祝開通50周年、みんなの栂海新道(親不知⇒朝日岳⇒北又)
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- GPS
- 15:40
- 距離
- 40.8km
- 登り
- 3,826m
- 下り
- 3,183m
コースタイム
- 山行
- 13:25
- 休憩
- 2:10
- 合計
- 15:35
天候 | 高曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2021年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
・親不知観光ホテル前 無料駐車場に駐車 ・北又⇒親不知 黒東タクシー(0765-83-1166) 1h弱 14000円(助成金あり今は13000円) 朝日小屋テント場より北又方面に少し進むと富山市内が一望できる場所ありそこは電波状況がよい。北又の到着予定時間を伝えると送迎してくれる。イブリ山3合目も電波が入るらしい。 栂海新道を日帰りで歩く場合、親不知、北又、蓮華温泉が出発点として挙げられる(やばいトレランの人たちを除く) 親不知:北アルプスの起点として正統。しかし獲得標高が3700mと登りに使うのにはしんどそうなのが難点。蓮華温泉にぬけることもできるし北又にぬけることもできる。蓮華に抜けた場合はそこからどうやって戻るか考えなければならない。親不知⇒北又は距離も短くタクシー代金も定額で思いつく限り最もシンプル。 蓮華温泉:朝日まで10キロ。そこから栂海新道。距離は親不知起点よりやや長いが下りで栂海新道を使えるので少し楽か。ただ親不知から蓮華温泉にデポった車を取りに戻る方法が必要だし、疲れた体で蓮華温泉から林道を運転して戻るのはしんどそう。 北又:小川温泉からはタクシーあるいは10キロの林道を歩く必要がある。タクシーを利用すると未明出発は難しい。10キロの林道を歩くのは体力的に無理。小川温泉に停めた車を回収するのも厳しい。北又小屋は営業していないので前泊も難しい |
コース状況/ 危険箇所等 |
全長:約35辧ヽ容隻弦癲3650m 親不知〜坂田峠:歩きやすいトレイル。夜間でも問題なし。ただ鉄塔の立った場所で電力会社の整備用ルートがあり間違えてそちらに進んでしまった。夜間は分岐部を慎重に確認することが必要 坂田峠〜白鳥山:坂田峠からはしばらく急登。疲労した体で下るのは骨が折れるかもしれない。登る分には登りやすい。シキ割の水場の水はうまい。 白鳥山〜菊石山:一番歩きにくかった。結構下るしロープも多数。菊石山のあたりは富山方向に切れ落ちている。夜間通るのはややストレスであった。 菊石山〜犬が岳:道が少しづつ落ち着いてきて展望も開ける。栂海山荘は無人小屋だが展望がよい。犬が岳からは栂海新道の全ぼうを見渡すことができ小野健氏の碑が立っている。 犬ケ岳〜サワガニ山〜黒岩山:サワガニ山手前で崩落あり迂回ルートとなっている。30mくらい?時折やや細い稜線を通る。 黒岩山〜吹上のコル:栂海のハイライト。美しい湿原、池糖広がる。歩いていて疲れていなければ最高に楽しいであろう。ただ、海から登るものにとっては、登り基調となるこの区間は堪えた。 吹上〜朝日〜朝日小屋:お花畑広がる朝日小屋は北アルプスの中でも別格に美しい 朝日小屋〜北又:1400下るので少々憂鬱に感じたが、下りやすい整備された登山道。足の速いひとなら2時間位で下れるだろう。 |
その他周辺情報 | 親不知、ひすいの湯など。 また栂海から蓮華温泉に降りて蓮華温泉につかれば最高と思われる。 |
写真
装備
個人装備 |
Tシャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
靴
ザック
行動食
地図(地形図)
コンパス
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
日焼け止め
携帯
時計
ツェルト
カメラ
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感想
北アルプスは日本海の丁度親不知にきれ落ちて終わる。それを知った時妙に興奮したことを覚えている。あの壮麗な北アルプスが日本海にきれ落ちて終わるとはこれ以上ない終わり方に思われた。おそらく小野健さんも同様に思ったのではないか。サラリーマンをしながら10年かけて藪を刈り続け日本海から標高2400m朝日岳まで全長27キロに渡る道をつけてしまった。
ずっと知ってはいたが、小野さんと仕事関係で出会ったのは2013年。
小野さんはデカくて白髪でちょっと恐ろしく見えた。虫メガネ状の拡大鏡を使って新田次郎の「富士山頂」を読んでいた。勇気を出して話してみると、とても優しい人であった。
その頃自分は山をやっていなかったのだけど、小野さんが案内してくれるようなことをおっしゃって下さった。また、栂海新道には誰にも言っていない植物化石の産地があってそれもこっそり教えてくれるとのことであった。しかし、小野さんは2014年の春に亡くなられてしまいそれが実現することはなかった。栂海には小野さんしか知りえなかったいろいろな秘密がまだまだあるのだろう。
以来自分は山を始めた。心には栂海新道が常にあったものの、その厳しさに二の足を踏んでいた。今年は栂海新道開通50周年、暑くも寒くもない9月、体力的にもこなせる目途がたち覚悟を決めた。
午前0時に親不知を出発。秋の虫の声が心地よい。前日に雨が降り泥濘があるもののあるきやすい。鉄塔の下に出た時誤って電力会社の整備道に入ってしまい引き返す。暗い中確認を怠るとこれがある。二本松峠、尻高山と進むが、まだ海に近いからか海鳴りが聞こえる。見上げると満天の星空である。
坂田峠からは金時坂という急坂となる。ここを登ってしばらくするとシキ割の水場に出る。コップがおいてあってゴクゴク飲む。気が付くといつの間にか虫の声が聞こえなくなっている。白鳥小屋につくとガスの中に入ったらしく視界が悪くなる。これは後で気づいたが、ヘッデンの電池が減って明るさも落ちてもいて、白鳥から下駒、菊石への下りが急である分ストレスであった。ほとんど休まず出発。菊石山あたりで休もうと思う。菊石山付近は富山側が断崖であるのでナイトハイクでは多少緊張感があった。
菊石を過ぎたが、暗闇の中では休む気にならず結局歩き通している。ブナ林にさしかかる頃ようやく登山道も明るくなってきた。光が差し込むブナ林は美しかった。黄連山で軽く補給。展望も開け、栂海から下ってきた人とも次々とすれ違い嬉しくなった。栂海山荘に到着し大休憩。テントが一張。小屋の中はみな出発したあとで誰もいなかった。ナイトハイクは時間の感覚もあまりなくあっという間だったが思った以上に疲労していたようで靴を脱ぎ足を延ばし一服。小屋で横になると気持ちがよかった。ここで丁度中間点。ここまで6時間ちょっと。良いペースだと思った。
犬ケ岳へ向け登ると、登ってきた稜線と日本海、これから行く3000m級まで栂海新道の全貌が見渡せる場所に出た。そこに小野健さんの碑が建っていた。栂海新道を子供のように愛していた小野さんにとってこれ以上ない場所だろう。この場所を選んだ小野さんの仲間達の思いを強く感じる。
稜線の一部崩落した箇所を巻いてサワガニ山、黒岩山と順調に登る。しかし黒岩平あたりから体が動かずペースがガクッと落ちる。小さな渡渉で滑ってポチャリもする。美しい湿原が現れ池糖ひろがり栂海のハイライトになるがなかなか進めない。普段使わないストックを出してもう一度リズムを作ろうと思うも進まず休み休みゆっくり進む。あと4時間ほどか・・。黒岩平〜長栂山は今回の行程でもっとも苦しい区間となった。
亀の歩みでアヤメ平。少し色づいている。ここまでくればゴールは近い。お花畑広がるということは花の百名山 朝日岳のテリトリーに入ったということ。振り返る日本海がまぶしい。
照葉の池を越えると吹上のコル。栂海新道の終点(あるいは起点)である。11時間20分かかってしまったが、小野さんに出会って以来、7年ごしの約束を果たしたようでほっとする。愚直に稜線を巻くことなく作られた登山道には小野さんを始め栂海新道の開拓者達の気骨を感じるし、日本海から地味な割にハードな1200m付近の稜線を上がったり下がったりしながら3000m級の稜線に到達するカタルシスは登ったものにしかわからない!最高である。
吹上のコルから朝日に登頂。剱〜白馬方面は高曇りで剱までは見渡せた。しばらくすると鈴の音が聞こえ、写真撮ってもらう。朝日はこれで今年2回目だ。朝日平、朝日小屋へとおりる。途中小さい雷鳥の雄を見かける。小屋へ入り栂海新道Tシャツを入手、電波状況などのアドバイスをもらい下山開始。3時間位で降りられるだろうとのこと。予定よりやや余裕を持って下界に降りられそうである。13時に下山すると自分の足だと遅くとも16時に降りられる計算。予定よりやや余裕を持って下界に降りられそうである。
テント場を過ぎた展望の開けた場所で電波を拾い16時15分にタクシー送迎を依頼。
名残おしく振り返り振り返り進む。北又までの下山は割と急ではあるものの滑りにくく降りやすい。イブリ山まで少し登り返すとあとは下るだけ。表示が一合目ごとにあり助かります。15時半頃北又に下山。吊り橋からのショボい階段の登りですらキツく感じた。ぼろぼろになったがやりきった。
それにしても北アルプスの山の高さよ。
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