白毛門沢遡行・ウツボギ沢左俣下降・東黒沢下降



- GPS
- 17:24
- 距離
- 13.5km
- 登り
- 1,316m
- 下り
- 1,288m
コースタイム
天候 | 1日目曇り、2日目晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
白毛門沢遡行・ウツボギ沢左俣下降・東黒沢下降記録
作成者:大山・丸山
■日程 2019/9/13(金)(前泊)~15(日)
■山域 谷川連峰
■天候 晴れ
■メンバー 4名
CL 丸山(35/OB)
SL 朝倉(36/M2)
大山(41/B4)
鈴木(41/B1)
■総評(丸山)
谷川連峰の入門的ながら美しい沢を、初めての沢中泊となった3人と共に、3本組み合わせて遡下行することができ、好天にも恵まれて充実した山行だった。しかし、何よりも印象に残ったのは誤食したツキヨタケであった。
■ヤマレコ記録
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2031255.html
■行程
1日目(2019/9/14)
5:00 起床
6:11 遡行開始地点(駐車場)発
6:40 ハナゲの滝
7:00 白毛門沢・東黒沢出合
8:45~10:00 タラタラのセン
14:10 白毛門山頂
14:50 ウツボギ沢下降開始
16:30 幕営地点
19:30 就寝
2日目(2019/9/15)
7:00 起床
9:30 下降再開
11:20~45 大滝下降
12:00 ウツボギ沢右俣・左俣出合
12:50 丸山乗越
16:05 白毛門沢・東黒沢出合
16:42 下降終了
■行動記録
前日は荻窪駅近くの環八で丸山さんの車に乗せてもらい、現地へ向かう。運転は朝倉さん。
現地で高速を降りてからは、丸山さんに運転を替わり、日付も変わってほとんど人気のない中を飛ばしていく。正直かなり恐怖を感じたが、早く寝たい気持ちが勝ったので静かにしている。
9/14(1日目)
朝霧の中起床。寒い。今日は意外と体力を奪われそうだ。しかし先日の木曽駒ケ岳での合宿で寝づらさを感じていたのに比べれば、体力は十分に回復している。駐車場の平たさはやはり眠りやすい。
適当に行動食を食べ出発。特に朝食に相当するものは持ってきていなかったが、どうせ多めに持って来ているので(荷物は軽量化しましょう)なんとかなるだろう。
車で移動後、駐車場から堰堤を越えて入渓。オーダーは順次入れ替わりながら進む。ぱっと見だけでも開けた中に沢が流れていて、かなりきれいな沢というイメージを持つ。
今回1人だけフェルトソールだったためナメ岩でかなり滑る。事前情報の通り、やはりラバーソールを履いてくるべきと感じた。
東黒沢は綺麗なナメが続き、ハナゲの滝へ。傾斜が緩いが、ヌメる岩に苦戦する。今回だけではないが、足場が安定しないと無意識のうちに足が震えてしまうのは将来的に克服しなければ。
白毛門沢に入り、しばらく進んだあたりで丸山さんがキノコが群生しているのを見つける。「食べられそうだよね、山頂で電波入ったら調べよう」と言いながらかなりの量を収穫する。
その後は岩の滑りにも徐々に慣れつつ、小滝を越えていく。日も差して徐々に気温が上がってくる。
9時ごろにタラタラのセンへ到着。丸山さんがリードで登ったのに続き、大山、鈴木、朝倉さんの順。丸山さんの登るルートを集中してみていたつもりだったが、序盤で足がかりを見失い、一人で40分ほど消費してしまう。さらに間違えて中間支点では自分の方のアッセンダーを外して登ってしまい、終盤になって上にいる丸山さんから指摘を受ける。確認もせず登ってしまったのは反省。
時間がかかってしまったことで、上で待機している間(10分くらいだったろうか)だけでもかなり凍えるような寒さを感じる。防寒着と兼用で持って来ている雨具を着込む。
タラタラのセンとその先のナメ滝を越え、巨岩を左側から回り込む頃にはだいぶ水量も減ってくる。時折陽射しが照る中スラブ壁を登っていくと、かなり濡れたところへ日差しが差し込み、暖かいのか冷たいのかわからない感覚に陥る。上部の岩場は足が決まらない部分が所々にあり、高度感に弱い朝倉さんが特に苦戦していた。
途中電波が通じるところで丸山さんがキノコの情報を調べていた。どうやらムキタケという種類らしい。(今思えばこの時点で確認をするべきだった。)
頂上直下は藪の中、土の安定しない場所を草の根を掴み支点としていく。パワーで登っていく感じになってしまったのでかなりの疲労があった。
頂上の景色は晴れ間と曇りが半々。丸山さんから周辺の沢をいくつか教えてもらう。谷川岳周辺は遡行できる沢がかなり多い印象。
頂上からはしばらく尾根を進む。丸山さんと鈴木がかなりペースを巻いているように感じながら、距離がつきつ離れつついてゆく。
コル上から笹藪へ入る地点。翌日通過する「ウツボギ沢支流→東黒沢」の地点(丸山乗越というらしい。)をパーティー内で遠目に確認する。まだまだ距離がありそうだ。
根っこがしっかりしている分乗りやすさを感じながら調子付いて歩いていると、突然下に空間が空いていて落っこちる。どうやらここがウツボギ沢の源頭らしい。
ウツボギ沢では特に大きな滝もなく、徐々に高度を下げながら幕営できるスペースを探す。途中、1つだけお助け紐でゴボウして下った滝があった。時間も遅くなり陽が傾く中、適当なスペースの幕営と焚き火ができるスペースを探すのに苦労する。
最終的な幕営地はウツボギ沢をかなり降りた場所の右岸にある笹薮とした。持参の鋸で整地をし、同時に焚き火のための木材を集める。6月の沢集中で練習したとはいえ、まだまだ木の集め方のバランスは良くない。
夕飯はあたりが暗くなり始める17時30分ごろになった。メニューは野菜炒めと炊き込みご飯。白毛門沢で採集したキノコを「柄の上部内側が黒いから取っておこう」とか話しながら投入した。十分に加熱は行えていたと思われる。
19時30分〜21時30分ごろ
テントに入ってすぐ、丸山さんを筆頭に各人が吐き気を訴え始める。後から思えばほぼキノコを食べた順に症状が出ていた。断続的にかなり激しい吐き気を感じ、テント横に各人で場所を確保して処理していた。テントに戻っても悪寒と頭痛が残り、吐き気とともにかなりきつさを感じる。
23時ごろ
胃の内容物は概ね出し切ったが吐き気が治らない。胆汁で口が苦く感じる嘔吐。朝倉さんと鈴木はほぼ症状が治まったようだが、丸山さんは時折テント外に出てきて胃液を出していた。その場所、何か置いていたような…。
1時30分〜2時
少量のスポーツドリンクを飲む。30分ほどでも吐き気がそこまで大きくないので、ほぼ毒は抜けたようだ。ほかの三人ももう起きてくる気配はない。たまに沢の音が人の足音のように聞こえたが、幻聴の類というよりは空耳であろう。夜の顛末を記録としてまとめ、テントに戻って就寝。
2日目 (9/15)
7時起床。遅めに眠っていたからか各人無事に(?)回復したらしい。
キノコについて再度調べてみると、我々が食べたのはツキヨタケらしい。柄の上部内側が黒いのが特徴で、またムキタケのシーズンよりは早いそうだ。
朝食は、数日前にスーパーで見つけたトマトチーズ棒ラーメンを沢の水で作る。水が多かったためか丸山さんからは少し薄いとの指摘を受けたが、夜の出来事により全員胃の中が空になっており、あまり言葉を交わさずに無心で食べる。
出立は9時30分ごろ。前日のこともあるのでゆっくりとした行動開始になった。テントの片付けの際にペグを見失う。また鈴木の沢タビが汚れてしまっていたので少し不憫であった。
ウツボギ沢の下降途中で15mほどの大滝に出会う。丸山さんが上段を下降後、対岸へロープを渡し、後に続いて下降するが、水量が多く水線を渡るのに苦労する。思い切ってヌメり気味の岩を踏んで渡ろうとしたところ、滑った結果振られて岩壁に足先を強打する。この時左足親指の腱を痛めたようで、2ヶ月経って記録を書いている(記録は早く書きましょう)現時点でも痛みが続いているのでまた整形外科へ行かねばなるまい。
ウツボギ沢を2時間ほど下ったところから右岸の支流の遡行に入る。出会いの地点で水線の位置を確認し、丸山さん以外の三人が地形図の細かい変化を読み取れずに誤った水線を引いているのを指摘される。この支流には大きな滝はなく、時折登るのに難儀する小滝はあったが丸山乗越までは問題なく到着する。道中東黒沢遡行後にこの支流を下降しているパーティーにいくつか遭遇する。水量が減ってきた部分での分岐では迷わず進んでいたが、個人的には方角を見分けるのに少し苦労するであろうと思われた。
尾根沿いの藪には道標がなく、踏み跡を頼りに進む。幸い東黒沢遡行のパーティーとも出会い、迷わずに東黒沢に入ることができた。
下降では苦労する滝は少なかったように感じたが、白毛門沢同様ヌメる足場と深みに苦労し、2~3回ドボンしてしまう。不安定な足場を選択することが多かったのは要反省。パーティー全体でも緩いナメ岩で滑ることが多かった。
白毛門に負けず劣らず、非常に綺麗なナメ岩に多く出会う。
そうこうしているうちに白毛門沢との出合に到着。ハナゲの滝以降は巻道から続く踏み跡を進むが、遡行図に反して沢を渡る回数が多く、結局完全に脱渓したのは入渓点に大分近い地点であった。
帰りの運転は鈴木。途中で自分も交代することが可能な状態にしておくべきだったが疲れからか眠ってしまう。目が覚めるとかなり眠そうにしながら運転している様子だったが、なんとか荻窪までたどり着き解散。
■備考(丸山)
・タラタラのセンは巻くパーティが多いようだが、普通に直登できるので、登ることを薦める。これを巻くと、白毛門沢には登攀らしい登攀はない。
・ウツボギ沢やその右岸支流、東黒沢では想像以上に多くのパーティ(5パーティくらい)と出会った。こんなにも人気だとは驚きである。
・ウツボギ沢左俣や東黒沢は登攀要素が殆どないので下降向きで、遡行してもあまり面白くなさそうである。
■備考(大山)
・白毛門沢:滝や上部の岩場などは時間が多少かかるが、全体としては次々に現れる小滝や綺麗なナメ滝を越えていくテンポの良い沢であった。
・ウツボギ沢:全体的に傾斜はきつくないが、右俣下部の大滝は沢に慣れた経験者と行くのが推奨される。
・東黒沢:大きな滝もなく、綺麗なナメ岩を楽しむには最適。
・この三本を通じてラバーソールでの遡行・下降を強く推奨する。
■感想・反省(大山)
・技術的な部分でまだまだ自分の未熟さを感じた。不明点や練習していない点には事前に十分に留意すべき。キノコに当たったのは災難だったので、あまり人を信頼しすぎずに自分で確認する癖をつけたい。
・初の沢中泊で、テント場の選定・整備の大変さを感じた。
・2日目の行動開始が遅かったこともあり、(キノコのことを考えても)体力面ではあまり問題は感じなかったが、タイムスケジュール的に睡眠時間を短くせざるを得ない沢山行もあると聞いたので、今後注意していきたい。
■コメント(鈴木)
・沢でぬれたのが乾いただけで寝るのは不快かと思ったがその点は大丈夫だった。
・枝を押しつぶしながら寝ていたのでテン場選びは重要と感じた。
・下山の翌日お腹を下したが、ツキヨタケのせいか沢の水のせいかわからない。
・モンベルのサワタビはソールがペラペラのため泊まりに向かない気がする。
■コメント(朝倉)
・キノコのリスクを過小評価していた.泊まり山行中に体調を崩すと,下界で体調を悪くするよりも遥かに危険な状況になることも鑑み,もっと慎重に判断すべきであった
・キノコによる嘔吐のせいかもしれないが,本山行では極度に疲労し中盤以降大変辛かった.泊まり山行に参加するならもっと体力をつけるべきだと感じた
・生きて帰れてよかった
・キノコのことを除けば,沢中泊はかなり楽しかった.次回参加することがあれば直火で焼いて楽しいものを持参したい
■丸山コメント
・ツキヨタケの件すみませんでした。過去のことになった今となっては、貴重な経験として振り返れるかな。過去経験したことがないほど強い吐き気でした。もうツキヨタケは間違えない。
・怪我した時は早めに報告しましょう。
・これに懲りずにまた泊まり沢へ行きましょう。(僕はあまり好きではないけど…)
■丸山感想
・泊まり沢入門に良いルートだった。このルートでこの3人の初泊まりができたのは、レベルに合っていて丁度よかったと思う。
・ナルミズ沢もぜひ下降してみたい。
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