四阿山(過去レコです)。


- GPS
- --:--
- 距離
- 10.0km
- 登り
- 967m
- 下り
- 959m
天候 | 晴れ。 |
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過去天気図(気象庁) | 2009年11月の天気図 |
アクセス | 前日の本白根山から移動し、菅平に宿泊。 |
写真
感想
5時に起床。大浴場で朝風呂を浴び、6時前にフロントに下りると宿のかみさんが出てきて朝飯と昼飯、2食分の弁当を渡してくれる。そして、「今日は夕方から雨になり、明日は雪が積もるでしょう」と云う。登るときだけでも天気がもってくれればいいと思っていたが、登山中は雨は降らないかな、と地元のかみさんの言葉に密かに期待する。登山口に向かう車から見る菅平の空は、朝焼けで赤く染まり、今のところは上天気。牧場の駐車場にはすでに先客が一台いて、単独行の若者が登山口に向かっている。車の中で朝飯を食べているともう一台、大阪ナンバーがやって来た。朝飯はおむすび2個とおかずが盛りだくさん。そのおむすびの大きいこと、コンビニのおむすびの倍はある。これを全部平らげていざ出発。まだ6時40分、高原の秋の朝、少々寒いのでカッパの上着を着込む。以前登った事がある道、うろ覚えであるが安心して登る事が出来る。天気は良し、時間があれば根子岳にも登ろうと思いながら車道を行く。牧場の端に「四阿山登山口 中四阿経由」と書かれた白いゲートがあり、これをくぐると登山道となる。もう放牧は終わったのだろうか、牛のいない枯れ草の牧場、ところどころ壊れた柵に沿って進む。沢に下ってこれを渡り、ここからはシラカバ林の中をゆるやかに登る。「菅平牧場口0.8km、四阿山3.5km」の標識が立っている。もう30分も歩いているのにまだ1/5も来てないの?と、ちょっとがっかり。「○○合目」の印もそうだが、頂上に近くなれば励みになって良いが、登り始めは無い方が良い。落ち葉の敷き詰められた気持ち良い登山道が続き、登山口から1時間ほど登るとシラカバの木もまばらとなって右手下に菅平高原が、振り返ればダボスの丘も見下ろせるようになる。裾に向かってシラカバ林が広がっているが、真っ白な幹のテッペンに薄茶色の葉っぱを残している姿は、白髪を茶髪に染めたおじさんの頭を思い起こさせ、うら寂しい。ひと山登り切って、岩が重なったピークに立つ。おそらくここが小四阿だろうが何の印も立っていない。ようやくシラカバ林を抜けて中四阿が見渡せるようになる。目指す四阿山はその向こう、まだまだ遠い。左手には根子岳が、菅平から見る穏やかな姿とは異なって荒々しい地肌を露出させている。回りの景色を見渡しながら休んでいると、単独行のおじさんが登って来て休まず先に行く。大阪ナンバーの車の人と思われる。一旦下って、中四阿への急登に差し掛かる頃になると樹木は矮小化し、岩と笹の中の道となる。ボルダーが重なるピーク、おそらくこれが中四阿の頂上だろうが、これを巻いて下る。鞍部からすぐに急登となる。見上げると山の端が見え、根子岳からの道と合流するのも近いようだ。急登も終わり、扁平な岩が重なる広い尾根を登って行くと、山の端から四阿山の三角形の頂が出始める。うん〜ん、まだ先なんだ。「←根子岳1.8km、四阿山0.7km→」の道標が立つ分岐でひと休み。あとひと息と頑張って登って行くと、若い単独行の男が追い越して行く。木の階段を登り、右手に鳥居峠からの道を合わせ、壊れかけた祠が見えると間もなく四阿山の山頂に到着。丁度10時、登り始めて3時間20分、思ったより速く登ることが出来た。頂上は風が強く、おまけに霞んでいて山々はぼんやり見えるだけ。何だか雲行きも怪しくなって来た。祠に参拝し、嬬恋村と田代湖を見下ろしただけで早々に退散。木の階段を降りながら、さて何処を通って下ろうかと考える。四阿山の上空は雲が覆い陰っているが、根子岳を見ると青空の下で明るく穏やかに佇んでいる。まだ時間も早いし、宿のかみさんは雨は夕方からだと云っていたし、まだ体力も残っている。「よ〜し、根子岳にも登ろう」、と分岐を真っ直ぐに進む。ここから先は下り、徐々に勾配を増して来る。急な下りは根っ子の階段と石。昨日は晴れていたのに何故か濡れている。濡れた根っ子ほど嫌なものは無い。こんな所で滑ってはひとたまりも無いと、木の枝を掴みながら慎重に下る。シラビソの暗い林の中、悪戦苦闘しながら急坂を何処までも下る。一時間も下っただろうか、林を抜け十ヶ原に下り立つと景色は一変、木立は無くなり、明るい笹原が広がっている。根子岳から伸びて来ている尾根に一本の登山道がついているのが見えるが、人の姿は無い。この広々とした場所にいるのはわたしだけ。四阿山の急坂を下り、根子岳に登り返すという苦労をしたものだけが味わえる世界。根子岳への登り、最初は笹原の緩やかな登りであるが徐々に斜度を増し、足取りもゆっくりとなる。やがて狭い岩稜となり、大岩を右に見て急坂を登る。次なる大岩の左側を廻り込み、高い段差を根っ子にしがみつき登ると、小四阿から見えた崩壊地の上部に達する。左手が切れ落ち、岩肌が剥き出しとなった崖の上をなるべく下を見ないように渡る。ここを渡り終えると山頂の石の祠が見え、11時40分、根子岳の頂上に到着。雲が漂っているが晴れ、でも風は強い。祠の土台で風を避け、昼食とする。朝食と同様、大きなオムスビが2個、オカズは違っているがやっぱり盛りだくさん。宿で食べる朝食1食分で朝と昼の弁当を作ってくれたと云う事だが、宿のかみさんの心使いが嬉しい。山また山の世界、向こうに見えるのは昨日登った本白根山、それに続く白根山と横手山。目の前に今登って来た四阿山が横たわっている。四阿山、これをあずまやさんと読める人は山登りをする人以外ではそう多くは無い。あずまやは4本柱に屋根がつき、壁が無い建物の事を云い、東屋、吾妻屋とも書くようだが、ここから見る四阿山はそんな形を思わせるものではない。深田久弥は根子岳なんて四阿山の付録みたいななものだと記しているが、わたしはそうは思わない。根子岳は四阿山よりは100mちょっと低いが、標高は2207m。何の変哲も無い四阿山に比べると、根子岳はほんわかと穏やかで、2000mを超える山でこんな気持ちの良い山はそう多くは無い。でも花の百名山、宿のかみさんが来週には雪が降ると云っているのに今でもマツムシソウが咲いている。弁当を食べ終わって下山にかかる。ガレ坂を足早に下る。森林限界が過ぎ、灌木の中の道をダボスの丘を目指して下る。やがて牧場が現れ、その柵に添って下る。頂上から駐車場までのコースタイムは1時間半、これを1時間弱で下ってしまった。登山口に入ってから6時間半が経っていた。
牛乳を飲みソフトクリームを食べ、管理事務所で入山料200円を支払い、菅平を下る。ふれあい真田館の温泉で汗を流し、帰途に着く頃には雨が降り出し、高速道路は50km規制。加えて中央道、恵那での渋滞。これは覚悟していたが、予定より左程の遅れも無く帰宅することが出来た。
翌週登った上州武尊山から見た四阿山は根子岳ら見た何の特徴も無い山容とは違って、つんと尖ったピラミダルな形をした山であった。深田久弥が日本百名山に選んだのも納得出来た。
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