白銀の炎を放つ樽前山
- GPS
- 08:01
- 距離
- 18.6km
- 登り
- 805m
- 下り
- 781m
コースタイム
天候 | 狂暴風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
直登斜面はウインドクラスト 吹き溜まりにある粉雪はスリップしやすく なるべく避けた登行としました。 |
写真
感想
元旦の翌日に樽前山への御誘いがありました
隊長が参加することを知り!楽しみで成らなかった今日なんです♪
距離が長いので 彼と2人だけなら行かなかったと思うけどね(笑)
7合目までは 気温も陽射しも良くって楽しいお喋りハイク
ただヒュッテで見上げた頂には切れ飛ぶ雲があって ギャー
シューはクラスト面でのトラバースに弱いので夏道をやめ直登です。
写真を撮る以外は 常に隊長の直ぐ後ろでスリップ時の対処に徹底
爆風域では彼と隊長を挟む様に寄添って進むだけだった感。
風が強いのは知っていたけれど、今日は凄い初詣となりました💦
彼は「1人なら奥宮まで行くけれど 娘となら引き返した」との事
一緒に行って良かったのだろうか.. と、今も自分に問いかけている。
ただね。素直に話すと2年半振りの隊長との登山が楽しかった私です。
樽前山の神様。ありがとう御座いました!
2号日記
今回は樽前山に行きました。久しぶりに山友達のシュンパさんと一緒です。樽前山と言えば、超がつくほどの強風が有名。1月の樽前山というのは危険らしく、ハハもこの時期に私が行くのはやめた方がいいのではと、珍しくストップをかけてきました。
朝は5時半起き。今年一発目の山、出発です!といっても、今日の目的は登山ではなく「初詣」です。樽前山には、樽前神社の奥宮があり、そこには小さな祠があります。今日はその奥宮に新年のご挨拶に行くというわけです。
今は1月。厳冬期真っ只中なので、普段は車で7合目まで行けるところを歩かなければなりません。まずは、通行止により雪が積もった道路を進みます。
出発時、あまり雪は無いかもしれないと思いましたが、歩いてみると、結構ふかふかしています。私がつけているスノーシューは今日が初仕事!チチハハが、アネと一緒のかっこよくてしっかりしているのを買ってくれました。新しいスノーシューの履き心地を感じながら進んでいきます。
7合目である駐車場、ヒュッテに着くまでは、久しぶりに会ったシュンパさんと色々な話をしました。シュンパさんは、とっても優しくて、本当に頼りになります。山チビ家一同お世話になっていて、甘えすぎな気もしますが、一緒にいるととても楽しい人です。
2時間程で7合目に到着です。7合目の駐車場からは、第1目標である東山がくっきり見えていました。しかし、東山は木など1本もない上、雪に覆われており、雪見大福のようでした。そして、一つ、衝撃を受けたことがありました。それは、東山山頂に向けて直登している人影が見えたことです。夏道なら、左に巻きながら東山に向かいます。しかし、雪によって夏道は埋もれ、好きな場所を歩くことができるようになっていました。そうは言っても、ここから見ても斜面はとても急に見え、直登すると考えると少し怖くなりました。
さて、7合目から15分ほど進み、東山直下までやってきました。さっきまで、自分が眺めていた場所に今自分がいるのだと思うと、本当に歩いて進んだんだと実感します。どう登るのかとチチに聞くと、前の人の足跡をたどろうといっていました。それはつまり、直登するということです。
東山に向かって歩き始めます。この時、私はあることに気が付きました。それは、地面の雪が、凍っているということです。もちろん、氷のようにカチンコチンな訳ではありませんが…スノシューの刃を頼りに登っていきます。
だんだんと標高が上がってきました。先程も言った通り、周りには何もないので、1歩でも滑ったりすれば、凍った雪の上でくい止めることなどできるはずもなく、あっという間に滑落です。私はただ、その恐怖と戦っていました。
そして、その恐怖に追い打ちをかけるかのように、横風が吹いてきました。強さのあまり、右側から雪も一緒に舞いあげられてきます。体が冷えているのを感じながら、怖さにおびえていました。
しかし、今の私には、進むことしかできません。この道を引き返すなんて、それこそ自ら滑落しにいっているようなものです。怖くて後ろを見ることはできませんでした。横を見れば斜面の急さによけい恐ろしくなり、前を見れば父の背中と本当にたどり着けるのか分からない山頂。私はただ自分の足元だけを見て登っていきました。
さて、だいぶ登り続けてきました。我々の目にやっと東山の山頂標識が見えました。そして、山頂に立ちました。すると、先程までの風の強さが弱く感じられるほど、強い風がふいてきました。一気に体があおられます。風は、溶岩ドームのある釜の方から吹いてくるので、力を抜けば、一瞬で今まで登ってきた斜面に転げてしまいます。
こんな状況で山頂に居座るわけにもいかず、奥宮へ急ぐことにしました。
しかし、ここで問題が発生しました。東山から少し降りたところに行くと、今までとは本当に比べ物にならないほどの爆風が吹きつけてきたのです。しかも、地面の雪が吹き上げられ、体の至る所に舞い上がってきます。風が吹いてくる右側に体を傾けながら進みます。
度々くる爆風を超えた爆風にバランスを崩し、何度かこけながら、何が何だかよく分からなくなりながら進みました。
体が凍えていくのを感じました。顔が痛くて、感覚がなくなっていくのを感じました。風と雪が直撃して、目が開かなくなりました。本当に怖くて、生きて帰れるかなと、本気で思いました。泣きそうで、でも、自分たちも大変なのに必死で私の手やリュックを握りながら歩いてくれているチチやシュンパさんのことを考えると、泣いちゃダメだ、と思いました。
それぞれがそれぞれの思いを抱え、奮闘しながらスーパースローペースで進むこと、何分経ったでしょう。やっと奥宮に着きました。ここは石の鎌倉のようになっていて、中に入れば、風は感じません。今日の予定ではここで温かいうどんを食べます。やった、やっと着いた!うどんが食べられる!心の底から安心しました。
と、思ったその時シュンパさんが言いました。「ここは安心できない、早く降りよう。」私は、今のところ戻るの?嘘でしょ?と思いました。そして、冗談抜きでヘリコプターで帰りたいと思いました。しかし、あのシュンパさんが言うのならそれが正しい判断なのだな、とも思いました。
一旦、風のことは忘れて、初詣のお参りをしました。シュンパさんがつくってくれた雪の鏡餅にみかんをお供えして、お賽銭をのせました。そして、新年のご挨拶をしました。とにかく無事に帰れますように、と祈りました。あとは、自分や家族のことと、世界平和をお祈りしました。
さて、だいぶ憂鬱な気分でしたが、もう進むしかありません!さっきの恐怖で吹っ切れたといえば吹っ切れたので、温かいうどんを思い浮かべながら、歩きました。
奥宮から登り返した、分岐まで戻ってきました。さらに東山まで登り返して、あの直登してきた道を帰ることは無理ということで、夏道のように巻きながら行くことにしました。
そこは、平和でした。もちろん、直登した時のように、横風は思いっきり吹いてきます。しかし、あの稜線での苛烈な状況を経験した私にとって、こんな風などなんてことありませんでした。
7合目まで戻ってきました。あの爆風はもう懐かしくなっていました。しかし、疲れている足がついさっきの出来事だということを物語っていました。
さあ、待ちに待ったうどんです!もちろん、とーっても美味しかったです!
食べ終わって外に出ると雪が降っていました。でも、なんとも思いませんでした。あの爆風を経験したら、たとえ雪が降っていたってなんにも感じなくなるんです。
今日1日を振り返りながら進みました。色々なことがありました。朝、久しぶりにシュンパさんに会えてうれしかったこと。新しいスノーシューをはいて登り始めたこと。凍った雪の上をヒヤヒヤしながら歩いたこと。とんでもない爆風に遭ったこと。ちょっと泣いちゃったこと。安全な場所に帰ってきて、本当に安心したこと。うどんが美味しかったこと。今、この一日が終わろうとしていること。私はこの数時間で、どれだけのことを体験したのだろうと、改めて感じました。
登山開始から8時間、無事下山。ふぅー、ほっと一息です。最後にシュンパさんが持ってきてくれた2022の風船をもって記念写真をパチリ。本当にお疲れ様でした。
さて、シュンパさんとお別れです。今日は、シュンパさんがいたからこの山に来れました。本当に危険だったので、チチ自身も2人だったら引き返したと言っていました。伝えきれない感謝を伝え、また、今度です!
今日はチチにも感謝感謝です。後日、チチの大好きな豆大福をプレゼントしました。
今回の樽前山。終わってしまえば、楽しいより怖いと思っていた時間の方が長かったのかもしれません。しかし、それは残った事実であって、そんな中でも私は少し面白かったことがあります。一つは、東山までの直登中、足元に見える地吹雪が、音楽番組の歌手の足元に出る、ドライアイスの煙みたいに見えたことです。怖いとしか思えなかった状況でしたが、少し楽しかったです。また、奥宮への稜線で爆風に遭った時、風や雪で、ものすごい音だったのですが、馬の疾走音や電車の音、ジェット機の音などで、作れそうだなと思いました。余裕はありませんでしたが、そんなことを考えていました。
「物事は考え方次第」「人生は自分次第」こんな言葉がありますが、その通りだなと感じるのです。今回だって、怖かったな、だけで終わってしまえばそれまでです。でも、そこから学べることもあるのではと思います。…きっとこの先、私はどんな台風が来ても、とりあえずは生き残れる気がします。
怖かったことから楽しめることを見つけたり、悲しいことの中にも嬉しいことがあったり、少しの差で自分の経験は楽しくもつまらなくもなると思います。私は、楽しくしていきたいし、次に繋がったり、誰かに伝えられるような何かを見つけたいと思います。それも、自分次第です。
今回は、我ながら頑張ったと思います。自然の厳しさには限りがないことを改めて実感し、自然の恐ろしさを肌で感じる一日となりました。それを想像だけではなく実体験として教えてくれた樽前山に感謝です。
今は、この1日があって良かったと、胸を張って言えます。そんな日をこれからもたくさん増やしていきたいです。
【初詣にて…】
今回で12回目の樽前山ですが、今までで一番の風と雪がふっ飛ばされて現れた剥き出しの氷壁…
ヒュッテから東山への直登ルートは、冬季富士登山と遜色ないのでは…と思ってしまう程、緊張感全開のルートでした…
隣を歩く2号さん…
2010年・秋に樽前山に初めて登った時は、階段で転んで大泣きしていたのに…
2022年…凍った斜面を並んで歩く日が来るとは…
密かに感慨深い思いに浸っていたのです…
娘もろともふっ飛ばされそうでしたけど…(笑)
分岐から奥宮までは山頂を更に上回る狂気の風…
さっきの密かな思いもふっ飛ばされました…(笑)
2人では諦めていた初詣も、syunpaさんと3人ならと弱気を封じ込めて歩いた達成感が、3人それぞれの胸の中に広がった、2022年の歩き初めとなりました…
コメント
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SYUNPAさんという強力助っ人があったと言え
2号ちゃんの頑張りは感嘆するしかありませんね。
ますます飛躍の年になりそうですね。
フレーフレー!!! いつも応援しているからね。
先を登る隊長(2号ちゃん)の姿を側で感じるたびに
格段に大きく成長したな〜って思った私でした。
それを動画に撮って載せれば良かったと 後悔しています💦
すでに助っ人の私を超えた体力。そして未来のある隊長☆
yamatoさん いつまでもチビ家を応援して下さいね!
これからも頑張ります
文章にも2号さんの成長感じますが、同時に変わらないものも感じました。
そういうところいいですね。
ただ、いつかあなた方のようなことやりだすと怖いなーって思いました。
今からでも心入れ替えたほうがいいかもしれないよ(笑)
祠では「みんな楽しく 怪我なく登山が出来ますように」とお願いました。
これで、今年はwatanabeさんも大丈夫ですよ〜
日常の他に 今までの山々で色んな方達と会っている隊長
大切なことは忘れず 静かに自分を励ましつつスキルUPしていますね。
別な事でも光り始めた隊長☆ 山行は血筋だから しょうがないかもー 笑
ねぇ。私達も40年位もどって私と一緒に心入れ替えましょうよ〜 笑
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