人津谷から早乙女岳
- GPS
- 13:32
- 距離
- 22.6km
- 登り
- 1,744m
- 下り
- 1,746m
コースタイム
天候 | 晴れ後曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
|
写真
感想
大日岳から西に延びる稜線には、冬は七姫平から人津谷を詰めて到達することができる。人津谷の峠1300mには文科省登山研修所の山小屋(冬山前進基地)がある。大日岳まで行くとすれば、藤橋ゲートからの舗装路部分も含めれば標高差2000m、往復距離20kmを優に超すスーパーロングルートとなるが、雪の状態と体力によって行けるところまで行って戻ればよい。去年3月は大変なラッセルで研修所小屋までで敗退したが、今日はどこまで行けるだろうか。
藤橋ゲート前の広場に駐車し、スキー板、スキー兼用靴を担いで自転車に乗り、七姫平を目指す。この荷物での坂登りはちと辛いが、距離2km、標高差100m程度の頑張りである。ネパール料理店クムジュンのある七姫平に自転車を置き、兼用靴を履く。道路から雪原へは1.5mほどの雪の壁を登る。しばらくは林道を辿って人津谷へと入っていく。時期が遅いと林道上雪の切れ目の通過が案外面倒だったりするが、まだたっぷり雪があり、そのような問題はほとんどなかった。標高約900mで、地図では林道が左に折れて山原を上がっていくが、現場は平坦な雪原で、自然に林道がどこか解らなくなる。北西へと方向を定めて歩いていけばよい。直ぐに北から流れてくる小川に出会い、唯一の渡渉箇所である。この朝は雪の岸から雪の対岸へと跨いで移れ、スキーを脱がずに、シールも濡らさずに通過できた。人津谷の本流の場所が認識できるようになり、左岸沿いに登っていく。その内水流が見えなくなり、ブナの疎林の源流風景になる。傾斜をました谷をジグザグに詰めて行く。最後まで谷底を忠実に詰めると1405mのピークに上がってしまうので、1300mで右に折れて、ちょっと急な山原を巻いていくと文科省小屋のある峠に達する。去年ここに着いたのは14時過ぎてしまったが、今日は8時前だ。
小屋裏の北向き斜面に取り付く。少し急でジグザグに登っていく。一旦緩やかになり、今度は尾根筋がはっきりしてくる。再び緩やかになってくると1566mピークの辺りが見渡せてくる。1566mピークには行かずに、東に続く稜線に乗る。1778mの前大日岳が見えていて、これを目指して概ね緩やかな稜線を行く。右には薬師岳と弥陀ヶ原、その後ろには鍬崎山、左には毛勝三山と眺めが良くなった。眺めは良いが雪はそれなりにラッセルで、人津谷部分よりもペースが落ち気味になって来た。ストックを思い切り刺すと、50cm位下に固い雪の層があるが、それより上は潜る雪だ。ペースはともかく前大日岳までは難しい所はなく、着実に到達した。
一旦鞍部に下り、ここから早乙女岳の手前、2011mのピークまでがナイフリッジ状の斜面で、スキーでは登りも下りも注意が要る箇所だ。雪にさえ安定して乗れれば、登るのが難しいほどの急傾斜ではないのだが、表面の雪が落ちると固い雪の層がスキーでくいこ込めない部分が随所にあり、滑落注意の状態であった。そんな所はターンするとさらに危険なので、どこで安全にターンできるかを考えながら登って行った。
この登りの過程で、大日岳までは今日は無理だとはっきりして来たので、早乙女岳までは頑張っていこうと決める。早乙女岳一帯はなだらかな稜線が続き、早乙女岳というのもはっきりしたピークではなく大日岳の肩の様なところだ。2010mピークから残り標高差50mほど、難所もなく直ぐ着くかと思ったら、距離は600mほどもあり、雪は相変わらず軟らかく、1時間近くかかってしまった。出発してから10時間、長かった。ここまで来て初めて剱岳が拝め、今日はこれで十分。大日岳はそこに見えてはいるが、この雪の状態が続くとして未だ3時間はかかるだろう。
さてシールを外して下りにかかる。前大日鞍部までのリッジは、主に北斜面に乗ってギルランデを続けて、特に危険を感じず下りられた。シールを張り直して前大日に登り返し、ここからは快適な滑降が続く。文科省小屋におりる急斜面では雪も重くなったが、滞りなく一気に下り立った。
研修所には冬山研修の一行が来ていて、沢山のテントが並んでいた。大学の山岳部リーダーを集めての研修である。12年だか前の研修で大日岳の雪庇崩壊により死亡事故が起き、それ以来中止していた大日岳への登山研修がやっと再会されたのである。明日・明後日で大日岳を目指すはずで、天気予報は思わしくないが、安全に有意義な研修となることを祈る。
研修一行のトレースもついた人津谷を滑降する。トレースを見ながらその周辺の滑りやすい所を行けば、また緩いところではトレースに乗れば、一ヵ所の渡渉箇所以外は滞ることなく快調に下りていける。渡渉箇所は朝より雪が落ちていて、板を外して渡った。林道に出ても適度な下り斜面が続き、歩くことはほとんどなく、楽勝でクムジュン前に出た。そこで一服して靴を履き替え、荷造りして自転車に乗るのに20分ほどかかったが、自転車の下りは5分ほどで藤橋ゲートに戻って来た。
大日岳まではまた状態(雪および体調の)の良い時に挑戦したいと思うが、早乙女岳まででも大層な距離があり、下りも存分に楽しめて、満足してよいかなと感じた。
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