【身延】大春木沢遡行
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- GPS
- 13:00
- 距離
- 11.6km
- 登り
- 1,761m
- 下り
- 1,761m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【遡行】 ・大春木沢出合付近は物凄い量の土砂が堆積しており砂防事業の最前線。 ・工事用道路もしくはそれを守るための堤防の上を歩いて720mの堰堤上流に入渓するが、直後に堰堤が連続するので3つまとめて右岸から巻く。途中に昭和30年代の、仏教関係の石碑がある。 ・いくつか小滝を越えると8m滝に行く手を阻まれるが、右凹角が登攀可能(V-)。しかし直後に出てくる8m滝が、直登困難であり、巻きも脆くて厄介なので、まとめて巻く方が良さそうである。 ・上記の巻きを終えてすぐに懸垂下降して沢床に戻ると、4mCS滝がある。これもホールドが細かくて難しく、左から登ってボルダー5級程度(?)。 ・いくつか小滝を越えると1020m附近で1つ目の大滝が現れる。右壁を登れる可能性もありそうだが1日がかりになりそうなので左から巻く。続く2つ目の大滝とその先のゴルジュもまとめて大高巻となるが、それほど難しい巻きではない。 ・巻き終わってすぐに出てくる20m滝は右から小さく巻けて良心的。 ・1240m附近の5m滝は左から巻けそうだが登ると手ごたえがある(ボルダー6級程度?)。 ・左から1:4程度の比較的大きい支流が入るとまた滝が続き、2段10m滝は左のカンテが岩も堅く、楽しく登れる。 ・この沢最大の2段40m+30mの連瀑は、左岸から巻いた結果、ぼろぼろの急斜面となり非常に悪かったので、恐らく右岸から巻くべきである。 ・この先はしばらくガレたゴーロとなり、そのままナナイタガレの基部に至る。右に沢は続いているがかなり悪そうなので、ナナイタガレを登る。右上方の樹林帯を目指して登り、疲れたころに樹林帯に着く。樹林帯を登っていくと再びガレ場になるが、そのまま適当に登っていけばナナイタガレは終了する。ガレ場登りに慣れていない人は苦労するかもしれない。 【下山路】 ・敬慎院までの所々で、登ってきたナナイタガレが望める。 ・敬慎院からの下山路は非常によく整備されておりどんどん下れるが、その分膝等に負担がかかりやすいので要注意。 kumassiyによるぶなの会ウェブサイトの記録 https://www.bunanokai.jp/archives/19759 |
その他周辺情報 | ・ヤマビル遭遇はなかった。 【既往の記録】 ・日本登山大系9 ・山登魂(2008.11) https://yama-to-damashii.outdoor.cc/20081115_haruki/01.htm ・hinapiyo(敗退)(2018.9) http://hinapiyo.la.coocan.jp/diary/diary_yama.cgi?2018_09_ooharukisawa |
写真
感想
○入渓の経緯
大春木沢は、登山大系と山登魂WEBサイトに詳しくない記録があるのみだが、その場所の地形図や空中写真は異様で、前々から興味深く思っていた沢だった。結構難しく、時間がかかりそうな沢だったので、後回しにしていたが、今回kumassiyと2人で行く機会を得て、行ってみることにした。
当初予定では、土曜に東のナメ沢、日曜に大春木沢の予定だったが、土曜朝まであいにくの雨。岩が濡れた東のナメ沢は厄介そうなので、増水しても大丈夫そうな大春木沢を土曜にした。
○アプローチ
七面山索道の麓側の駅の近くにゲートがあり、一般車はここまで。ここから歩いていくが、凄まじく堆積した土砂とそれを食い止めようとする砂防堰堤に、圧倒される。そして、これから入ろうとする沢はその供給源なのである。工事用道路を歩いていき、大滝沢を分け、適当に上がっていくと大春木沢が姿を現すが、上部はガスっていてよく見えない。工事用道路を守る堤防のようなものの上に上がり、登って行って、堰堤を1つ巻いて720m附近から入渓。
○遡行
堰堤を3つまとめて巻いていく途中で、2つの石碑があった。仏教関連のもので、やはりここが信仰の山であることを感じさせる。堰堤を巻き終えてしばらくすると、想像した通りの脆い側壁を持つゴルジュ状の沢になり、小滝も現れて面白くなってくる。
最初の難関の8m滝は、右凹角が難しそうだが登れそうだったので、tamoshimaリード。悪かったがフリーで抜けた。しかしその次の8m滝は、遠目には右から小さく巻けそうだったが、近づくと無理と分かる。結局左岸から大高巻したが、ゴルジュから抜ける部分が非常に脆く、悪かった(kumassiyリードA1、フォローでtamoshimaは岩が崩れてフォールし、その後A0)。
懸垂下降して沢に戻ると、また小さいながらも悪い滝があり、細かいホールドを拾ってtamoshimaが先に登り、お助け紐をkumassiyに出したが、kumassiy登攀中にカチが欠けてフォール。何とかお助け紐で止まったが、直後にまたkumassiyフォール。1つの滝で2回も落ちるなんて。
暫くは問題ない滝が続いた後、2段40mの大きい滝が出てくる。なんか登れそうな気がしてtamoshimaがリードで右のスラブをトラバースしてみたが、近づけば近づくほど上段の垂壁部分が悪そうなので、撤退。きっと、これを登るだけで1日かかるような滝だろう。右岸から高巻くことにするが、この滝の先も見事な30m滝を筆頭に登れない滝が続き、大高巻となる。とはいえ、樹林の中の巻きで、難しくはない。
沢に戻ると今度は20mの登れない滝があり、これは右岸枝沢から小さく巻けて、良心的。ボルダーっぽい5m滝も登って少し進むと左から1:4で枝沢が入り、その先の4段15m滝をシャワーを浴びながら快適に登ると、2段10m滝。この辺りも立派な岩壁が多く景観は良いが、この滝の処理が課題。最初、右から巻こうとしたが、思いのほか悪くて引き返し、滝を近くで見てみると、右岸のカンテを快適に登れそうだと分かったので、tamoshimaリード。これは開放的でなかなか爽快な登攀だった。滝は近くでオブザベするのが重要。
さらに進むとこの沢の核心と言える2段40m滝+30m滝。スラブが抉られた箇所に滝が落ちる様がどことなく大畠谷の大スラブを思わせるが、岩は脆くて急で、とても登攀できる代物ではない。ここで、下部が取り付きやすそうだった左岸から巻き始めたが、これが失敗の始まり。途中の景観は素晴らしかったものの、ガレ交じりの岩を長々登攀する羽目になり、kumassiyがそういう悪い登りが苦手なのもあって、かなりの時間を使った。あまりに遅いので、どこかで落ちてるのではないかと心配するほどだった。ロープを出してもろくにプロテクションは取れないだろうし、ここは右岸を巻くべきだろう。
なんとか登り切って懸垂下降で沢に戻ると、急に平凡なガレ沢になり、普段ならつまらないと思うところだが、先ほどまでのがヤバすぎて、心が落ち着く。休憩を挟みながら登っていくと、1630mでナナイタガレの基部となる。沢筋は右に続いているが、超絶悪そうだし時間もないので、ガレの登攀に入る。最初は傾斜もゆるく登り易いが、次第に急になってきて、またしてもガレに弱いkumassiyが遅れる。上がってくるガスとおいかっけこのようになったが、結局はロープを出し、ゴボウして時短してもらって、何とか遡行終了。かなり達成感のある沢だった。
【下山】
登山道に出ると急に超平和になる。途中、登ってきたナナイタガレが見え、ヤバいところを登ったものだと感慨に耽りたくなるが、そんな時間的余裕はなく、さっさと下山。
敬慎院は、山の上なのに立派で、なぜか自動車まであり、どこかから車で上がれるのだろうかと思ったりもするが、実際にはヘリコプターで上げたものらしい。
敬慎院から先の下山路は参道で、非常によく整備されていて、途中からヘッドライト下山となったが、特に問題はなかった。しかし、よく整備されていて早く下れるがゆえに、kumassiyは膝を痛めてしまった。これが翌日の東のナメ沢に響く結果となった。
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