冬期は来れないので、これがベストに近いのでしょうか。
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立山・剣。
だいぶ雪が融けている。
厳冬期は来れないので、これがベストに近いのでしょうか。
薬師岳。
こう見るとカッコイイ。
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薬師岳。
こう見るとカッコイイ。
水晶岳を盟主とする山の重なり。
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水晶岳を盟主とする山の重なり。
槍穂高。
白くてもいい。
感性で何度撮っても同じ画角になる。
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槍穂高。
白くてもいい。
感性で何度撮っても同じ画角になる。
剱岳ともそろそろお別れ。
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剱岳ともそろそろお別れ。
鹿島槍ヶ岳。
稜線越しの白馬三山。
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稜線越しの白馬三山。
さて、そろそろ帰ります。
こんな好条件は滅多にないので、入念に撮っていがら1時間くらい山頂にいました。
06:00 予定より30分超過して下山開始。
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さて、そろそろ帰ります。
こんな好条件は滅多にないので、入念に撮っていがら1時間くらい山頂にいました。
06:00 予定より30分超過して下山開始。
まずは雪壁の下りから。
今度も横着してピッケル1本で行ったら登り以上に緊張を強いられた。
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まずは雪壁の下りから。
今度も横着してピッケル1本で行ったら登り以上に緊張を強いられた。
次は問題のトラバース×2本。
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次は問題のトラバース×2本。
今度は登りの暗闇とは違い明るかったので、さほど緊張することなく下りることができました。
通常はこうなんでしょう。
これが見た感じと同じ感じでしょうか。
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今度は登りの暗闇とは違い明るかったので、さほど緊張することなく下りることができました。
通常はこうなんでしょう。
これが見た感じと同じ感じでしょうか。
トラバース後半部分を下から見て。
この後のトラバース前半部分がより怖いですが、余裕がなく写真なし。
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トラバース後半部分を下から見て。
この後のトラバース前半部分がより怖いですが、余裕がなく写真なし。
07:10 針ノ木小屋。
ふぅ〜、これで一安心。
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07:10 針ノ木小屋。
ふぅ〜、これで一安心。
針ノ木小屋からは雪渓をひたすら下るのみ。
おや、1人登ってくる。
早いですね。
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針ノ木小屋からは雪渓をひたすら下るのみ。
おや、1人登ってくる。
早いですね。
下りていくと、ほぼすべての沢筋から膨大な量のデブリが雪渓を塞いでいる。
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下りていくと、ほぼすべての沢筋から膨大な量のデブリが雪渓を塞いでいる。
うへぇ〜。
針ノ木岳ではなくスバリ岳へ向かう人達。
7:3でバックカントリーの人達が多かった。
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針ノ木岳ではなくスバリ岳へ向かう人達。
7:3でバックカントリーの人達が多かった。
いや、ほんとにすっげーな。
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いや、ほんとにすっげーな。
こんな規模の雪崩を食らったらほぼかわしきれないって。
2
こんな規模の雪崩を食らったらほぼかわしきれないって。
もうすでに斜面に日が当たり始め、日が当たる斜面は急速に雪が緩み始めている。
2
もうすでに斜面に日が当たり始め、日が当たる斜面は急速に雪が緩み始めている。
先日の涸沢で多発した雪崩も、別に午後の遅い時間帯ではなく、日が当たり始めた午前中から発生していたのであまりうかうかはしていられない(降雪後の状況とは違うので大丈夫でしょうけれど)。
2
先日の涸沢で多発した雪崩も、別に午後の遅い時間帯ではなく、日が当たり始めた午前中から発生していたのであまりうかうかはしていられない(降雪後の状況とは違うので大丈夫でしょうけれど)。
緩んだ斜面をスケーティングしながらあっという間に標高を下げていく。
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緩んだ斜面をスケーティングしながらあっという間に標高を下げていく。
バックカントリーの方はこの少し融けた斜面の滑走が最高に楽しいのでしょうけれど、登山者の方はどうなのでしょうか。
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バックカントリーの方はこの少し融けた斜面の滑走が最高に楽しいのでしょうけれど、登山者の方はどうなのでしょうか。
結構遅くから登られてくる方もおり、心配でした。
私にはこの雪渓両側の斜面が再び雪崩れない、ということは分からない。
心配しすぎでしょうか。
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結構遅くから登られてくる方もおり、心配でした。
私にはこの雪渓両側の斜面が再び雪崩れない、ということは分からない。
心配しすぎでしょうか。
09:15 約束の08:00下山から1時間遅れてshibawanwanの待つ扇沢着。
心配かけて申し訳ない。
最短の時間で目的を達成できた納得のいく満足な山行でした。
トレースを刻み、記録を上げて頂いた先人達に感謝感謝。
3
09:15 約束の08:00下山から1時間遅れてshibawanwanの待つ扇沢着。
心配かけて申し訳ない。
最短の時間で目的を達成できた納得のいく満足な山行でした。
トレースを刻み、記録を上げて頂いた先人達に感謝感謝。

感想

≪計画≫
いろんな人の記録を見ていたら、残雪期に針ノ木岳という選択肢があることを知る。
燕岳の翌日も晴れ予報。
厳冬期は行けないからGWの今しかない!
思いついたらいてもたってもいれず、GWの針ノ木岳に行ってきました。
よく「山は逃げない」と言われるけれど、チャンスを逃すと山は遠くへ逃げるのだ。

今年の針ノ木岳の記録を全て見て情報を収集すると、要は以下の2つのことに集約される。
\稱が怖い
∪稱鼻傾斜が急な斜面のトラバースがある

この2つのリスクをどう低減させるかと思考すると、以下の対処法が考えられた。
\稱リスク
→ 4/27の大雪以降、大きく雪や雨は降っておらずほぼ晴天続き。
→ 斜面に日が当たって雪が緩む前に下山すれば、雪崩を極力回避できると思われる。
急斜面滑落リスク
→ この時期ガチガチに氷化していることは考えられず、雪が緩む前の堅く締まっている早い時間帯がよいかな。
→ このGWに奥穂高の雪壁も越えてきているので、ヘルメット+ダブルアックスで大丈夫でしょう。
ということで、上記リスク回避と朝焼け撮影の目的も併せて、24時登り始めとした。


≪感想≫
00:00 扇沢発
以前の記録を見ていると、登りだけでだいたい5〜6時間かかっている。
標高差1,400mだから、1時間当たりの登りの標高差をMax400mとすると3.5時間で着くはずなんだけれど、先人たちがそれほど時間かかっているには訳があるはず。
うかうかしていると日の出に間に合わず目的が達成できない。
早々に準備をして、車にshibawanwanを残し扇沢を飛び出すように出発する。
「生きて家族の元に帰らなければ...」みたいに内心かなりビビっている一方、大丈夫という確信はある。
04:30針ノ木岳山頂着 → 05:30 山頂発 → 08:00 扇沢着で、中央高速のGW渋滞をギリギリ回避するという、我ながら完璧な計画だな(笑)!

さすがゴールデンウィーク。
トレースはバッチリでときどきGPSで位置確認するも迷う余地がない。
夜間で気温が低いため、日中は緩んでいた雪も堅く締まり踏み抜きはなし。
前日までのトレースが硬く締まりステップ状になっており、雪渓はだんだん急になるもののアイゼンも不要なくらい。
順調に標高を稼いでいく。
気温も低く汗もかかず踏み抜きもなく、これは楽だわ。

雪渓に入ると、信じられないくらいのデブリが雪渓の大部分を覆う。
大きい塊は自分の背の高さ位もあり、こんなものを食らったらひとたまりもない。
しかもこれほど大規模に雪崩れて雪渓の大部分を塞ぐようになると、逃げることもほぼ不可能ではないか。
暗闇から浮かび上がるデブリが恐ろしげである。

この各々の沢から流れ出るおびただしい雪崩が、扇沢まで開通して人が入る前に発生したものなのか、人が入るようになった後に発生したものなのか?
そして、これだけ雪崩れていればもう雪崩れないのか、それともまだまだ雪崩れてくるのか全く分からない。
少なくとも日が当たって雪が緩む前に下りてくれば大丈夫だろう、としか思えない。

03:00 針ノ木小屋着
軽快にゆっくり休まず歩いて、3時間半で針ノ木小屋着。
ここから1時間のコースタイムで針ノ木岳山頂へ。
夜明けに間に合わないことは許されないので、そのまま休まず稜線歩きへ突入する。

歩いてしばらくすると、闇夜の中ヘッドライトに照らされた超急斜面のトラバースが浮かび上がる。
これか〜、俺こういうの大っ嫌いなんだけどなー(焦)。
トラバースする斜面が急すぎて恐ろしすぎる。
こんなところでトラバースでアイゼン引っかけて頭から落ちたら、確実に止まれない自信がある。

ダブルストックからピッケルに換装し、ヘルメットを被る。
リスク軽減のため念のためピッケル2本持ってきましたが、トラバースで意味なし。
トラバースは前半と後半があって、前半の方が急で幅が狭く歩幅が重なるので難易度が高いでしょうか。
雪が硬く締まっているので確実に雪面を捉えられますが、この傾斜が恐ろしい。

こういうトラバースは初めてでもないので、大丈夫ではありました。
怖くていち早く通過してしまいたい衝動を抑えて、ゆっくり一歩一歩確実にアイゼンを引っかけないように進むしかない。
意外とこのトラバース区間が短くはなく「なめてはいけない針ノ木岳」といった感じでしょうか。

ようやく急斜面のトラバースを渡りきり、あと少しと思いきや、今度は急斜面の登りが立ちはだかる。
ダブルアックスにするのが面倒だったので、横着してそのままピッケル1本で登り始める。
ピッケル1本で大丈夫と言えば大丈夫ですが、上の方ほど急になり緊張を強いられ、やはりダブルアックスの方が断然安心感がありました。

04:20 西の空が明るくなり始めた頃に針ノ木岳山頂着。
なんとか乗り越えた〜。
ノンストップで来たけど、結構かかったな。
後半慎重に行ったせいか。
安堵するも、針ノ木岳の山頂自体が両側が切れ落ちたようなナイフリッジのようになっており、なかなか落ち着かない。
そして、帰りもまたあの急斜面のトラバースとデブリまくりの雪渓を通過することを思うと、落ち着きがないのも落ち着かない(笑)。

山頂標識が見えるように雪が掘られており、リュックをはめるのにちょうどよい。
風でリュックが飛ばされるのを防ぐ退避壕として機能した。
二度と飛ばされてなるものか...。
目的は違うけれど、掘ってくれた人に感謝。

山頂からは、昨日の燕岳と似たような感はありますが、南に槍穂高、北に剱立山と北アルプスの両雄が眺められる素晴らしい眺望。
とりわけ剱・立山の景色が素晴らしいでしょうか。
以前夏に来たときは雲が湧いてしまいましたが、ここ針ノ木岳からの眺望は最強に近いですね。
北アルプスの名立たる名峰がほぼ全部見えるのではないでしょうか。

槍・穂高と剱・立山等を撮るために、担ぎ上げた超望遠ズーム100-400mm。
いかようにも切り取ることができ、絶大な威力を発揮してくれました。
通常の登山者の方は、こんな食えない重たい代物を担ぎ上げてはいけません(笑)。

夜明けとともに北アルプス全山がモルゲンロートに染まる。
槍穂高→剱立山→槍穂高→剱立山と、撮るのが忙しい。
尾根尾根の向こうにははるか乗鞍岳まで見ることができました。

こんな好条件は滅多にないので、入念に撮っていたら1時間くらい山頂にいました。
06:00 予定より30分超過して下山開始。
まずは雪壁の下りから。
今度も横着してピッケル1本で行ったら登り以上に緊張を強いられた。
次はトラバース×2本。
今度は登りの暗闇とは違い明るかったので、さほど緊張することなく下りることができました。
通常はこうなんでしょう。

07:10 針ノ木小屋着
ふぅ〜、これで一安心。
針ノ木小屋からは雪渓をひたすら下るのみ。
下方に登山者が1名が登ってくるところでした。
下りていくと、ほぼすべての沢筋から膨大な量のデブリが雪渓を塞いでいる。

いや、ほんとにすっげーな。
こんな規模の雪崩を食らったらほぼかわしきれないって。
もうすでに斜面に日が当たり始め、日が当たる斜面は急速に雪が緩み始めている。
先日の涸沢で多発した雪崩も、別に午後の遅い時間帯ではなく日が当たり始めた午前中から発生していたので、あまりうかうかはしていられない(降雪後の状況とは違うので大丈夫でしょうけれど)。
緩んだ斜面をスケーティングしながらあっという間に標高を下げていく。

バックカントリーの方はこの少し融けた斜面の滑走が最高に楽しいのでしょうけれど、登山者の方はどうなのでしょうか。
結構遅くから登られてくる方もおり、心配でした。
私にはこの雪渓両側の斜面が再び雪崩れない、ということは分からない。
心配しすぎでしょうか。

09:15 約束の08:00下山から1時間遅れてshibawanwanの待つ扇沢着。
心配かけて申し訳ない。
最短の時間で目的を達成できた納得のいく満足な山行でした。
トレースを刻み、記録を上げて頂いた先人達に感謝感謝。


≪山ブログ≫ 針ノ木岳からの朝焼け等、大きな画像はこちらで見れます(PC)↓。
https://shibawannko.net/2019/05/05/harinokidake/

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コメント

さすがですね!
shibawannkoさん、こんにちは。

自分が4/28に登ったときも雪渓のデブリは結構ありましたが、あれから日も経って更に増えていたようですね。
今回も素晴らしい写真の数々を堪能させていただきました。
ありがとうございます。

shibawannkoさんの凄いところは、モルゲンやアーベント狙いで登って、高確率で成功させてしまうところですね。
2019/5/9 12:14
Re: さすがですね!
MonsieurKudoさん
こんにちは
いえいえ、こちらこそありがとうございます。
お礼を申し遅れましたが、MonsieurKudoさんの詳細な記録のおかげでもあります。
雪崩や滑落という最大級の危険を伴っているので、穴が開くほど何度も読ませて頂きました。
ありがとうございました!

そうですよね、そうですよね!
以前の記録を見ててあんな大規模なデブリありませんでしたよね!
デブリも比較的新しいものに見えてたんですよ。
とするならばこの時期雪渓を歩いていて巻き込まれる危険性があったということでよね。
恐ろしや恐ろしや。

朝焼けの成功率がそこそこ高く見えるのは、いつも直前の前日夕方の天気予報で意思決定しているからです。
それでも冬は3〜4回に1回は外すしますし、晴れててもこちら側が出遅れて夜明けに間に合わなかったり、また登山口まで行っても天気悪すぎて登らずに帰ってしまったり、というどうしようもない不戦敗も実はあったりするんです(笑)。
2019/5/9 18:05
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

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