富士山 須走口(中高年 ピッケル返上記念登山のはずが)

- GPS
- --:--
- 距離
- 9.3km
- 登り
- 1,729m
- 下り
- 1,727m
コースタイム
(行きは七合目太陽館まで登山道ルート、帰りは雪渓ルートからブル道へ)
天候 | 快晴無風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・新六合目長田山荘付近から所々で雪道 ・六合目瀬戸館の先2700m付近からは登山道も完全な雪 ・全体的に雪は腐れ雪、アイゼンがよく効いたのは頂上付近だけ 上りでは踏み抜きは少ないが、滑って疲れた。 ・下りでは夕方になっても気温が下がらずグズグズの雪、 7合目以下は踏み抜きも多く大変な雪中行軍。 ・雪渓からブル道にかけては2500m付近まで雪が繋がっていた。 ・全体的にスキー・ボードには絶好のコンデション。 ・体力のあるベテランであれば、上り下りともノーアイゼンで歩ける状態でした。 |
写真
感想
今年の富士山は雪が少ないようで、富士宮ルートのレコを見て唖然としました。
あまりの少なさに焦って、山行予定の無かった週末でしたが、
天気予報も良い方に変わったので、急きょ雪が多いであろう須走口から登ってきました。
特に残雪期は、剣ヶ峰が近くてスタート地点の標高も高い富士宮ルートが断然魅力的ですが、
とにかく雪の多い富士山に登りたかったので須走口を選びました。
最近は、標高の高い雪山は体力的に自信が無くなってきたので、
人生最後の雪の高峰へ、残雪の富士山に行くことにしました。
自分的には、「中高年ピッケル返上記念登山」と称して登ることにしましたが、
GWとは対照的に、5/18の富士山はピクニック状態の雪でピッケルは不要でした。
以下 行程概略
珍しく快晴無風、雪の状態も良く、残雪の富士山を楽しむには最高の一日でした。
人生最後の残雪富士を楽しむのだから、お鉢巡りをして来ようか、
それとも吉田大沢を下降して、お中道で須走に戻って来こようか。
体力低下を棚に上げて、いろいろ妄想してましたが、
実際は、想定外の靴擦れ・バテ・高度障害、下りの激しい踏み抜きと散々な結果でした。
しかし、なんとか粘って頂上まで到達することができたので良かったです。
朝の須走五合目駐車場は6割程度の入りで比較的空いていました。
やはり標高の高い吉田や富士宮が人気なのでしょうか。
標高は低いですが、私は須走がお気に入りです。特に残雪期は雪が多くて楽しいです。
普段はブル道を直進して、雪渓ルートを9合目まで突き上げますが、
たまには夏の登山道ルートもいいかと思い、途中の脇道から下山ルートに入り
適当なところで長田山荘に登り上がりました。
なんかこの頃から踵に違和感、最近めったに履かない革の登山靴、
といってもGWの北八では何ともなかったはずなのに。
どうも新しい靴下との相性が悪かったようです。
この時期の登山者は富士宮や吉田ルートから登る人が多いせいか、
登山道はあまり登られていないようでした。
ルートの雪に埋もれた部分は踏み跡が無く、一人分の踏み跡がブッシュの中を直登してました。
夏道8割、雪2割の非常に歩きにくい登山道を6合目の瀬戸館まで歩きます。
この付近で、踵の靴擦れが決定的になり、苦渋の歩きになりました。
瀬戸館は展望も良いので、残念ながらここで眺めを楽しんで撤退かとも思いました。
とりあえず、応急処置をして登り続けますが、一度擦れてしまうと治りませんね。
今日は撤退して、雪のある5月中にもう一度、と考えましたが、
とてもそんな気力ありません。
これが人生最後の雪の富士山と思い、騙し騙し登りました。
7合目の太陽館付近からは壁のように大斜面が広がっていきますので、
登山ルートとは離れて、好きなところを登れます。
とは言っても、夏のジグザグ道と違って直登ですから、先人の踏み跡を拾って登ります。
快晴無風なので、上からの直射日光、下からの照り返し、半端ではないです。
暑くて倒れそう。長袖ポロシャツに半袖Tシャツの重ね着だけ、手袋してません。
富士山は寒いので、スポーツドリンク1ℓしか持ちませんでしたが、これは大失敗でした。
踵は痛いし、バテバテ。10歩登っては小休止の繰り返し。全然、歩が進みません。
右上には富士山ホテル、見上げれば壁のような雪の大斜面。
9合目の鳥居付近には十数人の登山者が列をなしますが、ほとんど動いているようには見えません。
いつ来ても一番キツイところです。
登山者の7割方はボーダーやスキーヤーです。その重い板を担いだ彼らに抜かれました。
吉田ルートから登ってきたガイド登山でしょうか。
初心者と思われる登山者がロープでアンザイレンされてます。
彼らにも抜かれました。まさに登山者にごぼう抜きされてます。
靴擦れとはいえ、基礎体力低下は否めません。
最近はこまめに低山縦走をして、体力維持に心掛けていますが
残雪期とはいえ、雪の富士登山は次元が違うようです。
一昨年残雪期に2回登ってかなりバテましたが、今回はそのタイムを大幅オーバーです。
やっとのことで9合目の鳥居、頂上の鳥居も見えてますが、まさに正念場です。
奇声を上げて滑降するボーダー、スキーヤー、そして登山者はシリセード。
もう下山の時刻ですね。14時過ぎともなると下を見ても登って来る人は殆ど見当たりません。
私は最後尾をまだ黙々と登ってました。
幸い9合目付近からは多少アイゼンも効くようになり、登り易くなりましたが
如何せん、バテに加えて、高度障害も出る始末。
今日はいつもの睡魔ではなく、立ちくらみでした。
これでは風が強い時や雪の状態が悪い時は危なくて登れません。
やっとのことで立った頂上から見る絶景、雪の富士山は格別です。
眼下には、今登ってきた壁のようだった大斜面が見下ろせます。
なぜか高原のように緩いスロープに見えてしまいます。
せっかくの登頂も、バテバテで食欲もイマイチ、パンも半分残してしまいました。
近くに居たスキーヤーによると、今日はお釜も大盛況だったようです。
お釜見物にでも行こうと思いましたが、動くのも面倒くさかった。
時間もモーレツに遅くなってしまいましたので、僅かの休憩で下山としました。
スキーヤーはいいですね。あっという間に下山できますから。
もう16時になろうかというのに気温が高く、頂上付近でも雪は硬くなりません。
アイゼン歩行にもちょうど良いぐらい。
ベテランならノーアイゼンでも降りれると思います。
帰りは大雪渓からブル道へのスキールートで降ります。
眼下には雲海、その隙間からは相模湾でしょうか。山中湖も大きいです。
吉田方面の富士外輪山は墨絵のようでした。
誰も居ないので、急斜面を雪を蹴散らしながらガンガン降ります。
一昨年は15時頃の頂上付近で、ピッケルが刺さらないほど硬くなり緊張しました。
今日はウソのように雪がこなれています。
が、しかし7合目付近からは踏み抜くようになり、かなり難渋しました。
私の場合、雪山は年に1,2回しか行きませんので、急斜面の下降技術を維持するため
シリセードはやらないことにしています。足で降ります。
付近にはスキーやボードで滑った跡はたくさんありますが、
登山者が踏み抜いた跡はなく、このルートは登山者は少ないようです。
勢い良く降りているうちに、さすがに膝を痛めそうになりました。
これはもう、シリセードで滑降かと思いましたが…
歩けなくなった、いざという時のために、ビニールのパンツを持参してました。
(安い雨ガッパの足を切り取ったもの)
しかし、既に傾斜が緩く殆ど滑りませんでした。
しかたなくヨロヨロしながら降りました。
既に17時を回り、サングラスでは薄暗くなってきたので、普段の眼鏡を取り出そうと
眼鏡ケースをザックから取り出すと、手からすり抜け、雪の上へ。
ツルツルのケースはアレヨアレヨという間に滑落です。
緩い斜面でも徐々にスピードが出て見えなくなりました。
幸い車の中には、予備の眼鏡があるので運転には支障はありませんが。
かなり焦りましたね。コンデジには細引きを付けて対策をしてましたが
眼鏡ケースがこうなるとは考えていませんでした。
しかし、不幸中の幸い、200mほど下ったところで、メガネだけが雪面に落ちていました。
滑落の振動でケースの口が開いたようです。
ケースもさらに100mほど下で止まっていました。
やがて雪渓は細くなりブル道が現れ、日没前になんとか駐車場に着きました。
朝は混んでいた駐車場も、明日からの下り坂の天気を予想してか数台の車を残すのみ。
普段、土曜日は車泊でに賑やかな駐車場ですが、寂しい雰囲気でした。
靴擦れ、バテ、高度障害と苦行のような残雪の富士山でしたが、
終わってみれば、とても楽しいものでした。
まぁ、今回の有様からしても、最後の雪富士となると思います。
若い頃の雪上訓練など、思い出の多い雪の富士山ですが、
これからは違った歩き方で富士山を楽しもうと思います。
コメント
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yamaheroさん、こんばんは。
やっぱり須走口はいいですよね。
季節の変わり目かも知れませんが、一気に状況が変わった
感じですかね。
私は2週続けて富士山に行っていたのですが、最初の週に
怖く感じたのが嘘のように次の週は上までいけました。
今日は外から富士山を見ていたのですが、富士宮方面
と須走、吉田方面では明らかに雪のつき方が違うように
見えました。
冷え込みがあると山頂近くはまた一気に締まるとか
あるんでしょうか。
yameheroさん、是非ピッケルまた使ってください。
でも、中腹辺りの富士山もほんと楽しいですよね。
苦行の残雪富士レコにコメントありがとうございます。
内心、もっと楽に行けるだろうと思っていましたが
やはり全然でした。
ここ1~2週間で富士山の状態も大きく変わってきたようです。
でも、富士山は天候の変化によって、極端に変わりますからね。
ピクニック状態になったり、滑落紙一重になったりと。
そこが他の3000m級と違うところです。
まだツルツルの怖い時も出てくると思いますよ。
やはり、遠くから見ても側面によって雪の付き方の違いがわかりましたか。
須走は雪の多さだけでなく楽しいですよね。
ピッケル返上は、ピッケルを積極的に必要とする山には行かないということですね。
基本的に必要なくても部分的には必要な山もあるので、
そういう時は使うと思います。
積雪期の富士山は、もう中腹以下専門で遊びたいと思います。
yamaheroさんこんにちは!
須走口雪多いですね。
富士宮口であまりの雪の無さに閉口したのですが、南斜面でなければまだまだいけそうですね。
低山ハイクも気持ちいいですけど、50代でピッケル返上はいくらなんでも早すぎますよ
なんかもう、あまりにも素晴らしい山行記録でついコメントしてしまうことにしました。
きっと多くの経験を積み、ご自身の体と相談し、その結果のピッケル返上なのでしょうか。
勝手ながらまだまだ行ってほしいとも思う反面、
そのような判断ができるのが
ベテランの方の経験値なのかと
感服いたしました。
私はまだまだ山を知らな過ぎます。
勉強させていただきました。
コメントありがとうございます。
enoshimanさんは、スキー担いで富士宮を登られてたんですね。
須走はまだ岩など気にせず一気に六合目まで滑降できる状態でした。
次は是非、須走で楽しんでください。
50代でも60代でも厳冬期の3000m級をバリバリやっている方いますけど
やはり遭難や事故がその年代に多いのも事実ですね。
これからも、ちょっとぐらいピッケル持つかもしれませんが
万全を期してのお守り用という感じでしょうか。
コメントありがとうございます。
hasemasaさんも富士宮ルートを楽しまれたようで
皆さんパワフルで羨ましいです。
素晴らしいレコ、とのお褒めの言葉、恥ずかしいです。
山歴はブランクがかなりあったので
今は限りなく素人のレベルになっています。
そこから、抜け出すこともできず、
無理すると怪我もしそうなので
自重しようかなという気持ちです。
山はいいですよね。
低い山、高い山、関係なく幅広く楽しんでください。
残雪期の富士登山お疲れ様でした。
雪の山を登っているyamaheroさんが羨ましいです。
こちら、次のシーズンこそはと思いつつ、その繰り返しです。
新しいピッケルやアイゼンが欲しい(思っているだけで実行できません)
さて、山に対峙する時は自分の立ち位置を自覚していたいものですね。
yamaheroさんは、さすがと思いました
次の一手も、計画済みですか?
こんにちは、yamaheroさん!
須走から登られましたか、、、
ここなら雪はたっぷりありますネ。
それにしても本六合で靴擦れを起こして、急斜面に挑むというのは凄い根性ですネ。
いくら元気が残っていても、足をやられると折れますよ。
もう苦行でしかないですネ。
太陽館の屋根の写真を見ると、私が行ったときより1メートル以上雪が減ったようです。
お疲れ様でした
コメントありがとうございます。
昨年に比べて今年はかなり雪少な目でしたが、
残雪の富士山素晴らしいですね。
首都圏から僅かな時間で別世界です。
あの雪の大斜面の中に立ち入ると
心をやられてしまいますよ!
でも、元バリ専門のs4redsさんがツルツルの富士山登ったら、
また始まっちゃいますね。危ない危ない!
私が雪山登ると、どこでも苦行になりそうなので
ピッケル必要ないところで遊びたいと思います。
コメントありがとうございます。
hottenさんの時から1mも減ってますか。
GWから1~2週間で富士山は全く別物になりましたね。
靴擦れには参りました。
爪は痛めることあっても、靴擦れとは、まるで初心者でした。
処置が早かったのか、腫れと水膨れだけで済みました。
須走り、ほんとに良かったです。
一息ついたら、また行きたい気持ちが…
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