【道央】登別渓谷遡行(中退)

- GPS
- 10:35
- 距離
- 5.7km
- 登り
- 828m
- 下り
- 847m
コースタイム
- 山行
- 10:35
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 10:35
天候 | 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・ルートについては遡行図参照。 ・入渓・脱渓が可能な場所は限られる。 ・上流にカルルス温泉があるためか、水は白濁しており、水温はあまり低くない。 |
その他周辺情報 | ・この大ゴルジュは今まで見逃されていたと思われ、遡行・下降共に記録は未見。称名廊下が完全遡行された今、日本に残された最後の未知の大ゴルジュかもしれない。 ・かつては登別川は千歳川と呼ばれていたため、下流に千歳水源がある。室蘭市、登別市の上水水源となっているらしい。 |
写真
装備
備考 | ・ラバーソール適 ・泳ぎが多いためウェットスーツ推奨 |
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感想
【計画の経緯】
飛生川のそばの地図を見ていて気になったのがこの登別渓谷。紅葉が綺麗な観光地としては知られているが、どう見ても下にあるのはゴルジュである。しかしながら、遡行対象として捉えた人はいないようで、記録もなければ言及もない。それならば探索してみようということで、遠征2日目に行ってみた。
【記録】
まずは登別川にどうやって降りるかが問題である。新登別大橋の下流右岸が最も降りやすそうだとあたりを付けて下ってみたら、目論見通り、懸垂下降もなしで下れて大当たり。川に降り立つと青白い水が滔々と流れており、未知の難溪の予感に気が引き締まる。
予想通り、入渓直後から泳ぎ、激流を渡渉することにはなったが、決定的な難所は意外と現れない。新登別大橋からも見えていた2.5mCS滝は左からへつって巻くことができ、一安心。その先で川が左へ曲がると、いよいよ新登別大橋からは見えなかった、完全未知の世界。
何度も泳いで淵を突破していくと、右岸から枝沢が滝となって流入する下で、遂に突破不能そうな急流の淵が現れる。しかし、ここは好都合にも右岸の壁を登れ、そこから懸垂下降で急流の先に降りることができた。打ったハーケンは回収し、後続はロープに引かれて突破。
さらに進んでいくと再び急流の先の1m滝があり、これも水線突破は不可能。しかし幸いにも、左のスラブを悪めの巻きで越えられた。
その後も連続する泳ぎをこなしていくと、遂にどう考えても突破不能で側壁も立っている2段2m滝。敗退かとも思ったが、少し戻れば右岸から大高巻出来そうである。ロープは不要だがそれなりの悪さの巻きをこなし、次の不可能そうな滝もまとめて巻いて、自画自賛の完璧なルーファイで3m2条滝上に懸垂下降できた。
そこからしばらく進んだところで、今度は困難そうな2m滝が出てくる。ライフジャケットを着用し、何度も泳いで取りつこうとするが、カムは決まらず、ハーケンをきめてあぶみに乗ったら岩が割れて落ち、結局リスもなくなって、断念。一方deepblueとkaiseiのハンマー投げ班も何度投げても引っかからず、万事休す。1時間以上粘って時間も無くなってきたので、ここで敗退を決断。もしかすると、左岸から大高巻できたかもしれないが。
敗退といっても、この場所からの脱渓は不可能。とりあえず可能そうな場所が出てくるまで沢下降していく。登りで大高巻した場所も、下りなら飛び込みと流されで快適に下れ、結構楽しい。しかし、運動量が落ちるため寒くなってくる。
幾分下ったところで左岸から脱渓出来そうになってきたので、寒さと飽きもあり、脱渓を決断。悪めの斜面をお助け紐を出しながら登り、藪らしい藪はなく道道に出ることができた。あとは車道をひたすら歩いて駐車場へ。
【感想・総評】
こんなにも面白く、ドキドキする沢登りはそうそうできるものではない。ちょっとした難所でも遡行不能となりうる大ゴルジュで、難所が現れるたびにどう突破するか考え、それを試していくのは、探検的沢登りの面白さを凝縮したような経験であった。これほど沢の開拓が進んでいる日本で、ここが残されていたことは奇跡的であり、未開のまま残っていた偶然に感謝したい。
結局この登別渓谷の全貌を明らかにすることはできなかったが、先鞭をつけただけでも非常に面白かったし、価値があることだったと思う。そもそもこの遠征は日高や大雪に行こうと思っていた遠征だったが、悪天候でここに転進することになった。しかし、むしろその方が良かったとまで思えるような、素晴らしい開拓ができたと考えている。
誰か、この日本最後(かどうかは分からないけど、私はそう思っている)の未知の大渓谷、登別渓谷の完全解明を。
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