丁岳 秋田側から真室川コース踏査
- GPS
- 08:27
- 距離
- 15.9km
- 登り
- 1,121m
- 下り
- 1,317m
コースタイム
- 山行
- 8:04
- 休憩
- 0:24
- 合計
- 8:28
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
※余談になるが、下山したときに登山口に軽トラで地元の方が入ってきた。話を聞くとチェンソーで倒木を切って道を通したとのことだった。車まで戻ると確かに車一台分通れる幅で倒木が撤去されていた。軽トラ1台分の幅なので、普通乗用車で真室川登山口まで入ることは未だ厳しい状況であることに変わりないのが現状である。(2019/11/4現在) 🐻秋田側は採石場付近の橋の工事で通行止めになっていたが、西側の山側にう回路が通っていて登山口までたどり着くことができた。ただ案内看板による情報が乏しく不案内な印象を受けた。登山口のすぐ横にかかる橋が崩壊しているから丁岳登山はできないとの看板があったので、積極的に案内したくないのではと勘ぐってしまう。いずれにせよ少し分かり難いが、登山口まで車ではいることはできた。(2019/11/4現在) toole記 |
コース状況/ 危険箇所等 |
🐻秋田側のコースは特に難しい箇所は無い。登山口の橋は崩落して使えない(2019/11/4現在)が、渡渉可能な沢である。対岸のちょっとした崖をよじ登ることになるが岩に明瞭なステップが彫り込まれているので比較的楽に通過できるはずだ。登山道は斜度がややきつめの道が淡々と続く印象。途中、お花畑方面にう回路があり天気が良ければ鳥海山を展望できるが、今回は立ち寄らなかった。丁岳の山頂は眺望がまったく無いが、少し東側に下ると展望が開けてきて、すぐに真室川コース分岐にあたる。 🐻webで情報の乏しい真室川コースだが、比較的刈払いは良くされていた。稜線上に忠実に道がついている箇所は展望が利き、晴れていれば常に右手に鳥海山を眺めながら歩くことができる。では初心者でも安心して歩ける道だろうか?僕はそれはちょっと難しいと答える。やや難しいと感じた箇所を以下に挙げる。 P987の東側は岸壁の下の藪際をトラバースする。この箇所は刈払いが不明瞭になり、しかも足場がほぼ無いので藪漕ぎ経験の無い方にはお勧めしない。岸壁トラバースの途中から登山道は稜線上に復帰するが、僕たちはそれを見逃してしまい、少し藪を漕いで明瞭な尾根地形を辿って稜線上の登山道に復帰した。その後、正規の登山道を戻ってロストした地点を確認した。僕たちがロストした箇所は藪がちで踏み跡に乏しかったが、崖をよじ登る導線に気が付かなければならなかった。ちなみにこの箇所には古いフィックスロープが掛かっていた。 P807の少し先から稜線を離れ北側斜面を下る。緩やかな斜面の下りだが、倒木があり登山道を分かり難くしている箇所があった。その先は明神沢左岸Co300程度を保ち、トラバースしながらいくつか沢の渡渉が続く。トラバース箇所は掴まるような灌木に乏しく足場が脆く非常に悪いので、通常の装備では心許なく、ピッケル、アイゼン、軽アイゼン、スパイク長靴、いずれかの装備が必要となる。何度も通過する沢は土砂で深くえぐられている箇所が多いので、やはり上記装備は必須と思われた。特に真室川コースをピストンする場合、この"深くえぐれた沢を登り降りできるのか"ということについてよく検討してほしい。 toole記 【過去の関連記録】 3月の丁山地 雁唐山と丁岳へ(2018/3/24 kamadam) https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1411583.html 丁岳 真室川町側ルートを探索(2017/10/9 kamadam) https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1288787.html 丁山地 萱森 五階の滝の左岸尾根を往復(2016/4/2 kamadam) https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-839989.html ああ、鳥海山 大展望の丁山地(2014/11/8 toole) https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-544038.html 丁岳(ひのとだけ)〜起伏の激しい鳥海山の展望台〜(2012/9/8 toole) https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-223002.html |
写真
感想
しばらくヤマレコに載せられるような山歩きから遠ざかっていたがkamadamさんからこの丁岳真室川コースのお誘いがあり、歩くことができた。僕に充実の山歩きの機会を与えてくださったkamadamさんに感謝申し上げる。
過去の記録を見返すと僕は秋田側の周回路を歩いた7年前から真室川コースの存在を知っていたことになる。でもこのコースを歩いたというweb上の情報は乏しく、それ以後も更新されることなく謎のコースであり続けた。
それはこの真室川コースが"一般的ではない"ということを証明していると思う。それは何故なのか。どういう理由でそのような状態が現在まで続いているのか。それを知りたいと思うのは山歩きを趣味とする者の性分なのかもしれない。
結論を言うと、やはり真室川コースは一般的に勧められるコースではなかった。岸壁の下をトラバースする区間の道の不明瞭さ、歩きづらさ、崖を上り下りする危険度、ロストした場合の登山道に復帰する藪漕ぎの技量、連続する小ピークを登り返す体力、ステップの乏しいトラバース、深くえぐられ崖状になっている沢の渡渉、思い返すとこれぐらい多数の克服するべき課題があったからだ。
悪いことばかり書くと何てひどいコースだと思うかもしれない。でも僕はこのコースを貶したいわけではない。むしろ多くの人にこの素晴らしい真室川コースを安全に楽しんでもらいたい。だからありのままの現状をこのレコに記した。
歩いていて関心を抱いたのは険しい深山のコースにもかかわらず、概ねしっかりと登山道の草刈がされていたこと。稜線上から沢沿いにかけては新しいピンクテープも括り付けられてあった。それに何と言っても稜線上の展望の良さだ。11月で登山道脇の木々が落葉していたからかもしれないが、晴れていれば鳥海山が美しいはずだ(今回は残念ながらしつこい雲に隠れていた)。下山しているにもかかわらず、より深い山の懐に入っていくような不思議な錯覚を起こさせてくれる。これが本当に1,000mに満たない稜線なのだろうか?
何れにしてもこの記録をもとに少しでも多くの登山者が丁岳真室川コースを安全に楽しんでくれたら、僕にこれ以上の喜びは無い。
2年前に、丁岳の山形側、真室川コースを踏査したことがあった。山形側から入山した時は登山ルートが結局わからず、後日秋田側から登って真室川コースを歩いた時は、コースが尾根から下り始めた所で引き返してきていた。その後も他の方の記録を見かけることはなく、気にかかっていた。明瞭な秋田側から入り、山形側へ下山するとなると、どうしても日帰りなら車2台が必要だ。そこでtooleさんにお声をかけたところ、快く同行してくれることになった。有難い。あとは、久しぶりのロングを歩き通す上での、自分の体調の不安だけだ。
夜中2時過ぎに自宅を出発、車のフロントガラスには霜が張り付いている。4時に湯沢横手道路の終点でtooleさんと待ち合わせ、山形県真室川町に向かう。車一台を下山する林道に置いて、もう一台で秋田側の登山口へ。この移動に時間がかかるのは、日暮れの早い時期に歩き通す上で考慮すべき点だった。幸い、秋田側登山口へは車で奥まで入ることができ、気持ちに余裕ができた。
丁岳登頂後、腹ごしらえして、本番の真室川コースへ。2年前は上部が雲に隠れていた雁唐山がよく見える。岩峰のトラバースで道を見失い、藪漕ぎで稜線に登り返す羽目になってtooleさんには迷惑をかけた。しかし展望は素晴らしく、山深い雰囲気はとても1,000m前後の山域とは思えない。tooleさんからも何度もこの山域・コースの素晴らしさを表す言葉が出る。それは私も嬉しかった。
尾根から離れて下り始めると、道の判別が付きにくい箇所が断続的に出た。前を行くtooleさんの判断力はさすが。未知の部分も歩き切ってみると、合理的に道が造られているという感じがした。最後の林道歩きではパラパラと雨が降り出したが、明るいうちに下山することができた。
グリーンシーズン最終盤で満足度の高い山歩きができたのは、tooleさんのお陰である。tooleさん、またいつか、不確定要素の高い、未知の部分の多い山歩きにご一緒しましょう。
コメント
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スペシャリストお二方の山行、さすがです。
7月に行った時、真人橋の工事の看板に期間は8/31までって書いてた
と思ったんだけどな〜。
間違った情報を流してしまいすみませんでした。
自分のスキルでは、難しそうなコースですが、三本槍はカッコイイですね。
ちょっと見てみたい気もします。
お疲れ様でした。
秋田側の通行止め地点の手前、採石場の西側を迂回する道路を初めて通ってみましたが、思ったより良好でした。急斜面の部分は舗装されており、結構車が通っている感じです。奥の林道では腹を擦りましたが
登山口の橋は壊れているものの、沢自体はご存知の通り、渡渉は簡単です。沢の対岸(左岸側)には小さいですがステップが切ってあり、登山道に取り付くのも容易です。これでなぜ登山禁止の看板が立っているのか、不思議なぐらいです。雪が降ってもすぐに根雪にはならないでしょうから、鳥海山が見えるような好天をつかまえて、出かけてみてはいかがでしょう
真室川コースはtooleさんが詳しく書いてくれているような状況ですが、丁岳山頂まで登らなくとも、三本槍手前まででも十分に雰囲気を堪能できると思います。お勧めですよ
太平山のレコ、拝見しました。いい色合いでしたね。野田コース・丸舞コースはなかなか良いルートですね
土木工事の工期は伸びることもあると思いますので誤情報ということもないと思いますよ
真室川コースを刈り払いする人たちは秋田側から登るらしいので、山頂から少し下って稜線上の景色だけ楽しむのも良いかと思います
鳥海山もあまり見ることのない角度・距離から眺められますのでマニアの方にはたまらないかも
何れにしましても秋田側の橋の工事が終了しないとこの山域は立ち入る人は少ないままでしょうね。
kamadam さん、toole さん、こんにちは
レコを興味深くじっくりと拝見させて戴きました。急峻な岸壁トラバース、深い沢渡り等難所続出のコースですが、過去数年に亘る事前踏査を重ねての安定的踏破は流石で、その周到さは敬服ものです。強者揃いなら、怖いもの無しで羨ましい限りです。
今回も周辺ピークを含め丁山系の魅力を存分に堪能させて頂き有難うございました。
tonkaraさん、こんばんは。
ここはtonkaraさんにぜひお薦めしたいコースです。新緑の時期もきっと素晴らしいと思いますよ。
丁岳の秋田県側は箱庭的な感じで杉林も目に付くのですが、山形側に向かうと杉林はほとんどなく、雁唐山や丁岳、鳥海へ伸びる県境稜線、あるいは遠く弁慶山地など、標高は低いながらも原生的な自然景観が広がっています。
tooleさんとは、tonkaraさんと歩いた三界山も話題に上がっていましたよ
tonkaraさんお久しぶりです
僕もtonkaraさんがkamadamさんと歩かれた三界山のレコをじっくり拝見いたしましたよ 登りはじめの蟻巣山も地味ではありますが、かなり急登だったのではないでしょうか
kamadamさんからその時の話を伺いましたが、tonkaraさんはレコを拝見する通りの健脚者だったと仰っていました。思い入れの深い山に登頂できる喜びはひとしおだったと思います
この丁山地も静かで山の懐が深くてtonkaraさんがお気に召しそうな雰囲気ですよ。ねらい目は落ち葉が落ち切った晩秋か残雪が完全に消失した新緑の季節でしょうね
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