虎毛山 広大な雪原を行く (水沢森〜須金岳経由往復)
- GPS
- --:--
- 距離
- 18.9km
- 登り
- 1,214m
- 下り
- 1,216m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
大森平から須金岳登山口にかけての林道は、まだ1m近い雪に覆われ、雪崩の跡や雪の斜面をトラバースする個所もあり、神経を使いました。林道を1K半ほど進んだ先にある須金岳登山口からは、夏道は一旦仙北沢の左岸上部をトラバース気味に下流側へ戻ってから尾根に取り付くのですが、今回は雪の急斜面をそのまま登って尾根に上がりました。尾根上は始めは一部夏道の出ているところもありましたが、水沢森手前からはまだ雪がたっぷり。水沢森から須金岳へはほとんど雪堤の上を登りました。須金岳〜虎毛山間は、夏道はありません。広大な雪原を延々と歩き、左から大きく回り込むようにして避難小屋の立つ虎毛山頂に至ります。このルートでは林道トラバース以外、特に危険個所はありませんが、体力勝負の健脚向きです。尚、須金岳山頂部は東西に長く、便宜上の山頂とはP1191m三角点付近とのことです。 |
写真
感想
2年前にkiyoshiさんとtooleさんが鬼首側から夏道の無い長い稜線を歩いて虎毛山を登って以来、私も積雪期に登ることが可能なルートがないか、地図を何度も眺めてきた。虎毛への唯一の一般ルートは、積雪期には雪崩の危険がある。虎毛周辺は沢が入り組んでいて、なかなか日帰りで登れそうな単純な尾根が見つからない。標高差は大きいが、やはり鬼首から水沢森経由で須金岳(便宜上の山頂)に上がり、お二人が歩かれたように広い稜線をぐるっと回り込んで達する形の往復とするのが、天気さえ良ければルートファインディングに苦労することなく登れるだろう。そう考えて、昨夏には20数年ぶりに一般ルートから虎毛に登り、そして別の日に初めて須金岳にも登って、その大きさを体感した。あとは当日、サクサク歩けるような雪面であれば良いのだが・・・
ところがここ数日、暖かい日が続いている上に、当日朝の冷え込みもゆるく、途中の温度表示はなんと8度となっている。車から降りるとほおに当たる風が生暖かい。そんな暖かさだから、ワカンを着けていてもサクサクとはいかない。年度末の忙しさで早起きできずに出発が遅くなった上、水沢森への登りもなかなかきつくて、亀の歩みだ。早くも、レコの見出しは虎毛じゃなくて「須金岳」にしようか・・なんて考えも頭をかすめる。
見えもしない虎毛に登るなんていう願望からくる焦りは捨てて、とにかく目の前の水沢森に登るんだと、自分に言い聞かせることにした。水沢森だって標高は1000m強、十分な登りごたえを味わっているじゃあないか・・・
ようやく水沢森に立つと、樹林の間から左手に霞んではいるが神室連峰小又山の白い三角形が見え、さらに、須金岳へ向かって美しい雪堤が真直ぐに延びている。今度はこの美しい雪堤の登りを楽しむことに気持ちを向けた。
須金岳山頂(便宜上の山頂)に立つと、目の前にはだだっ広い雪原が広がっている。少し進むと、巨大なドームの上にポツンと黒く虎毛の山頂小屋が見えた。やっと目標が見えたが、そこに至るにはぐるっと左(北西)から回り込むから距離は長い。風が強くてアウターを着込んだ。途中のP1298m付近で振り返ると、まるで白い砂丘の上を一人の旅人が何かを求めて歩いてきたかのようにも見える。
広い山頂台地は風がさらに強く、灌木帯の踏み抜きもあって、なかなか前に進んでいる感じがしない。ふと顔を上げると、新雪のような真っ白いウサギが走り去っていった。ようやく山頂小屋にたどり着いた時は、喜びよりもやれやれという感じだった。小屋に入って何か食べたかったが、それより風の弱いところまで逃れたかったので、すぐに下山を開始する。
須金の便宜上の山頂に戻る前に、少しショートカットしてやや東側に行ってみた。虎毛の万滝を見るためだ。無雪期には樹林に遮られて見ることのできないこの滝は、登山家の岩崎元郎氏がナイアガラやイグアス等を抑えてナンバーワンにあげている。もちろん、春川を遡行していった先に出会った氏の体験からくるものだとは拝察するが、どんな滝なのだろう。
虎毛山頂台地がまだ本格的な雪解けが始まっていないこともあってか、残念ながら水流は視認できなかった。それでも、周囲の断崖は荒々しくて迫力があった。ずっと歩いてきた虎毛は女性的な眺めばかりだったが、男性的な東面も含めたどっしりとした姿の虎毛を見ることができて、こっちまで寄り道して良かったなと思う。
秋田県の最深部にひっそりと、だが堂々とした姿で孤高を保つ虎毛山。この山に積雪期に日帰りで登ってこようなんて、自分には少し背伸びしすぎたのかもしれない。また機会があるなら、もう少し敬意を持って、泊りがけで会いに行きたいと思う。
コメント
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素晴らしい〜!
緩んだ雪の登りはなかなかつらいものがありますよね。
でもその先の開けた景色に苦しさを忘れてしまう
山頂湿原、雲上のオアシスなどという誘惑に負けて
昨年、身の程知らずな山行で見事に木道で滑って痛い思いをした虎毛山ですが
虎毛の万滝というナイアガラ・イグアス級の滝というさらに魅惑的な秘密の場所に行ってみたくなるじゃないですか〜
kamadamさんだからこそこのルート行けたのであって
小心者の私はやっぱり神室連峰も含めてこの奥深い山域はなかなか入りこめそうにないです。
しかし!秋田の人ってtooleさんも含めてツワモノですね 流石です
秋田の人をお褒めいただき、ありがとうございます
山はお天気次第で天国にも地獄にもなりますが、虎毛は晴れたら本当に別天地ですね。
若い頃に登ったのは秋晴れの日曜日で、山頂のベンチで寝転がり、本当に1時間熟睡したのを覚えています。その頃はまだトラキチに有名になる前で、だぁれも会いませんでした。寝ていて気付かなかったかもしれませんが
万滝は沢のエキスパートの方の領域かと思いますが、須金岳に登って眺めることならmeikenさんもきっとOK 山頂部に残雪があるうちにぜひ 鬼首カルデラの眺望もすばらしいですよ
いやはやすごいです。10時間以上の山行。敬服します。
私は次回秋ノ宮の金倉山を登ろうかと思っていたのですが,kamadanさんから刺激を受け,さらに行けるところまで(片道4時間程度)まで足を伸ばそうかという気にさせられました。
自分なりの山の楽しみなのですが、やっぱり人から刺激を受けることってありますよね。私もkiyoshiさんとtooleさんのすばらしいレコがなければ、チャレンジしなかったと思います。山頂は遠くて、ピッケルを置いてきたかったというkiyoshiさんのお気持ち、少しわかったような気がしました。(重いから置いていくという意味ではなく)
私が申し上げるのもどうかと思いますが、山登りは帰宅した段階で終了です、お互い十分に余裕を持って楽しみましょう
雪が重かったでしょうね
kamadamさん、虎毛山ロング大変お疲れ様でした。
須金岳へ足を伸ばされているところに余裕を感じますね
広大な白い砂漠を思わせる稜線に上がってしまえば、そこは天国。
前回のテクニカルな羽後朝日とは違う魅力のある山域ですよね
また行きたいなぁと僕も思いますが、今週末は降雪があって本格的な雪山になりそうですね
kamadamさんは神室行かれたのかなと思っておりましたが、まだ4月は始まったばかりですね。kamadamさんのことですから、今年もまだまだ秘蔵のルートを隠しお持ちのような気がしてなりません
秘蔵のNEWルート・・・tooleさんにそうくすぐられると、なんか探してみたくなりますね・・ tooleさんぐらいの体力・技術があったら、いろいろ考えつくのですが、歩くのは自分なので 今回はちょっと背伸びしすぎでしたよ もっとのんびり歩きたいです
それより、岩崎元郎氏がナンバーワンにあげた春川を遡行した先の万滝、いつの日かレコで見せてくれることを期待していますよ
kamadamさん
いつもいつもkamadamさんの山行には
驚かされます。
すごい人と出会えて光栄です。
雪、まだまだいっぱいですね。
わたしも東北の山で、今シーズンあといくつか雪山を楽しみたいなあ
nyororo
私の方こそ、nyororoさんのバイタリティーには驚かされっぱなしですよ
お忙しい中でも目標に向かうお姿、見習いたいです。
300の残り、焼石・栗駒・神室なら、ルートにもよりますがGW明けでも雪山が楽しめます。
お天気が良い日にぜひ遠征を
虎毛は登られてましたか?今回のルートはロングだから、nyororoさんにもお勧めですよ〜
こんばんは
そして、ご苦労様でした。
いゃーすばらしいですね。
確かに虎毛への冬のアプローチは・・・・赤倉沢沿いだと危険ですね。
鬼首側からのアプローチは・・・出来るんですね。
それにしても朝の6:45に 出発して17:01に戻る・・・・・私には体力がありません。
kamadamさんと同年代ですがkamadamさんが羨ましいですよ。
kamadamさん、本当にすばらしい体力(スタミナ)ですよ。それに豊富かつ的確な知見、さすがです。
虎毛の万滝は見たことがありません。
皆瀬源流部の春川はアプローチが長いですからね。
まだまだ秋田には世界に誇れるすばらしい場所がたくさんありますね。
まさに 「山水・・・皆これ、詩の国・・・あきた」 ですね。
年度末、年度始めと業務多忙で・・・・土日出勤が続き(労基署さんごめんなさい)
なかなか時間がありませんが・・・・・早く山に行きたいです。
750RSさん、いつもメッセージありがとうございます
今回の年度末は消費税増税と重なって、むちゃくちゃ忙しかったという人が世の中にたくさんいるのではないでしょうか。うちの息子も何かの提出期限があるために、徹夜もしたようです。私も他の季節なら山へは行かなかったですが、残雪期の好天は貴重なので強引に山を優先しましたよ そのためのしわ寄せはありますが、山に登ったからストレスがあまりない なるほどこういうのもいいかな−と思っています。3月の3連休はガマンして仕事してましたが
750RSさんも、好天の日にお休みがとれたらいいですね
750RSさんに的確な知見と言われると恐縮してしまいます。
難しい山・ルートを困難な状況の中を力技で登るというのではなく、自分の歩けそうなルートを見つけて山に楽しませてもらう・・というのが、自分らしいと思っているのですよ。残雪期は自分のオリジナルなルートを探す楽しみがありますよね。今回は自分には少しロングすぎるルートだと感じました。もう少し小さい山で楽しむのが自分らしいなと。
でも同時に、体力的に大変なルートに挑戦するのも、たまにはいいですよね。今回は晴れていたらルーファイには問題ないルートで、体力勝負でした。高齢でもびっくりするような体力を持っている人がたくさんいますね。そういう人たちのチャレンジ精神、可能な限り見習いたいものですね
世界に誇れる秋田の宝物・・750RSさんのレコをお待ちしております
素晴らしい記録です。夏の須金周回で、このコースの下見と思っていました。さすがですね。天気が午前中はよかったのですが、後半崩れてきたのだけが残念でしたね。私が行ったのは4月末でしたので、山頂の藪こぎが大変だったのが印象的です。
鬼首峠の次のピークで相棒さんが、虎毛の稜線を誰か歩いてると言ってましたが、kamadamさんだったと思います。応援してましたよ。
お仕事も大変な中、敬服いたしました。
オレンジ色のアウターを着ていましたので、遠くからでも目立ったのではないでしょうか 36番の写真をどこまでも拡大していくと、cheezeさんと奥様が写っているかもしれませんね。応援、ありがとうございました
神室連峰は霞んでいて残念でした。何度もその方向を見ながら歩いていましたよ。多少ふらついてもどうってことない、広い稜線でしたので
一週間近く経つのに、まだ疲れが抜けません cheezeさんは今の私より5歳ぐらい年齢が上の時に登られたのですから、こちらこそ、敬服いたします。
若いころ読んだ秋田の山ガイド本の中に、須金から虎毛へ藪こぎしてきたというご夫婦のことが紹介されておりました。cheezeさんは勤務先を退職なさって、これから自由な時間が増えるのでしょうか・・今度は奥様とじっくりのんびり、泊りがけの山登りを見せてください。限られた時間をつかんで韋駄天のように登る山登りもありますが、東北の原始の色濃い山々をじっくりと巡り歩く・・そんなレコを、私は期待申し上げております
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