奥穂高岳断念で涸沢ピストン
- GPS
- 30:23
- 距離
- 45.4km
- 登り
- 1,881m
- 下り
- 1,878m
コースタイム
上高地BT 6:45
河童橋 6:55
小梨平 7:05
河童橋 7:12
明神館 8:15
徳沢 9:30
横尾 10:30/11:00
本谷橋 11:55/12:15
涸沢ヒュッテ 14:05
30日
涸沢ヒュッテ 7:00
木谷橋 8:30/8:45
横尾 9:45/10:00
徳沢 10:55/11:00
明神館 11:45/11:55
上高地BT 12:45
天候 | 29日超快晴 30日大雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
涸沢までは危険箇所は全くありません。ガレ場トラバースもありますが足下は特に不安はなく、危険というほどではありません。 |
写真
感想
♪槍や穂高は隠れて見えぬ…
私の北アの原体験はこの歌である。聞けば剱から穂高の偉容を想像しての歌詞だそうだが、「見えぬあたりの」穂高、しかも日本三位の高嶺、登山に手を染めて以来、一度は踏んでみたい頂と思っていた。
チャンスは意外と早くやってきた。職場の同僚が小屋2泊で北穂〜奥穂〜前穂の縦走を計画した。乗らない手はない。早速手を挙げてパーティに加えて貰った。
しかし、調べれば調べるほど、メンバーの力量に対しコースの難易度が高いことが明らかになる。しかも日程の後半は雨の予報。結局登山計画は奥穂にターゲットを絞った。それでもあこがれの涸沢〜穂高の主峰であり日本第3の高嶺奥穂のコースはいやがおうにも胸が高鳴った。
前日夜半に沢度の駐車場に到着。既に多数の車が到着している。ビールで気勢をを上げるのもそこそこに車中泊。心配していた天気は大丈夫だ。見上げれば満天の星。ただ室内は寒く、小屋泊の布団不足に備えて持参したシュラフを引っ張り出した。
空けて翌朝も快晴。早朝から駐車場に参集しているタクシーを捕まえ、5:30に出発し上高地バスターミナルを目指す。メンバーすべて上高地すら初体験である。快晴の朝の空の下、写真では見慣れたあの風景が至る所に展開し、すでにかなりテンションが上がる。6:45に一旦バスターミナルを出発し、小梨平まで来たところで、やっぱり梓川の右岸を歩こうということになり、河童橋まで引きかえす。その後も横尾までは写真撮影ポイントの宝庫。6人中3人が一眼カメラを装備したパーティのペースはついつい遅くなり、コースタイム2時間強の徳沢まで3時間近くかかる始末。しびれを切らしたCLからペースアップからの指示。
横尾で左に折れて梓川をわたり、いよいよ登山らしくなる。左に屏風岩の偉容。近づけば近づくほどそのスケールに圧倒される。本谷橋で大休止ののち、涸沢を目指す。ここからはそれなりの急坂だ。気温は高くないが日差しは強い。しかし「涸沢のおでんとビール」という、鼻の先のニンジン効果は絶大だった。最終的にはほぼ計画通りの時間で涸沢ヒュッテに到着した。
荷物を解いて部屋に置くのもそこそこに、デッキに駆けつける。待望の、あこがれの涸沢名物おでんと生ビールだ。抜けるような快晴、涸沢カールの絶景、そしてメンバーの一人が「ハリウッドスターに囲まれての乾杯」と形容した、憧れの穂高連山のを見上げての乾杯。しばし至福の時を満喫する。
3時前になるとデッキの多くの登山者が俄にそそくさとカメラを取り出し始めた。日没だ。しかも奥穂の山頂に夕陽とも言えぬ白い太陽が沈み、同時に明るく暖かなデッキは急に冷気が支配する、不思議な瞬間だ。しかしこの時点で、翌日の天気の崩れなど、全く想像だにしていなかった。
夕食ののち、翌日の登頂に備えて早めの就寝。しかし夜中に目が覚めると、屋根から雨音。なんということだ。通り雨であることを願い、翌朝の天候回復を祈りつつ再び眠りに落ちる。
しかし夜が明けても天候は回復するどころか、風も強くなり、もはや奥穂登頂は絶望の状況。小屋のご主人も「この天気で奥穂は怪我をしに行くようなもの」と断言する。撤退の決断も登山のうちである。断腸の思いで奥穂を諦め、下山を決断した。前日のおでんにお誘いした女性の方も単独で下山予定とのことだったので、安全の意味をかねてご一緒して頂くことにした。
たとえ涸沢発でも下山には違いない。事故は下山時に多いという教訓を噛みしめ、慎重に、しかし足早に下山。かなりの雨量で雨具、登山靴の防水も効きがが怪しくなる。屏風岩の頭付近からは前日には影も形もなかった、相当な水量の滝が流れ落ちていることが、この日の雨量を物語っている。これだけ降れば登頂断念の無念も軽減されようというもの。しかし心強い同行者のおかげもあり、心も軽く?予定より若干速いペースでバスターミナルまで下山することができた。
聞けば小屋の隣室のパーティも2年続けて奥穂登頂を雨に阻まれているということだった。人との思い、個人のスキルではどうしようもない条件に阻まれることもまた登山の魅力でもあるだろう。しかしメンバーすべてにとって、想像の世界の中にしかなかった穂高が、間違いなく視野に入った。心の中に再訪を、リベンジを誓いつつ、爽やかな後味を味わいながら帰路についた。
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