札内川七ノ沢支流1807m峰東面沢(途中まで)
- GPS
- 32:00
- 距離
- 20.8km
- 登り
- 1,179m
- 下り
- 1,181m
コースタイム
8/15:C1発(5:00)→滝登攀中落石発生(7:30)→引き返し(8:30)→入渓点戻り(13:30)→札内ヒュッテ戻り(15:30〜50)
天候 | 8/14 晴れ 8/15 晴れのち曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2014年08月の天気図 |
アクセス |
写真
感想
中部日高のカムエクの東の稜線上にある・1807峰の東面へ札内川七ノ沢支流から突き上げる沢のトレースを目指した。
しかし、核心部の滝の登攀中、落石事故のため引き返し。
<8/14 入山>
札内ヒュッテの車止めゲートには、前日から1823南面に入山しているガクの車があった。中に置いてある計画書の緊急連絡先が僕にされていたが、見ないことに。(携帯番号が違っているし)
まあ、十勝側からの入山はなんとなく牧歌的で明るいものだ。快晴の空には、すでに秋の気配が漂っている。荒れた林道をすすんで、支流出合の橋から入渓。河原からすぐに岩盤函状となり、水と戯れながら釜滝を幾つか越えていく。花崗岩の一枚岩にフリクションが利いて快適。アクアソール、いいね。
しばらく進むと正面に1807東面の大障壁を仰ぎ見る。中央に懸かる1筋のナメ滝が、今回の登路だ。屈曲のため、上部の沢筋までは見通せないが、見える範囲だけで高度差2〜300mはあるナメ滝だ。その先を含め、そそり立つ具合は日高有数と思われる。滝の直登は、手前の雪渓からの取り付き部分と中間2箇所くらいのぶっ立った箇所の処理がポイントだろう。久々にアドレナリンが全身に駆け巡る。
手前の平地でC1。流木豊富。もう少し早ければ、ここも雪渓の下なのだろう。
<2日目 滝の登攀>
2日目の始まりは、大障壁に朝陽が照って眩しい。小さな函滝群を右岸から捲き、そのまま雪渓にのる。大障壁の滝の始まりは、下段70m+上段80mで、下段70mの下半分は雪渓に隠れている。雪渓から右岸に繋がっているシュルンドを見つけ、そこから飛び移る。リッジ状を登り、下段の滝の落ち口の高さを越えたところから、上段80mの滝の取り付きへ向かってトラバース1p。
上段80m滝は、まずカツマタのトップで右岸から取り付き、途中水流を横切り左岸のテラス状でピッチを切る(30m)。2p目はSAITOトップで再び右岸に移り、40mいっぱいロープを伸ばし、落ち口手前のブッシュを支点にピッチを切る(40m)。
<アクシデントと退却>
2p目終了後、SAITOが後続へビレイ解除の合図をし、すぐ上の岩盤へ手をかけたところ、岩盤の一角が滑る様に崩れ落ち、ザック大の落石が発生した。落石は落下途中、左岸で一旦バウンドしてカチ割れ、その主要な破片が運悪くフォローの2人を斜め横から襲う。カツマタの断末魔の様な叫び。大腿部を負傷。
すぐに懸垂で降り、夫人のアスキとともにテラスで介抱する。骨には異常ないようで一安心。しばらく水で冷やし、びっこを引いての退却を決める。脇腹にもカケラが飛んだらしく、違和感あるようだ。肋骨も気になる。
落石の直撃で切断され、5m短くなったザイルで2回の懸垂下降。再び雪渓上に戻る。その後は所々ロープで補助しながら何とか下山。
<反省>
滝の左岸側が崩壊していたので、右岸側にも脆い部分があると予想できた。しかしながら、下から見て微妙なバランスで斜面に載っていた巨大な浮石に気づかなかった。しかも流れ盤だったため、少しの刺激で一気に崩壊まで至ってしまった。
後続の確保位置は登攀ルートの真下から外れていたものの、途中バウンドして落石の方向が変わった。直撃だったら完全にアウト。
改めて沢登りの怖さを教えられた。それなりのルートに挑むには、想像力を駆使し、あらゆる危険を予想しなければならない。自然の力を前に人は無力だ。謙虚さをもって対峙すること。
コメント
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初めまして…。
ついつい、気になって、コメントしてしまいました。
私は、小さい沢にしか行きませんが、そんな所でも、大きな岩が動いたり、まさかと思う様な事が起きます。
分かっていても、つい、確認がおろそかになって、怖い思いをする事が有ります。
カツマタさん、お大事にして下さい。
rinngoyaさん
その後太腿は急速に回復したようで、安心してます
肋骨はヒビが入っているかもしれないとのこと。少し時間がかかりそうです。
1969年8月に、地図で見ると7の沢が稜線に突き上げているところの等高線がものすごく混んでいるところが有り、ここには幻の大岩壁があるのではないかと上級生にそそのかされて、当時2年目のK原(1968)と二人で偵察に行ったことがありました。行ってみると糸のような滝が上部のブッシュから流れ落ちていて、岩壁登攀にはほど遠いなという結論になり引き返した記憶があります。当時撮ったモノクロの写真と対比させてみると全く変わっていません。しかし滝登りという視点で見ると非常に面白そうですね。でも大事に至らなくてよかったです。
この時の山行にはもう一つおまけがあって、翌日8の沢からカムエクを往復した時、カムエクのカールでヒグマに遭遇しました。こちらもびっくりしてかなり距離をとってお互いに見つめ合う(?)ことになったのですが、幸い襲われることもなく下山できました。しかし翌年同じ場所で福岡大学のWV部員3名がヒグマに襲われ亡くなった事故があり、我々が遭遇した同じヒグマではなかったのかなと思いました。
AACHのFacebookに45年前の写真を投稿しておきました。
takedaさん
僕の生まれた頃に行ってたのですね 。モノクロ写真見てみます。ありがとうございます。
致命的な怪我ではなかった様子、何よりでした。
過去の記録にあっても浮石の記述有り、規模大きく雪渓の残り易いこの沢の性質と無関係ではないと思われます。誰にでも起こりうる事故として、私自身も留意したいと思います。
久しぶりのこの沢の記録で色めき立ったところでしたが残念。怪我の回復後、またの挑戦を期待しその記録を楽しみにします。
タケダさんの先見性には感心致しました。岩壁登攀ではないにせよ、渓谷登攀の範疇では当時でも充分に語られる資格のあった沢ではないでしょうか。小生未見ですが。
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