馬ノ鞍峰下山時に40~50m滑落事故(行宮〜カクシ平駐車場にて)
- GPS
- 32:00
- 距離
- 16.7km
- 登り
- 1,709m
- 下り
- 1,690m
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
三之公行宮跡まで崩落など危険個所あり |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
タイツ
ズボン
靴下
防寒着
雨具
ゲイター
靴
予備靴ひも
サンダル
ザック
ザックカバー
サブザック
昼ご飯
行動食
非常食
調理用食材
飲料
ハイドレーション
コンロ
コッヘル
食器
調理器具
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
針金
常備薬
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
ストック
ナイフ
カメラ
テント
テントマット
シェラフ
携帯トイレ
|
---|
感想
2018年12月13日(木)そもそも睡眠時間3時間半で慌てて準備した山行。7時に家を出発。現地9時着。予定より2時間遅い。ここのコースは4回ほどは来ているが人と会うことは今までない。三之公行宮から馬ノ鞍峰まではピンクテープ頼りに登下降する。不明瞭の道が続く。携帯の電波は繋がらない地域である。いつも慎重に忘れもののないようにと気をつけていたが、今回は手袋という大事なもの(他一部)も忘れていた。前日にどんなに探しても見つけられなかったのである。小さな事でも山では重大なインシデントに繋がる、今回はそのいい例である。手袋がないなぁ登山口で気がつきつつも、ザッグのどこかに入り込んでいるだろうと信じて登っていった。やはり15kgでの重量で休憩込みで馬ノ鞍峰まで4時間を要した。自分の予想通りの昭文社の地図のほぼ1.5倍である。今回自分で未走破の地池超、山ノ神の頭を目指してピストンする予定でした。馬ノ鞍峰には13時につき、今日はあまり進めないとP1164手前のテント適地で14時にテント設営開始。そのまま野営。残念ながら手袋はない。誰もいない静かな寒い夜。外気温は−2℃位。−16℃対応の寝袋でも夜寒く寝付けなかった。未明3時頃、グランドシートをシェラフにぐるっと巻くと思いの他暖かく、やっと眠りにつく。その眠るがままに朝7時に起床。うっすらと雪がテント周りに積もる。8時頃二日目ピーク1164の手前のテント適地から遅めの出発。テントをたたむのにも手袋を忘れて手がかじかむ。ちょっと嫌な予感はあったが少しいけるとこまで行こうと、ピーク1164まで進む。しかし乾いた大地の上の「細かい砂利」「枯れた葉」と「サラッとしたわずかの雪」が思いの他滑りやすい環境を整えていた。P1164からの下りは慎重に下山した。その後も三之公行宮あとまで、気をつけていたが2回ほど滑った、問題はその後である。行きはその崩落箇所を上に巻き通過した。下山時は何を思ったのか崩落個所を下を巻いたのである。(ほんとに馬鹿です)そこを通る直前にも写真を撮り、危険個所だな怖いなぁと認識してはいた。慎重に一歩そして次の一歩の時には、時は既に遅し。あっと言う間に足元から土砂が崩れて足から滑り落ちていた。一瞬の1〜2秒は、すぐに止まるだろうと思いつつ、同時に何か掴もうと思いつつ、あれ何も掴めない。同時にどんどん落ちるスピードが増していることに瞬間的に恐怖を覚えた時には、既に身体は転がり落ちていました。意識がありながら、その転がり落ちる光景を自分で心の中で「止まれ」と思いつつも全く止まらず怖かった。その落ちる先には大きな岩があり、そこを落ちると垂直に4〜5mは落下するということが直観的にわかり「止まれー」という想いとは裏腹にそのまま岩の上をふわぁとジャンプしたように垂直落下し、その後も止まってくれーと思いつつ、その何秒か後にやっと止まってくれた。気がつくと斜面の中腹で倒木が折り重なるがあり、その倒木にザッグがクッションとなり背中を強打することもなく運よく止まったのである。40〜50m以上は滑落した感じです。もし倒木がなかったら更に30mほど滑落し谷底の沢まで落ちていたと思う。落ちて止まった瞬間は、心臓がドキドキとしていました。でも生きていたことを実感した。同時にすぐに確認したのは手足が痛くないかでした。なぜか痛みは感じず、骨折もしていなかった。少し安堵しました。次に目の前の樹皮に血がべっとりとついていました。直観的にどこか切ったことがわかりました。何気なく左手で右目あたりを拭うと血がべっとりとつきました。顔に怪我をしたことを認識しました。なぜか冷静で、傷の確認のためスマフォで顔を自撮りをしました。そして瞼の上と下や頭部より血が出て傷(ぱっくりと割れている)を確認しました。でもそれほど痛みは感じませんでした。興奮していたのかアドレナリンが出ていたのか。その後周りを見ました。目の前には今転げた落ちたところが壁のように覆い被さるように見えました。これはとても登り返すことはできないことがわかりました。でもどうやってと考えていると、かけていたはずの眼鏡がないことに気が付きました。予備の眼鏡を持参しているのでザックから取り出し、眼鏡をかけました。愛用の眼鏡はこの滑落箇所のどこに落としたかなんて探す気にもなりませんでした。いやぁ、これはまずいところを落ちてしまったなとあらためて思いました。「遭難」という言葉がよぎりました。ここは人が入る山域ではありません。4〜5回来ていますが、人と会うことはまずありません。単独行の怖さです。眼鏡をかけて登れそうな箇所を見上げて目で追いかけてルートファインディングをしました。イメージを掴むと近くに散乱した外付けのマットや手拭い(のちに包帯代わりに)を回収し登り直す決意をしました。ゆっくり起きるとまず、嫌なことに、また足元が少し崩れるのである。そこからは慎重に一歩、そして掴めるところ木の根や岩をまさぐり、掴んで大丈夫な岩(根)など確実に確認してからまた一歩(そこも崩れないことをよく確認してから)また手を出す。また足を踏み出す。また手を伸ばす。その慎重作業(行動と三点支持)の繰り返しです。最初は傾斜がゆるかったのが、気が付くと次第に険しくなりました、後にも引けずそこを登りました、下から見上げた時は登れそうに見えたのですが、何より怖いのが、また落ちる恐怖です。ふと登り返して振り返り見ると。決して緩やかな場所ではなく、真下を見るような急斜面を登り返しているのです。もう戻るにも戻れないような場所です。戻ろうにも自分の足元が見えにくいので戻れないのです。進めたので良かったものの、進退窮まりなくなったらそれこそ崖の途中で動けなくなります。今思い返せば無謀でした。なんだかんだで、推定20〜30秒で落ちた箇所を40〜45分ほどかけて登り返しました。。もし落ちたら、本当に転げ落ちて止まらなくなるような箇所です。登り返しているときは、本当に生きた心地がしませんでした。登山道に戻ると、周辺の写真を記録のために撮影しました。そこからゆっくりと慎重に下山しました。瞼下の切った部分は止血できず、時折手ぬぐいで拭うものの血でべっとりとして全く止血にもなりませんんでした。途中で人とすれ違ったら大変驚かせてしまうことになったでしょう。顔面血だらけなんですから。林業関係者の方が作る丸太の梯子がいくつもあり、それが滑りやすく、中には壊れているものも多くあり、45分位で下山するところを90分かけて自力で下山しました。カクシ平登山口にようやくつきました。やっと帰ってきた感じです。そこで車に乗る為にザッグやチェストバッグなど血だらけの荷物を大きなビニール袋に入れて、運転席には血がつかぬよう新聞で覆い運転をしました。しばらく運転し携帯の電波が繋がると近くの医者をGoogleで探しました。しばらく車で走っていると消防署が見えて、「近くの外科を教えてほしい」と尋ねるとそのままパイプ椅子に座らせてもらい傷の応急処置をしていただき、気が付けば首を固定され、名前、生年月日、住所、怪我をした経緯など確認され、30分後には「救急車で搬送します」と言われあらためて事の重大さを認識し、同時に非常に運が良かったと思う次第です。顔面23針を縫う怪我でした。お世話になった吉野消防署と南奈良総合医療センターの方には感謝する次第です。ありがとうございました。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する