三陸海岸 アンモ浦の滝登攀 無念の撤退記
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- GPS
- 06:34
- 距離
- 7.1km
- 登り
- 1,034m
- 下り
- 1,038m
コースタイム
- 山行
- 6:21
- 休憩
- 0:12
- 合計
- 6:33
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
アンモ浦の滝 登攀 全員ラバー 水量多め ヌメリ酷い 岩脆い ロケーション最高 ■アプローチ 駐車場から国民宿舎くろさき荘の前を通り、みちのく潮風トレイルへ。 しばらく下ると橋が現れ、ここから潮風トレイルから外れてアンモ浦の滝に通じる沢沿いを下る。 頃合いを見て左岸のガレルンゼに入り、落石に気を付けながら海岸まで下降すると、アンモ浦の滝の取り付きである。 スタートから30分くらいでアンモ浦の滝の滝下へ。 ■アンモ浦の滝登攀 1P目 40m + mooree クズミサワリード ホールドやスタンスはあるが、とにかく滑りと岩の脆さが際立つ。 タワシが無いと絶対登れないようなヌメリと、ハーケンを打ってもボロボロこぼれる岩質で、グレード的には+くらいだが、まったく快適な登攀とはいかなかった。 中間地点の右岸の灌木でビレイ。 ハーケンでの支点構築は止めた方がいい。 ■2P目 ヒロシーリード 控蕁,△箸倭完で2回ずつトライ。 落口が核心なのは分かっていたが、そこに至るまでもなく手前が上がれず。 ヌメリ、水圧、低体温、気持ち、登攀能力、全てが及ばず無念の撤退。 中間テラスの立木に捨て縄2本で苦渋の懸垂下降。 捨て縄は残置してしまいましたが、今シーズン必ず回収します。そのままにしてやって下さい。 |
その他周辺情報 | 国民宿舎くろさき荘 帰りに宮古で「中華そば たらふく」 |
写真
装備
個人装備 |
ガチャ類 ビバーク装備
|
---|---|
共同装備 |
60mザイル
|
感想
アンモ浦の滝 撤退記
普代村の黒崎海岸にあるアンモ浦の滝。
この滝の初登は2015年と最近の事。その後も名のある沢ヤの方々が登攀しているが、ネットに記録があがっているのは4パーティーのみだろうか。
まだ4月のシーズン初めだが、ヒロシーがアンモ浦の滝を登りたいと言い出した。
私も気にはなっていたので二つ返事でオッケーと言ったが、超人tamoshima氏が2P目に控蕕鬚弔韻討い襪里鮓て、条件が悪かったら無理だろうと内心思っていた。
いざ当日、心強い仲間の団栗林さんとクズミン参戦。
待ち合わせ場所の駐車場で前泊してモーニングコーヒーを優雅に飲んでいると、集合時間の1時間半も前に2人がやってくるという気合いの入り方。
そんな2人を見てると、なんか登れる気がしてくるから不思議だ。
実際今日の面子では団栗林さんがズバ抜けて登攀能力が高いので心強い。
一度滝を見ているクズミンの案内でスムーズに滝下に辿り着くと、目の前には大岩壁に打ち付ける荒々しい海岸と雄大な太平洋が広がっていた。
そして海に背を向け振り向くと、そこには巨大なアンモ浦の滝が聳える。見える範囲では80m程だろうか。
このロケーションは凄い。
海岸瀑と呼ばれる大滝をこんな間近で見るのは初めての私は、このロケーションにただ呆然と立ち尽くした。
あまり見惚れてもいられないので、一服したら早々に登攀準備。
1P目はザイルは2本に分け、mooree、クズミンのリードで登る。
先に私が取り付いたが、取り付く前に登攀ラインを追ってる時点ではそんなに難しくないように見えた。
しかし一歩登り始めると、強烈な滑り。
水線周りは緑の苔でコーティングされており、ワイヤブラシでも落ちない。
苔がない場所も黒ヌメリが酷く、一歩一歩ブラシで磨きながら慎重に登る。
そしてハーケンを打つが、今度は岩が脆い。
数少ないリスにハーケンを打ち込むが、簡単に岩が砕けてまともに決まらない。
一手一手岩を確かめ、一歩一歩ブラシでこすりながらようやく中間テラスへ。
ちょっと時間をかけ過ぎて後続に申し訳なかったがとりあえず一安心。
後続もヌメリと脆さに苦戦しながらも全員無事に中間テラスに立った。
テラスから2P目を見上げると、下から見上げた時より悪く見える。
何より登攀ラインに物凄い勢いで水が落ちている。
「こりゃ、厳しいぞ」
そこにいる誰もが思ったと思うが、リードを名乗り出たのはヒロシー。
言い出しっぺの自分がリードすると意気込んで取り付いたが、おそらく内心は穏やかじゃなかっただろう。
2P目スタート。
取り付きからいきなりシャワーを浴びる。
見てるこっちが震えそうだが、なんとかハーケンを叩き込みジワジワ上がって行く。
上がるにつれ、今度は頭上からのドシャワーが叩きつける。
この状況でも冷静にカムを決めて上を狙ってる姿を見て、胸打たれるモノがあった。
「ダメだ!前が全然見えない!」
やはり厳しい。
一旦下がり、今度は私が取り付いたが、取り付きから滑りとシャワーで心が折れそうになる。
なんとかヒロシーがカムを決めた所まで登ったが、頭上からのシャワーが物凄い水圧でたまらず一旦右に逃げる。
息を整え、もう一度水流に突っ込み手探りで手掛かりを探すが、右のクラックに指がかかるくらいで、この水圧の中勇気を出して気合いで上がる事がどうしても出来ない。
「ダメだ、上がれない!リスクがでか過ぎる!」
続いて団栗林さん。
前の二人の登ったラインは無理だと分かり、やや左側から攻める。
しかしやはり自然に同じラインに入って行くのを見て、やっぱりそっちも無理なんだと下から見てて分かった。
そして同じように頭上シャワーの位置から色々試すが、やはり上がれず。
とにかく長時間その場所にいる事が出来ないのだ。
団栗さんは次のトライの手掛かりを見極めて一旦下がったが、クライムダウン中に1ピン目のハーケンを打ってた岩が根こそぎ崩壊。人間の胴体程の岩がゴロンゴロン落ちてきて皆肝を冷やした。
そしてクズミンに交代。
デカカムが入るかもと団栗さんからアドバイスを受けてクズミンが取り付くが、ものの数秒で降りてきた。
「息が出来ない」
と言うクズミンに、団栗さんは
「何やってんだよ、早すぎるよ!もっと粘れ」
と容赦ない言葉を浴びせてるのを見て思わず笑ってしまった。
私ももう一回トライしたがやはり同じ位置から上がれず。
団栗さんは2回目で、ドシャワーの中物凄いムーブを繰り出し、先程より少し上に抜けた。
下で見てた我々は
「おっ!行ったか!!」
と叫んだが、そこから先はさらにホールドがないらしく、決死のクライムダウンで降りたが、その瞬間に2mくらいフォール。
カムで止まってどこも打たなかったのが幸いだったが、もう潮時だと思った。
2回目のトライを終えて下りてきた団栗さんは、自分でザイルを解く事も出来ずにガタガタ震えている。もう低体温寸前だ。
最後はヒロシーがこれも命懸けで支点を全て回収して、終了。
登れなかった。
この滝を去年登攀成功している沢仲間のきつつきさんは、滝の落口直下で、落ちる!と思った瞬間、アンモに背中を押されて落ちなかったと記録に書いていた。
我々はアンモに嫌われたか。
「今日はやめとけ」
そう言われたのか・・・
最後は1P目に登った40m滝を懸垂で降りたが、違う状況なら40mの滝身を海をバックに懸垂で下りるなんて気持ちいいはずだが、皆黙々と下りてきて、爽快感の欠片もなかった。
皆悔しさを胸に抱いていたと思うが、特に印象的だったのは、団栗林さんが心底悔しがっていた姿だ
。
やはりクライマーは、難しい課題に何度もトライして完登を目指して行くので、登れなかった時の悔しさが次へのバネになるのだろう。
一方沢ヤは、登れないなら巻けばいいよ的な発想があり、通常の沢登りでは悔しいと思う事があまりない。
今回は大滝登攀が目的だったのでさすがに私も少しは悔しい気持ちを抱いたが、心底悔しがる団栗林さんを見て、その悔しさは倍増した。
わざわざ付き合って頂いたのに登れなくて申し訳ないという思いと、絶対登ってやるという気持ちが足りなかったんじゃないかと帰宅してからジワジワと湧いてきた。
「このまま終われない」
団栗林さんが吐き捨てた台詞に全てが詰まってる。
必ずこのメンツでリベンジを。
そう強く心に誓って、その日を待ちたい。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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何度思い出しても抜けるイメージが湧いてこないので完敗です。
取り敢えずカムを買います。
ぜひリベンジ登攀に誘って下さい。
あの滑りと水量では完敗でしたね。でも団栗さんの登攀はさすがでした👍
もちろんリベンジ行きましょう!
ちょっと時期が早すぎましたね笑。
水量がもうちょい少なければまた変わってたと思います。
またタイミングを見て訪れたいと思います。
藤沢の滝の方は、ポカポカ気分で平和に遡行出来ました😁
貴重な記録ありがとうございました🙇
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