足尾山塊 ウメコバ沢
- GPS
- 09:31
- 距離
- 18.4km
- 登り
- 1,709m
- 下り
- 1,687m
コースタイム
- 山行
- 9:10
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 9:30
遡行時間 4時間
下山時間 3時間10分
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
利根川水系 松木川支流 ウメコバ沢 体感2級上(F5登攀) ラバー◯ 水量平水 雪渓源頭部に少々 魚影なし マダニ確認 ■アプローチ 銅親水公園駐車場からゲートを潜り、松木川左岸の林道をひたすら歩く。 左手に松木ジャンダルムの見事な景観を眺めながら進み、次第に林道から踏み跡程度になるが明瞭なので問題ない。 何ヶ所か崩落地帯のガレ場を通過し、4号砂防堰堤を過ぎたら河原に降り、少し行くと右岸にウメコバ沢の出合いが見えてくる。 スタートからウメコバ沢出合いまで1時間35分。 ■ウメコバ沢 遡行 出合いからいきなりF1F2が見えていて、雰囲気ある渓相を醸し出している。 F1は右壁に何本もFIXロープが垂れているが、左の水線から直登していきなりずぶ濡れになる。 F2のCS滝は左岸巻き。この辺りの巻き道にもご丁寧にロープが設置してあるが、ロープにあまり導かれ過ぎると沢から離れて行くので、CS滝を越えたらすぐに沢に復帰。 F3は左壁を攀じり、小滝を何個か越えて行くとF4の大滝が素晴らしい渓相の中、立ちはだかる。 この辺りの空間は素晴らしい物があり、360度見渡しても岩稜と滝に囲まれてなんとも胸が高まる場所である。 F4の30mは登れないので左岸巻き。ルンゼから岩の基部を登り岩稜帯から小さく巻いて歩いて落口へ。 この巻きは容易である。 F4から少し進むとすぐに核心のF5登場。 この滝も先程のF4と似てる立派な大滝であり、下からは見えないが2段構成の見事な滝である。 下が25m上が10m程だろうか。 巻くなら左岸からだろうが、ここは直登する。 左壁に取り付きフリーでバンドまで上がりそこでビレイ。 水線左の垂壁直上がルートだが、90度に近い垂壁でスタンスが薄く沢靴だと立ち込みが厳しい。右のクラックにカムを連打し、アブミ登攀で核心をなんとか突破。 その上はガバが豊富で簡単だが、最後の残置支点直下の岩の乗り上げが、高度感もあり結構怖かった。 グレードは+くらいに感じた。 残置は腐って折れたグニャグニャハーケンと、錆びついたリングボルト。 ハーケンよりカムが有効。ピッチを切る残置支点は信頼出来そうだが、風化劣化はしていくので打ち足しバックアップは必要。 2段目10mはフリーでも行けそうだが、1段目の落口を跨ぐのでツルベ登攀。 2段目落口付近にも残置支点がありそこで登攀終了。 最後のF6は多段滝で、ここら辺が滑りが酷くなる。落口直下のCS滝がいやらしいと書いてる記録が多いが、落ち着いて登れば難しくはない。顔面シャワーは浴びるが。 これを越えれば滝場は終了。あとはゴーロで高度を稼ぎ、登山道が横切ってる地点で遡行終了。藪漕ぎはなし。 尚、横切ってる登山道は踏み跡不明瞭で、見過ごす可能性があるので注意。 ■下山 気持ちの良い登山道を、沢入山、中倉山と経由し下山。 尚、中倉山を過ぎてから、踏み跡に導かれてショートカットルートに入ってしまったが、一部踏み跡が不明瞭な所とザレ場があるが、概ね快適に歩ける。 登山道に合流してから下山までは、休憩2回込みで3時間強。長かった。 |
写真
装備
個人装備 |
30mザイル ガチャ類 ビバーク装備
|
---|---|
共同装備 |
50mザイル
|
感想
前日の手焼沢長手沢を終えて温泉で汗を流し、銅親水公園へ車を走らせる。
松木川沿いの道に入ってしばらく行くと、左手に鉱山跡地の廃墟や煙突が見えてきた。
これが足尾の鉱山かと、初めて見る荒涼とした景色に目を奪われた。
時間があればゆっくり廃墟を見て回りたかったが、日没も間近、何より早くビールが飲みたいのもあって、停まることなく車中泊場所の銅親水公園へ向かった。
足尾のウメコバ沢
この沢を初めて知ったのはバイさんの記録を見た2020年なので、もう4年前になる。
その時に「足尾」という山域も知る事になるのだが、それ以降色々足尾の沢を調べてる内に、行きたい沢リストは足尾の沢で溢れ返った。
その筆頭にあったのが今回のウメコバ沢だ。
雲一つない晴天が約束されたこの日、朝から暑くなりそうな空気の中、先人達の記録の写真で何度も見た足尾の岩稜帯を横目に松木川沿いを歩く。
「ようやく来れた、早くウメコバへ」
逸る気持ちを抑えつつ歩みを進めるが、ずっと行きたいと喋っていた相方のヒロシーも昂ぶる気持ちは同じなようで、
「こんな気持ちは久々かも。」
と、ウメコバ沢への想いは同じなようだ。
ウメコバ沢の出合いに着くと、いきなりF1F2が見えていて一気に気が引き締まった。
ふと横を見ると、一見、山には登らなさそうな風貌な男性が1人佇んでいる。
出合いで準備する我々の元にやってきた男性は、チャンピオン岩稜をやると言う。
私は、足尾の沢以外のアルパインルートやバリエーションは詳しくなかったが、チャンピオン岩稜やチコちゃんルートなんかは聞いた事くらいはあるので、思わず
「ソロでですか?」
と聞くと、当たり前のように、「そうだよ」
と言う。
聞くと足尾の岩、沢、氷は庭にしてる方のようで、最初は怪しい人がいるなと失礼な事を思っていたが、色々話を聞いているうちにその方がどんどん達人に見えてくる訳だ。
「わざわざ宮城から足尾に来て最初の沢がウメコバ?通だね〜」
と笑いながらF1の右壁に取り付き、あっという間に滝上に消えて行った。
人は見かけによらないんだなぁ、なんてい言いながら我々もウメコバ沢へいよいよ突入する。
先程の達人が、
「ウメコバはほとんど濡れないよ」
と言っていたが、我々はF1を躊躇なく水線に取り付き、シャワーで直登。
いきなりズブ濡れになり、ウメコバ沢の遡行をスタートさせた。
とにかくその景観、渓相が圧巻だった。
谷川ともまた違う、どこか日本離れしたその景観は、東北人には中々お目にかかれない風景であった。
そんな中を最高な空の下で遡行すれば、もう何も言う事はない。
核心であるF5の登攀も、我々にはギリギリの厳しい登攀であったが、無事に滝上に立った時はなんとも言えない充実感と達成感に酔いしれた。
今回もまた1つ、沢登りをやってなければ出会えない景色、想い出が増えた。
前日の手焼沢長手沢の記憶が消し飛ぶくらい、ウメコバ沢は素晴らしかった。
アプローチと下山が長いのがネックだが、滅多に見れない景色や、初めて歩く気持ちの良い稜線歩きのおかげもあって、気持ち的にはまったく苦にならなかった。
下山しながらも、また足尾の沢へ来ようと強く思い、帰仙する車中では、なんとも云えない幸福感に満たされながら帰路に着いた。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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私の都合で、今回ご一緒出来なかったのは痛恨の極みですが、私の記録を参考にしてウメコバ沢をチョイス頂いたあたりにお心遣いというか、優しさを感じました。
ウメコバ沢は前半から中盤までで足尾の良いところが詰まっている名渓だと思いますが、東北の険しい沢をやっているお二人が満足できた様子でしたので安堵しました〜😂
こちらが落ち着いたら、また連絡させてください😊
ウメコバ沢は名渓でしたね〜😊バイさんの動画見てF5トライしましたが、我々にはあのレベルが限界ですね😅
バイさんさすがだなぁとヒロシーと喋ってました。
今回はご一緒出来なくて残念でしたが、いつでもまた行けると思うので、その時まで楽しみにしてますよ👍
ありがとうございました!
私もやっとカムを購入したので、早く使いたいと思ってました。
連休後半で…とは行かないですが、今シーズン中にはチャレンジしたいと思います。
そうそう、無名沢のお付き合いも宜しくどうぞ🖐
カムついに買ったんですね!
早く使いたいですよね笑
無名沢、あと水無沢でしたっけ?いい沢が色々あるみたいですね。脆いらしいけど。
仙台からだと、この前のアンモ浦に行くより足尾の方が近いという事が判明したので、今シーズンまた行きたいですね👍
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