和名倉山(ヒルメシ尾根で下山)【吊り橋の動画付き】


- GPS
- 28:40
- 距離
- 29.7km
- 登り
- 1,890m
- 下り
- 2,356m
コースタイム
- 山行
- 1:38
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 1:38
- 山行
- 13:51
- 休憩
- 1:38
- 合計
- 15:29
天候 | 晴れ(一時北風強い) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
JR新宿駅10:30発 → 【特急かいじ103号】 → 11:53着(JR塩山駅)12:40発 → 【山梨交通バス】 → 落合バス停13:40着 → 【徒歩】 → 民宿みはらし15:14着 帰り: 川又バス停(終バス逃す) → 【通りかかった方の御厚意により自家用車で送ってくれる】 → 西武秩父駅20:25発 → 【特急ちちぶ52号】 → 西武池袋駅 → JR新宿駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
1 登り(将監登山口から二瀬分岐まで) 将監登山口(民宿みはらし付近)からの一般ルートは,細かいアップダウンはあるが,よく整備されており,歩き易い。なお,山ノ神土から笹薮地帯がある。 2 和名倉山山頂手前 緩い斜面を歩く。踏み跡は明瞭。ただし,山頂付近は,倒木と木々に覆われ,やや道が不明瞭。テープを目印にすれば問題ない。 3 ヒルメシ尾根(川又分岐からの下山路) ※道標が皆無のバリエーションルートです。遭難事案も多いです。通行は,自己責任で。 (1) 川又分岐から桃源郷まで テープが十分に付いているので,道迷いの心配はない。 がれたトラバース路。大変歩き難い。序盤は踏み跡明瞭だが,しばらくすると,薄くなる。道幅も狭く,谷側に滑落しないように神経を使う。スピードが出ないので,時間がかかる。 特に,沢の歩行は,テープがなく踏み跡が付いていないことにより,どこを歩けば良いのか,若干考えなければならない。 (2) 桃源郷から北西に進路変更する下降路 尾根筋を外して北西に下降する。道が付いており,テープがあるので,進路変更に迷いはない。 下降路は,つづら折りのがれた狭い道である。踏み抜いて,片側の急斜面に滑落するリスクがある。ここも,スピードが出ない。 (3) 北寄りに進路変更しトラバースする部分 相変わらずの歩き難いトラバース路。巨岩を巻くようにできている。 (4) 1173m峰手前まで 尾根筋を少し外してトラバースする。比較的歩きやすい。テープも豊富。1173m峰手前で進路を東(右)寄りに進路変更するようにテープが付いている。 (5) 沢沿いまで ここが最大の難路であった。疲れる。薄いトラバース路の上,ふんだんに落ち葉が堆積しており,スリップ,滑落のリスクが高い。基本的にはつづら折りで下降する。テープは,今までよりも少ない。よく注意する必要がある。谷を数回渡り,尾根を横切る。ルートファインディングが必要。 しばらくすると,植林帯が出現。ここも基本的につづら折りで下降するが,多くの登山者は,800m以下で,東に進路変更している。テープは,西側についている。しばらく東(沢筋方面)に歩行を進めると,道型及びテープが出現。トラバースして下降。徐々に沢に近づき,あの吊り橋に出る。 (6) 吊り橋 ヒルメシ尾根最大の難関という者さえいる程の吊り橋。崩落が進み,一部の踏み板が欠けている。自己責任において通行可能である。なお,落下すると,15m程度下の岩石が豊富な川に落ちる。命の危険がある。その川の渡渉は,一部の登山者はしているようであるが,増水期は,とてもできない。 吊り橋歩行の様子は,今回,動画撮影したので,御覧いただきたい。 |
その他周辺情報 | 将監(塩山)側: ・民宿みはらし 1泊2食付き約7000円(駐車場のみの利用も可能) ・将監小屋 塩山→落合バス停以降は,自動販売機,売店はない。 川又側: バス停,観光公衆トイレ(立派)及び東屋があるのみ。自動販売機はない。東屋でビバークする者もいるらしい。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
雨具
靴
ザック
昼ご飯
非常食
飲料
地図(地形図)
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ガイド地図(ブック)
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
タオル
カメラ
熊鈴
ビデオカメラ
着替え
充電器
防寒着
|
---|---|
備考 | 水分は多めに持って行った方が良い。 |
感想
1 序文
今回は,奥秩父の名峰である和名倉山に行ってきた。和名倉山登山は,2015年5月,同年12月,2016年4月にしており,今回で4回目となる。過去3回とも1泊2日の行程で,宿泊地は「民宿みはらし」である。
下山路部分以外は過去3回の山行と同様(前回は,ヒルメシ尾根ルート桃源郷手前まで歩行し,その後コース変更し,北ノタルまで直登している。)であることから,その部分については,説明を省略する。なお,過去3回の記録については,次のURLを参照いただければ幸いである。
(1) 2015年5月の記録(二瀬尾根経由)
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-662312.html
(2) 2015年12月の記録(仁田小屋尾根経由)
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-781988.html
(3) 2016年4月の記録(ヒルメシ尾根撤退,二瀬尾根経由)
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-856696.html
2 和名倉山について(所感)
和名倉山は,私が一番好きな山である。なぜならば,あの秘境感,地味さ,奥秩父独特の雰囲気,一瞬広大な景色がある,歴史的魅力,ルートの険しさなどが渾然一体に備わっているからである。登山としてやりがいのある山である。その分,アクセスは悪く(遠く),遭難のリスクは高い。景色もほとんどなく,行楽気分で行けるような山ではない。こうした2つの性質は,裏表の関係として,魅力の陰影を形成し,立体化する。これが,私が魅力的な対象物として捉えている一つである。
和名倉山は,独立峰であり,巨大である。雲取山ルートの霧藻が峰辺りから見ると,その山容に圧倒される。しかし,登ってみると,実にこじんまりとした山頂で,苔むした倒木と木々に覆われて,その山容と似つかわしくない光景がある。何というか,泰然自若にたたずみ,どっしり構えた素朴で地味な山といったところなのだろう。あまりこういう山はないと思われる。
3 和名倉山まで(登り)
民宿みはらしは,日の出前の午前2時30分に出た。下山路のヒルメシ尾根に時間をたっぷり使いたいためである。これは,結果的に正解であった。むしろ,もっと早くても良かったが。
序盤は,エンジンがかからず,息切れをもよおし,ペースが上がらない。山の神土辺りからペースが安定し,山頂に向かう。このゴールデンウィークの最盛期において,3,4組しか登山者と会わなかった。
山頂は,相変わらずのピークらしいピークのないなだらかな樹林帯の中に唐突に表れた。
4 ヒルメシ尾根ルート(下り)
川又分岐まで戻り,いよいよ今回のメインであるヒルメシ尾根ルートを歩くことになる。このルートの名称は,「ヒルメシ尾根ルート」と呼んでいるが,「川又道」のほうが正確なのかもしれない。登山道というより,昔の林業関係者の仕事道だったのだろう。
さて,序盤からがれたトラバースが始まる。テープが頻出し,踏み跡もあるので,淡々と歩く。しかし,何度も渡る沢(枯れている)部分は,崩落しており,対岸にテープが見えなかったりするので,どこを歩けば良いか,やや悩む。そして,滑落のリスクがある。
水場を通過し,予定よりも大幅に時間を超過して,桃源郷に入る。ここは,広場である。昔の林業関係者の憩いの場であったのだろうか。一升瓶が散乱していた。
その後,尾根筋脇をトラバースしながら進み,尾根筋に合流する。倒木,枯れ枝が散乱しているが,比較的歩き易い。進路は,二瀬尾根から離れて西寄りに変わる。このエリアも,テープがしっかりとあるので,道迷いの心配はない。
1762mピークをかすめて,概ね尾根道を歩く。1669mピークの手前で進路を更に西(左)に変えて,山腹を下降する。つづら折りの連続である。道はがれがれ,道型は薄く,テープが頼りである。強引に下降しようとしたが,この地面の質からして,転がり落ちてしまう。
長いつづら折りをこなすと,またトラバース。巨石を巻く。谷を渡って,1173m峰付近まで明瞭な尾根脇を歩く。しかし,片側は谷なので,相変わらず神経を使う。疲れる。
1173m峰の手前でテープが東(右)寄りに誘導する。一部の記録では,1173m峰の先から東に下降するものもあるが,私は,テープに従った。ここからが,最も歩き難いエリアであり,落ち葉の堆積,薄いトラバースのつづら折りである。もはや直立で歩行できず,山側に体をかなり傾け,一部山側に手を添えて,ゆっくりゆっくり下降する。こういう道をすたすた歩ける人がいたら,そのコツを教えてほしいものである。
その後,進路は,やや西(左)に向かって歩く。何回か尾根と谷を横断する。この辺は,テープの数が減る。次のテープが見つからないことがあり,ルートファインディングを要する。といっても,多少のルート脱線をしながらも,地形図を見ながら落ち着いて下降していけば,正規の道と合流できる。ここは,がれ道ではない。
800m台になると,植林帯に変わる。薄暗い。しばらくテープに従ってつづら折りであるく。川の音が大きくなる。800m未満になると進路を東(右)に変えるようであるが,テープは,西(左)方面に続いていた。少し悩んだが,道のない所を東に進み,強引に下降したら,テープが見えた。
その後,薄い踏み跡を沢沿い(沢の上部)に緩やかに下降しながら進み,パイプに水が流れている所に着く。その後,最後の吊り橋に向かいたいが,高度が高過ぎてしたので,シリセードで急斜面を強引に下降した。急斜面は,慣れている。そうすると,前方に,あの「恐怖の吊り橋」が姿を現した。
ある人は,ヒルメシ尾根ルート最大の難所という吊り橋である。詳しくは,動画を見ていただきたいが,崩壊が進んでいるといわれてから10数年が経っているボロボロの吊り橋である。吊り橋を渡らずに,川を渡渉する人のいるようであるが,今回の川の水量では,とても渡渉することはできない。この吊り橋を渡らなければ,下山できないのである。
この吊り橋の状態を詳しく周知するために,私は,今回,ビデオカメラを持参した。動画撮影をしながら吊り橋を渡ることにしたのである。まず,吊り橋の端の踏み板を踏んでみる。「ミシミシ」「ぐらぐら」といった感じ。しかし,踏み抜くほど板がすかすかではない。硬さがある。意を決して,渡り始める。3,4つ先の板がぐらぐら波を打っている。怖い。しかし,渡らないことには下山できないので,進む。左側を歩き,左手は金属のフェンスをつかみながらとした。最悪,カメラを捨てて,フェンスで落下を防ぐ狙いである。
下を見ると,15mはある高度で川が流れている。高度感がある。
何とか渡り切り,川又バス停に到着。既に最終バスは行ってしまった。さて,ビバークするか,タクシー呼ぶか,付近で宿泊するか。思案していると,一台の車が停車した。観光トイレに立ち寄ろうとした方である。「どこに行ってきたのですか。」と声をかけられ,しばらく山談義。話は多方面に及び,すると,その方が「駅まで乗せて行っても良いよ。」と。感謝感激である。山では,不思議と良い人間関係に巡り合う。
最終的に,一番都合の良い西武秩父駅まで乗せて行っていただき,すぐに発車するレッドアローで帰路についた。
5 終わり
ヒルメシ尾根ルートは,初級者は絶対に踏み入れてはならないところ,テープが多く道迷いのおそれはあまりなく,アップダウンもほぼない。しかし,落ち葉・がれ道,薄いトラバース,谷の横断といった部分において,滑落のリスクが高いので,十分注意した歩行と体力,時間を用意して臨まれたい。
ともあれ,今回は,とても充実した山行であった。
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