斜里岳(過去レコです)。


- GPS
- --:--
- 距離
- 8.7km
- 登り
- 913m
- 下り
- 916m
天候 | 曇り時々雨。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年07月の天気図 |
アクセス | 昨日の羅臼からバスで移動。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
滝が沢山あります。 |
写真
感想
昨朝と同様3時に起き、3時45分からヴォリュームたっぷりの朝食の弁当をお腹に押し込む。4時半にバスに乗り込み、これから登る斜里岳を眺めながら登山口の「清岳荘」に向かう。両側に長々と優美な裾を広げた斜里岳は、何とも言えない美しい姿をして佇んでいる。今行くから待ってろよ〜。30分程で「清岳荘」の駐車場に着く。以前、清岳荘はまだこの先にあったそうだが、1998年に全焼し、現在はこの場に鉄筋コンクリートの立派な建物として再建されている。駐車場には、「車中泊 有料 ¥500」と看板が立てられているところを見ると、経営状態は思わしくないのかな? 今日は最初からスパッツをつけ、ザックをカバーで覆い、ダブルストックで5時20分、清岳荘の横から登山道に入る。入り口には、「熊の目撃情報が寄せられています。充分注意して下さい」と、ここもクマさんの棲家のよう。登山道は直に林道となり、その終点に広場があり、ここに旧清岳荘のあったとの事である。ここまでは20分程で、足慣らしに丁度良いが、もう汗も出始め、長袖を脱いでTシャツ1枚になる。ここにもクマさん注意の大きな看板があり、いよいよ本格的な登山道が始まる。尾根に出るまではずーっと、「一ノ沢川」に沿って登る。「下二股」からは旧道と新道に分かれるが、登りは旧道を、下りは新道を使うという話しである。渡渉を繰り返すコースで、時には水に落ちて濡れてしまう事もあるとか、水量が多いと登れないこともあるとガイドが説明する。配られた2万5千分の1の地図を見ると、下二股までは等高線はなだらかで、旧道に入って勾配が増すようである。下二股からは注意が必要だなと思っていると、いきなり渡渉が始まる。飛び石を伝って渡るのだが、見ていると皆さんヒョイヒョイと身軽に渡る。中にはバランスを崩してアワやという人もいる。わたしはダブルストックを水の中に突き、それを頼りにひと石づつ確かめながらゆっくり渡る。勇気も要らないし、危険も少なく、ダブルストックは極めて有効である。右岸に行ったり、左岸に行ったり、渡渉の繰り返しで気が抜けないが、これがまた愉快である。水に漬かった茶色の石は、見るからに滑りやすそうだが、あにはからんや、もとは火山岩なのでそうそう滑る事はない。ミヤマエンレイソウやマルバシモツケもお出迎え。やがて右手に新道を分け、「6合目 845m」の柱があるが、これがこの道初めての合目標識である。いきなり現れたのが6合目、もう半分以上登ったんだと気持ちが楽になる。ガイドが、「クマは川の近くに現れることが多く、水音で人の気配も掻き消され、いきなり遭遇することがあるので注意して下さい」と云う。至近距離でクマさんに会うのはかなわないが、こんなに大勢いるからまず大丈夫だろう。滝が現れる。「白糸の滝」とあり、皆さんカメラに収めている。しかしこれは序の口で、ここから次から次へと滝が現れ、始めのうちはひとつひとつカメラに収めていたものの、しまいには登るのに精一杯、写真どころの騒ぎではない。羽衣の滝は巨大な一枚岩をなめるように広がって滑り落ちている。流れを渡り、滝を高巻いて登る。七合目にある方丈の滝、そして七重、見晴、竜神、霊華と、それぞれ趣きの異なる滝達の連続。これらの滝のふちを辿って登ったり、ロープにしがみついたり、あるいは高巻いたり、赤矢印が付いているが水暈が増えているため、どう見ても渡れそうにない所は、ガイドが別にルートを開拓し、格好構わず必死に後について登る。成る程、これは下りには危なくって使えない、でも、登る分にはとっても面白い。見晴の滝を過ぎたあたりから雨がきつくなり、カッパの上下を着込む。登るにつれ、谷は徐々に狭まり水量も少なくなる。そろそろ花も咲き始め、チシマノキンバイソウから始まる。「上二股」でひと息つく。さらに急坂が続き、ガレ場を一生懸命登る。稜線に近づくと風が強くなり、岩場にはミヤマダイコンソウ、エゾツツジ、シロバナエゾフウロ、ヨツバシオガマ、ハイオトギリなどなど、高山植物が一杯張りついている。稜線に登り、そこから続く馬の背は吹き飛ばされそうな暴風。フラフラ揺れながら 登り、9時50分、斜里岳頂上に到着。登山口から4時間半の行程であった。頂上は広いが植物は何も無く、勿論乳白色の世界、知床連山もオホーツクも、国後島も霧の中、な〜んにも見えない。下から見上げた斜里岳の優美な姿、アイヌ語で「オンネプリ」と優しく呼ばれる山の頂上は、見ると居るとは大違い、大変な暴風雨で立っているのが精一杯。飛ばされでもしたらシャリにもならないので、記念撮影をさっさと済ませて下山開始。上二股で昼食の弁当を拡げ、ここからは新道をゆるやかに登り、ハイマツの稜線歩きとなる。相変わらずの風ではあるが、ハイマツに遮られて吹き飛ばされるほどのものではない。晴れていればきっと良い眺めなのだろうが、真っ白けで何も見えない。前方にうっすらと山が現れ、これを登ると熊見峠に出る。ここから先は急な下りで、ダブルストックで膝の負担を和らげる。尾根から外れて右に、一ノ沢川の谷に向かって下るようになると勾配はさらに増し、時々渋滞が起こる。谷が狭まって来て、川の流れる音が聞こえてくると、間もなく下二股に到着しひと息つく。これから先は今朝登って来た道だが、川の水暈は増えており、渡渉にはより注意が必要。靴は防水スプレーの効果はとっくに無くなってビチョビチョなので、たとえ川の中に落ちたとしても大して変わらない。全身ずぶ濡れになって登山口に帰り着いたのは14時で、8時間40分の行程であった。
カッパを脱いでバスに乗り込み、今夜の宿泊地である阿寒湖畔温泉に向かう。途中、コンビニに寄ってビールを買い、ウトウトするうちに着いたのは、「ホテル花ゆう香」という、山登りにしては洒落た宿であった。早速温泉で汗を流し、7時から夕食の時間まで、ひとりロビーで阿寒湖を眺めながらゆっくり過ごす。夕食はバイキング式で種類も多い。シャブシャブ鍋がおいてあり、自分の好きな材料を選ぶことが出来るのでなかなか良い。好物のタコをシャブシャブにして腹一杯。そして今日も余裕の3人部屋でぐっすりと眠った。
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