麓から登る富士登山 須山口ルート (岩波駅、須山浅間神社、水ヶ塚公園、富士宮六合目、富士山山頂、御鉢、宝永山、大砂走り、須山御胎内)
- GPS
- 32:00
- 距離
- 43.2km
- 登り
- 3,698m
- 下り
- 2,584m
コースタイム
- 山行
- 9:13
- 休憩
- 1:41
- 合計
- 10:54
- 山行
- 7:58
- 休憩
- 1:37
- 合計
- 9:35
天候 | 晴れなるも強風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
水ヶ塚公園から十里木か、滝ヶ原駐屯地までの約2、3時間の下山を覚悟していたので渡りに舟。正直疲れたので打ち留めとしました。 このバスで御殿場へ行き、御殿場線で岩波まで。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
須山口ルート…って何?という人が多いと思いますので、これについてやや長いですが記載させていただきます。 一言で言えば御殿場ルートの前身です。 静岡県の裾野市にある須山浅間神社を登山口とする富士登山道で、300年前の宝永噴火以前は裾野の街から愛鷹山塊の東山麓を縫って須山に上がっていきそこから富士山に向かう道。少なくとも1000年以上前から成立しているそうです。須山からの道は噴火のたびに微調しつつ保ってきたようです。 しかしながら、宝永噴火で道が完全になくなる不運があり、何とか宝永山の両脇に出て上に抜ける道を開削したようですが、明治になって東海道本線が御殿場駅に来るようになると御殿場から富士山への道があれば当時としては最短となるため、須山からの道のうち宝永山北撒きルートを流用した現御殿場ルートが成立。鉄道と共に役目を半ば終えた須山〜御殿場ルート間は廃れていきます。そして、日本最大の軍用地 東富士演習場が明治末期に成立し、大野原を通過していた区間などは今に至るまで軍用地に組み込まれて再興不能となり、今もその状態は続くため、新規に水が塚公園まで道を開拓。 こんな複雑な経緯を受けて失われた区間を近年再興したのが周回道路以上の須山口登山歩道、須山口下山歩道、周回道路以下の須山口登山歩道になります。 周回道路以下の歩道に関しては、軍用地と富士急系別荘・遊戯施設エリアの間をかつての水路維持道の流用、整備で作られたと思われますが、やや荒れ気味となっており、現状ではいつ藪に帰してもおかしくないと感じます。また、案内が不足気味で道迷いが発生する恐れがあります。間違っても軍用地に紛れ込まないようご注意ください。 周回道路以上のエリアは富士山自然休養林という扱いで植生豊かであり、散策する人も意外に多かったです。 登山道の方は森の中を抜けて宝永火口の稜線に出るルートとなり、突き当りで富士宮口6合目、または宝永山そばを経由して御殿場ルートの6合目に到達し、その上はいずれかで上がるようになっています。 須山口下山道の方は御殿場ルートの大砂走りを駆け下りると正面右脇に二子塚のお山が見え出すあたりに右矢印が現れ、砂場をトラバース。ここを抜けると砂というか小石の荒れた植生の中で草紅葉が驚くほど広く広がります。ここからやや少ない看板と地図を留意しながら進むと、幕岩の脇を通って須山御胎内に到着。ここはかつて一合目と言うことで実に味があります。以下、水が塚に行くように矢印はかかれますが御胎内を通らない道が元来の道であろうはずがないとそのまま突き進み周回道路にでて、本来あった下への道を観察しましたが…。もう100年も前の話、面影は微塵もありませんでした。 以下ルート状況 自宅、岩波駅から須山浅間神社 ロードで通行量はあまりないですがその分みんなぶっ放していますのでよろめいて轢かれないようご注意を。 須山浅間神社以降は基本地道です。 須山から忠ちゃん牧場 ややあれ気味。道路の横断が難所。なにせ幹線道路で人の横断など考える場所でなくほとんどの車は80km位で爆走しますので、耳を研ぎ澄まして下さい。 忠ちゃんから水ヶ塚 やや分かりにくいです。ゴルフ場横は踏み跡がダミーなところあり。 水ヶ塚から宝永山、六合目分岐 森林を越えて宝永火口脇に出ると、風と足下のゆるさで上がりにくいです。御殿庭と書かれるエリアは、傾斜もそこそこあり格別美しい植生があるようには思えず、どこが庭なのか「?」な気もありますが宝永火口そばでありながら木々の中に入れるために風の影響と地盤が多少マシなところが登りには救い。 富士宮6合目から8合目 宝永第一火口の脇をつづらに歩きます。定まっている石に足を乗せたいもののなかなかに難関。 8合目から富士宮山頂 足場は熔岩帯となり安定しますが絶対標高が日本のよその山にはないエリアであるため、とにかく寒く、空気が薄く、風が強く突風に煽られ消耗。荷物が煽られていた感じになるものの腰、肩はちゃんと閉めているので、荷物を下ろすのが一番かだったなと。防寒は万全を期したつもりですが、あと一歩だったです。体温低下もあったかも。正直しんどかったです。 御鉢 表口山頂で風を避け、ダウン追加、靴下二枚に切り替えて神社そばにあらかた荷物をおいて出掛けると、風が多少弱まったり、温度が上がったり、南アなどの全景など美しい光景が見れて嫌な気分もすっ飛びます。お鉢もそこそこアップダウンはありますが、剣が峰以外はほとんどのピークが巻きとなっています。清々しい区間。 下山にあたっては全てのルートで通行止めが告知されていますが、どこかを突き抜けない限り下山できませんので腹を括って下ってください。積雪までは案内が少ないもののトレースと地図読みが肝要かと。 御殿場ルート 頂上から七合目 ひたすらざれた道。 上が脆いせいか営業できている感じの小屋は砂走館のみ。崩落が激しく建屋の上から岩が落ちて壊れるリスクを背負っている上に利用者が少ないとあっては小屋の運営は厳しいのでしょうね。 七合目から宝永山分岐 砂走開始です。ただ、宝永火口からの道に合流すると、家族連れのお気楽ハイキングコースに突如かわり、こちらが風変わりのような体に。ある意味やりずらいです。 宝永山から二合八勺 大砂走りでひたすらスロープと踏み跡頼りに爆走するのみ。分岐らしい雰囲気、看板などに注意し通過しないよう気をつけてください。 二合八勺から須山口下山歩道 四辻 大砂走りの小石地をトラバース。踏み跡をうまく使ってください。進む辺りには火山礫に負けない逞しい草の草紅葉が広がり、私は感動しました。月並みですが今おかれた状況なりに最善を尽くすってやつです。 幕岩付近 勾配がきつい箇所有、幕岩自体はルート外でそのまま行くと御殿場口に行ってしまうフェイクあり。途中で気づいて登り返し、堪えました。 須山御胎内付近 歩きやすいです。須山御胎内は須山口行くからにはこだわるべきだと思うが下山歩道はそちらにはなっていない。これは現在は水が塚にトラバースしてそこから下る、もしくは水が塚を基点に登山歩道、下山歩道を無理なく周回するための処置と思われる。 遺跡はかつての須山口一合目で、胎内を使った儀礼や役所があったようです。道なりに行くと部分的に潜れます。このまま行くと県道にぶつかり終点。 なお旧陸軍に接収された区間の道を想像すべくそのまま県道へ行ってみましたが、突き当たりは完全に森で、名残は正直わかりません。 なお、運よく臨時バスがちょうど来る上ここも停留所になっていたので、結果的に水が塚に向かわないであたりでした、 |
その他周辺情報 | 六合目小屋の雲海荘以外、静岡側はクローズ ここが空いているので家からプランを決行。 なかなかに居心地がいいです。 |
予約できる山小屋 |
|
写真
装備
個人装備 |
防寒具は念入りに手袋2セット
ネックウォーマー
ニット帽など。
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備考 | 風の影響か高山病か九合目以降厳しい。建屋は風除けにはなるのでもっと臨機応変に着替えなどをすべきだった。 |
感想
先週本州の日本百名山を踏破しましたが、富士山は剣が峰を踏んだのは社会人の新人の時に行って以来で富士宮口からのピストンというオーソドックスなもの。
吉田口から吉田頂上までというのもありますがこのときは剣が峰を踏んでいません。
いずれも山行するのが当たり前になってからは行っていないことから、久しぶりに行きました。
一般的な登山道は植生がない砂礫の道のみひたすらいく感じですが、これがどうにも苦手なものでもう少し麓の植生があるところから行きたいなと考えていました。
所謂ゼロ富士、もしくは旧来からの登山口として機能していた御師集落を有する浅間神社からの登山を模索。そうした中、居住している静岡県裾野市も須山浅間神社という登山口としての浅間神社を有することを最近知り、いつか須山口を行ってみようというプランは考えていました。
須山口コースについては成立経緯含めて深い歴史があるのでそちらを参照ください。
様々な不遇を経て約20年前に全通した須山口登山道がどんなものなのか自体に興味があったこと、自宅・職場から日々見えてしまう富士山噴火において起きた最悪の元凶の象徴ともいえる宝永山、宝永火口をこの目にしておきたいということ、他の山々を行ったがゆえに回りを見たときに違った感じ方をできるではということ。何せ大概の山から見える自己主張の激しいお山、こちらからは何が見えるのか?などが今回のモチベーションでもありました。
閉山直後ならばまだしも初冠雪しても一向に不思議ではないこの時期、天気予報とのにらめっこでどうするか考えながら挑みました。天気自体は良好なるも、とにかく風が厳しいとの予報。だめなら八合目まで、もしくは宝永山までというプランも頭には入れていましたが…。
今回は富士宮口六合目の雲海荘さんが土日営業してくれるようだったのでここを宿泊地とすることで山麓の自宅から近くの、かつての徒歩の時代の人々のように登山口の浅間神社を経て挑みました。御殿場線岩波駅が自宅の最寄りであり自宅から須山までも8km程度なので登山口付近の小屋が空いている今なら一泊二日で良い感じに行けるかと計画。
実際は、初日は高低差2250m、距離にして27kmとあって宝永山付近でさすがに足にきました。登山道に関しては、まあ、まずまずでしょうか。宝永火口壁上を歩き、宝永火口に入りましたが、宝永山と火口壁によってできた八合目辺りまでの壁がやはり強烈でした。
宝永山については下山で通るし、足ヘロヘロだしと思ってやめましたが、結果的には初日に行っておくのが吉だったようです。この日は景色よかったけど、2日目はガスってしまう。こればかりは致し方ないですね。
景色は山頂と六合目小屋、八合目、お鉢で十分良かったと思ってます。
気温はともかく風の強さが厳しくて、体力的にも体が動かずしんどかったです。九合目から山頂がえらくかかっているのに現れています。
富士宮頂上で荷卸と防寒追加と行動食などで鋭気を取り戻し、久しぶりの剣が峰でさすがの景色を見れて力を取り戻しました。時間のせいか、御鉢の方が風が弱かったことも大きいです。
下のほうでは相模湾、駿河湾などの海周辺の見え方がいい感じ。
上では下の方が霞んでしまいましたが、南アルプスの各山が、白峰南嶺に邪魔されずに見える様が印象的でした。七面山行った時は白峰南嶺にかなり隠されましたので、あちらの山より500m以上高い富士だからこそを感じられました。
直下に大沢崩れが見える一方で、毛無・七面が見え、その先が広がる。甲府盆地の先に八・奥秩父など、河口湖・吉田の先に三つ峠と大菩薩・奥秩父、山中湖の先に丹沢、大野原の先の箱根ほか、色々見えました。
下山道では、サクサク下りると気づいたら宝永山への分岐。プチ砂走りしてきた感覚のまま宝永山へ歩いたので、周りの家族連れたちの中でかなり浮いてしまいました。山容は一応見えたけど、山頂からはほぼ何も見えず。残念!
気を取り直して大砂走りへ突入。本当に飛ばし気味に下りたので実に早かったです。スパッツ履いても靴に入るのはしょうがないのかな?ガスってきたので仕切りの柱とロープを見過ごさないことに留意し、件の須山口下山歩道への分岐を見逃さないようにとそれに集中しておりました。分岐は正面右脇に二子塚のお山が見え出すあたりにあり、右矢印が現れ、砂場をトラバースします。現在は踏み跡もあり、かつ看板もあるのでなんとかなるかと。二子塚のお山の手前を抜けるように歩道を行けばOK。砂というか小石の荒れた、大砂走りできたところが、少し流れるとこんなところにも植生が存在し、しかも草紅葉していて驚きました。さらに進むと一面が草紅葉で満たされ、今回の行程では一番きれいだったのが四辻というポイントの大砂走り分岐方向でした。
地図を流し読みして幕岩下降点から下りて幕岩に行ってしまいましたがこれは行かないのが正解。但しこれといって休憩所がなく、大砂走り後の小石取りとスパッツの片づけがしたかったので幕岩の岩に乗って小休止は吉だったかも。ただ、その後道間違えてしばらく行ってから戻っているので結構ロスしています。
そうこうして須山御胎内に到着。ここはかつて一合目と言うことで実に味があります。以下、水が塚に行くように矢印はかかれますが御胎内を通らない道が元来の道であろうはずがないとそのまま突き進み周回道路にでて、本来あった下への道を観察しましたが…。もう100年も前の話、面影は微塵もありませんでした。
でもかつての富士講遺跡でもある御胎内は一見の価値はあるかと思います。
水が塚からの下山道は登りと同じであらかた須山口ルートを完歩したことになるのでどうするか迷っていたところ、ちょうど10分程度の待ちでバスがあるということで打ち切りました。
やはり標高3776mは伊達ではないです。風が強く、気温のわりにやはり冷えましたし、かなり防寒は気をつけたつもりでしたが手足がやや痛くなったり、ダブルストックを利用して突風を凌いだりとなかなかに厳しかったです。時期がやはり少し遅かったなあと。上のほうではそれまで頑張りすぎた付けでやや高山病がきた気がします。
今回は麓の標高約250mからやっているので標高差は3500m登っていることになります。一日でやったら大したものですが、標高差2000mくらいが限界かなあと。我ながら良くやったなあと思います。ばかだなあの裏返しです。
今回のルートはとかく遠方が見えないとつまらないと言われる富士山において、富士山自体に変化があるルートであり楽しめました。最後の登りがつらかったですがこういうのもありではという提案になります。景色も良好でした。御鉢を回ると色々見えてよいです。
正直そこまで期待はしていなかったので、シーズンオフの静かな富士山はとても楽しめましたし、充実感を得られました。
ただ、リスク管理は入念にしていきましょう。
なお、道に着いては弁当場〜水が塚水源はもう一歩手を入れればいい感じになるのに惜しいなと思いつつ、HP見るとなんかリンクが切れており、道も含めてちゃんとメンテ入れられるか不安です。
(追記 15.10.25)宿泊した週の土曜日のブラタモリにて、その次回予告で富士山がアップ。雲海荘さんにもお世話になったようで、15.10.24の放送回で雲海荘さん出てました。
3部作で一話目は富士宮浅間大社メイン、二話目は宝永火口、宝永山オンリー。三話目は頂上神社と剣ヶ峰にはいってそうだけど何にスポットをあてるのか楽しみです。
宝永山は古富士の露頭が現れたゆえに形成され、大崩落ゆえに成立の経緯が見れている。宝永火口、宝永山はどこまでも奇跡というか奇景のようです。
個人的にはとっても勉強になり、火山への登山の楽しみ方を見出せて良かったです。
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プリンスコースを狙っています。
天候を見ながらの遠征をしようかと
私も皇太子殿下がなされた富士宮口からの周回ルートがヒントでした。
殿下は御殿場口ルートの宝永山経由で御殿場口ルートを登り、下りられています。
宝永ルートとの合流点以上の7合目〜8合目にしか小屋はありませんのでご注意を。
道の変化は多彩なルートでなかなかにいいなと思いました。
営業小屋がなければ水が塚の上と下の二回に分けて登るつもりでしたし、その場合は殿下が使われた宝永火口から御殿場口ルートに撒いて行けるところまで行き、風、寒さなどで厳しすぎれば撤退という状況によってことも視野にしていました。
なお水が塚〜十里木の区間は自分は強い思いがあって行きましたがこの区間の扱いはお任せします。
頑張ってください。
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