大日影山-大蔵経寺山 〜迷い道〜
- GPS
- 04:43
- 距離
- 10.4km
- 登り
- 858m
- 下り
- 931m
コースタイム
- 山行
- 4:28
- 休憩
- 0:14
- 合計
- 4:42
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
武田神社〜東山 昭文社地図に掲載ないが、地理院地図どおりの歩きやすい道。一部踏跡の不明瞭な箇所あったが、尾根を外さなければ大きなコースアウトは無いはず。 東山〜大岩園地分岐 大黒峠からトラバースで進んだが、尾根伝いに進む道の方が歩かれているよう。 大岩園地分岐〜大蔵経寺山 コース中最も安定して歩けた。アップダウンもほとんど無い。 大蔵経寺山〜石和温泉駅 山頂から山神宮まで踏み跡薄く、テープも少なかった。何となく下を目指した。国道出てからは昭文社地図のように遠回りしないよう。 |
写真
感想
静かに、ゆったりと、初夏の爽やかな山歩きを楽しむ、はずだった。人と出会わず(これは予定どおり)、獣とも出会わず(ニアミスだった)、道を間違えず(・・・)、のはずだったのに。40日ぶりの山行、陽射しの強さ、このところのハードワーク、言い訳はいくらでも浮かぶけど、前半の疲労感は疑いようも無く、1か月後に控えた4時間の登りに確かな不安を覚えることとなった。
7時3分、かいじ73号は3分前に出発したあずさ号を追う。(先月と同じ列車?きっと気のせいだろう)甲府到着は8時39分、東京よりも少し雲が多い。バスを待つ間、地形図を頭に叩き込み、天気図を睨み、機内モードに切り替えた。
終点、武田神社で降車後、すぐに歩き始める。竜ヶ池の手前で階段を上がり、武田の杜遊歩道に入った。気温、湿度ともに高く、風は無い。ネックゲイターを頭に捲き、袖を捲った。まとわりつく虫は少なく、ハルゼミの音がこだましていた。
ほどなくそのよく整備された道と分かれ、やがてか細い踏み跡になってしまう道に入った。一応、躑躅ヶ崎園地までは、なだらかで明瞭な道が続いている。見上げれば予想どおり強い陽射し、ハンドタオルの出番は多そうに思えた。
勾配は徐々に強く、踏み跡は頼りなくなった。そして、急勾配を前にして道を誤る。今日は尾根通しのはずなのに、釣られるように踏み跡らしきものを辿ってしまった。倒木を越え、ふと我に返る。慌てて斜行し尾根に復帰した。
しばらくの間、気を引き締めて歩を進める。少しずつ変調に気付き始めた。足が重く、息が上がる。未だ歩き始めて1時間も経っていない。立ち止まり汗を拭っていると、前方を2匹の猪が悠然と横切った。もし、立ち止まらず30秒ほど早く歩いていたら、果たして彼らは大人しく待っていてくれただろうか。普段ならそんな想像をして、独り青ざめているところだが、そんなことはどうでもいいと思えるほど、疲労感が強まっていた。
大日影山には、予定よりもおよそ30分遅れで着いた。少し早めの設定をしてしまったか、山名に親しみを覚えつつ、休むことなく出発した。未だ踏み跡は不明瞭だが、尾根を行けば何とかなる。次なるピーク、東山を目指した。
標高885メートルの東山には10時50分着。ここも眺望は得られない。すぐにでも出発したかったが、回復の時間が必要だった。5分間、ストックを頼りに目を閉じた。そして何を思ったか、方向を見定めずに北上を続けてしまった。道無き斜面を緩やかに下って行き、あまりに何もないことに不安を覚え、ようやくスマホを見た。引返し、東へ続く道を辿る。はっきりとした、気持ちの良い道だった。
初夏の強い陽射しに慣れてきた。甲府盆地を望み、南アルプス前衛群を愛でる。回復しつつあった。遅れを取り戻すために、やや早足で尾根道を進み、大黒峠を目指し下降する。依然として30分の遅れは取り戻せず、僅かな滞在でその鞍部を後にした。
トラバースの後、今日最後の登りに取りかかる。大岩園地分岐(鹿穴南鞍部)にはしっかりとした道標が立ち、確実に一般道に合流したことを知った。計画では、ここで30分の調整ができることとしていた。30分の遅れは図ったかのように解消した。
昼は深草山で取るか。素敵な場所であると勝手に思い、背中のパンを暫く忘れることにした。道は少し物足りないほど幅広で穏やかだった。雲間から射す光は、吹き抜ける風と共に心地よい時間を与えてくれる。ようやく自分の居場所を確認できた。
12時を少し回った頃、深草山に到着した。例によって木々に囲まれ、見通しは利かない。東山で開けたゼリーの残りを流し込み、休むことなく最後の目的地に向かった。
大蔵経寺山には、隣の兜山同様登ることなく到達した。山頂と言うべきか迷うほど、特徴の無い平坦な場所が広がっている。バスを降りてから初めて人と出会った。相変わらず昼食を取る気にはなれなかった。予定どおりの列車に乗るために、5分も経たず下山を開始する。
山神宮への最短路を行くことにした。予想以上に踏み跡は心許なく、ここぞという時にテープは無かった。恐らく同じ道を上がって来た人にとっては訳ない下山なのだろうが、集中力を費やした身には、十分「迷い道」だった。
そして、ちょうど西関東道路トンネルの直上、間延びした尾根の終端部分で進むべき道を失った。最早、道を探す気にはなれなかった。方向を定め、やや急な斜面を下りて行く。前日の雨のせいで滑りやすいが、ソールの張替えが功を奏している。自信を持って道なき道を進んだ。
やがて山神宮本殿の屋根が見えた。無事を感謝し、手を合わせる。発車時刻まで1時間あまり、安堵感が満ちると共に空腹を覚えた。それから駅までの20分は、まるで8時間の歩行を終えたかのように気だるく、退屈な時間だった。
駅近くの公園で顔と靴を洗い、着替えた。ベンチを前に、4時間半ぶりに座りたい衝動に駆られたが、炭酸の誘惑がそれに勝った。富士山ボトルのそれを飲み干す時に、線路越しに緑多き山が目に映った。訳の分からない楽しい時間だったな。ふとそう思った。
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