斜里岳北壁/右リッジの左ルンゼ


- GPS
- 48:39
- 距離
- 12.5km
- 登り
- 1,292m
- 下り
- 1,289m
コースタイム
二日目:C1(5:30)発→黒いピナクル基部でシーデポCo1220(7:10)→北壁トラバースして中央リッジ末端より登攀開始(8:45)→40+30m→白いバンド中央岩稜基部(9:30)左岩壁方面へ1ピッチ出してトラバース偵察→右リッジ基部登攀開始(10:30)→(40m×4ピッチ)→山頂(11:30-12:00)→北稜クライムダウン→シーデポ地点(13:10-30)→C1(14:00)
三日目:C1(6:40)発→林道(7:00)→車(7:00)→下山→越川温泉→弟子屈→南千歳駅(17:00)→函館→青森
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年05月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
天気快晴 三日の夕から翌朝にかけ強風 五月連休にしては雪の多い年。北壁のトラバース斜面やルンゼの氷雪の状態は申し分なし。ただし岩ルートの雪はもう既にない。 |
写真
感想
斜里岳は26年ぶり。今年の5月連休は雪が解けのこっているので、日高の奥地へ通じる谷からの遠距離アタックカールスキー作戦はやめて、壁登りにした。狙い通りにひと月近く前の状態があり、とても満足。岩ルートはもう氷雪が取れてしまっていたが、凍ったルンゼを両手アックスでじゃんじゃん登れる楽しい登攀を満喫した。そうそう毎年この時期こうはならないと思うよ。
斜里北壁の記録はいくつかあるようだけれど、ルート名などはあまり決まっていないように思う。今回の名前も便宜的なもの。北稜からの斜里は利尻の南稜を思い出すような格好いい山。こんな面白い場所がまだ北海道に残っていたか!
ルートは後日写真に赤線を入れて示します。
札幌から足寄経由で斜里へ。7時間。平野にそびえる斜里をみると北海道に憧れてきた20歳の頃を思い出す。風景は全く変わっていない。
玉石沢の入り口林道は前回も迷ってずいぶん歩いた。そのときの書き込みが地図にそのまま。雪の季節はとにかくスキーで直進すれば良い。
カンバとタンネの緩い斜面を登り、いい時間になった頃樹林限界。北壁が少し望めるよい天場。僕は風邪で咳がひどい。焚き火でバーボンを飲んでいたら治ってきた。ラジオは忌野清志郎一周忌で泣けるナンバーが続く。オホーツクに落日、平野に光、満天の星。
朝は国後の上に旭日。日が長い。さすが道東だ。3時半には明るい。風邪はすっかり治ってしまった。登攀道具を背負って出発。斜里北壁はまるでバルトロ氷河からみたガッシャブルム4峰のように神々しい。道東のG4と呼ぼう。北壁を愛でるこのルート、斜里の正面玄関と呼ぶにふさわしい。「ごめんくださ〜い」と言いたくなる。
北稜上のピナクルの基部でスキーをデポ。黒く見えたピナクルはハイマツだった。右に巻きながら最大の黒いピナクルの上に立つ。ここからの北壁はまるで利尻南稜のP2からの眺めを思い出す。はじめ北稜を往復の予定だったが、行けそうなので北壁の中に入り、中央リッジか右リッジをいこうということにこの場で決まる。
延々固い斜面のトラバース。潜るよりはマシだが斜度45度はあり高度感満点。日が当たらない北壁だから良い。
中央リッジの末端からザイルを出してスタート。トップは全部斉藤。ピンはすべて掘り出したカンバ。凍ったリッジ沿いに両手アックスで快適に2ピッチ上がり、雪のバンドにあがる。黒い岩壁帯の基部だ。岩壁帯7、8mを超えてしまえばあとはまた雪のルートになりそうだ。弱点を探して1ピッチ左へ進んでみる。が多角的にみると、傾斜がきつい岩壁は7、8mでは終わらず、もっと長いことがわかる。さすがにこれも真っ白な季節は、3月上旬あたりだろうか。岩登りルートより今回はダブルアックスでスカスカ行けるルートを、ということで、一番右のリッジのほうへまた40mトラバース。そのリッジの左脇のルンゼが調子良さそうだったのでそこを直上することにした。ザイルいっぱい4回で快適に上がり、山頂。
屈斜路湖や摩周湖のカルデラ、海別岳、それに南東には見たことのないペルーアンデスみたいな尖峰群がある。武佐岳と周辺の山群だ。絶景。斉藤が昔敢行した、摩周岳から知床岬までの3週間大縦走のやっと半分が見渡せる。よくやるよなあ。空前絶後だと思うよ、そんなことする人。
北稜の下りは怖い。日が高くなって雪も腐りだし、五月の感じなってしまった。幅1m以下の急な雪稜が続く。バックステップで下るが、アイゼンもアックスもずりずり決まらず。時間をかけて下る。一カ所アプザイレンする。スキーまでもどってBCまでは快適なスキー。あっというまに天場に戻って乾杯。
ラジオは去年と同じく岩槻さんが有楽町からラフォルジュルネを生中継やっていた。今年のお題はショパン。ベレゾフスキーのピアノ協奏曲。でも山の焚き火にはバッハの方がいいなあ。夕方から風が強まる。ツエルトの周りは雪が解け、寝床だけ盛り上がったので、幕が風で夜中に舞い上がり、目を開けたら外にいた。気温は高く、別に平気だった。
翌朝の下山はタンネとカンバのスラロームをしながらあっという間に降りてしまった。近所の越川温泉という共同浴場にて、地元のおやじと風呂の話。風呂に引いている熱すぎる源泉うめ用の沢の水、ためてあるところをよくシカが濁らせるとこぼしていた。「鹿の野郎がまた水浴びしやがったな!」なんていうんだ。「ここのお湯はホントに疲れがとれるんだ」と朝野良作業あがりのおじさんが言っていた。
セイコーマートで、下山牛乳1リットルイッキ飲みして、延々7時間かけ道東より帰還する。高速道路もできたけど、さすがに遠いよ。足寄の駅前目抜き通りの「両国」っていう蕎麦屋の豚丼とカツ丼がすごくうまかった。やはり蕎麦屋の丼ものはうまい。
武佐岳周辺の尖峰群一筆書き縦走の案も練った。夕張、トマムの道路がつながったら近くなるかも。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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ヨネさん、焚き火はやっぱり良いものですね。
天気も良くて最高の山登り楽しんだようですね
この時期は年によって雪の状態が全然違うから、山域も山行ジャンルもそれに応じて組み立てるのが肝心ですね。
相棒の手持ちの計画と研究の多さに導かれています。
okuyaさんの、この時期の激流の沢登りというのも、新ジャンルだと思います。いろんなバリエーションがあるものですね。何にしても焚き火は不可欠です。
山麓ビート畑からの姿も不思議なほど
三角形の尾根がバランスよく配置されているようです。
山野井氏の美しいからそこに向っていき、
登りたくなるといった言葉を思い出しました。
jazzyさんこんにちは。
人と同じで山の美しさにもいろいろありますが、シャリは間違いなく美人山です。美しくカッコもよく、満足の壁もあり、申し分なしです。南側のすそ野にはあまり知られていない広大な針葉樹林名があり、さまようのにもよいところです。
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