巻機山(割引沢〜ヌクビ沢)
コースタイム
天候 | 午前中晴れ、午後は曇り雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2011年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
※1週間前の東北地方の集中豪雨と例年に増した雪渓でコース状態が悪かった。 ◆「アイガメの滝」手前の支沢の大崩壊で河川全域が流木と最悪のゴーロ状態 ◆「行者の滝」前には大雪渓魂が残っている。 ◆「行者の滝」高巻きの先が崩壊している。 ◆源頭部詰の前に大雪渓が行く手を阻んでいる。 |
写真
感想
登攀ルート:高低差約1,000m巻機山の沢登り『割引沢〜ヌクビ沢』
8/5巻機山駐車場(仮眠)8/6 6:00→割引沢出合―【遡上開始】→吹き上げの滝→アイガメの滝→ヌクビ沢出合→行者の滝→14:00稜線分擬点→巻機山→避難小屋(泊)7:00→前巻機―(井戸尾根)→駐車場(朝9:30)
(8/5)PM9:00に川崎を出て、関越道「塩沢石打」ICを経て深夜1:00頃に清水に付く。本日の目的地の巻機山駐車場に向かうも、清水の村道はいきなり通行止めである。どうやら先週の集中豪雨で村道に並行して流れる登川が氾濫したようである。思案している最中に運よくも村民関車両が来た。通行止めされた柵を一緒にこじ開けて、入村させてもらう(失敬)。その後も通行止め柵を2度失敬して駐車場に着き幕営準備をして仮眠をとった。
(8/6)車とバイクの音で目覚める。バイクは駐車場の管理人であった。何故かしら、管理人からは駐車代金のほかに1人500円のテント設営料を請求された(◇※○△ ?)。
◆事前調査では沢遡上とはいえ、登山靴で遡行できるルートだから午前中には稜線に付くと思って、のんびりと登攀準備をするが、積極的にルートから逸れて沢を遡上するために沢靴で登ることにした。駐車場をスタートするや、登山口に「入山禁止」看板が目に入る。よくみると、かすれたマジックペン書きで「初心者は」と添えてあった。冗談はこれぐらいにしたいネ。!
最初の割引沢の入渓ポイントを目指すが見当たらず若干ながら焦る。30分ほどで割引沢入口の道標があった。やっと清流の沢に入渓できて溯上開始である。わずかに遡上すると、すぐに巻道マークが出た。リーダーの判断で巻道をやめて、源流沢登りを楽しむために清流に沿って遡上する。清流は大岩の間を走り、両岸はスラブ岩の草付き土手である。出足上々で快適な遡行を開始する。暫くすると最初のポイントである「吹き上げの滝」に付く。穏やかな勾配のナメ状である。童心に還った賑やかに通過する。
◆吹き上げの滝で気分良くしたが、暫くすると川幅は広くなり、河川状態が荒廃しく流木と大岩のゴーロ地帯となった。事前情報とは何故かしら異なる。更に前方を見ると支流沢の大崩壊の生々しい爪痕が見えてくる。やむを得なく高巻ルートを捜して巻道目印(赤ペン○表示)を発見するもその先も崩壊している。集中豪雨と沢崩壊の濁流が巻道を奪ったようである。空身で前方を探索先行する。この状態が継続すると今回の遡上は中止である。50mほど進むと大崩壊の先の本流は左に折れて、第二ポイントの「アイガメの滝」が確認できた。遡上再開である。先週の豪雨の凄さを物語っている。アイガメの滝の前方には烏帽子のように尖った割引岳の天狗岩が望まれるが目的地の稜線はまだ遙かに先だった。そして行く手は相変わらずの荒れたゴーロ地帯である。少し前に進むにも巨大な大岩を1つ1つ乗り越えて前進する。目にするゴーロ状の岩は荒々しく、沢歩きにも力が入った。更に進んで「ヌクビ沢出合」示す大岩に出た。割引沢は草付き尾根と嫌な藪こぎが予想されるので、我々はヌクビ沢ルートを選んでいた。
◆更に進むと前方に、本日の見せ場の「行者の滝」を確認した。但し、ここも番外編で滝の手前には大雪渓が行く手を阻んでいる。ネットのレポートでは必ず行者の滝の写真が掲載されている。何故かしら我々はこの写真がない。理由は大雪渓のへつり通過も容易ではなく、撮影を忘れて草付き急登の20m落差の高巻きルートに即座に突入したからである。滝の直登もありと聞いていたが、水量も多く迷わず高巻きに入ったのだ。高巻きから本流沢ルートに戻るポイントがない。暫く沢沿いの巻道であった。突然、巻道の前方が崩壊している。無理に沢に入る選択肢もあるが、10mほど引き返してロープを使って本流に戻ることにした。戻っている最中に後続パーティが来た。後続パーティも崩壊場所まで進んだが、やはり引き返した。ネット情報では暫くすると沢ルートも終盤となり稜線を目指すと掲載されていた。
◆しかし今回は終盤の詰めには大雪渓が遡上を阻んでいる。雪渓に乗り切って越えるか、ブリッジとなっている雪渓の下を通過するかである。雪渓越えを選んだ。雪渓に乗り切るためには草付きザレ場の切り立った土手岸を登ってのトラバースである。リーダーが先行工作したロープで雪渓に乗り切る。不運にも雪渓は真ん中でぽっかり割れていた。リーダーは足場がない岸をへつって向こう雪渓に移動した。リーダーのへつりで崩れたザレの土手岸はへつりが不可能になった。止む無く僅かに残されたクレバスに掛かったブリッジ雪渓を踏み越えることにした。部厚そうな箇所を選んで慎重にブリッジの上を通過した。全員が通過して休憩をとって最後の源頭部への詰めに備えた。
◆幾つかの支沢を見ながら沢は細って、徐々に源頭を思わせるけど随所に雪渓魂が意地悪する。大岩と雪渓の間隙を縫って遡上する。やがて、細くなった沢本流の左手の涸れ沢から右手に延びる稜線からの草付きの土手へと登っての大詰めである。紅葉時期は水量もなく足場も安定していることが予想できる。しかし、豪雨後の現在の急峻な土手の取り付きには草付きらしい痕跡を残しているが草も足掛かりもないザレ場の急登である。取り付きからキックステップで不安定ながらも足場を工作しながら慎重に詰める。15mほど上がった処からは岩の足掛かりを確保したが難路で疲れた心身に稜線までの登攀はかなり堪える。やっと尾根沿いに出たことを確認する。足場が安定した処で雨降りとなった。終わり良ければ全てよし!!そして14:00に稜線分擬点に着いた。予定時間の2倍を要した。
◆分擬点から15分で御機屋に着いた。ところが、ここに巻機山の山頂道標がある。オカシイ?どうやら巻機山山頂が崩壊して山頂を変更したようだ。コンナンテアリ?まあ、いいか!記念写真を撮って本日のお宿、避難小屋に向かう。小屋は近年建て替えたとのことで真新しい。トイレは自転車漕ぎによる?珍しいバイオトイレだ。本日の利用者は沢を遡上した後続パーティと一般ルートの3組だった。夜食メニューはマーボナスだ。
(8/7)小鳥のさえずりで目覚め、適当に朝食をとる。7:00に下山開始。途中、天狗岩に沿ったヌクビ沢全景を見る。見ると行くのでは随分と違った。一般ルートの入山者が続々と上がってくる。9:30に登山口に着く。駐車場は昨日と変わって満車状態だった。麓の温泉に立ち寄ったが営業前で止む無く湯沢温泉でひと風呂浴びて帰った。今回は、楽勝沢登りのつもりが先週の東北地方豪雨と例年に増した雪渓で番外編の変化に富んだ、そして楽しい山行になりました。
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