尾瀬/燧ヶ岳と尾瀬ケ原逍遥


- GPS
- 28:46
- 距離
- 20.7km
- 登り
- 1,202m
- 下り
- 1,119m
コースタイム
6:20 尾瀬御池(5℃)→7:30 広沢田代→8:37-8:53 熊沢田代→10:21 俎ぐら(3℃)→11:14-12:02 柴安ぐら→15:45 見晴(原ノ小屋泊)
◆10/20
7:27 見晴→8:00 竜宮十字路→8:22-8:30 ヨッピ吊橋→9:00 牛首→9:35-10:10 山ノ鼻→11:04 鳩待峠
天候 | 10/19 曇り時々雨または雪、10/20 雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
◆往路 10/18 23:55 浅草―(東武鉄道)→10/19 3:50 会津高原駅 4:20 会津高原駅―(会津バス)→5:50 尾瀬御池 ◆帰路 10/20 11:50 鳩待峠→戸倉 14:50 戸倉―(関越バス)→20:00 新宿 |
コース状況/ 危険箇所等 |
◆危険箇所など ・御池登山道は1800m以上で積雪があり、木道も滑りやすくなっている。2000m以上では沢筋にしっかりと積雪がある状況。登りではアイゼンを使用している人は見なかったが軽アイゼン程度は必携。装備不十分なため引き返すパーティもいくつか見られた。 ・俎ぐらからの下降路は一部凍結していて非常に滑りやすいが両側のハイマツ等の枝を頼れば降りられる。 ・見晴新道は赤ナグレ沢に出るまで急勾配の岩場を下降するので要注意。 ・赤ナグレ沢は台風18号により土石流が発生し、登山道が皆無になり、且つ落石の危険性も非常に高くなっている。沢慣れしていないパーティは非常に時間が掛かり、また疲労度も高くなることが考えられるので他のルートを採るのが安全。ナデッ窪経由で見晴に出ても結局到着時間は変わらない。 http://ozenavi.blog85.fc2.com/blog-category-4.html ◆トイレ ベースとなる尾瀬御池、鳩待峠、山ノ鼻、見晴や小屋にはそれぞれ立派なトイレが設置されている。 |
写真
感想
◆1日目
夜行列車での山旅なんて久しぶりだ。去年は夜行バスは使ったが個人的には夜行列車の山行は1997年の北鎌尾根以来だ。
クルマで行くと登山口からが山旅だけど列車で行くと出発駅から山旅が始まる気がする。鉄道好きのSさんが尾瀬夜行で燧ケ岳に登らないかとお誘いを掛けてくれたので二つ返事で乗ることにした。Sさんは鳥海山の麓の出身で長年東北一の高峰と言う栄誉を燧ヶ岳に奪われていることにずっと残念な思いをしていたようだが、今回の登山でそれを吹き払うこともできただろう。
尾瀬の小屋も冬じまいの時期であり、尾瀬夜行も10/18の便が今年の最終便になる。車両を満たす旅客はみな登山者だが、3割程度だろうか。浅草を出て約4時間で会津高原に到着し、そこでバスに乗り継いで各自登山口に赴く。会津高原に降り立つと思ったよりも寒くない。バスでは行き先を運転手に告げ、尾瀬御池に降り立ったが、ここでも気温は5℃であり寒くなかった。全天に薄っすらと雲がたなびいているがそれ程悪くなりそうでも無い感じがした。結果的には期待した程に良くもならなかったが。
それぞれゲーターを装着したり、ポールの調整をしたり、ストレッチをしたりしと準備をして6:20に出発した。先ずは大駐車場を横切っていくようだ。駐車場の突き当たりから登山道が始まり、数分も歩くと見晴方面と燧ヶ岳への登山道を分ける。
しばらく歩くと登山道らしくなってきた。地形図を見て広沢田代までは等高線の間隔からそれ程はきつくないと踏んでいたが、朝一の運動としては多少負荷が高かったみたいだ。一登りすると三合目の標識が現れ、それを越えると間もなく一面草紅葉になった広沢田代に着く。振り返ると正面に雪を抱いた会津駒が展望される。池塘に針葉樹が逆さに写りこむのも美しい。
ひとしきり写真を撮ったりしただけで先に進む。目の前に小山になっているのが見えるが多分あの上が熊沢田代なんだろう。地形図ではここの登りの勾配がきつそうだったが、勾配自体よりも1800m付近から先日降った雪が木道で凍結していることの方が難物だった。アイゼンを持参しなかったからと撤退するパーティもあったが、登りではそこまで窮するほどではない。高度を稼ぎ、振り返ると飯豊、吾妻や越後三山も望めるようになった。傾斜が落ちてもうすぐ熊沢田代かと思ったら突然目の前が開けて眼前に堂々たる燧ヶ岳が現れた。思わず声を上げてしまった。
少し下って熊沢田代のこじんまりとした休憩スペースに達し、ここで朝食休憩となった。燧を正面に見て草紅葉の池塘の田代で優雅な時間を過ごした。
天候はしかし明らかに下り坂。空は淡い灰色のままでポツポツと雨が降ってきた。でも不思議と遠距離まで展望がある。
ここからは急登だが、雪は木道区間ではしばらくは無かった。沢に入ったところでほぼ雪渓状態になり、トラバースするところがやや神経を使ったところ。笹原がいつの間にかハイマツに変わると程なく俎ぐらに飛び出した。それまで無風だったのが突然に10m/s級の風が吹いていて3℃にも関わらずかなり寒く感じる。展望は最高。全方位の山々が見える。尾瀬沼も丸のまま見える。しかし長居を続けるには寒いので早々にして柴安ぐらに向かうこととした。すぐに尾瀬沼方面と尾瀬ヶ原(柴安ぐら経由)に道を分けるが赤ペンキで「ヌマ」「ハラ」としか書かれておらず間違いやすいところだ。少々案じてはいたが下りの急勾配も雪が着いていて相当に滑りやすい。が、両側のハイマツを頼れば比較的安全に降りることができる。鞍部からの登り返しもきつそうに見えたが、案ずる程ではなく一息で柴安ぐらに到達した。東北地方以北の最高点だ。眺望は俎ぐらと同様に素晴らしい。が、風も同様に強い。見晴方面に10m程下ると突然に風が無くなる所があり、ここで昼食休憩とした。風もないし、南西方面に展望も良く、のんびりと時間を過ごした。双眼鏡を取り出して良く見ると富士山も多摩辺りの山塊の向こうにひときわ大きく姿を見せていたが、五合目位まで白い。急にあちらこちらに冬の便りが届きだしたようだ。
12時を過ぎて見晴新道を見晴まで降りる行程に取り掛かった。僕の92年度版の地図には温泉小屋道と言うオプションもあったのだが、ちょっと下るとその淡い期待もくじかれた。既に廃道になっていた。先般の台風18号で荒れていると言うのはホームページで見ていたが、別に通過不能とは書かれていない。5割り増しで時間が掛かっても3時間ならば十分に許容範囲と考えて降りたが、ハイカーには中々に厳しい道のりだった。見晴新道は沢沿いに開かれたルートだが完璧に登山道の姿は消されていた。いくらかそれらしい痕跡はあるもののそれは沢登りでよく見る踏み跡のようなもの。後ろに続くメンバーから疲労の訴えがあったが、危険地帯を出るまではダメと拒絶して下り、やや傾斜が落ちて沢の幅も広がったところで一息入れた。
見晴まで2kmの標識から沢を離れ安心感も増すが、ここから先も沢の中を歩いていくようなルートだった。1km歩いて沼尻からのルートに合流するがこの辺りは木道だったが水没していた。沼尻からの道が近づくと人声も近づいて来た。ちょうど同時に出合に差し掛かったが、燧ヶ岳への登路で前後しながら登っていた4人パーティの方々だった。見晴新道が悪いとのことでナデッ窪から沼尻に降りて来たとのこと。距離は倍近くになるが結局時間としては同じだった訳だ。どちらにしても結構なアルバイトを強いられる。
そんな疲労感を吹き飛ばしてくれたのは原ノ小屋の快適さだった。石けんは使えないものの風呂に浸かることができ、食事も美味しく、個室でゆったりとでき(8人部屋を4人で使う贅沢さ)、トイレも快適、と充分にリラックスさせて貰った。星が出る夜でも無いのでみな早々に就寝した。
◆2日目
5時に起床したが外はしとしとと雨が降っていた。6時からの朝食を済ませてのんびりと支度をし、小屋を出たのは7:26。しとしと雨の中を尾瀬ヶ原を横断する。でも尾瀬ヶ原を囲む山々は割合とくっきりと見えていた。
草紅葉の原を景色を楽しみながら訥々と歩く。たまに振り返ると燧ヶ岳が徐々に姿を変えていく。濡れた木道は滑りそうなものだが、意外と滑らない。福島/群馬県境を沼尻川で越えて竜宮十字路を右折し、ヨッピ吊橋へと向かう。ヨッピ吊橋を渡って戻って、そのまま牛首に向かう。途中で鐘が路傍にあったが、熊に人間の存在を知らせるためと言う。同じように川上川に沿った所にも設置されていた。ツキノワグマ目撃情報では確かにヨッピ周辺やテンマ沢での目撃情報が多かったが、今日は出逢うことはなかった。
牛首で後ろのSさん、Oさんが追いついてくるのを待つ間、t-kai_saraさんがサンショウウオを見つけた。余り動きが速くないところを見ると冬支度に入っているのかもしれない。
上田代では逆さ燧のポイントがあるが案の定そのような姿では見られなかったが、雨の池塘越しに眺める燧ヶ岳も風情があるものだ。次回、期待だな。ここからは15分程度で山ノ鼻。至仏山荘で暖かいけんちん汁をすすってホッとする。そして最後は鳩待峠への登り。最後の登りが高度差以上に厳しく感じられるが右手に見える至仏山へ続く尾根が近づくとゴールが近いことが解る。そして駐車場のバスが見えて来て到着。無事に山行を終えることができた。
思えば最後に尾瀬に来たのも1997年だ。どうも遠い印象があって足が遠のいているが、もっと来て良いところだと実感した。四季折々の姿が楽しめるだろう。
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