【奥秩父】東沢渓谷アイスクライミング遡下行
- GPS
- 21:40
- 距離
- 18.9km
- 登り
- 2,273m
- 下り
- 2,271m
コースタイム
- 山行
- 8:56
- 休憩
- 1:31
- 合計
- 10:27
天候 | 1日目:晴れ 2日目:雪時々曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2024年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・東沢本流:鷹見岩前沢出合までは巻き道を進み、以降は河原を進むのが良い。結構氷結しており氷上を交えて歩けるが、踏み抜きには要注意。 ・ヤグラ沢:下部は氷がないが、1350〜1550あたりはナメ氷が発達している。傾斜は緩く下降でも問題ないレベル。 ・乙女沢:出合から1600m程度まではナメ氷が続いている。乙女の滝と大滝が+程度で、他はもっと易しい。 ・奥ノ乙女沢(奥乙女の沢):出合の滝が慶度。その先にゴーロ、ナメ、ゴーロ、ナメと続いた後、1550付近に30m IV-程度の氷瀑がある。 ・西のナメ前沢:出合から1520m付近までナメ氷が続く。下から2つ目の滝が慶度。登るには易し過ぎる沢。 ・西のナメ沢:1450m付近の大滝が慶度。他は容易なナメ氷が1540m付近まで続く。1420m左岸枝沢は、下部にナメ氷があり、涸れ沢を経て、1550mに30m V-程度の氷瀑がある。 |
その他周辺情報 | ・温泉:塩山温泉 宏池荘。500円で、周辺では恐らく最安価。 https://kouchisou.com/relax.html ・2019年にtamoshimaがヤグラ沢(左俣)を遡行したときの記録: https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2082590.html ・2022年の鷹見岩前沢・清兵衛沢の記録(tamoshima): https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4042723.html |
写真
装備
備考 | ・要チェーンスパイク |
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感想
【計画の経緯】
暖冬の今年でも凍ってそうで、アイス初心者かつ沢の溯下行が好きなたなが楽しめそうな所を考えた結果、東沢渓谷を選定。
【記録】
●1日目
○アプローチ
何度も通っている東沢渓谷への径路は、落ち葉の堆積が凄く落ち葉ラッセル。冬に通る人は少ないらしい。2年前に登った清兵衛沢F1は、暖冬の影響で繋がっていない。ホラノ貝ゴルジュ入口は思ったより凍っていたので、休憩を兼ねて奥を覗きに行ってみる。氷が割れそうな怖さがあるが、泳がずにゴルジュに入れるなんて。いつもと変わらず水は青く、美しい。
面倒な大高巻きでホラノ貝ゴルジュを越えると、これも2年前に登った鷹見岩前沢F1が見えてくる。随分氷が貧弱だが、これは登れそう。明日登る候補としてとっておく。東沢本流の遡行は、東のナメ沢を登りに来た時の印象では退屈だったが、今日はそうでもない。想像以上に本流が氷結していて、美しいではないか。ところどころ氷を踏み抜いてドボンしそうにもなるが、致命的なのは免れ、氷の沢歩きにも飽きてきた頃、乙女沢出合に到着。ここで幕営とする。
○西のナメ沢
日帰りの軽荷になって足取りも軽く、相変わらず癒し系の東沢本流を遡行していき、目的の西のナメ沢出合に着。うん、綺麗に凍っている。序盤のナメ滝を快適に登ると左岸から枝沢。東沢本流から遠望で見えた結構立派な氷瀑がこの枝沢にありそうだと思っていたため、ここでこの枝沢へ入ってみる。ナメ氷の先は水も氷もなくなり、違うのかなと思って一応少し登ってみると、やはり、それはあった。沢の詰めのようなところを登り、ナメ氷を巻いていくと、目的の氷瀑。結構垂直に近いが、登れそうだ。tamoshimaリードで登り(V-)、たながフォロー。アイスのフォロー登攀が初めてにしては難しい氷瀑だったと思うが、しっかりフォローできていたので感心。懸垂下降で下り、下部は巻いて西のナメ沢本流に戻る。
西のナメ沢の立派なナメを快適に登っていくと、大滝。容易そうなのでたなの初リードに丁度良い。たなにリードしてもらうと特に問題なく登っていく。約3年で上級の沢まで行っているだけあって、流石に呑み込みが早い。tamoshimaフォローし、相変わらず続くナメ氷を登っていくと、急にナメが終わったので、右岸枝沢を詰めて西のナメ前沢へ向かうことにする。アイスで沢下降するのは初めてだが、どうだろうか。
○西のナメ前沢下降
適当に斜面を下って西のナメ前沢に降りるが、ゴーロの沢。とりあえずゴーロを下っていくと、途中からナメ氷が出てきたので、アイゼンを付けようとする。が、ふとした拍子に、tamoshimaのアイゼン、氷を滑って下へ下へ… どこまで行くのかと思ったが、幸い、数mで止まった。たなのアイゼンを借りて取りに行き、事なきを得るが、ヒヤリハットだ…
西のナメ前沢のナメ氷は、想定通りにクライムダウンできるレベルのものだが、慣れないたなには難しいようで、ずいぶん時間がかかる。それでも何とか頑張り、最後の2つの氷瀑だけはたなは巻いて、東沢本流到着。が、ここでたなが氷を踏み抜きドボン。最後で良かった。さっさと幕営地へ撤収。
夕食は鍋。安定の味。未明、tamoshimaが目を覚ますと、雪の降る音が聞こえる。随分、予報より早い降りだしだ…
●2日目
朝になっても、雪は降っている。やろうと思っていた焚火もできないし、なんだかモチベーションは下がるが、こんなところまで来ているので、このくらいの雪が降ってもアイスクライミング。
○乙女沢
テントを出ればすぐに乙女の滝。雪が積もって昨日より見栄えが悪くなった。たなにリードするかきいてみたが、朝一はやめとくとのことなので、tamoshimaリード。登りやすい。
積雪は5cm程度なので、見た目は雪原だが感触はナメ氷。そんなのを次々登っていくと、この沢の核心とされる大滝。ここは2pに分けて、1p目はたな。確かに容易な氷瀑ではあるが、2回目のリードとは思えないほどランナウトしていく。それほど自信があるのだろう。2p目はtamoshimaでさっさと登り、大滝は終了。
その後もしばらく薄い積雪のあるナメ氷を登るとゴーロになってきたため、西のナメ前沢同様に下りやすそうなヤグラ沢へ向けてトラバース。ちょっと藪がうざいが大したことはない。
○ヤグラ沢下降
ヤグラ沢(右俣)も上部はゴーロなので、適当に下っていくと、途中でナメ氷が出てくる。アイゼンを付けてクライムダウン開始。たなも慣れてきたようで、下降速度も昨日よりは速い。
結構下ったところでナメ氷が終わり、岩が露出してきたので左岸から巻くことにする。チェーンスパイクに履き替えて斜面を進むが、チェーンスパイクに雪団子が付いていたようで、両足が滑ってtamoshimaが滑落。手持ちのアックスを木に引っ掛けたが支えきれず、5m程度落ちたところで斜面が緩まり停止した。怪我もなく一安心だが、またヒヤリハットだ… が、その2分後、たなも3m程度滑落、無事。なんなんだここの斜面、滑りやすすぎるだろ。滑落直後で気を付けていても滑落するなんて。ということで、以降は細心の注意を払って大きめに巻き、無事に東沢本流へ戻る。
○奥ノ乙女沢
次はテントを撤収してから鷹見岩前沢でもやろうかと思ったが、せっかくこんな奥地に幕営しているのだから、と考えなおし、奥ノ乙女沢へ行ってみることに。
遠目にはまずまず立派に見えた奥ノ乙女沢F1も、近づいてみると随分寝ている。ここはフリーソロで登攀すると、ゴーロになる。残念、アイゼンを外して、一応上流へ行ってみると、ナメ氷が出てきたのでまたアイゼン装着。さらに登っていくと、上部にまずまず立派そうな氷瀑が見えてくる。こうなると引き返せない。時間は押しているが、登ることにする。tamoshimaリードで登ってみると、結構寝ていて登りやすい。サクッと登って、フォローも問題なく、さてV字スレッドで降りようかと思うが、何だかうまくロープが通らない。結局もう1段登った倒木にロープをかけて降りたが、時間を浪費してしまった。
夕闇が迫っているので、さっさと同ルート下降。3回目のアイスクライムダウンとなるたなも随分慣れてきて、最初の西のナメ沢の時と比べると3倍くらい速い。おかげで16時前に幕営地に戻れた。
○デプローチ
テントの撤収とパッキングにはなんだかんだで30分近くかかり、ちょっと時間を使い過ぎか。積雪により景色の変わった東沢渓谷をひたすら下っていくが、鶏冠谷出合付近まで戻ったところで氷を踏み抜いてtamoshimaがドボン。腰まで浸かって最悪。その後、たなも渡渉に失敗してドボン。2人して最後に何やってるんだか。
この日ほど下山後の温泉が有り難かった日は、なかなか無い。
【感想】
狙い通りに氷結良好なナメ滝群の登攀とクライムダウンが楽しめただけでなく、西のナメ沢枝沢に短いバーティカルアイスも発見でき、充実した山行になった。アイスでも条件次第で沢下降が楽しめるというのは良い気付きだった。初心者のたなにも存分に楽しんでもらえたようで何より。
【総評】
東沢渓谷の右岸支流群は、ナメ氷好きにはたまらない景観だった。アプローチがやや遠いとはいえ、今回のように泊りで入って複数ルートを登れば、効率も悪くない。癒し系のアイスクライミングルートとして、もっと見直されても良いのではないかと思う。
アイスクライミングを凍った沢登りと定義するのであれば、やっぱり夏同様に遡下降してみたい。しかも、夏ではお話にならないような滝も氷れば登れるということであればルート取りの選択肢は増えるんじゃないか?これは夢広がるねなんて話をしてたらtamoshimaさんがうってつけのルートを組んでくれた。トップロープゲレンデじゃないアイスは初めてだけど、もうノリと勢いでごまかすしかない。
東沢渓谷はホラ貝で遊んだ時以来。美しい青い釜がカッチコチに凍っている。東沢渓谷本流もキラキラした氷が色んな模様に氷結してて綺麗だ。暖冬でも結構しっかり凍るんだな。
初日の青白いナメ氷、謎のバーティカル、テン場での美味しい鍋、賞味期限切れの高級洋菓子(うまい)、二日目は雪景色のナメ氷と、どれもがっつり楽しめた。
クライムダウンはかなりおっかなびっくりだったが、思ったよか前爪は信じられる事が判明。アックスはまっすぐ打たないと刺さらないで氷が割れる。横移動の際はアックス持ち替えが便利。「大丈夫だよね?」とフラグを立てた氷は踏み抜いて割れる。とても学びが多い二日間だった。
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