大江山 熊の足跡(過去レコです)。
- GPS
- 32:00
- 距離
- 3.5km
- 登り
- 293m
- 下り
- 298m
天候 | 晴れ。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
熊注意。 |
写真
感想
12月の第2週末、大江山に登る事にした。2010年12月10日、朝6時に自宅を出発。羽島ICから名神高速道路に乗り、吹田JCTから中国自動車道をひた走る。吉川JCTから舞鶴自動車道。西高東低の天気、名神、中国道では晴れていたが、舞鶴自動車道は霧がかかり、雨も降り出す。綾部JCTからは京都縦貫自動車道と、高速道路を乗り継いで大江に至る。ガスで視界が悪い中、大江山酒呑童子の里から山道を登り、ナビの地図を見ながら適当に進む。登って行くとガスも無くなり、道端に雪が現れる。終点まで行くとそこはもう尾根の上。トイレもある立派な駐車場であるが誰もいない。トイレは鍵がかかっていて入れない。そこは鳩ヶ峰と鍋塚山との鞍部で、目指す大江山連山最高峰である千丈ヶ嶽(832.5m)まではほんの僅かな距離である。左膝の古傷が痛み出しているが、まあ大丈夫だろう。この季節にしては上天気、仕度を整え、10時26分に駐車場を出発。雪がうっすらと積もった登山道は、所々ぬかるんでいる。一見ゴツゴツしているように見える石だが、結構滑りやすい。滑らないよう気をつけながら鳩ヶ峰を目指して尾根道を登る。雪の上には動物の足跡が、二つ並んだ足跡は蹄行性の動物のものだが、シカがイノシシか。急斜面を登り、鳩ヶ峰の頂上も近いと思われる頃、石にのっけた右足がつる〜りと滑り、まず左膝を打ち、手をつくも支えきれず、アレアレと思っていたら最後は右頬でゴッツンと上半身を受け止める。どうやら頬はすり傷、膝は打撲だけで済んだようだ。内出血するといけないと、タオルで頬を抑えながら登る。鳩ヶ峰山頂にはベンチがあり、坐ってひと休み。周囲は全て山。鍋塚山の向こうには海が見える。おそらく舞鶴であろう。行く手には千丈ヶ嶽が見える。少し登るだけで着きそうに見えるが、鳩ヶ峰からは下りとなり、どんどん下って行くと登山道には雪も無くなる。階段が整備されており、これを下って鞍部に降り立つ。鞍部からの登り返しは急な階段で、雪も現れる。雪の上に動物の足跡、これは先程見た蹄行性のものでは無く、はっきりと5本の指跡がついている。裸足で歩いている人がいるのかとも思ったが、それにしては足底が丸過ぎる。クマの足跡と断定するまでに時間はかからなかった。ここにはクマさんがいる。この雪は昨夜降り積もったばかりのもの、ということはこの足跡はまだ出来立てのもの。「もう帰ろうかな」とは思ったものの、クマさんの足跡はわたしが登って来た道を下に向かっている。ということはこのまま登って行っても大丈夫だろうと先に進む事にする。急な登山道、時々階段が現れるが、その階段にも足跡が残っている。千丈ヶ嶽山頂に近くなると真っ白な世界となり、いつしかクマさんの足跡も消えている。頂上に着くと、「大江山山頂 千丈ヶ嶽832.5mM」という大きな看板があり、処女雪を踏んで看板の前まで行き記念撮影。頂上の反対側にも道が続いており、そこから続く真新しい足跡が頂上を横切っている。これは先程見たクマさの足跡より大きい。のっしのっしと歩くクマさんの姿が想像できる。なんと大江山はクマさんの棲家だった。酒呑童子の家来には、熊童子、星熊童子、虎熊童子、金熊童子など、熊のつく鬼が多いのも頷ける。周囲の眺めを楽しむ余裕は無く、まだそこにいるかも知れないクマさんの影におびえ、さっさと退散。「ある日 森のなかクマさんに 出会った・・・」と大声で歌い、「クマさん出るな」と叫びながら尾根を下る。下りは登りより滑りやすい。クマさんもさることながら、滑らないよう慎重に下る。鞍部から鳩ヶ峰に登り、これでもう安心と、ベンチに腰を下ろして昼食とする。オムスビを食べながら見ていると、千丈ヶ嶽に雲がかかり始めて来る。鳩ヶ峰の下りも声を出してクマさんにわたしの存在を知らせる。クマザサの雪が落ちてガサガサと音を立てる。その度にドキッ、あわててのけぞって危うく転びそうになる。登山道の雪も消え、そろそろ駐車場と思われる頃、ドロ道にクマさんの足跡が、5本の指も生々しく残っている。登るときには無かった。こんなくっきりしたものがあれば必ず気が付く筈だ。登って来る時、どこかでクマさんとすれ違ったようだ。クマさんはわたしを見つけて、そっと道を開けて呉れたに違いない。2時間半程度の山歩きであったが、ハラハラドキドキ、始めての経験であった。
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