記録ID: 21415
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沢登り
大雪山
武利岳・ニセイチャロマップ川
1988年08月06日(土) ~
1988年08月08日(月)
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- GPS
- 56:00
- 距離
- 20.7km
- 登り
- 902m
- 下り
- 1,206m
コースタイム
8月6日ニセイチャロマップ川林道終点C1
8月7日C1→ニセイチャロマップ川→武利岳→武華山とのコル→武華沢C2
8月8日林道→下山
8月7日C1→ニセイチャロマップ川→武利岳→武華山とのコル→武華沢C2
8月8日林道→下山
天候 | 晴れ |
---|---|
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
5年目になりルームに無届けで山に行けるようになった僕と、OB2年目の渡辺ロクとで無計画山行を企てた。とくに計画をたてずに思い付きの沢旅をしようと言うものだ。渡辺ロクはこの二週間後に、飯豊川で遭難死した。 二人ともまだ登っていない山、武利岳を選んだ。ニセイチャロマップ川の林道は相当メチャクチャに林道が入り、もう嫌になるくらい奥まで車で行けてしまう。ヒマに任せて見送りに付いてきた松木、沢柿、ババアに車を降ろしてもらい、ちょっと歩いたところで焚火をした。 ロクさんはこの春までに東京での未就職身分の生活に区切りをつけ、古巣の札幌で将来の出方を伺つていた。88年の札幌は、今から思えば無職登山家にとってあまりいい年ではなかったかもしれない。山岳部員のエネルギーもいまひとつ発展途上中だったし、彼も何のチャンスもなく悶々としていたかもしれない。90年代以降に札幌周辺で自由登山家として充実していた面々をみていると、ロクさんの周期はついてなかったと思う。 その夜は飲んだ。さまざまな話をした。せせらぎの音を聴き、寝た。 ニセイチャロマップ川は水が少ない。出発点がそもそも相当上流であるらしかった。ナメ滝をいくつか起えて藪を漕いだら岩のでた稜線。ピークではアマチユア無線家がツェル卜を張っていた。ハイ松の小道を歩いて暫らく、昼寝をした。虫の飛ぶ音、柔らかい日射し、そして谷底から遠く聞こえる林道工事のブルの音。広大な山並みの中の但一点にとどまリ、暫らくハイ松のようになっていた。武華山とのコルから武華沢を下り、適当なところで泊まることにした。 薪を集めているとき僕の投げた薪がロクさんの手に当たリ、血を流さした。カレーを作って、また酒をのんだ。僕は自分自身も卒業後は無職登山家になりそうだと思っていたし、卒業しても正直にやりたいと思っていた。だから、ロクさんのやり方を全く支持していた。彼を見ていると自分の近い未来を見ているかのようだった。翌日、長い林道を歩いてトラックをヒッチした。暑い夏だ。 札幌駅の北口で「じゃあ、また山に行こうな」といって別れたのが最後になった。あの親友とはもう2度と会えなかった。 |
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