雌阿寒岳(過去レコです)。
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- GPS
- --:--
- 距離
- 5.7km
- 登り
- 790m
- 下り
- 796m
天候 | ガス。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険個所はありません。 |
写真
感想
今朝はゆっくりと4時に起床。朝食の弁当をザックに入れ、バスで雌阿寒岳の登山口に向かう。登山口の雌阿寒温泉は広々した所で、硫黄の臭いが漂い、小川には黄色い温泉が流れている。5時50分、雌阿寒温泉コースの登山道入り口から、アカエゾマツの静かな森の中に入る。羅臼・斜里では女性陣が前を歩き、男性陣が後から、という具合に列を作って登ったが、今日は女性陣の中でも後にやって来る人がいて、バラバラになる。20分弱で一合目の標識。長袖シャツを脱いでザックに納める。さらに20分弱、緩やかに登って二合目。ここでひと休みし、弁当を取り出して朝食。辺りにはギンリョウソウが白く光っている。三合目あたりはもうハイマツの世界で、四合目からは急斜面をジグザグに登る。ひと休みした後、わたしはガイドのすぐ後ろについて登る。果たしてガイドはどんな歩き方をするのか? 同じ足運びをとろうとするがこれがなかなか難しい。後ろの方から見ていたガイドはゆっくりと登っているように見えたが、実際は結構大股で、曲がるときも左右の足の幅を変えることなく登る。それを真似るとわたしはバランスをくずしてヨロヨロ、まだまだ未熟。でも、ガイドの後ろにピッタリとついて一定のペースで登るのは楽である。後ろの方に付いていると、こうはいかない。つかえて立ち止まったかと思うと、今度は間があき、それを縮めるため足早になる。ペースが保てないので余計に疲れる。今は、すぐ後ろの人が付いてくるので、ガイドはどんどん登り続ける。わたしの後ろのおばちゃんはゼイゼイ云いながら必死について来る。次なる休憩の後、再びガイドの後ろにつこうとすると、そのおばちゃんが「駄目!」というので、先頭を譲るが、このおばちゃんの後につくぐらいなら最後部の方がまだマシ。おばちゃんのペースで登っても、ガイドが立ち止まって待っててくれるので、このおばちゃんにとっては頗る楽になるわけである。女性陣がバラバラになった理由の一旦は、この我儘おばちゃんにありそう。登るにつれハイマツは減り始め、それとともに風が強くなりTシャツ一枚では寒くなる。カッパの上着を着込んで、火山礫の山肌をジグザグに登る。行き違いで立ち止まっていると、その横に、「ここら辺は火山情報が聞こえないので、立ち止まらないように」と注意書きがある。こんな所でカッパを取り出して、上着のみならずズボンまではこうとしているおじさんがいる。グズグズとはいているそのひと一人のため、全員が立ち止まって強風の吹きすさぶ中、言葉には出さないものの早くせよと見守っている。じっと立っていると身体の芯から冷えて来て、一年前のトムラウシの事故が脳裏をよぎる。こんな奴のために俺は死にたくない、とまでは大袈裟であるが、ツアーで一緒になっただけで、山の仲間でも何でも無い奴を待つ身のつらさ。ガイドが三人もいるのだから何とかせいよ、と云おうとしたらようやく動き始めた。山名を冠するメアカンフスマ、メアカンキンバイは、羅臼でも斜里でも見られたが、ここで見るのが本場の花。メアカンフスマは元気一杯だが、メカンキンバイは霧の水滴の重さに耐えかねて、うつむき加減で元気がない。ヒメイワタデは今回始めて見る花だ。チングルマは紫褐色の絹毛が巻いていて、もう秋だ。「九合目」の柱が見え、火口壁の稜線に立つ。雌阿寒岳は活火山である。火口があり、赤沼、青沼があり、噴気もあがっているのだろうが、何もかもマッシロケ。風にあおられながら、赤茶けた岩の転がる稜線を黙々と進み、8時50分、雌阿寒岳頂上に到着する。登山口からちょうど3時間の行程であった。遮るもののない360度の展望であるが、全てが乳白色の中に隠れて出て来ない。ガイドが霧の中を指差し説明してくれるが、聞いている人は上の空。集合写真を撮って下山開始。11時15分、無事、登山口に帰り着いた。全行程はおよそ5時間半、標準時間より1時間余計にかかっていた。
登山口の野中温泉別館、トドマツで作られた手作りの内湯は、クギを使っていない。硫黄成分が多いのでクギはすぐに錆びてしまい、石鹸を使っても泡立たないとの事。そのせいかどうかわ知らないが、石鹸は置いてない。露天風呂にゆっくり浸かり汗を流した後、自販機で買った缶ビールの美味いこと。昼食のためバスで阿寒温泉に戻り、カムイコタンに入る。木彫りのシマフクロウが睨んでいるカムイコタンの入り口に、「コロポックル」と云う名の店がある。同じ名前のヒュッテが霧が峰にあるので、いかにもアイヌという顔つきのその店のおやじさんに声をかける。「コロポックルというのは、アイヌ語で、フキの下の小人という意味で、幸せを運んでくる小人の神様だ。霧が峰にそういう小屋があるということは聞いているが、行った事は無い」と云う。「岐阜から来た」と云うと、「岐阜は円空さんに会いに何度も行っている、特に高山の千光寺は素晴らしい」と云う。「千光寺? 知らんな」と云うと、地図を持ち出して来てその場所を示し、「一度行って来るといい」と勧めて呉れる。コロボックルの木彫りの人形は、円空さんに通じるところがあるようで興味があるらしいが、「円空さんだけではなく、わたしは世界中に行っていて、本も書いている」。このちょっと風変わりなおじさん、帰宅してネットで調べてみると、四宅豊次郎という名前で、「アイヌ オマン 上 文化使節団沖縄へ」とか、「アイヌの生活と文化」という本を書いていたり、1983年に75年ぶりに再現されたイオマンテの実行委員会の委員長をしたりした人であった。NHK特集「幻のイオマンテ 〜75 年目の森と湖のまつり〜」というタイトルで全国放映されたほか、教育TVでは教養セミナー「75 年目のイオマンテ」として2夜連続で放映されたそうだ。ユネスコアジア文化センターで活動するNGOの一つ、「阿寒アイヌ民族文化保存会」の中心メンバーでもあるようだ。コロポックルの三軒ほど隣りのアイヌ料理屋「ポロンノ」に入り、スパゲッティーとビールを注文。民芸品かガラクタか、アイヌとは無関係の外国のものまで、壁中に掛けられ、机の上にも所狭しと並べられている。カウンターに座っているが、店の人は無口で、仕方が無いのでひとりビールを飲む。ビールを飲み干してもまだ料理は出ない。やっと出て来たアイヌのスパゲッティー、なかなか凝ったもので、色んな具が入っていて、とくに太いフキが美味かった。
今度高山に行ったら、千光寺に寄ろっと・・・。
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