錦繍の日本コバ☆藤川谷〜源流域〜右岸尾根
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- GPS
- 04:08
- 距離
- 7.7km
- 登り
- 771m
- 下り
- 761m
コースタイム
- 山行
- 3:33
- 休憩
- 0:34
- 合計
- 4:07
天候 | 曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
紅葉の季節は訪れたいところが多く、休みがいくらあっても足りない。秋になったら訪れたいと思っていた山の一つがこの日本コバである。時間に余裕があれば白鹿背山まで縦走したいところではあったが、子供達を送り出してからの出発となるので、縦走するだけの時間がない。
果たして南側の松尾谷からのアプローチと藤川谷のルートと迷ったのだが、なだらかな山頂台地に広がる藤川谷の源流域を歩いてみたかったこともあり、源流域に向かうにはこの藤川谷の下流から辿るのが自然なルートに思われた。他の方のレコで政所ルートが11/20まで通行止めということを知ったので、それならばと下山ルートは藤川谷の右岸を一直線に蓼畑に向かって下降する尾根を選択する。
永源寺ダムを越えるとその右岸に大きな山容を広げる日本コバが目に入る。山肌が見事な錦繍に染まっているが、曇り空が広がっているせいか、山肌の色がくすんで見える。奥永源寺の道の駅のR421の道を隔てた南側の登山者駐車場には数台の車が停められている。
蓼畑に移動して藤川谷登山口から登り始めると早速、登山道沿いには古く立派な石垣が次々と現れる。石垣は野面積みの方式であり、かなり古い時代のものに思われる。かつてはここにも木地師の住居があったのだろう。登山道沿いの立派な欅の大木は集落の風格を顕すようだ。
植林の林を抜けて藤川谷に架かる丸木橋を渡るとすぐにも自然林の黄葉が出迎えてくれる。しばらくは左岸の斜面のトラバースが続く。左下に見える藤川谷には小滝が見えるので谷に下降してみる。
対岸に渡渉すると豹の穴への道標が現れる。急ぐ山旅でもないので、豹の穴へ寄り道してみる。日本には豹はいないはずではあるが、動物の巣穴のような洞窟が斜面に忽然と現れる。
再び植林を抜けると、山側には黄葉の自然林が現れる。林床には下生えのない広々とした自然林が広がっており、杉峠への千種街道の雰囲気を思い出す。ここは千種街道と同様、夏期にはヒルの多いところでもあるらしい。上からは続々と登山客が降りて三組ほどすれ違う。
再び左岸へと渡渉すると標高が色とりどりの紅葉で斜面は一層、賑やかになった。折しも雲の合間から陽射しが差し込むようになり、紅葉がなんとも華やかだ。林床に広がる黄葉の小紫陽花もきらびやかな透過光を放つ。
登山道に唐突に急峻な岩場が現れると錦繍に染まる藤川谷の彼方に竜ヶ岳の好展望が開ける。岩場を登りきると奇人の窟がある。洞窟の前で好展望を眺めながらランチ休憩とする。
奇人の窟から尾根を左に進むと北東に展望が開けており、藤原岳と御池岳が顔をのぞかせる。尾根の急登はすぐにも終わり、なだらかな山頂台地の一角に出たようだ。山頂に向かって登山道を南下するとここでも二組ほどすれ違う。平日であるにも関わらずこれだけ人と出遭うというのもこの山の紅葉の人気を窺わせる。
そのまま南下すると1km足らずで山頂に辿りつくところだが、登山道から右手に逸れて藤川谷の源流域へと入る。途端にそれまでの樹林の景色は一変し、イワヒメワラビの繁茂する草地が広がる。平和な音を立てて緩やかに流れる平流の広々とした河岸段丘にはテン泊にも良さそうな場所が次々と現れる。
流れはいくつもの支流へと別れてゆくが、源頭を目指して奥へと進む。樹林の黄葉となだらかな河岸段丘に繁茂する草原のコントラストが美しい。源頭の奥の二俣に到達すると、黄葉の樹林に差し込む陽光に誘われるがままに左俣へと進む。水も少なく、歩きやすいU字の谷を進むと源頭へとたどり着く。
稜線に出ると山頂の周囲を周回する登山道が現れる。稜線では紅葉も終盤に近いようだ。薄い踏み跡を辿って山頂へと出る。山頂では二組の方々がランチ休憩をしておられたところだった。グレープを啄んで休憩するといよいよ藤川谷の右岸尾根に入る。
最初は広々とした尾根が続く。p838への下降は途端に痩せ尾根となる。尾根の南斜面は葉した楓が午後の陽射しに華やかな透過光を散らせる。南斜面は急峻な斜面となっているが、黄葉の樹間からは綿向山から雨乞岳、正面には釈迦岳に至る鈴鹿中心部の山々の展望が広がる。日本コバからは先ほどの奇人の窟の周囲以外は展望がないと聞いていたが、これは意外な発見である。
痩せ尾根を過ぎてp838の辺りになると紅葉の樹々が疎らに生える広々とした自然林が広がる。ここを過ぎると途端に急下降が始まる。藤川谷に下降してゆく枝尾根を左に見送ると後は尾根は分岐する支尾根もなく、尾根下部の植林地に至るまで黄葉の樹林が続くのだった。
下山後、奥永源寺の道の駅に寄り道し、喜多酒造の権座と渡船の特別純米酒「時渡り」を手にいれる。前回の山行後に入手した「百済寺樽」が欲しかったが既に売られていなかった。永源寺温泉の八風の湯で一風呂浴びて、帰路に就くと丁度、喜多酒造を通り過ぎた辺りで夕陽が沈んでゆくところだった。振り返ると日本コバが一瞬、夕陽に染まっていた。
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