【寒雷作戦】姫神山【丁45.2】
- GPS
- 07:19
- 距離
- 24.8km
- 登り
- 1,612m
- 下り
- 1,604m
コースタイム
- 山行
- 6:11
- 休憩
- 1:08
- 合計
- 7:19
天候 | 晴れ後曇り(登山口まで雲が広がっていたが、山頂に到るまで徐々に晴れてくる。その後城内登山口に下る間に再度雲が広がり、再登頂時に一時的に日が射すことはあったが基本曇り空) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
独立峰のように際立って見える姫神山。その名から穏やかな山かと思っていたら全く逆で、いずれのルートも急登、急登、急登。名前では最も大変そうな「こわ坂コース」が最も楽だったかもしれない。 |
写真
感想
平成27年も年暮れが押し迫り、この一年を振り返る季節となったが、岩手県の山をまだ歩いていないことがずっと心残りであった。何だかんだと他事にかまけてこのまま歩くことは無いのではないかとも思われたが、新嘗祭を控えた晩秋の休日に、意を決して日本の原風景を留めた岩手の野山を歩くこととした。
姫神の山に取り掛かったまさにその時、冬雷のごとき砲声が、我が来訪を祝福するかのように岩手の野に轟くのだった。
・・・・・・・・・
日の出前の盛岡駅に降り立つ。う〜む、寒い。東京と比べて格段に寒い。季節は完全に冬。凛とした寒さ。とりあえず駅の待合室で支度を整える。当初はバスで近くまで行く予定だったのだが、実際に降り立ってみると乗り場がたくさんあってよくわからない。そこで、アプローチは若干長くなるが、いわて銀河鉄道を使うこととする。
好摩駅から岩手山、姫神山を仰ぎ、登山口へと歩き出す。平地からして水溜りが凍結しているとなると山頂付近は如何ばかりならんと戦々恐々だ。歩きながらウォーミングアップしつつ、日が高く昇るのを待とう。って、雲が多いなあ。
姫神山のような小じんまりとした山をどう歩くか、というのはなかなか難しい。地図を見ながら、そして登山口へ向かいながらコース取りについて考える。この段階では、もし寒くてどうしようもなかったら登ってすぐ降りることも考えつつ、とりあえず、名前からして大変そうな「こわ坂コース」からの登頂を期し、一旦城内に下りて再度登頂、その後、一本杉へ下ることとする。そうこうしているうちに一本杉に着いたが、下の方の第1駐車場を使うことは無いんじゃないかと思えるほど、上の方の第2駐車場も十分広かった。なお、こわ坂口には数台、城内口には数十台の車を停められるスペースがある。
【こわ坂コース】
入山してすぐに盛岡市街、岩手山等の展望が開ける。登山口までの道中空を覆っていた雲も晴れ何より。山に囲まれた大地を眺め暫し佇む。
その後、暫く樹林帯の中を歩く。と、いきなり雷鳴のような轟音が空に響き渡り、青天の霹靂かと思わず身をすくめ、一旦道を引き返しかける。しかし、晴れているのに雷というのも変だ。幸い、以前岩手山を訪れた時に陸上自衛隊の基地が山麓にあるのを把握していたので、すぐに演習だとわかった。恐らく第9特科(砲兵)連隊の155ミリ榴弾砲だろう。その斉射音が岩手の空に響き渡る。
道は徐々に傾斜が急になるものの、今ひとつ「こわ坂」という感じがしない。ようやく中盤を過ぎて岩と霜の急登に至り、こわ坂ぽくなってきたなと思ったのも束の間、最後は階段状の道を登って山頂に到達する。
【山頂】
山頂に到達した頃には雲が岩手山方向に若干残っているものの秋晴れの空となった。
その昔、男神の岩手山と女神の姫神山は夫婦であったが、姫神山と早池峰が親しい仲になって岩手山が激怒(噴火)。それ以来、岩手山と早池峰の仲は険悪で、早池峰と姫神山が晴れれば岩手山が曇り、岩手山と姫神山が晴れの日は早池峰が曇るそうな。
また、今はどうか知らないが、地元では姫神山に登った年は岩手山に登拝せず、岩手山に登拝した年は姫神山に登ってはならないとされ、それに反すると災いがあると信じられていたという。
そうは言っても、同じく岩手を代表する三山なれば、相争うことなく安らけく日の本の大地を守らせたまへ。三山の仲を取り持つ気持ちで三山を巡れば、神々も鎮まりたもうものと信ずるのである。そして、この日は姫神の山頂から岩手山も早池峰も両方望むことができたと信じている。
【城内ルート】
下山を開始してすぐに岩の連なりに遭遇する。こっちの方がこわ坂じゃないか。岩の隙間の若干ぬかるんだ急傾斜を滑ってこけないように気をつけながら下る。そう、こっちの登山道も急勾配なのだ。それは岩場を過ぎてからも変わらない。途中、危険なほどに傾斜のある坂があるので下山時は膝をやられないよう注意だ。しかし、下り終わった後、清水神社で飲む湧き水は美味い。
小一時間で下山し、城内登山口で観音様?に挨拶して軽く食事を取る。
それから同じ道をまた登り返す。急降下の道は裏返せば急上昇の道、空には何時の間にか雲が広がり、普通であれば気分もどよよんとなるところなのだが、ある思いを秘めながら辛抱強く歩く。山頂直下は岩の上に出る。下山時は気がつかなかった。足元を気をつけるのも大事だが、周りにも注意を払うべしということだ。
【再度山頂】
山頂に戻り、姫神さんを祀る祠に挨拶すると、雲間から太陽が顔を出し、一時的にではあるが、陽光が山頂を照らした。曇天下の城内ルートを「これで再登頂時に晴れ間が出たら、真に有難いことだ」と思いながら歩いてきたのだが、その思いが満たされて寒空の中、心が暖かくなる。
それにしても何だかさっきと感触が違うなあと思っていたら、気温が上がったために凍てついた土が緩んで泥濘化しているのだった。歩くと軽く足をとられるので岩の上で休む。
【一本杉ルート】
いよいよ下山である。前の人がダダダッと駆け下りたので何だと思ったら、早速の急降下。しかも下がぬかるんでいる。岩場の合間の細い道は軽く融けてグチョグチョで足をとられる。乾いた岩の上を歩いても靴底の泥で滑りかねない。下山開始後暫くは緊張を強いられる。五合目手前からようやく道が落ち着く。五合目からは急な木段状の道を下る。一本杉キャンプ場で空間が広がり再度岩手山と相対した。今回歩いた中では一本杉ルートが最も注意を要する道かもしれない。
かくして姫神山を歩かせていただいたわけだが、その名から、たおやかな山かと思っていたら、いずれの登山道も急登の気を抜けない道で、姫は姫でも巴御前や甲斐姫のような、芯のある山であった。ついつい思いを寄せたくなるところだが、また岩手山が噴火しても困るので控えておこう。
〜おしまい〜
p.s.
翌日に雪が降るとはさすがに思っていなかったが、降雪前にギリギリ間に合ったのも天佑と言わざるべからず。
とにかく、これで季節はもう完全に冬だ。冬には冬の覚悟を。
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