竈ヶ谷からポンポン山周回
- GPS
- 03:46
- 距離
- 7.7km
- 登り
- 403m
- 下り
- 390m
コースタイム
天候 | 晴のち曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
よく踏まれた登山道 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
靴
ザック
昼ご飯
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
GPS
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
カメラ
シュリンゲ
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感想
春の花々が咲いたと思ったら、早くも夏の花へと移りつつある。この季節は忙しい。仙台にいた頃、asakinuが密かに山菜取りやキノコ狩りに興じていた青葉山の谷がある。春、イワウチワやカタクリがピークを迎えた後、ふらりと訪れた時のことだ。陽射しが遮られていつもは暗く湿った斜面が、目が醒めるほど鮮やかに輝いていた。一面、黄色くあでやかな花に埋め尽くされていたのだ。その植物は1メートル近く細い茎を伸ばして斜面に倒れ掛かるような姿で2−3センチの黄色い花を多数つけている。それまで見たことのない花だったが、それがヤマブキソウであることはすぐに調べがついた。その後、幾度かその姿を拝もうと同じ場所を訪れたのだが、花はさっと咲いて散ってしまうので、あの心躍る一面の黄色い絨毯を目にする機会はやってこなかった。そうこうするうちに仙台を去る日がやってきた。以来、ヤマブキソウへの憧憬は消えることなく意識に刻まれたのだった。関西にやってきて(50年余りの歳月を挟んで戻ってきて)こちらの山々を巡るも、あるフラストレーションに終始さいなまれていた。花が少ないことだ。山菜も少なく、楽しめない。そのわけはあまり時を要せずに理解できた。シカの食圧である。シカが入り込めない金網の塀に囲まれたアンテナ塔の周りにはフキノトウ、道路や河川の急な法面にはウドやコゴミがにょきにょき出ていたりするが、そういう場所にはこちらも接近困難である。
さて、そのヤマブキソウだが、近場の山情報を探っているうち、ポンポン山の谷筋にある保護地に咲くことを察知した。以前、車で迷走してたまたま知った大原野森林公園。ここに注ぐ竈ヶ谷というところにヤマブキソウが咲くという。ここにはイチリンソウ、ニリンソウなどが生え、稜線近くにはフクジュソウ自生地、カタクリ自生地があるというから驚きである。ヤマブキソウは通常なら4月の20日前後に咲くようなので、今年は何としてもトライしなければ、と計画を立てた。
自宅から近い山域なのだが、アクセスは悪い。逢坂峠は昨年歩いて越したが、狭い九十九折れの道路で一部は相当な急勾配である。遠回りだが西側から向かったほうが無難だ。途中、採石場銀座があり、周囲一帯は砂塵で白く霞んでいる。これを抜けるといきなりのどかな田舎となる。低山なのに雪がよく降るこの辺り、春の訪れが遅く、まだサクラが盛りで新緑の初々しい黄緑があたりを染める。大原野森林公園はまだ開園前で、道路脇にかろうじてのスペースを見つけて駐車する。
さて、今年の開花は遅れていないだろうか。不安を持ちつつ森の案内所を抜けて谷沿いの林道に入っていく。左の川の法面にハシゴが見える。ここが竈ヶ谷出合である。渡渉して竈ヶ谷に入ると、一見何の変哲もないスギ植林に包まれた谷である。が、すぐに保護柵で囲まれた区画が目に入ってくる。谷沿いにはこのような保護柵が大小多数設置されて、その中だけ豊かな植生の復活が認められるのだ。やがて周囲は自然林となり、一気に谷は明るくなる。周囲は間伐など手が入っていて、花への予感に気分は高まる。
最初にニリンソウやイチリンソウの小群落が現れ、ほっとすると同時に、黄色い花を求めて視線はあちこちに飛ぶ。ないなー。早かったかも。そうこうしているうちに正面の斜面が広範に保護柵で囲まれ、見事なイチリンソウの群生が目に入ってきた。接近して写真を撮りつつ、斜面を回り込むと、kinuasaが歓声を上げた。あった〜!!!黄色い花の群落が広がっている。イチリンソウ、ニリンソウと共にヤマブキソウが満開を迎えているのだった。狂喜して保護柵の周りを巡る。仙台の記憶とは異なり、ここのヤマブキソウは長い茎を持たず、地表近くで花をつけている。環境も、日当たりのよい(刈払いされた)斜面である。ひょっとすると、仙台のものは別種(例えばセリバヤマブキソウ)だったのかもしれない。
ここで道は左の谷筋へと向かっている。なおも花の谷は上流に向かって続いている。そして谷を離れて右手の小尾根に取り付くと、一気に高度をあげていく。広葉樹の明るい登りを少々こなすと上にテントが現れる。そこが、フクジュソウの自生地であった。すでに花の時期は過ぎており、自生地への扉は鍵がかけられていた。ここからほんの僅かの登りで西尾根トップに飛び出す。よく踏まれた道を左に辿り、リョウブの丘と呼ばれる地点に達する。リョウブよりもコバノミツバツツジのほうが目に付く小ピークである。あまりアップダウンのない稜線を辿って最後に僅かに登れば、にぎやな歓声に包まれた広々したポンポン山山頂である。木々は払われて眺望が開けているが、今日は黄砂に霞んでいるのが残念である。ここで昼食とする。
ゆっくりと休憩をとった後、釈迦ヶ岳方向へと向かう。イヌブナは初々しい新葉を広げて初夏の訪れを感じさせる。少し進んだ左手にカタクリの自生地への扉がある。一巡してみると、まだ新鮮な花も残っているのだった。釈迦ヶ岳へのメインルートをさらに進んだ後、竈ヶ谷の東尾根に入る。このルートは眺めがいいということだったが、それもそのはず、頭上を高圧線が走っている。鉄塔のあるところは伐採されるので、視界は開ける。昨年、偶然登ることになった小塩山を正面に眺め、アップダウンの乏しい稜線を森の案内所に向かう。空はくもりがちとなり、空気も少々湿っぽさを感じる。それでも心配した雨に降られることもなく、下山時には少し陽射しも戻ってきた。天候にも恵まれて、ヤマブキソウを満喫した充足の山旅となった。
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