【疾風作戦】空木岳【甲66.8】
- GPS
- 10:55
- 距離
- 27.7km
- 登り
- 3,196m
- 下り
- 3,186m
コースタイム
- 山行
- 9:59
- 休憩
- 0:56
- 合計
- 10:55
天候 | 快晴 稜線強風(風速20m近く)、時折突風が吹く。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登山口〜うさぎ平は林道(うさぎ平周辺GPSログ荒れ気味) 登山道は難易度は高くないが、木曽殿越以降、森林限界を超えた岩の稜線となる。 岩の日陰部分は軽く積雪、しかもカチコチに凍てついている。 また、予想通り、稜線は断続的に強風が吹き、時折身動きが取れないほどの突風が吹く。季節は完全に冬。 |
写真
感想
作戦名:Sturmwind。その名の如く嵐のように寒風吹き荒ぶ中央アルプスを衝く。
もとより私のようなディレッタントにとって10月末のアルプス山行などイエローラインからレッドラインに入るかどうかという大冒険になるのだが、時期既に遅しと言えども空木岳は私を魅了して已まない。とは言っても単に行きたいというだけで行ったのでは遭難して終わりなので、そこはしっかりと歩けるかどうかの見定めを行う。
幸い、直近の天気の推移及び天気予想からして積雪も若干、天気は好天、注意すべきは風のみと見て決行を決断する。
もっとも、注意すべきが風だけといって風を軽視していたわけではない。予想では稜線風速20m、気温は1〜2℃。森林限界上では身を防ぐ手段も限られる。可能であれば空木岳から南駒ヶ岳、越百山と大周回を達成したいところであるが、季節柄無理はできない。そこで以下のような方針とする。
1.空木岳(または越百山)を主目的とし、対象山頂到達をもって所期の目的を達したものとする。
2.登頂第一峰において稜線の風と気温の状況を体感し、進退を見極める。
3.南駒ヶ岳まで進出した場合は、そこで進退の判断を行う。
ま、いつもと同じ。「歩いておきたい」という要求と「歩けたらいいな」という要望をはっきり分けてプライオリティ(優先度)を付けることが重要だ。特に資源が限られる状況下においては。
前日の22時半少し前に駐車スペースに到着。先に3台ほどの駐車あり。早速就寝する。到着前からパラパラと雨粒が落ちてきていたが、夜にはよくある事だ。翌日の好天を疑うことなく眠りに就く。
しかし、夜半、凄まじい突風に襲われる。今まで経験したことの無いような大地を揺るがす山嵐だ。車もグラグラと揺れる。この風が稜線でも吹くのかと身を固くする。「我々を拒むのであれば、山よ、今一度同様の風を巻き起こせ。」と念じたが結局猛突風はそれっきりだった。そういうこともあり、一旦は空木ではなく越百にしようかなと思ったりもしたのだが、当初予定通りまずは空木岳を目指すこととした。
日の出前に林道を踏破し夜明け過ぎに山中から御嶽山を望む。噴煙は確認できず。このまま収束していくだろうか。噴火警戒レベルの見直しは飽くまでもアカデミックにやってもらいたいものだ。
その後は、途中、山水を飲んだりしながら急登と緩登を交互に繰り返すものの、それほど難易度の高い道ではない。問題は木曽殿越からだ。
木曽殿越少し手前から森林限界を超えて風をまともに受けるようになる。木曽殿山荘は冬季閉鎖となったが、その一角が避難用として使えるようで、何人かがそこで休んでいた。先に来ていた人達を先に行かせて、その後に従うが、ヒロシ氏の様子がどうもおかしい。まともにぶち当たる強風と薄い酸素にやられてしまっているようだ。道も若干外れるようになってきたので途中から私が先行する。一度、物凄い風が吹いて身をかがめる。こんなのが常時吹くのが冬山だろうが、まだ時折というのが助かる。日陰には積雪、しかもカッチコチに凍っており、こんなところで滑って転んだのではタダではすまない。恐る恐る、岩肌につかまりながら歩を進める。先行した二人も強風や岩場に慎重を期したのか、途中追い付く場面もあったが、コンディションとしては気をつけて歩くべき状況なので、息を整え休み休み歩き、ついに山頂に達したのはスケジュールよりも約1時間前倒しの9時半だった。
さて、空木岳に到達して所期の目的を達したわけだが、ではその先どうするか。先行していた二人はそのまま越百周回に出発した。
風は強いが耐えられそう。時折の突風を岩陰でやり過ごしながらであれば余裕を持って歩けるな。稜線の道もしっかりしている。そして何より予定より1時間のアドバンテージがある。不安要素としては山頂到達前からヒロシ氏の調子が落ちていること。
(・∀・)おい、どうする?コンディション悪いが引き返すか?
(・ω・;)いや、行く。
(・∀・)本当に大丈夫?
(・ω・;)泣き言言うかも知れんけど大丈夫。南駒ヶ岳までは行けるだろ。
岩の稜線、細い道を南へ。風が唸りを上げて西側から吹き寄せる。風の通り道か。そして突風。バランスを崩しかねないので、その時は動きを止め、身を屈めて風が収まるのを待つ。風が収まるとまた岩を乗り越え乗り越え先へ進む。陽射しがあるためか積雪凍結も無いようだ。
しかし風は相変わらず強い。ヒロシ氏がギブアップしたのは空木岳を出発してから2度目の突風が吹いた直後のことだった。彼ももちろん手袋をしていたのだが、それがあまり要をなさず末端から体が冷えてパフォーマンスの低下を招いたようだ。
空木岳だけでも結構満足していたので早速引き返す。何しろ無理はしないことだ。「せっかくここまで来たのに・・・」というのは遭難の前フリとしてよくあるように思うが、「また来ることができる」と思えば難無く引き返すことができる。
山頂に戻るとポツポツ池山尾根から登って来ている人がいたが、やはり強風のためか長居をせずにすぐに下山して行った。是非も無し。ヒロシ氏が日向で手を温めるのを待って下山する。
ということで、今回は自然の猛威を前にしながらも一定の戦果を収め得た。時期的に遅いかなあと思っていたら、やっぱり遅かったと言える。来年はもう少し早い時期に行動を起こすこととしたい。と言ってもまだまだ行きたい山がたくさんあるのでスケジュールを調整するのが今から大変な気もする。
〜おしまい〜
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