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Yamareco

記録ID: 467779
全員に公開
沢登り
中央アルプス

大田切川本谷〜東川岳・空木岳〜池山尾根〜天竜川

1990年08月25日(土) ~ 1990年08月27日(月)
 - 拍手
usubashiro その他1人
GPS
56:09
距離
28.6km
登り
2,123m
下り
2,660m

コースタイム

8/25 檜尾橋(9:04)…取水口(9:45/10:35)…魚止ノ滝上(12:15)…糸ダル出合(12:30)…雨ダル出合(12:40)…ナメ上(13:45)…第1の岩小舎(14:50)…梯子ダル出合(15:40/16:00)…大地獄出合(16:40)…1550m地点・ビバーク(17:20)
8/26 ビバーク地点(7:35)…二俣(8:02)…駒石沢(8:15)…空木沢出合(9:00/9:30)…沖空木沢出合(9:45/9:50)…沖熊沢出合(9:55)…殿越沢出合(10:10/10:30)…二俣(11:20)…右手支尾根(12:10)…縦走路(14:00/15:00)…木曽殿山荘(15:05/15:30)…東川岳(15:50/16:10)…木曽殿山荘(16:30)泊
8/27 木曽殿山荘(6:15)…空木岳(7:38/7:55)…駒石沢源頭(8:55/9:40)…ヨナ沢ノ頭…池山小屋(12:20/13:20)…駒ヶ池(14:55)…大田切駅(16:05)…天竜川合流点(16:30/16:50)…大田切駅(17:19/17:26)251M→伊那市駅(17:44/18:00)白川タクシー→高鳥谷鉱泉(18:20)泊
天候 8/25 快晴 , 8/26 快晴 , 8/27 晴れ時々曇り
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
8/25 新宿駅(0:01)421M→上諏訪駅(5:46/6:39)228M→駒ヶ根駅(8:09/8:30)伊那バス→檜尾橋(9:04)
8/27 大田切駅(17:19/17:26)251M→伊那市駅(17:44/18:00)白川タクシー→高鳥谷鉱泉(18:20)泊
下部ゴルジュ内にて
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下部ゴルジュ内にて
下部ゴルジュ内にて
下部ゴルジュ内にて
下部ゴルジュ内にて
下部ゴルジュ内にて
ゴルジュ内のナメ滝上
ゴルジュ内のナメ滝上
梯子ダル沢出合にて
梯子ダル沢出合にて
1550m地点のビバーク地
1550m地点のビバーク地
沖熊沢出合手前には雪が残っていました
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沖熊沢出合手前には雪が残っていました
本谷のつめ。このあと傾斜がきつくなります。
本谷のつめ。このあと傾斜がきつくなります。
縦走路に出ました。バックは東川岳。
縦走路に出ました。バックは東川岳。
同じ縦走路の反対側。空木岳方面です。
同じ縦走路の反対側。空木岳方面です。
木曽殿山荘に向かって降りていきます。
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木曽殿山荘に向かって降りていきます。
空木岳から御嶽山を望みます。
空木岳から御嶽山を望みます。
空木岳から南駒ヶ岳。右上遙かに恵那山も見えます。
空木岳から南駒ヶ岳。右上遙かに恵那山も見えます。
空木岳から宝剣岳・木曽駒ヶ岳。
空木岳から宝剣岳・木曽駒ヶ岳。
駒石への下りから空木岳を振り返ります。
駒石への下りから空木岳を振り返ります。
もう少し下って振り返ります。
もう少し下って振り返ります。
飯田線の大田切駅。下山後、大田切川沿いに天竜川の合流点まで行きました。
飯田線の大田切駅。下山後、大田切川沿いに天竜川の合流点まで行きました。

装備

個人装備
ハーネス ヘルメット
共同装備
ザイル シュリンゲ カラビナ

感想

8月25日(快晴)
 新宿で待ち合わせをし、0:01発の普通列車に乗り込む。金曜の夜ということもあって、結構混んでいる。甲府、韮崎、小淵沢と人が減り、ようやく楽になっていく。上諏訪で、飯田線乗り入れの列車に乗り換えると、岡谷からは高校生がどんどん乗ってきて、満員電車となった。長野県は、もう2学期が始まっているようだった。高校生をかき分け、駒ヶ根駅で下車すると、同じようにしらび平行きのバスに乗ろうとしている人たちが何人か出てきた。
 8時30分発の伊那バスに乗って、桧尾橋で下車する。久しぶりの重いザックが肩に食い込む。桧尾橋の上で車道が右に大きくカーブする。そこに階段があって、中部電力太田切発電所の巡回路に入る。巡回路の林の中では、3頭のアサギマダラがふわふわと舞って、夏の終わりを告げている。しばらくいくと、太田切川に出て、吊り橋を2度渡ると取水口に着く。どこからともなくツマジロウラジャノメが現れた。谷を見上げて「どうして来てしまったのか」と思うのは、いつものことである。長い沢は久しぶりなので、今回は一層その気持ちが強い。‥‥が、遡行の支度を整え、第一歩を踏み出すとその気持ちが、さっと消えてしまう。
 この川としては、いつもより少なめなのであろうが、それでも水量豊かな急流である。適当な所で、右岸に渡る。河原の岩が大きくなかなか進むのが大変である。1度高巻きをし、次に魚止ノ滝を巻くが大きく巻きすぎてしまった。糸ダル沢、雨ダル沢と現れる支沢は、どれも険しい出合である。右岸を高巻き、ナメ滝を越えたあたりで沢身に戻る所をさがす。シュリンゲの掛けられた木があり、そこで懸垂下降する。降りた所で、すぐに左岸に徒渉する。わずかだが、流れは急だ。ゴルジュ内でありながら、スケールの大きさが感じられる所である。
 沢が右に直角に折れると、滝が現れる。左岸を巻くと、針金と電線がフィックスされていて、そこをトラバースするとすぐに岩小舎がある。そこからすぐに沢に降りられる。しばらく行って、また滝が現れ左岸を巻く。資料によると、ここに2つ目の岩小舎があるはずであるが、わからなかった。大きな岩のゴーロとなって、やがて眼前に、見事な梯子ダル沢出合の40m滝が現れた。そこで、緊張が取れ小休止。左に折れ、6m滝を過ぎたあたりから、今夜のビバーク地をさがしながら歩く。大地獄谷を過ぎ、1度両岸がせまるが、そのあとひらけ、台地状の砂地を見つけ、そこにツエルトを張った。まさにV字谷で、星空の空間が、実に狭かった。
8月26日(快晴)
 6時起床。だらだらとしていたら7時35分の出発となってしまった。二俣で東熊沢を分けるが、はじめての穏やかな支沢である。いつの間にか随分水量が減っている。空木沢出合までは、快調に進む。キベリタテハ、クジャクチョウといった山地性のタテハが姿を見せる。高山蝶ベニヒカゲも時折、舞っている。だんだん傾斜が強くなってきて、ペースが遅くなる。沖空木沢を過ぎると左岸に岸壁が現れ、小滝を越えると両岸に残雪が見られる。沖熊沢出合の上では、本谷に雪渓が残り、この上で水は涸れていた。その先で、殿越沢に入る。いっそう急になった、浮き石だらけのゴーロをしばらく行くと二俣となり、右俣に入り、最初の崩壊から右手の尾根に取り付く。木曽殿山荘が、少し高い位置に望めるが、どう詰めていけばよいのかわからない。ダケカンバの幹をたよりに急な斜面を上がりルンゼを横切りもう1本右手の尾根に取り付くとその向こう側はスッパリ切れ落ちていて、こんどは殿山荘を見おろしてしまった。山荘の人がスコップで登山道の足場を整備している音が響き、縦走路を行く登山者がよく見える。ほんの目と鼻の先なのに困ってしまう。しかたがないので、急な尾根を詰めると大きなハイマツがあってその向こうに空がある。向こう側がまた切れ落ちていたら困るなと思いながらハイマツを恐る恐る越えると、木曽殿越を50mほど見おろす縦走路の上だった。いつもながらのうれしい一瞬だ。時間は、2時ちょうど。安心してここでくつろいだ。木曽殿山荘の素泊まりと決め、時間があるので東川岳をピストンした。しかし、夕方からガスが出て何も見えなかった。小屋の主人が、「ここはだめだ」などという様子をみせながら、出たり引っこんだりしている私達の姿がよく見えていたことを話してくれた。 
8月27日(晴れ時々曇り)
 6時15分出発。驚いたことに、50人ほどいた泊まり客の中でビリとなる。空木岳の頂上からの展望には、すばらしいものがあった。中アの主脈をクリアーに見せ、南駒ケ岳の迫力を眼前にする。南アルプスの大きな連なりの上には、富士山が顔を出している。その下には、光る天竜川。浅間山、槍・穂高、乗鞍、白山、御岳と見飽きない。池山尾根を下って、ここからが太田切川PART2。JR飯田線の太田切駅まで歩き、さらに川沿いに下って天竜川との合流点まで見届けてやろうというものである。
 太田切川は、駒ヶ根高原で扇状地をつくり伊那谷に出てくる。ここから太田切駅までは、両岸に林をつなげている。太田切駅は、ほとんど川にホームを乗り出しているような良いところにあった。そこから下流の河川敷は、自動車学校・工場などが続き、営林署の試験場を過ぎると、橋がある。天竜川が見えてくる。
 合流点では、釣り師が何人かいた。取水口でゴーゴーと音をたてていた豪快な流れはそこになく、よどんだ汚い水がチョロチョロと流れをつくっているだけだった。2歩で渡れる太田切川。それが、この川の結末で、あっけない幕切れとなった。伊那に行って、高鳥谷鉱泉に宿泊する。

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