檜洞丸 〜荷揚〜
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コースタイム
14:06-14:08▲檜洞丸14:11-14:56歩荷口分岐-15:06歩荷口15:17-15:25歩荷口分岐復帰-16:15西丹沢自然教室
天候 | 曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
数日前にツツジ新道(山コース)入り口から10分程の箇所で滑落死亡事故発生。 トレイルランナーが追い越し時にそのまま滑落した模様。 |
写真
感想
プロローグ:
悔しくて仕方なかった。
micさんにタスキを渡した後、
俺は荒い息に紛らわしてごまかしながら咆哮していた。即ち涙を流さぬ号泣だ。
しかし勝負事は勝負事。
終わったものは取り返しがつかない。
あの日の俺は、敗者であり弱者だった。
敗者である事は動かし様のない事実なので致し方ない。
だが、自分が弱者のままで居続ける事は、
どうしても俺には許せない我慢ならないことだった。
ならどうするか。
自分が弱者でない事を自分自身に対して証明してみせるしかない。
サブULデビュー予定の次回山行も、
けじめをつけてからでないと、出るに出れない。
どんなに速く歩けたとしても
「でも荷物があったら遅いじゃん、お前。」
と、自分にツッコミを入れたくなる様な状況では、
山を満喫する事など出来る筈もない。
だったら荷物を担いでリベンジするしかない。
幸いにも、ハイシーズン最後となる予定の
今回の荷揚げは、重量27kgとリベンジに最適な重さだ。
どうしたら、どうすれば、
自分に対して俺は弱くないと証明できるか…
考えて出した結論はこれだった。
27kgを担いだ状態でツツジ新道を実走2時間未満で登りきる。
世の中にはそんなこと朝飯前でやってのける人も山ほど居るだろう。
だが俺にとってはこれは、快挙以外の何ものでもない。
とは言え、実走2時間未満でも休憩を1時間も2時間もとっていたのでは意味がないので、
実走時間以外に与える休憩時間は10分とした。
この10分間のマネジメントには全知全能を傾けなくてはいけない。
「何の為に休むのか?
心拍数を下げる為か?足の筋肉の為か?
重量から開放される為か?残された休憩時間は?
ゴールまでの距離と時間は?」
これを考えながら、肉体にフルのパフォーマンスをさせれば、
もしかしたら俺でも27kgで実走1時間台を達成できるのではないか?
と、挑戦する意志を固めた。
当日:
前夜、ちょっとした集まりがあり、
ビールをロング缶で4本程いってしまったが、前回と比べれば可愛いものだ。
睡眠時間が3時間しかとれなかったのは不安材料だが、コンディションは悪くない。
「俺は弱くねえ」
その想いだけを胸に、自然教室で時計をチェックしスタート。
時間を稼ぐ為、登山口までの舗装区間は全力ダッシュ………したら先週の二の舞になるのは明白なので絶対に走らない。
舗装区間を終え登山道に入る。
つい先日、滑落死亡事故があったと思われる区画を足を止めずに黙祷しつつ歩を進める。
少し前に出た筈の何組かの背中がなかなか見えてこない。
「すぐ追いつけそうだったのに何故だ?
それなりの重さ担いでいるし大してペース上がっていないのか?」
焦りはそのまま足取りに表れ、意識せずともピッチが上がる。
「駄目だ。これじゃ先週のリプレイになっちまう。」
意識的に上がるピッチを押さえ込み、足の温存を図る。
「絶対に走るな。ただし常に全速力で歩け。」
自分に命じながら歩くが、
1つだけ、自分に走る事を許すパターンが決めてあった。
爛献Д奪肇魁璽好拭質法
トレイルランをする方ならご存知だろうが、
鞍部の様な所を通過する際に、
下りを走ってきて慣性を利用して登りに突入。勢いが止まるところまで走る。という技術だ。
うってつけの地形が表れたので、
逸る気持ちのままに道を駆け下る。
ショートカットのトレランシューズなので、捻挫せぬよう足元には細心の注意を払う。
背負子の荷物も自分の頭をとうに超える高さなので、頭上の樹木にも注意する。
この勢いでぶつけてしまったら、荷物もろとも、もんどりうって登山道外に転がり落ちてしまう。
カーレーサーの様にコースを睨み付けながら、鞍部手前でピッチは最高速に達している。
「よし!このまま慣性を利用して一気に駆け登…らねえ。」
ジェットコースター走法失敗。
荷物の重量がある程度以上になると、
鞍部の平坦路に達した時点で急速に勢いが落ち、
登り手前で完全に失速してしまう事が判った。
仕方がないのでまた歩く。ひたすら歩く。
ゴーラ沢出合、第一展望、木段と、小まめに1分2分程度ずつ休憩を挟んでいく。
今まで、山を速く登るという発想がなかったので、この様な休憩の仕方をした事がなかったが、
ある程度休む時間の目安を決めておいて、
コース状況やフィジカルを見ながら、小出しに体に休みを与えて疲労をコントロールしていく、
というこの方法はなかなか良さそうだ。
次回のサブUL山行の際に研究してみよう。
歩荷口との分岐点まで来るとゴールまでのタイムの目安がだいぶ現実的に見えて来るが…
ビミョーだ。非常にビミョーだ。
2時間切れそうっちゃ切れそうだし、超えそうっちゃ超えそうだし。
ここが正念場! 一気果敢に畳み掛けるべし! と、ペースを上げようとするが、
無理に上げると大きな利子つきでお釣りが返って来るのは目に見えているので、グっと堪える。
「俺は男だ。俺は弱くねえ。」
頭の中でひたすら唱えながら一定の速度で歩みを進める。
山頂直下の木道部にさしかかり、タイムを見ると1時間52分。
「行ける! 走れ! 先週の分まで走れ! 荷物を放棄してでも良いから2時間以内に山頂を踏め! 」
目頭が熱くなるのを堪えながら、木道をヒタ駆けに駆け、最後の登りをガムシャラに登り、山頂に立つ。
実走1時間56分48秒 休憩ジャスト10分。
やっと自分を許す事が出来そうだ。
エピローグ:
リベンジは終わったので来年俺は出場しません的なオチをつけて笑いで終わらせようと考えていた。
しかし、大変恥ずかしい事にこの感想を書いていてこみ上げてくる涙を抑える事が出来なかった。
この一週間、それほど辛く悔しかったのだろう。
登山は競走ではない。でも競技登山は競争だ。
無論、ボッカ駅伝は狭義での登山競技では無いが。
ウー…言いたい事が上手く纏まらないが、
もう悔しい思いや惨めな思いはごめんだ。負けたくない。
と言う事は…来年は出なけりゃいいんだ! 出なけりゃ負けることもないし。
ギャラリーばんざーい! サポートばんざーい!
選手の皆様、頑張って下さいね
あっ、ちなみに下りは普通に下って来ました。
ところどころ走ったり。
行きは全く気づかなかったけどツツジが綺麗でした。
敬服いたします。
高い目標を掲げ、やり遂げることは並大抵のことではありません。
…ここまでは良いコのレスざんす。
来年こそは黄色い声援をリアルに送らせていただきます
それまでご鍛錬くださいな
こんばんは。コメントありがとうございます。
>高い目標を掲げ
人から見たら大した事はしていないのでしょうが、
スピード・担ぐパワー・(レースには無い)休憩のマネジメント
という3つの要素を併せ持つ今回のチャレンジは、
もしも私がヤマヤというものの端くれに入れて貰えるのであれば、
そのヤマヤの意地とプライドを賭けた戦いでした。
…ここまでは良いコのレスざんす。
来年は女性の部に出場するhiroさんに、
私が黄色い声援をお送りする番ですよ
takec様
そんなに思い詰めていたとは、思いませんでした!
真剣に向き合う姿勢が素晴らしいと思います!
是非、もう一度我らがチームへ!
そして
本当に悔しく不甲斐ない思いでいっぱいだったのですが、
なんとか自分を納得させる事ができました。
アラゲンさんには、
自分の山に対する考え方や姿勢に一石を投じる
爐燭辰唇貪戮りの畫農欧蕕靴し亳海鬚気擦督困い拭
と心底感謝しております。
何せ人生で一回しか経験できない事ですからね。一回しか。
えっ?しつこいですか?
だって、本ッ当〜に、超超超〜、苦しかったですもん。
あれは本当にもう2度とごめんだな、と思います。フリでなく。
でも、苦しいって判ってて逃げるのって明らかに負けですよね。
…
アラゲンさんには、
地獄の道へ通じる門をくぐり抜けるという
素晴らしい経験をさせて頂いた、
と心底感謝しております。
何せエンドレスですからね。エンドレス。
…もう諦めます。
来年も宜しくお願いします
いやいや、そんなに思い詰めていたとは
大丈夫です
スタート台が低い分、記録更新は容易ですって(お互いにw)
あれ?
慰めになってないか!?
長文ご覧頂きありがとうございます。
>スタート台が低い分、記録更新は容易
いえいえ、さすがに今年のタイムを基準にする位なら出ない方がマシですって。
私は、もっと高みを目指しますよ。………笑顔で完走という名の高みを。
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