鉢盛山(2446m)野麦峠スキー場から


- GPS
- 32:00
- 距離
- 12.9km
- 登り
- 753m
- 下り
- 1,426m
コースタイム
- 山行
- 1:40
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 1:40
- 山行
- 10:40
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 11:20
1月23日イグルー発(7:30)→尾根を間違えロス1時間→鉢盛山(11:40〜12:00)→イグルー着(15:30)→スキー場着(17:50)→滑降開始(18:10)→駐車場(18:50)
天候 | ガス強風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2004年01月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
松本の家から見える山、鉢盛山に21年ぶりにアタックした。今回は西面、奈川村の野麦峠スキー場からで、地図では標高差もあまり無く、問題はヤブ漕ぎの可能性だけだった。しかし本当の問題は超サムサム級の寒気団だった。 伊那の前原君と木曽福島駅で待ち合わせ。前夜からの冬型気圧配置と寒気団で、木曽谷の針葉樹林も雪で真っ白。境峠を越えてスキー場へ。リフトは片道1500円、切符売りのおばさんに簡単な計画書を書かされてスタート。リフトは地図よりも上の標高2123ピークまで伸びていた。なーんだ殆ど登りなしか、と楽勝ムード。しかし低温と暴風は強い。逃げるように針葉樹の中へ突入する。下って登って下って登ってという感じで、今回が山スキー初めてという前原君には結構いいルートだ。「ワカンに比べてラッセルがほとんど無くてすげー楽っすよー」とまずは大喜び。心配したヤブも埋まっているし、木の間隔も滑り降りてもまあまあ悪くない。 小鉢盛山1.5キロ南の標高2260mの尾根分岐あたりでイグルーを作る。1時間ほどで大きめのやつ。前原君も最近はイグルーを作り慣れて、このお正月は中央アルプス全山単独縦走などしている。たぶん日本中で一番イグルーを作っているコンビだろう。良い立ち枯れを見つけてイグルーの入り口に焚き火テラスを作って習慣通り焚き火。剱沢の残りのゲンゲを焼いて缶ビールを空け、暖まってみるが無茶苦茶寒い。今日は氷点下20度近くには下がるだろう。前原君はイグルー脇の白い急斜面で飽くことなくスキーの稽古。僕はたまらずスゴスゴイグルー内にスッ込んで寝袋にくるまる。寒い、凄く寒い。晩も朝も前原君の熊本実家で発見のアベックラーメン新作「火の国・熊本ラーメン」。うまい。うらやましい。まとめ買いしたい。夜は予想通り冷え込んで終夜ずっと地吹雪だった。テントだったら大変だ。雪洞はこの時期は少なくとも無理。 朝はのんびり7時半出発。ラッセルは足首程度だが天気は悪い。絶えず地吹雪で視界なし。小鉢盛からの尾根の下りを誤り、100mほど降りたところで修正する。本来北東に降りるところ、右よりの尾根を降りていた。視界の効かない樹林帯の地図読みは難しいものだが、こういう小さい問題を解決して前進していくのが山登りの楽しみでもある。鉢盛への最後の登りまで、傾斜も穏当でペースも快調だったのだが、ロスした1時間を差し引いても3時間かかっている。距離感が、読みとずれている気がする。ビンビラビンの山頂で高校時代の登頂を懐かしみ、荒天に追われるように滑降開始。登山靴の靴ひもゆるゆるで滑り始めてしまったが、山頂からの標高差240mの斜面はなかなかのものだ。地吹雪でたまりにたまった粉雪を切り刻んで滑る。 このあとの上り下りで、二人のシールに異変が生じた。シールの糊が、低温のためか全然効かなくなってしまったのである。僕のはテールに引っかけ金具が突いているタイプなのでその辺りをガムテープで巻けば、なんとか使えるのだが、前原君のはシールのしっぽがちょん切れているタイプ。糊が効かなければテープで巻いてもあんまり長持ちしないで剥がれてしまう。少し歩いてはガムテープ巻きを繰り返し、大幅に時間を費やす。寒風の中、素手の作業が厳しい。僕のシールは買ってからおよそ10年あまり。最近は糊なんかほとんどついていなかったけれど、ここまでくっつかないのは初めてだ。それというのもこの低温のせいだろうか。しかし前原君のは新品で、糊もべたべたのはずだがこうなってしまっては情けない。北海道にいた頃は秀岳荘のバンド締め式シールだったので、超低温でも問題なしだった。こういう場合本州の人は一般的にどうするのだろう。 スキー場まであと10分の登りというあたりで修理に1時間近く費やす羽目になり、そこで日が暮れた。それでも暗闇の中、スキー場最高点に到着、煩わしいシールをとっぱずして猛吹雪の闇をプルークボーゲンで下る。前原君の四連LEDランプが明るくて頼もしい。そうはいっても足元しか見えない。明かりに照らされ見えるのは空中の雪つぶてばかり。低い方へ低い方へと降りるうち、風も弱まり笑みがこぼれる。スキー場は幸運にもよく整地されていて、めくら滑りでもまったく転ばずに済んだ。 山はやっぱりいろいろある。低温でシールが効かなくなるなんてこれまでにない経験だった。でもやっぱり問題を解決して下山するとやめられないほどおもしろい。はからずも充実のひと山行になった。粘着シールなんて所詮、残雪季のお楽しみスキー向けなんだと解った。 名古屋行きの列車がなくなってしまったので松本の実家に一泊、両親は喜ぶ。 |
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感想
松本の家から見える山、鉢盛山に21年ぶりにアタックした。今回は西面、奈川村の野麦峠スキー場からで、地図では標高差もあまり無く、問題はヤブ漕ぎの可能性だけだった。しかし本当の問題は超サムサム級の寒気団だった。
伊那の前原君と木曽福島駅で待ち合わせ。前夜からの冬型気圧配置と寒気団で、木曽谷の針葉樹林も雪で真っ白。境峠を越えてスキー場へ。リフトは片道1500円、切符売りのおばさんに簡単な計画書を書かされてスタート。リフトは地図よりも上の標高2123ピークまで伸びていた。なーんだ殆ど登りなしか、と楽勝ムード。しかし低温と暴風は強い。逃げるように針葉樹の中へ突入する。下って登って下って登ってという感じで、今回が山スキー初めてという前原君には結構いいルートだ。「ワカンに比べてラッセルがほとんど無くてすげー楽っすよー」とまずは大喜び。心配したヤブも埋まっているし、木の間隔も滑り降りてもまあまあ悪くない。
小鉢盛山1.5キロ南の標高2260mの尾根分岐あたりでイグルーを作る。1時間ほどで大きめのやつ。前原君も最近はイグルーを作り慣れて、このお正月は中央アルプス全山単独縦走などしている。たぶん日本中で一番イグルーを作っているコンビだろう。良い立ち枯れを見つけてイグルーの入り口に焚き火テラスを作って習慣通り焚き火。剱沢の残りのゲンゲを焼いて缶ビールを空け、暖まってみるが無茶苦茶寒い。今日は氷点下20度近くには下がるだろう。前原君はイグルー脇の白い急斜面で飽くことなくスキーの稽古。僕はたまらずスゴスゴイグルー内にスッ込んで寝袋にくるまる。寒い、凄く寒い。晩も朝も前原君の熊本実家で発見のアベックラーメン新作「火の国・熊本ラーメン」。うまい。うらやましい。まとめ買いしたい。夜は予想通り冷え込んで終夜ずっと地吹雪だった。テントだったら大変だ。雪洞はこの時期は少なくとも無理。
朝はのんびり7時半出発。ラッセルは足首程度だが天気は悪い。絶えず地吹雪で視界なし。小鉢盛からの尾根の下りを誤り、100mほど降りたところで修正する。本来北東に降りるところ、右よりの尾根を降りていた。視界の効かない樹林帯の地図読みは難しいものだが、こういう小さい問題を解決して前進していくのが山登りの楽しみでもある。鉢盛への最後の登りまで、傾斜も穏当でペースも快調だったのだが、ロスした1時間を差し引いても3時間かかっている。距離感が、読みとずれている気がする。ビンビラビンの山頂で高校時代の登頂を懐かしみ、荒天に追われるように滑降開始。登山靴の靴ひもゆるゆるで滑り始めてしまったが、山頂からの標高差240mの斜面はなかなかのものだ。地吹雪でたまりにたまった粉雪を切り刻んで滑る。
このあとの上り下りで、二人のシールに異変が生じた。シールの糊が、低温のためか全然効かなくなってしまったのである。僕のはテールに引っかけ金具が突いているタイプなのでその辺りをガムテープで巻けば、なんとか使えるのだが、前原君のはシールのしっぽがちょん切れているタイプ。糊が効かなければテープで巻いてもあんまり長持ちしないで剥がれてしまう。少し歩いてはガムテープ巻きを繰り返し、大幅に時間を費やす。寒風の中、素手の作業が厳しい。僕のシールは買ってからおよそ10年あまり。最近は糊なんかほとんどついていなかったけれど、ここまでくっつかないのは初めてだ。それというのもこの低温のせいだろうか。しかし前原君のは新品で、糊もべたべたのはずだがこうなってしまっては情けない。北海道にいた頃は秀岳荘のバンド締め式シールだったので、超低温でも問題なしだった。こういう場合本州の人は一般的にどうするのだろう。
スキー場まであと10分の登りというあたりで修理に1時間近く費やす羽目になり、そこで日が暮れた。それでも暗闇の中、スキー場最高点に到着、煩わしいシールをとっぱずして猛吹雪の闇をプルークボーゲンで下る。前原君の四連LEDランプが明るくて頼もしい。そうはいっても足元しか見えない。明かりに照らされ見えるのは空中の雪つぶてばかり。低い方へ低い方へと降りるうち、風も弱まり笑みがこぼれる。スキー場は幸運にもよく整地されていて、めくら滑りでもまったく転ばずに済んだ。
山はやっぱりいろいろある。低温でシールが効かなくなるなんてこれまでにない経験だった。でもやっぱり問題を解決して下山するとやめられないほどおもしろい。はからずも充実のひと山行になった。粘着シールなんて所詮、残雪季のお楽しみスキー向けなんだと解った。
名古屋行きの列車がなくなってしまったので松本の実家に一泊、両親は喜ぶ。
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