焼岳 新中の湯ルート 紅葉と上高地・穂高連峰の大パノラマ
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- GPS
- 05:10
- 距離
- 6.8km
- 登り
- 880m
- 下り
- 870m
コースタイム
焼岳山頂 着 11:20
発 12:00
新中の湯ルート登山口 着 14:10
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
バスの場合は中の湯バス停で降り、安房峠を3劼曚錨个辰禿達できる |
コース状況/ 危険箇所等 |
・前半は樹林帯を急登 下りはスリップ注意 ・山頂直下の岩場 部分的に三転確保が必要な部分あり ・トイレ、水場は登山口から山頂まで無し ・温泉は岐阜県側の平湯温泉に平湯の森、神の湯などいろいろ有り。 |
写真
感想
登山デビューの山にして、私に山行の楽しさを教えてくれた山。
これから色々な山に登るとしても、決して忘れないであろう山。
それが、北アルプス唯一の活火山、焼岳でした。
以前から上高地を散策していて、ここを山の上からみたらさぞ素晴らしい眺めなんだろうな、と思っていました。
後日、アルピニストの知り合いに「穂高連峰は新穂高ロープウェイから尾根を歩いて行けば簡単に行けちゃいますよね〜」と話したところ一喝を頂戴しました。穂高連峰の稜線歩き、特に西穂〜奥穂は超上級者向けの難コースであると。山を侮っていた自分に反省するとともに、無知とは恐ろしいものだと思います。
それから数年、やっと重い腰があがり、上高地を上から眺める登山を実際に計画する運びとなりました。
登山初心者かつ高所恐怖症の私でもなんとか登頂して上高地を一望できる山は無いか…。そこで候補に挙がったのが焼岳でした。
…と、長い前置きで申し訳ありません。
ここからが、山行の記録です。
10月9日晴れ、早朝の勤務が終わり、空は雲一つない快晴。オリオン座も美しく輝いている。絶好の登山日和です。
ネットで下調べしたところ、10月上旬は紅葉も美しいとのこと。期待に胸が高まるとともに、初めての登山、無事に登頂して帰ってこれるのか少しの不安も抱いていざ出発。
東海北陸道を北へ。高山から国道158号を平湯へ。一路安房峠の新中の湯登山口を目指します。
しかし、地図に強いはずなのに高山市内で道に迷い、安房峠は工事中で岐阜県側からは新中の湯まで到達できず、やっとの思いで9時前に登山口に到着しました。予定では8時には登り始めるつもりだったので、かなり遅れてしまった…。
紅葉シーズンということで、登山口付近の駐車場はすでに満杯。なんとか路肩に駐車スペースを見つけて、準備を整え、午前9時、山頂を目指して登山開始。
私と同時に数組のパーティも入山します。初めての山行、やはり他にも登っていく人がいるのは心強いものです。
前半、道は樹林帯の中を進みます。空は快晴、紅葉が始まったブナ、ダケカンバが空の青さに映えて清々しいことこの上なし。
緩い登りで、あ〜気持ちいい山歩きだ、と思っていると、登山道はすぐに急登の道に変わるのでした。
その後、樹林帯の中の道は下堀沢出会いの開けたところまで急登に次ぐ急登。
土の斜面は湿って滑るし、自分の腰ほどの高さの段差を次々超えないといけないし、登山を遊歩道歩き程度に考えていた甘さを痛感させられました。
そんな中でも、秋の空気のさわやかさと時折現れる木々の紅葉には癒されます。
早々に息もあがってきますが、早く頂上まで行きたいという思いと、先行パーティを追い抜くことにやりがいを感じ、休憩もせずガンガン登りました。
しかし、後で入門書を読んだところ、山慣れた人ほど最初はスローペースで、バテないようにじっくり登るのだとか。幸い最後までバテずに済みましたが、無知とはやはり恐ろしいものですね…。
登り始めて1時間ほど、下堀沢出会の少し前で樹林帯を抜け、平坦な広場に出ます。初めの感動ポイントが待っていてくれました。
目の前には青空をバックに焼岳。周りのナナカマドの赤、ダケカンバの黄色の燃えるような紅葉。
「なんだここは…」
風景の美しさに感動で打ち震え、歩みを止めます。
手持ちのカメラとスマホで風景を写真に収めようとしますが、自分の目で見た感動が伝わるほどの写真は一枚も撮れず。
どんなカメラのレンズも人間の目には適わないことを実感させられます。
平坦な道の先、中の湯ルート合流点付近は広場になっていて、ここで小休止。
紅葉と焼岳と青空の大パノラマに今までの急登の疲れも一気に吹き飛びます。
水分補給、キットカットで栄養補給も行い、山頂を目指して登りを再開します。
進行方向右側から下堀沢の岩石だらけの荒々しい谷が登ってくると、登山道は谷のすぐ脇を進みます。灌木も生えていて高度感はありませんが、滑落などないように慎重に進みました。
所々に木製の階段やハシゴもある区間もあり、初心者コースとはいえ甘くないことをまたもや実感。
森林限界も越えて周りは笹が目立つようになります。梓川の谷を挟んで向かいにはが霞沢岳が美しくそびえ、振り返ると乗鞍方面の山並みの中を梓川が流れゆく峡谷。なんとも雄大な風景が広がります。
目の前には青空をバックに噴煙をあげる荒々しい焼岳山頂。行くべき場所が見えてくると前進する力がみなぎってきます。
下堀沢の深さが浅くなってくると登山道は岩場に変わります。ペンキの印を頼りにルートを外れないように、ひとつひとつの岩を慎重に越えて登ります。
山頂が間近に迫ってくると焼岳北峰と南峰の鞍部に到達です。眼下には火口湖。行く手には噴煙をあげる火口。あたりには硫黄の匂いも立ち込めて、焼岳が活火山であることを改めて実感させられます。一等三角点がある南峰は鋭くそそりたつ岩山でここにも登山ルートがあるのが信じられないほどでした(現在は立ち入り禁止のようですが)。
登山道は火口をかすめ、山頂直下をトラバースして上高地からのルートと合流します。このあたりが、手も使いながら三点確保で進まねばならない難所でした。穂高連峰の難所と比べれば序の口なのでしょうが、初めての登山の私はかなり緊張して通過しました。
上高地からのルートが合流する地点で、本日2回目の感動ポイント。ここで初めて上高地方面の展望が開けます。
穂高連峰と梓川。上から見る上高地は思っていた以上の美しさで、ここでも感動して言葉を失います。
しかし、山頂はもう目の前に見えている。一気に登って山頂から感動の大パノラマを楽しもうじゃないか。
そう思い、ここでは休まずに山頂を目指しますが、最後に今日一番の難所が待っていました。
山頂直下、2メートルほど岩登りをしないといけない箇所がありました。岩を挟んで右側は急斜面が続き、転げ落ちると痛いでは済まなそうで、高所恐怖症の私は足がすくみます。
しかし、ここまで苦しい思いをして登ってきたし、なんとしても山頂からの絶景が見たい。前進しようとする意欲が恐怖に勝りました。
三点確保を徹底しながら慎重によじ登り…
11時20分、ついに焼岳北峰山頂に登頂しました!!
ここからの眺めはどう文章にすればいいのか…。
西には雲に霞んで笠ヶ岳。
正面には西穂高から続く穂高連峰の山並み。奥穂高の山頂はあいにく雲の中。
眼下には大正池から続く上高地の森。森の中に点在する建物の赤い屋根。
今までは川沿いを歩くだけだった上高地は、上から見ても格別な美しさでした。
360度に展開する大パノラマ。頂上を極めた達成感。一段と近づいたような青い空と白い雲。
初めての山行にして登山の楽しさをしることができた私は幸せだと思います。
山頂で記念撮影。その後、山頂で食べる昼食は絶景も相まって格別の美味しさ。
昼食も終わって、絶景をスケッチして…と思っていると山頂はガスに覆われて、大パノラマは終了となりました。少し待ってもガスは晴れず。やはり山は早い時間に登らねばならないのでした。登頂時にガスが晴れていて絶景を楽しめたのは本当に幸いでした。
名残惜しいですが再訪を誓い、12時下山開始。
行きに通った岩登り箇所は下りの方がもっと恐かった。斜面に背中を向けて、下を見て足元を確認しながら一歩ずつ降りる。高所恐怖症だとこれが怖いのです。しかし、なんとか無事クリア。
今回山登りを経ていつかは奥穂高の頂上まで行ってみたいとの思いも強まりましたが、こんな調子ではその日は来るのでしょうか…。
帰り道、岩場の道はスリップに注意しながら進みます。ストックを頼りにするとひざの負担が軽減されて楽ですが、ストックに全体重を預けるような使い方をしてしまいました。ストックが滑ると前のめりに転倒のリスクがあると知ったのは後日に入門書を読んでいた時でした。やはり山に行く前に入門書は読むべきですね…。
下りの際にも霞沢岳の山並みや紅葉が目を楽しませてくれます。
樹林帯まで戻ってくると行きに登った急傾斜の道を今度は下らねばなりません。これがかなり疲れました。
足元は滑るし、段差は乗り越えるより降りるのが大変。
山は登りよりも下りが難しいということを実感しました。
結局登りと大差ない時間がかかりましたが、14時、無事登山口に戻ってきました。
絶景に感動し、さらなる登山の意欲を掻き立てる、忘れえぬ山行となった一日でした。
この後、すぐに温泉に入って帰ればよかったものを、ここまできたのだからと欲を出して上高地にも足を延ばしてしまいました。
大正池ごしに下から見る焼岳。あの頂上前行ったんだなぁと思うと、充実感に満たされます。
疲れでヘロヘロでしたが、平湯に戻り温泉へ向かいます。しかし、目当ての神の湯は17時で終了していて入れず。やはり上高地はやめておけば良かった。
結局、平湯の森で入浴。ここは異なる源泉からいろいろな露天風呂に引湯しているようで充実した風呂が楽しめました。
19時に岐阜へ向けて帰途に着き、へとへとになりながらも21時半に無事帰宅。
今度はもう少し余裕のある行程で行くべきことも学んだのでした。
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