黒崎山〜引入沢山
- GPS
- --:--
- 距離
- 5.8km
- 登り
- 723m
- 下り
- 704m
コースタイム
- 山行
- 6:20
- 休憩
- 2:00
- 合計
- 8:20
天候 | 曇りのち晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2017年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
装備
備考 | ルートは記憶をもとに手入力しました。実際とは若干の差は有ると思います。ご了承願います。 |
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感想
阿賀町周辺を車で走っていると、尖塔状の山が目につく。そちらに気をとらわれては事故の元だ、と思えどもそれを目で追ってしまうことになる。例えば、兎ヶ倉山・土倉山・餅倉山・笠倉山などである。マッターホルンと言われる土埋山もある。カタガリ山という傾いた山もある。登山道は有るのか無いのか、怪しげな山も多い。藪を物ともせずに登る人は論外として、道が有るのか無いのか、無ければどうするか。山に通じていなければ、そこから始まるのが、この辺の山を登る第一歩である。黒崎山も引入沢山も深戸集落の裏山だが、そんな山の一つである。
今は、SNSで検索すれば精緻の差はあれ、ある程度の情報は得ることが出来る。世の中には“好き者”が大勢いるのだ。ちょっとした山でも、ある程度の情報を得ることはたやすい、といっても過言ではない。黒崎山は、峠から踏み跡が有るらしい。登山目的よりも“撮り鉄”の人達が良く登っているようである。確かにどちらも阿賀野川を渡る鉄橋の正面に位置しているからだ。黒煙を吐き出しながら鉄橋を渡る「SLばんえつ物語号」は、恰好の被写体なのであろう。これは引入沢山も同じである。今日も名古屋や三重など、県外ナンバーの車が数台峠の方へ走って行った。ただ、SL走行は夏場だけだ。
私は、深戸から峠付近まで登り、そこから黒崎山山頂を目指すことにした。引入沢山へは黒崎山から峠へ降りて、林道を辿ることにした。あわよくば南峰の登頂も目指す。時間に余裕が有れば餅倉山へも登ってみたいものである。
深戸でスノーシューを履いていると「どこに行くんかね」の声。見ると子犬を連れたおばちゃんが立っていた。
「山へ行くんです」
「何しに」
「遊びです」
「遊び? 遊びで山?何かあるだろう。何か」
何か、というのは遊びの目的の事か。
目的ねえ〜。
「健康のためです。筋肉も付けなきゃなんないし」と、おもわず言ってしまった。
いま思い出すと笑ってしまうが、どうもおばちゃんには、遊びで山に登るということが理解できないらしい。
確かにそうだ。地元の人は、遊びでは山に登ることは無いと思われる。山菜取りや山仕事では行くかもしれないが、遊びで登ることは無いと思う。
「倒れているのかと思った。そんなところで屈んでいて」
スノーシューなんて見たことないだろうし、屈んで苦しんでいるとでも思ったのであろうか。
「峠に行くんなら、こっちの道路だよ」
参ったなあ。今度は、道路が有るのに、わざわざ雪の上を歩くなんて、変な奴だと思われたのだ。
田んぼ道を進んで峠付近を目指して雑木の山腹を登る。雪はザケていて重い。適当に九十九折に登る。やがて県道を横切り左へ緩くカーブを描くようにルートを取る。雪は重いが踏み込みは浅く順調に歩を進める。天候は曇り。遠方の景色は見えない。ときどきチラチラと花弁のような雪が舞う。クロモジやタムシバの芽がほころんでいる。季節は確かに進んでいるのだ。一時、天候悪化を知らせるような黒い雲がでてきて風が強まった。しかし、天候は回復の兆しを見せる。棒掛山や竹ノ倉山などの姿が現れた。
下りは往路を戻り、途中で直進して峠へ出る。引入沢山への林道入り口で大休止。青空が望まれた。いい兆候だ。しかし、時間は予定よりだいぶ遅れた。南峰は無理かも、と思う。林道を進み、左手の尾根に鉄塔の見えたところから尾根に上がる。尾根伝いに進むと、やせた急な尾根となる。スノーシューを履いての登りは危険と判断、ツボ足で登る。岩に氷が張りつき、その中にロープが見えた。ここが撮り鉄の人達のルートになっているようだ。
急登部は過ぎてもツボ足で登り、新雪が出てきたところで再びスノーシューを履く。撮り鉄のためか斜面が伐開されているところが有った。磐越西線の鉄橋が微妙に斜めに見える位置取りは、なるほどと思わせるところだ。後は一息で山頂である。
天候は晴れに変わった。あわよくば登れるかも、と思った南峰は、一枚バーンの急斜面だ。その一枚バーンに幾筋か線状に立木が連なっているところが有る。その一筋を選び灌木掴みでよじ登るしか道はないな、と思う。しかし、南峰へ移る尾根も上からは判然としない所もある。予定時間もオーバーしているので南峰登頂は断念する。
出発点の深戸を目指して斜面を下る。雑木林の斜面で雪崩は起きないと思うが、急斜面である。スノーシューを踏み込んだ時に崩れた雪がバームクーヘン状になって転がっていく。林道を横断し雑木林の中を進む。のんびりした気分である。杉林が見えてきたので小さな沢を渡る。杉林の先が出発点の深戸である。
少し進むと2m位の滝が見えた。こんなところに滝が有るんかよ、と思った。あとわずかで田んぼに出るのに。少し進むと小さな砂防ダムが出てきた。右から支沢が入っている。ダムの袖部が掘削されていて登ることは難しい。そこにカモシカの足跡が付いている。カモシカが歩いているならば、とよくよく観察すると、何とか越えられそうだった。しかし、自重する。落ちたりすることは万が一にも許されないのだ。
右支沢を渡り高巻く。大高巻になると思って、ガクッと来たがたいしたことはなかった。登ったところはカモシカの糞が何か所も有り、足跡もたくさんあって通り道になっているようだった。カモシカも安全な所は良く分かっているのである。杉林に入って直ぐに朝のトレースに合流する。今日のトレースが結ばれたのだ。ちょっとうれしい。
スノーシューを手に持って、道を歩いていると犬を連れたおばちゃんがやって来た。朝のおばちゃんに違いない。
「朝のおばちゃんですか」
「いや、違う」
犬も連れていて、私は、てっきり朝のおばちゃんだったと思ったら、別な人だった。
「もう一人、犬を連れて歩く人がいる」とのこと。
いきなり「このパン上げる。持って行きなさい」と言う。
「いやいや、食べるものは、私もいっぱい持ってますから」
「いいから、いいから、お腹空いてるんだから」と勧められてメロンクロワッサンを頂く。メロンクロワッサンなんてハイカラな物は、食ったことは無い。
行きは行倒れの怪しげな遊び人。帰りは腹をすかせたおじさんか。
ま、いっか。いつまでも、記憶には残るであろう山行である。
コメント
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犬とおばちゃんが、しかも二人
笑いが止まりません。
真面目な妙高さんが真面目に遊んでいるのに。
山のおばちゃんはずっとそうやって暮らしてきて
旅人をほおっておくことはできないのでしょうね。
あんなに綺麗な雪景色の中で暮らしていたら
そういう人になるに違いないです(^^)/
おはようございます。
二人とも似たような防寒着を着ていて体型がそっくりなんですよ。しかも、犬を連れて。犬がまた、柴犬でそっくり。てっきり同じ人だと思ってなんかしゃべらないと、と声をかけたらこんなことになってしまいました。「筋肉もつけなきゃ」というのは余計でしたね。思い出し笑いしてました。
柴犬可愛いんですよ。ちょっと誉めてあげたら、友人が病気になって預かっていたら、本人が無くなったので引き継いで飼っているんだって。もう18年になったと言ってました。人生ならぬ、”犬生”を感じますね〜。
ドラマです。
myoukohiuti さん
こんにちは
阿賀は結構な積雪ですね。
この界隈は南峰、無名峰等を残して殆ど登頂されたのでわ?岩稜線は積雪が多過ぎても少な過ぎても難儀ですが、今回は最適な状態だったのではないしょうか。
当エリアにはアプローチといい、アタックルートといい、標高といい、小生レベルでも何とかなりそうな適度な藪の鋭峰が林立しており、大好きなエリアです。
貴兄のレコを参考にさせて頂き長く楽しめそうです。
tonkaraさん おひさしぶりで〜す。
雪は、黒崎山で50儖未任垢ら、今年は小雪ですね。家の周りの雪は消えました。これからまた降るようですが暖かいです。残雪利用の登山はあっという間かもしれませんね。冬山は、おっしゃる通り雪の状況に左右されてしまいますね。
あの辺は、興味をそそられる山は多すぎて、まだまだ登っていない山が多いです。多くは、里の村が見えてますし、立木も生い茂っていますので、登りやすい面はありますね。これからも登って行こうと思っています。ぼちぼちと。
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