月山
- GPS
- --:--
- 距離
- 7.2km
- 登り
- 639m
- 下り
- 939m
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
短距離だが二ヶ所担ぎがあった。下のブッシュ帯を抜けられるのはあとわずかで、その後のルートは工夫が必要だ。 |
その他周辺情報 | 西川町 海味温泉 石鹸シャンプーありません。 |
写真
感想
リフト降り場8:45〜月山手前のコル9:53/10:00〜月山11:01/11:31〜姥ヶ岳12:50/13:34〜駐車場13:53
朝、山形市内から車で西に向かう道からは皿を伏せたような月山の山容が真っ白に望まれ、気持ちが昂る。山岳道路を登っていくと、残雪の上に立派なブナの森が広がり、久し振りの東北の山の雰囲気が嬉しい。駐車場に着いてみると、あれれ、こちら側から見る月山は黒白の縞模様だ。稜線は完全に藪が出ている。初めてなので今季の少雪のせいか、この時期はこうなのかは分からないが、スキーで頂上まで行けるか不安になる。
平日だがまずまずの人出だ。リフトを降りると、皆さん左手の姥ヶ岳に列をなして取り付いているが、月山方面は他に一人きり。心細いが行くしかない。まずは本峰手前のコルに向かって、なるべく高度を落とさないようトラバースしていく。広大な雪面は晴天に眩いほどで、ほぼ無風なので暑い。やがて先行者、後続者が見えてきてほっとする。左上の稜線直下をトラバースしている人もいるが、藪を横切ったり、雪庇の下の急斜面の横断で大変そうだ。(歩きのトレースだったようだ。)コルに登り詰める沢の源頭はやや急に見えたので、左側の斜面を緩く上がっていくようルートを取る。コルに出ると、反対側は平野に遠く酒田の建物群、青い日本海、鳥海山の裾の展望が開け、遠くに来たことを感じる。背後には辿ってきた白一色の大斜面と、姥ヶ岳に続く稜線、遠くに延々と白く連なる朝日連峰とスケールの大きな眺めだ。
行く手にはこれから登る壁が高い。水平方向に伸びるブッシュ帯が2本。下は切れ目を抜けられそうだが傾斜がどれくらいか。上は完全につながっているので、どこかで夏道を見つけて抜ける必要があろうと作戦を練る。まずは広い斜面を登る。この山はスキーヤーばかりかと思っていたが、スノーボード、つぼ足の方と3分の1ずつだった。次第に直登がきつくなりジグザグを切る。雪はエビのシッポをシャーベットにしたようなものが表面をザクザクと覆っているが、踏めばシールは効いた。一本目のブッシュ帯の切れ目を抜けて左へ斜上していく。念のためGPSで現在地を確認すると、やはり夏道の少し南だった。そのまま斜上を続けると、狙いどおり二本目のブッシュ帯の中に夏道の石段が見えた。5mほどスキーを担ぎ、次の雪面を再び登っていくと、すぐに傾斜が緩み、石碑のようなものが目に入って稜線に出た。一旦スキーを置いて雪融け後のズブズブの登山道を歩くが、先にまた雪面が見えたので戻って拾い直した。100mくらい行くと、正面に神社の屋根を戴いた白い丘が青空を背景に盛り上がっている。フィナーレは気持ち良い雪上の散歩だ。
頂上からは、まず前方の春霞の平野の上に島のように白く浮かぶ鳥海山が目を引く。魅力的だが、もう山上にしか雪がないのを見ると寂しい気もしてしまう。北西側は、開析された火口跡なのか、車から見た東面とは異質の荒々しい谷の光景だ。南には細かなピークの同定はできないが、中学時代に訪れた懐かしい朝日連峰が延々と連なっている。東側には滑るには気持ち良さそうな凹状の斜面が落ちているが、もう登り返す気力はなかった。遥かに遠く念仏ヶ原の雪原が顕著に白く、夢となった肘折温泉への山並みは、もう地肌が出ているところが多く難しそうだ。青空の下、めったに来られない遠方の新鮮な景観と空気をゆっくりと味わう。人声があるので春山ハイクの気分でリラックスできるのは有難かった。
下山は上のブッシュ帯を通過するまでは板をかつぎ、夏道の下からようやく今季初の滑降だ。水っぽい雪の感触を探りながらそろそろと下り、下のブッシュ帯を抜ければ、あとはフラットな斜面から沢の流心に沿って気分良くターンを楽しむ。雪は柔らかいシャーベットで流水溝も支障になるほどではなかった。姥ヶ岳への登り返しを見計らって右へ斜滑降。振り返れば月山の頂上はすでに遠く、滑っている人達がケシ粒のようだ。再びシールを付けて、頭上の姥ヶ岳への稜線に向かって直上する。リフトからの登路に合流し、いつまでも変わらない斜面を登っていくと、月山への稜線のいくつかのピークがようやく同じ高さになり、ブッシュの出た姥ヶ岳の頂上に着いた。先が見えたので木道に腰かけてコーヒーを淹れ最後の展望を楽しむ。ここは笹藪の中にハイマツが交じっている。湯殿山はもう大きなクラックが走り、とても行けそうもない。
靴ひもを締めなおして最後の滑降だ。リフトから見えた段差とクラックを避け、南へと緩い尾根の真ん中を滑る。もうここはゲレンデのようなものだ。下手くそになったのにがっかりしながら眼下のリフト駅を目指す。更に駐車場まで滑り込めば、まだ暑い陽射しの下に気だるい雰囲気が漂っている。周辺のブナ林の中で、長年の課題を終えた解放感を味わいながら、最後のコーヒーで一服した。
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