湯檜曽川から蓬(よもぎ)峠(谷川岳)
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- GPS
- 09:35
- 距離
- 12.9km
- 登り
- 952m
- 下り
- 951m
コースタイム
天候 | 小雨〜快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年06月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
雪渓、沢の横断など。時間に余裕。 |
写真
谷空木と書いてください。アジサイの仲間ですよ。空木岳にこの花あるんでしょうか。山に咲くピンクのアジサイ。辞典に、スイカズラとありますが、それって?
感想
グレートサミッツ国内編 NO29 湯檜曽川から蓬峠
上杉謙信の上越越えの裏ルートというのが、湯檜曽川沿いからの清水峠越えであったり、蓬峠越えである。メイン国道の三国峠と比べれば、夏の今の時期にハイキングするくらいでも、道に迷う。
スキーシーズンに、土樽から蓬に上って、土合まで滑ったことは2回ほどあるが、その逆を夏にハイクアップしたことがない。だから梅雨の晴れ間でトレースしようということになった(自分の頭の中でそうなった)。
しかも、旧道と言われる明治の国道沿いに上って、新道と言われる河原沿いの道を下る。この辺り道が縦横無尽な割には、(高圧鉄塔の監視道もあり)道間違いも多くて。
何で旧道なんていう、荒廃しそうな道が整備されながらでも残っているのか。これも不思議なことだ。消滅するかもしれない。
有名な一ノ倉沢の旧道出合いの、広いPがスタートになる。最近はマイカーでは入れない時期もあるほど人気ぶり。明け方に到着すれば、ヘルメットのクライマーというのが相当数いるわけで、30年前の自分もそんなことしていた。小雨で上部ガス。どうなるか。天気の回復は遅い。
「行けるところまで出発」
というわけで、さらに林道を幽ノ沢方面に歩く。しかもまだ暗い午前4時。私は気まじめだ。出合いに百人の人がいても、その先まで歩くのは一人だけ。でも今年はやっぱり残雪も多い。このPでも、目の前はまだ雪が残る。
幽ノ沢は、この冬にも見学に来たけれど、雪のあるなしのイメージの違いは、実に面白いほど違うものだ。さらに奥へ、芝倉沢方面に。
出合いで勘違いしたけれど、本流の手前の方が残雪が狭くて、奥の支流の方が太くなっていた。まあそんなものか。しかもこの雪渓横断に、なんと私は6本歯のアイゼン持っていて、それに履き替えた。
芝倉を過ぎると、大きく迂回して武能沢の方に行く。道はジグに高度を上げる。今回初めて知ったことなのだが、横断高度は1230m付近で、かなり稜線(1500m)近くに上っているのだ(下部の武能沢と湯檜曽川の出合いは、850m)。なるほど、雪渓もデブリ状態。大げさにいえばここは夏の北アルプスか。けっきょくこの廃道国道というのは、今の地形図には登山道とは区別(未整備道?)されている。その後一般道に合流して、白樺小屋に出る。
なお道はトラバースの連続で、何度の雪渓を横断して、いよいよガスの中で蓬峠に到着した。ガスであっても稜線はさわやかで、高度1300mを越えると灌木帯に入って、草原のそよ風が吹いてくる。こんなに低い森林限界とは、日本広しといえども、北海道を除けばこの辺りくらいなもんだ。
しかし今日は一体、どの山が目的の山になるのだろうか。稜線を戻れば武能岳、稜線を進めば七ッ小屋山。谷川を知っている人でも、こんな稜線奥のマイナーピークを知っている人は案外少ないものなのだ。しかも今日はまだガスが晴れないし、どうにも疲れた理由で、この峠を目的として、下山する(上りに5時間)。
下山は白樺までは同ルートで、以降は新道をいく。道標に(自信のない人は新道を)と書いてあった。湯檜曽川へ下る。ところがこれも長い。ジグにどんどん下っても、なかなか下に着かない。河原に出て、まずは先の武能沢を渡るが、上ではあんなにデブリで難儀した横断も、ここでは一跨ぎの飛び石というほど、チンケな流れに変わっている。はいはいそうですね、川幅1mの流れでも、雪渓とはその100倍の広さをもっていますよね、はい。
さらに進むと、今度は芝倉沢を横断して、この辺りも、ちゃんと道整備が出来ていて、横断トラロープが張ってある。冬には5mの積雪地帯でも、今はただの湿地帯。JRの管理小屋を過ぎて、上に登って、朝の林道に合流。
帰りの林道を歩きながら、今日の行程を振り返る。昼過ぎのこの時間についに連峰は快晴になって、湯檜曽の向こうに白毛門、笠ヶ岳が良く見える。自分の側に、堅炭岩、もちろん幽ノ沢も一ノ倉も上部まで全部見渡せた。晴れたなら、稜線を歩けばよかったと、ないものねだりも悔しいが、そこまでの気力が続かなかったよね。最近はお疲れ登山だ。
それにしても夏の下りは、自力で一歩一歩稼ぐのだから、ちょっと大変。3月には、蓬から土合まで1時間半なんて、空を飛んだような短時間大滑降、今はその4倍。一ノ倉の出合いでマイカーに乗り込んでも、ここから土合まで5キロの表示を見るだけで、歩くとしたらそれは嗚咽だ。降雪は山の恵みだ。
それにしても、今日の道はなんだったんだろう。誠実に歩けば、清水峠まで延々と上杉謙信はトラバースして、しかも途中にもっと大きな雪渓が残っている。歩いていいのは9月からとすれば、それは黒部の下ノ廊下と同じでしょ。そのくらいの興味は、上越にだってあるわけで。
私にとって谷川岳の潤いや味わいというのは、こういう登山も含まれる。
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