槍ヶ岳・北穂高岳(大キレット)
- GPS
- 80:25
- 距離
- 41.3km
- 登り
- 2,530m
- 下り
- 2,519m
コースタイム
上高地(6:10)-(6:55)明神(6:55)-(7:30)徳沢(7:30)-(8:15)横尾(8:40)-(9:20)
一ノ又(9:20)-(9:50)槍沢ロッジ(9:55)-(10:25)ババ平(10:25)-(10:45)大曲
(10:45)-(11:40)天狗原分岐(11:45)-(12:35)坊主岩小屋(12:35)-(13:10)殺生分岐
(13:10)-(13:45)槍ヶ岳山荘
【28日】
槍ヶ岳山荘(6:55)-(7:25)槍ヶ岳(8:35)-(8:45)槍ヶ岳山荘
【29日】
槍ヶ岳山荘(6:15)-(6:40)大喰岳(6:40)-(7:00)中岳(7:00)-(7:30)天狗原稜線分岐
(7:30)-(7:45)南岳(7:45)-(7:50)南岳小屋
【30日】
南岳小屋(6:05)-(7:15)A沢のコル(7:15)-(8:15)北穂高岳【北穂高小屋】(8:45)-
(8:55)北穂高岳南稜分岐(8:55)-(10:20)涸沢【昼食】(11:15)-(12:05)本谷橋
(12:05)-(12:45)横尾(12:50)-(13:30)徳沢(13:30)-(14:05)明神(14:05)-(14:35)
上高地
天候 | 27日/雨 28日/晴後曇夕方から雨 29日/雨 30日/霧後晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2009年07月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
槍沢には雪が結構残っており、登山道も何度か雪渓を渡渉する。 アイゼンが必要な程ではないが、この時期の登山であれば軽アイゼンを持参した方が良い。 天狗池はまだ凍っている様で、天狗池への道もあまり歩かれていない様だった。 槍ヶ岳山荘から山頂への道は鎖やハシゴが整備されているので、落ち着いて行けば問題はない。 一部登り専用と下り専用に道が分かれているので、案内に従う事。 大キレットは難所の連続だが、鎖やハシゴをはじめとした補助が良く整備されている。 ひとつひとつ落ち着いてクリアすれば心配ないだろう。 しかし、風雨(特に風)が強い時には危険と思われるので、通過前に状況を見て判断する様に。 涸沢は雪がまだ沢山残っており、涸沢からの下山でも当面雪上を歩く。 アイゼンは必要なかったが、やはり持参するに越した事はない。 |
写真
感想
大キレット。
写真や映像で何度も見ており、いつかは行ってみたいと数年前から憧れていた。
昨年、長期休暇に計画を立てたが、天候が悪く九州遠征に変更してしまった。
今年も長期休暇で計画を立てるが、週間予報では今年も天気が悪そうだ。
行くべきかどうかをぎりぎりまで迷ったが、日程に余裕があるので天候の良い時に大キレットを越えれば良いと思い出発した。
今回は初の大キレット越えなので、テントはやめ小屋泊にする。
予定では上高地-槍ヶ岳-大キレット-北穂高岳-奥穂高岳-前穂高岳-上高地。
順調に行けば槍ヶ岳山荘・穂高岳山荘の2泊3日で行けそうだ。
前日に松本に入りホテル泊。
翌朝、松本電鉄の始発に乗ろうと思い松本駅へ向かった。
駅前でタクシードライバーに呼び止められたので話を聞くと、上高地に迎えがあるので電車とバスで行くのと同金額で乗せて行ってくれるとの事。
実にラッキーだ。
ドライバーが親切で「ゆっくり寝て行きな。釜トンネル辺りで起こすから」と言うので、お言葉に甘えて寝かせてもらった。
上高地に着くと雨。
予報通りなのでそれほど落胆はしなかったが、本当に今日槍ヶ岳山荘まで行けるのだろうか。
まあ、とりあえず横尾まで行き今後の行程を決めよう。
横尾に着くと平日で雨なのに結構人がいた。
多くの人が涸沢に行くようだが、数組のグループが槍ヶ岳へ向けて歩いていった。
こんな雨でも行く人がいるのならばと、私も槍ヶ岳へ向け出発した。
槍沢ロッヂまでは傾斜も少なく、あっと言う間に辿り着いた。
ロッヂを過ぎると本格的に登り出すが、槍ヶ岳山荘まで急な斜面はない。
距離が長い分、徐々に高度を上げていく。
これがジャブのように堪える。
本当ならば槍の穂先を見ながらの景色の良いルートなのだろうが、本日は景色が殆どない。
槍も山荘も見えず、いつ着くかもわからない斜面をただただ登る修行の様だった。
高度計が3,000Mに近付き、そろそろかと思うとやっと山荘に辿り着いた。
目の前に大きな槍の穂先がある筈だが、影も形も見えない。
宿泊の手続きを済ませた後、雨の中暫く外にいたが槍はまったく姿を現さなかった。
槍ヶ岳山荘は生憎の天気なので、結構空いている。
1人に2つの布団スペースが与えられた。
人気の山荘だけにこんな事はなかなかないだろう。
玄関前のロビーではテレビで常に天気予報が流れている。
どうやら明日も天気が悪そうだ。
2日目、目を覚まし外を確認すると霧雨が降っており、予報通りの天候だった。
朝食を済ませ、本日の行程を考える為に2階の談話室で地図を見ていると、窓の外が急に明るくなった。
窓の外を見ると薄っすら太陽が見える。
窓を開けると僅かながら槍の姿が…
慌てて外へ出ると、見る見るうちに槍が姿を現す。
あっと言う間に雲は消え、大きな槍が目の前に立ちはだかった。
「で、でかい」
一瞬の出来事だった。
山を見てこんなにどきどきしたのは初めてかもしれない。
「はじめまして。いつも遠くから見ていました」
こんな言葉が心の中に浮かんだ。
周囲の人々も一斉に歓声を上げ、一気に穂先に登り始めた。
私は何枚も穂先を写真に収め、落ち着いた頃に登り始めた。
シーズンには大混雑すると言われるが、本日は人も少ないので写真を撮りながら自由なペースで登っていると、30分程度で山頂に着いた。
山頂からの展望は見事。
雲が多いもののこれまでの天候が嘘の様に360度見渡せた。
風もなくあまりにも気持ちが良いので暫く山頂でゆっくりしていると、いつの間にか一人になっていた。
槍ヶ岳の山頂に自分だけとは本当に贅沢だ。
暫くして数組のパーティーが登ってきたので、山頂を譲り下山を開始した。
山荘に戻り本日の行程を考える。
改めて天気予報を確認すると、本日は午後から崩れる予報。
キレットで雨が降るのもいやだし、明日以降の方が天気は良さそうなので、槍ヶ岳山荘にもう1泊する事にする。
その日は山荘前のテラスに座って穂先を登り下りする人を眺めたり、周囲を散策したり、山座同定を楽しんだりして過ごした。
非常に贅沢な一日だったが、この選択が間違えだった。
結局、その日は夕方まで天候が持ち、雨が降り出したのは夕方だった。
翌日の朝も雨は降り続け、いよいよ行程に悩んだ。
昨日、天気の良いうちに大キレットを越えた方が良かったかもしれない。
そんな事を言っても後の祭りなので、今後の行程を考える。
今回は大キレットを諦め、雲ノ平方面へ行く事も考えた。
しかし、大キレットを諦め切れない。
とりあえず今日は南岳小屋まで進み、状況を見て考えよう。
早速雨の中南岳小屋に向け歩き出す。
この稜線は晴れていれば大展望が楽しめそうだが、本日は白い世界をただただ歩くのみ。
早足で歩いているとあっと言う間に南岳小屋に着いてしまった。
小屋の方に大キレットの状況を確認すると「今日はやめた方がいい」との返答。
外の風雨を見ればごもっともである。
まだ7時台だったが本日の大キレット越えは諦め、宿泊の手続きをした。
今日の山歩きもこれで終了…
一日を小屋内で過ごした。
ある意味なんて贅沢な山行きなんだ。
南岳小屋は良かった、小屋内は清潔で布団もからっとしている。
食事も出来立てで美味しかった。
本日の宿泊者は9名でゆっくり過ごすことが出来た。
小屋に泊まった方はみんな大キレット越えを考えている様だ。
しかし、天気予報では明日も良くない模様。
私も含め、全員下山する為のルートを考え始めた。
私は結局、下山のルートを決めきれないまま翌朝を迎えた。
4日目、本日も雨だろうと外を見たが、霧が濃いものの雨は降っていない。
風もそれ程強くない様だ。
予報を確認すると天気も好転している様だ。
いよいよ大キレット越えを決行する。
身支度を整え、山荘の方に「お気をつけて」と見送られ霧の中を歩き出す。
大キレット入口の注意書きに気持ちが高ぶり、脈拍が上がっていく。
最初のなんて事のない下り坂でも「大キレットなんだ!」と思うと緊張する。
いよいよ下り坂はどんどん急になり、長いハシゴも出てきた。
ハシゴを下り鞍部に出ると暫くは危険の少ない道。
しかしこれからが核心部だ。
長谷川ピーク周辺は痩せた尾根を歩く。
先を見るとそのやせ細った尾根に緊張するが、一歩一歩落ち着いて進めばそれ程の難はなくクリアできる。
良くも悪くも最近は整備が進んでいるようで、危険な箇所にはステップなどが設置されていた。
唯一の休憩場所と言われるA沢のコルで一息つくと、今度は飛騨泣き。
こちらは急な斜面で滑らないように登っていく。
下は霧で見えないが、逆に吸い込まれていく様である。
暫く頑張ると岩に「北ホあと200M」の案内。
ここでやっと緊張の中に安心が出てきた。
ここからは急な登りを頑張り、とうとう北穂高小屋に辿り着いた。
憧れと目標の大キレット通過に感動がこみ上げてきた。
北穂高小屋はキレット越しの槍ヶ岳の眺めが良い事で有名だが、本日は何も見えない。
それでも暫く槍ヶ岳方面の真っ白な景色を眺めていた。
もう1泊して予定通り奥穂高岳を目指すことも考えたが、明日も天候は不安定の様だ。
今回は奥穂を諦め、ここから涸沢に向け下山を開始した。
下山を開始すると、何故か急に太陽が顔を出し、周囲の山が見え始めた。
最後に大キレット越えのご褒美だろうか。
今回、山旅の中で出会う人全てが口にしたのは「こんな天候で残念な山旅だ…」と言う言葉。
確かにそうだが私は少し違っていた。
大キレットを越えたと言う満足感が体中を走り回っている。
それが悪天候の残念さよりずっと勝っているからだ。
わたしもキレット越え今年こそはと思っていたので楽しく読ませていただきました。今後とも宜しく!!!
myブログ→http://namupero.blog48.fc2.com/ mijinco
mijincoさんこんばんは!
trattoriaこととらと申します。
コメント有難うございます。
これからmijincoさんのブログをゆっくり拝見させて頂きます。
今後も情報交換させて下さい。
よろしくお願いします。
初めましてtrattoriaさん!
丁寧な山行記録から、
天候判断の難しさ、行くか止めるかの迷い、
そして喜びが伝わってきます。
次の山行記録も楽しみにしています!
manabuさんこんばんは!trattoriaこととらと申します。
山行記録読んで頂いて有難うございます。
ヤマレコでは皆さんの山行きを自分の山行きの参考にしています。
manabuさんの山行きもこれまで何度も拝見しており、参考にさせて頂いております。
こちらこそ今後も山行記録楽しみにしています。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する