7歳児が挑む20メートルの岩壁・乾徳山
- GPS
- 06:18
- 距離
- 7.8km
- 登り
- 797m
- 下り
- 787m
コースタイム
- 山行
- 5:14
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 6:14
天候 | 快晴そして暴風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
整備はどこも完璧 水のタルからの降下はガレ気味で急斜面 踏み跡がわかりにくいぶんピンテが充実 |
その他周辺情報 | 塩山温泉郷 中村屋旅館さんに泊まりました 超アットホームで最高 |
写真
装備
備考 | こういう山に入るならヘルメットが必要ですね |
---|
感想
三連休ということで、
世の皆様のすなるゴウトゥといふものを
我が家もしてみむとてするなり。
さあ山でも行って温泉泊まって山でも行くか、と
……えーと、いつからそんな山バカ家族になったのかしら?
休みとあらば山のことばっかり考えて
降りてきたらひらすらヤマレコ書いてるような
こんなはずじゃなかった気もするけど
まあ塩山温泉に宿取ったなら山行くよね。
しかたないね。
ウィガナ!ゴウトゥ!マウンテンズ!
塩山から行きやすいおやま。
大菩薩嶺、いちど登ってるからパス。
甲武信ヶ岳、まだちょいハードかな。
(やさしいほうの)鶏冠山、ちょいライトだな。
乾徳山、黒金山。このあたりか。
東京スタートなのでより近い乾徳山にしよう。
少しライトに、大平高原から登ろう。
恐ろしく細い林道をひたすら進むと、
むかし牧場だったというやたら開けた高原に出た。
ここが大平高原、北海道を無理矢理移植したような風景である。
ここに民家が1軒あり、有料駐車場をやっている。
車を入れるとおばあちゃんがお金を取りに来た。
800円、まあそんなところだという値段。
野菜やきりぼし大根を売っているようだ。
あとで買って帰ろう。
駐車場に車は12台くらいか、たぶん徳原のほうから登る人のほうが多いのだろう。
アスファルトの道を旧牧場のほうに進むと登山口のサイン、ここから森に入る。
作業道をショートカットするように道は進む。ただ落ち葉の多いこの時期、足跡は消えてしまう。いちど見事に見誤り、作業道を進んでしまった。ピンクテープを追うほうが確実である。
コンクリ舗装の作業道に入りしばらく高度をあげていると、道満尾根コースとぶつかる。本格的な乾徳山登山はやっとここから!
石のやたら多い尾根筋を登っていく。この時点では息子さんはまったくエンジンがかかっておらず、半分後ろから押されているような状態。こんなんで山頂にたどり着けるのだろうか?
しかし道が斜度をゆるめ始めたころ、息子のエンジンが突如起動する。岩をふみつけ根っこでジャンプし、見事なスピードでガンガン登ってゆく。いきなりエンジンかかるとそれはそれでこっちもついていけない。
快適に飛ばして歩き、やがて扇平に到着。山腹のカヤト原、「おうびっぴら」と読むらしい。ここには名物の月見岩がある。裏側から登れるので上に乗ってみたら
……こりゃすげえ!!!
扇平がすでにスーパー見晴らしポイントだというのに、そこにある高台だからそりゃもう絶景である。ずっとここにいたいけど、人気ポイントゆえすぐ人にゆずらなければならない。
岩からおりて、ひとやすみ。黄金のカヤト原、甲府盆地とそのむこうの富士山。どう考えても夢世界である。ココアを飲みながら堪能する。
さて、乾徳山の本番はここからだ。手洗岩(水はなかった)を過ぎると道は森に入り、ほどなく岩ばかりになった。
両手をつかい登るところ、ロープで登るところ。岩自体はさほど難しくないけどめちゃくちゃ高度感ある崖の上を通るところ。相当、バラエティに富んでいる。すれ違うハイカーさんたちが息子に声をかけてくれる。
妻がハイカーさんに聞き込みをしている。頂上はごはん食べられそうか、と尋ね、今日は暴風で無理、との答えを得る。風は確かにやたらと強くなってきていた。
そして中ボス、カミナリ岩。クサリが2本出ているが、左はほぼ垂直のところにあるので熟達者向けなのだろう。息子は岩にそう熟達していないので右のクサリ、しかし意外とひょいひょい乗り越えてゆく。公園のアスレチックにあるクサリ、あれ結構役立つんだね。
道はなだらかになり、林のあいだから富士山などの山々が見えるビューポイントを通る。ここを過ぎればさあ、ラスボスの鳳岩!
……と、息子が「おなかすいたごはんにしよう」と言い出す。スペースがあるのだから湯をわかしてカップ麺を食べよう、と。いやー鳳岩を前にして何か食べたりしないほうがいいでしょ……。
しかし鳳岩に近づく1歩ごとに「おなかすいた」「はらぺこでつらい」「ごはん」としんどそうにつぶやいている。しかたない、鳳岩の手前の丸太に座っておにぎり食べようか。
息子がおいしくおにぎりとソーセージを食べたのを見届けて、妻は迂回路に消えていった。素早い。そして息子と僕はいよいよ20メートルのラスボス、鳳岩へ! 風がおかしなくらい強くて、「上は地獄ですよー」とか言ってるハイカーさんいるけど鳳岩へ!
前の人が登っているのにクサリをさわってしまい父に怒られるくらいワクワクの息子さん。自分の番が来たとたん、最後の敵をたおす!と意気込んでクサリと壁にとりつく。すぐ下を父が登るから安心してね。
最初、足の置き場がさだまらず「こわいよ」が口からもれる息子。しかしいったんグリップできたらすいすい登っていく。迂回路から登った妻が上から写真を撮っている。なんか達成感的に……いやなんでもないです
真ん中あたりからは右に登りやすいスジがあるのでここをひょいひょい。思ったよりも軽々と、鳳岩制覇! そして乾徳山登頂! すごいぜ息子!!!!
しかしそんなこと言ってられないくらい、突風が叩きつけてくる。2000メートルのとんがり岩山の上で味わう強烈な風、怖いなんてものではない。風がきたら低い姿勢をとれ、と指示する。
とても陽気なハイカー男子が「え、キミここ登ったの? マジで? スゲー!」と言ってくれて、息子照れっぱなし。親切な彼は我が家の登頂記念写真を撮ってくれた。
ぶっ飛ばされそうな風、鳥になれそうで痛快ではあるけど恐怖感もすごい。おりよう。
ピストンにならないように、北側からおりていく。ハシゴがしつらえてあるが、岩にしがみついて降りようとすると最初の1歩めは足掻いて探ることになる。暴風のなかでこれは、なかなかこわい。息子は勇気をもらおうとママにぎゅっといちど抱きついた。
絶景の岩場を過ぎるとすぐに分岐点・水のタル。ここから高原ロッヂに向けてくだってゆくのだ。
ただ……道しるべに気になることが書いてある。「ガレ場の急下降あり」ええええええ?
道は大きな石、あるいわ小さな岩が大量に混じる急斜面をジグザグにおりてゆく。息子はこういうところは得意なようで、軽い身のこなしでひょいひょいおりてゆく。妻はこういうところは特に苦手なようで、時折固まりながら「あっちにおりるべきだった」と5万回くらいつぶやいている。
大きめのガレが散らばり落ち葉がふりかかった林のなかの斜面、踏み跡はまったく確認できない。それゆえか、ピンクテープがかなりしっかりつけられていて安心する。たぶんテープがなかったら1発で迷うところだ。
息子はつねに我々の先を進み、たまに止まって見上げていた。しかしいちど、足がひっかかったのか、坂下にむけて背中から転び、逆でんぐり1回転をして止まった。あっぶね!
この急坂をくだるのに、かなり時間がかかった。相当な遅れを覚悟したが、このコースの難所はここだけで、あとはほぼ平坦。急坂のあとは高度をほぼ変えないトラバースが続く(と、思いきや鎖場がひとつ出てきて妻がブチギレていた)。
林の中を歩いていた妻が、静かにのサイン。シカの母子だ! 子鹿がかわいすぎ思わず近寄っていってしまう息子。すこしよける子鹿、でも逃げない。見つめあうふたり、または2匹。たぶんどちらも「こどもだなあ」「こどもだねえ」と思いあっていたのだろう。
林を抜けたところが国師ヶ原、高原ヒュッテがある。トイレに寄ったが、ヒュッテ室内はほぼ満員だった。
さあ、あとは夕陽のなかをのんびり歩いて帰ろう。富士山を眺めながら林道を進み、のぼりで通った道満尾根コースに合流。土の道とコンクリの舗装道を交互に歩いて、下山完了。
なんかすっごい疲れた!!! でも息子全然疲れてない、なんで!!!
駐車場に戻ると、残念ながら切り干し大根も野菜も撤収されていた。しかたない、そのまま温泉宿に直行だ。
帰りの林道からみる夕暮れの富士山もまた、美しかった。今回もいい登山だったねえ。
この日は塩山温泉の中村屋旅館に投宿。歴史的建造物とめちゃめちゃアットホームな接客が素敵なお宿だった。
着くなり飛び込んだお風呂の気持ちよさときたら! そしてすぐご飯! Googleマップにひどいこと書かれてるけど、逆にとても美味しくて感動。部屋に戻ったら、7時台だというのにみんなぐっすり寝てしまった。おつかれさま!
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