南竜テン泊で花いっぱいの白山

やっさん
その他3人 - GPS
- 32:00
- 距離
- 15.1km
- 登り
- 1,552m
- 下り
- 1,551m
コースタイム
5日・南竜発6:10,<展望歩道>室堂8:00/10,御前峰9:05/30,<池巡り>室堂10:50/12:00,・黒ボコ岩・南竜道分岐13:00,甚の助13:20,中飯場14:25,別当出合15:10/30(バス)金沢17:45
| 天候 | 4日は日本海に抜けた台風5号の余波で豪雨。 5日は晴れ。時折、日本海からの霧が上がってくる。 |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2007年08月の天気図 |
| アクセス | |
| コース状況/ 危険箇所等 |
砂防新道は大雨でもぬかるみはひどくない。 道はよく整備されている。 南竜が馬場の幕営地はスノコがあり、トイレは臭いが炊事場は広い。 花はたくさん。 南側のスマートな姿と北に崩落した火口原の対比など、地質も興味深い山である。 |
写真
感想
花も地質の見所一杯の霊峰・白山070804〜05
4日・金沢6:00着/6:45発,別当出合(1260m)8:55/9:10,中飯場9:55,甚の助小屋11:30,南竜山荘12:30/テン場(2060m)15:00
5日・南竜発6:10,<展望歩道>室堂(2448m)8:00/10,御前峰9:05/30,<池巡り>室堂(2702m)10:50/12:00,<黒ボコ岩>南竜道分岐13:00,甚の助小屋13:20,中飯場14:25,別当出合15:10./30発、金沢17:45.
霊峰・白山は日本三霊山の一つであり、祭神は菊理媛神(くくりひめ)。黄泉の国を訪れたイザナギとイザナミの和解を取り持った神とされる。夫婦をつなぎ、生と死をつなぐ神として広く信仰を集めている。南の白山室堂から眺めたスマートな姿(写真)と山頂北側に崩落した荒々しい火口原の対比は、現世と黄泉の国をつなぐ神を戴く山として相応しい。
思うように山へ行けなかった昨年以降の療養生活の間に、ネットで何人かの山仲間ができたが、今回の白山はその仲間達との企画である。妻も含めて4人で別当出合で合流して南竜が馬場で幕営、2日目に登る計画となった。
さて、金沢6:45発のバスを目指して、当初は夜行の能登号か寝台の北陸号を予定したが7月16日の中越沖地震により青海川駅で信越線が運休。新宿・池袋発のJRバスは1席しかないため渋谷発の北陸鉄道バス(7840円)を利用することにした。
渋谷マークシティーのバス発着所は五階にあり、席は増発二号車の4B。三列リクライニングは広々としており、カーテンは締め切って真っ暗になるので幾分かは睡眠も取れ、予定の6:00より早く5:40金沢着。コンビニでパンと飲み水を買って東口1番より6:45発で別当出合へ向かう(2000円)。荷物はあれこれ含めて21kg。
バスを降りると空は暗く、今にも降り出しそう。大揺れの吊り橋を渡った頃から雨具を出し、この日はずっと雨。時々激しく降るが足元は岩塊が多く土が少ないのでぬかるむことはあまりない。台風5号は朝には秋田沖へ抜けていったがその余波であろう。
ほぼ予定通りのタイムで12:30に南竜山荘の休憩所に入る。1階には石油ストーブと売店。2階の休憩所にはテレビもあるので「どんと晴れ」を見ながら昼食にする。夜は7月例会で教わったオニオン、ポテト、コンビーフ蒸しの予定なので皮を剥いたりして下ごしらえ。バターとシメジを加え、焦げ防止のためにオリーブ油も足してあとは加熱するだけ。
幕営地は南へ300m。霧と雨で前が見えないので随分と遠回りをしてしまった。雨の中でマイテントを濡らすのも嫌なので同行者の六人用貸しテントに同居することとする。料理はうまくできた。蓋の密閉が良いのでかなり水分も出ている。雨の音を聞きながら翌日の天気を祈りつつ早めに寝る。スノコの上なので350gサーマレストで十分。550gのイスカエア280も随分暖かい。
朝は霧も消え、南の空に下弦の月が高い。朝食をたらふく詰め込んで6:10発。東側の展望に期待して岐阜県境の展望歩道を進むがニッコウキスゲやクロユリなどの花が満開である。東は三方崩山までが限界で、剱・立山までは霞んでいる。ハイマツ帯を過ぎて室堂平のなだらかな溶岩斜面に出るとお花畑が広がる。この山は随所にある雪田からの雪解け水が流れていて冷たい水がおいしい。水の心配が要らない山は有難い。
ところで、地質の点からこの白山の成り立ちを考えると、標高2300m以下には火山岩はなく、手取層群とよばれる礫岩・砂岩・泥岩を主体とする堆積岩からできている。その上になだらかに流れた青っぽい安山岩質の溶岩斜面があり、最上部の御前峰や剣ガ峰は白っぽい流紋岩質の溶岩ドームという感じである。手取層群の年代は1億4千万年と推定され、恐竜の生きていた時代に湖の底に厚く堆積した地層であり、上部の火山岩は最近1万年の噴出物である。
白山室堂から登るにつれ途中の青岩などの安山岩が眼につくようになり、御前峰(2702m)では盛り上がった白い流紋岩となる。山頂から眺めるとピークの御前峰の北側には20万年前の大汝峰のなだらかなピークと1万年前の双耳峰である流紋岩質の剣が峰の対比が美しい(写真)。
西寄りに御宝庫の大岩の割れ目を通って北に下ればそこは火口の中。御前峰の崩落斜面はまさに噴火口の内壁である(写真)。岩錐斜面の下部にハイマツの復活がみられる。火口原には紺屋ガ池や翠ガ池など小さな火口湖が雪解け水を湛えて美しい(写真)。雪田の下側の氷を削ってその冷たさを味わった。写真,虜限Δ凌∪犬量気ざ莪茲4500年前の火砕流の跡、翠ケ池は1042年噴火の火口、翠ケ池火口から南西の荒地は1554年頃の火砕流跡であるそうだ。
お池めぐりを過ぎ、室堂までのお花畑はまさに天上の楽園漫歩であった。室堂の休憩所で缶ビール500円を飲み、塩ラーメンを作って食べ、記念切手も買う。登頂証明書を買う人やポストに郵便を投函する人も多い。落雷で破壊された山頂の山名表示板の再建をめざす寄付依頼の張り紙もあった。
下山路は黒ボコ岩経由で下る。ここまでの草原は笹原主体だがハクサンフウロなどの花も豊富。石畳で整備された急坂を下り延命水を過ぎた2300m付近の沢筋に見事な円礫岩層の露頭を見つけた(写真ァ写真)。これが実は本日のハイライト。手取層群最上部の1億4千万年前の堆積岩であるが、河川下流に特有のなめらかに磨かれた礫を砂岩が埋め込んでいる。こうした円礫岩はここより下の登山道のあちこちに見られる白山特有の岩石である。この沢筋に白山の成り立ちを語る石たちが勢ぞろいしていた(写真)。円礫岩、安山岩、流紋岩に加えて赤っぽい軽石も登場してくれた。悠久の時間をかけてこの山ができてきたことを感じさせてくれる石たちである。
●参考資料・◎山と高原地図「白山」。◎25000地形図「白山」。◎築地書館・日曜の地学6「北陸の地質」。◎自然を読み解く山歩き(小泉武栄)
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