会津駒ヶ岳 〜南会津の山旅機 ̄中、訳も無く欲す〜
- GPS
- 07:19
- 距離
- 11.4km
- 登り
- 1,249m
- 下り
- 1,242m
コースタイム
- 山行
- 6:39
- 休憩
- 0:41
- 合計
- 7:20
天候 | ひたすら雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
駒ヶ岳登山口バス停発13:37(会津バス、1,760円)会津高原尾瀬口駅着15:10 |
その他周辺情報 | 会津高原尾瀬口駅から5分の老舗旅館「三滝温泉」。0241-66-2313。 貸切温泉、部屋でゆっくり食べる夕食、部屋から眺める三つの滝。 |
写真
感想
尾瀬に向かうのは7度めだが、尾瀬夜行に乗るのは初めてだった。数年前から特急車両に変わったため、眠りやすくなったそうだが、まあ、昔の国鉄夜行急行を思えば大抵の車両は快適である。久しぶりに訪れた北千住駅で右往左往しながら出発を待った。
それにしても絶望的な予想天気図。Tenki.jp、お天気ナビゲータ、てんきとくらす、どのサイトを見ても晴れないことだけは間違いなかった。霧雨の中、静かな湿原を進む姿が思い浮かぶ。
午前3時20分、会津高原尾瀬口駅には定刻どおり到着、30分あまりを車中で過ごす。レジ袋の音とジッパー音が共鳴し始める頃、専用バス到着のアナウンスが流れた。150名が3台に分乗、尾瀬沼山峠行バスは15分遅れで出発した。
会津駒ヶ岳登山口では、各4、5名が降車した。小雨が降りしきる中、ゆっくりと歩き始めた。しっかり舗装された車道は緩やかに高度を上げて行く。途中、ショートカットの入口を見過ごしたため大きく迂回したが、駐車場に着く頃にはちょうど良い状態に仕上がった。
いきなりの急登で始まる。すぐに体力の低下を感じ始めた。往復1時間の徒歩通勤、20分の自宅ストレッチだけでは維持できない年齢なのだろう。1か月後の山行を見直すのは悲しい。試金石とすべく、ピッチを上げてみることにした。
幸い、防水効果の薄れてきた雨具でも凌げるほどの雨だった。森林帯の中、風も無い。呼吸を整えつつ黙々と進んだ。1時間が経過した頃、ようやく納得のゆく歩みができるようになった。静けさを全身で感じ、冷ややかな空気に触れることを楽しめるようになった。
中間地点の水場には、予定どおり到着、ほとんど雨は降っておらず、気力は充実していた。時折、晴れていれば遠くの山々も見渡せる場所で足を止め、一呼吸置く。耳を澄まし、小さな音を拾い、森と雨の匂いを味わった。何より、大好きな尾瀬の山にいることが嬉しかった。
やがて植生が変わり、開かれる予感がする頃、雨脚が強まった。1時間ごとの予報どおりである。ここまで当たる必要は無い。ぶつぶつ言いながら先を急いだ。そしてそれは不意に姿を現す。湿原の中の木道、午前9時、そこに相応しい光景が眼前に広がっていた。後続との間隔は大きく、しばらく池塘と傍らの花を見つめていても静寂を破られる心配は無かった。
駒ノ池にはまだ多くの雪が覆いかぶさっており、霧深く遠望叶わないため、5月の残雪期に登ってきた錯覚を覚えた。うっすらと浮かび上がる駒の小屋のシルエットが美しい。惹かれそうになったが、予定どおり山頂往復後に寄ることにした。
残雪は思いのほか多く、ほぼ中央を進んだ。その後、木階段を経て中門岳への巻道分岐を通過する。ほどなく山頂の賑わいを感じ始めた。賑わい?こんな天候の下、多くの人の声、ツアー団体が狭い山頂でひしめいていた。標柱を撮影し、早々に辞する。これではまるで百名山ハンターだが仕方がない。
駒ノ池まで戻り、しばらく考えたが、本降りの雨と復路の泥濘を思い、駒の家に寄ることは諦めることにした。昨年、この海の日連休に早くから予約を入れていたのに、高熱に阻まれ断念した記憶が重なった。
登り同様、コースタイムどおりに無難に下りられれば今日は良しとしよう。バスの通過までは十分な時間があったが、濡れた木道や石車に注意しながら早足に努めた。先刻歩いた単調な道、ひたすら降り続く雨、予想よりもはるかに長い時間の果て、ようやく登山口(駐車場)に到着した。往路逃したショートカットの道に入る。下りに使うには良いかもしれない。
登山口バス停手前のトイレには12時30分に到着した。結局コースタイムに等しい時間を要して下山したことになる。8月の山旅は、予定どおり行こう!そうつぶやきながら、庇の下で身繕いを行った。靴の泥を落とし、雨具を畳み、傘を開く。これからの楽しい時間を思い浮かべた。
およそ1時間30分のバス旅、ほとんど眠っていた。やはり尾瀬夜行の3時間睡眠では足りない。駅併設の食堂で、下山後一つ目のお楽しみを味わい、今日の宿に向かう。雨は上がり、今にも陽射しが現れそうだった。
三つの滝を前にしたその宿は、想像以上に静かで気持ちの良い時間を提供してくれた。湯船に身を沈め、いつの間にか絡まった糸を1本1本解いて行く。日常を完全に忘れることなどできないが、雨中欲していたものが何なのか、わかったような気がしていた。
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