竹ノ倉山(純白の飯豊山展望)
コースタイム
- 山行
- 3:50
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 4:40
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
今日の天気予報は全国的に晴れ。朝起きると神さんが、山へ行って来たらという。そうは言われても山行計画提出が前提となっている保険に入っているので、おいそれとは行けないのだ。まあ、神さんにも何か出かける用事が出来たのかもしれない。もしかしたら「鬼の居ぬ間に洗濯」を考えているのかもしれない。絶好の登山日和なのは間違いない。これは素直に出かけるべきであろう。
計画は数か所ほぼ出来上がっているので、急ぎ完成させて竹ノ倉山へ出かけることにした。竹ノ倉山は標高602m。登山口の標高は150m位だから角田山と同じくらいの比高だ。ただし、竹ノ倉山に登山道は無い。角田山のように人気の山でもないし、目立つ山でも無い。周りの棒掛山や大段山の山並みに呑み込まれているのだ。しかし、良く見るとユニークな山容をしている。基本的に三角テントのような形だが、どっしりと物量感がある。阿賀野川の対岸から見るそれはなかなかのものである。マッコークジラや百獣の王、ライオンが寝そべっているようにも見える。いつかは登らなければ、と思っていたので良い機会である。
津川ICを過ぎ、麒麟山のトンネルを抜けると前方に真っ白な山が見えた。あれは蒜場山であろう。胸キュン。一気に山へと胸が躍る。その前に陰暦の月の呼び名の付いたトンネルを通らなければならない。睦月から師走までのトンネルだ。改良工事が進んでいるが、概して狭く見通しの悪いトンネルが続き、緊張を強いられるのである。私は、ここを嫌って対岸の道を通ることもある。この区間を抜けると縄文清水が有る。冷たい水が湧き出ていて一息つけるところである。水沢へは左折して進む。
「ブルドーザー作業の回転地のため駐車禁止」の標識のある広場脇に駐車する。除雪作業のための標識であろう。しかし、雪は全くない。冬靴はもちろんのこと、ピッケルやストックも持ってきたが、藪漕ぎは必定である。長靴と近くに落ちていた枝をストック代わりに登ることにする。年配のおじさんが近くにいたので情報収集。
「竹ノ倉山の登り口に梯子があると聞いたのですが」
「そんなものは見たことが無い」
「道は、藪は・・・・・」と続ける。
「道は無い。藪は掻き分けるほどではない」
山人の「たいしたことは無い」は、私らにとっては大変なことが多い。そのまま鵜呑みには出来ないが、おじいさんの言うように右手に杉林を登る。
杉林の下生えは薄い。杉は常緑樹で地面まで陽が届きにくいので下生えは薄いのだ。高みを目指して登り尾根に出る。尾根には踏み跡らしいものが見られるが、それにとらわれず歩きやすいところを進む。ルートを外すようなおそれは感じない。左手の棒掛山が覆いかぶさってくるような感じである。まだ真っ白だ。右端の突起はビールノカッチ。ビ−ルというのは“麦酒”では無く、“蒜か蛭”の訛ったもので、ヒルノ沢の源頭という事であろう。ちなみにヒルノ沢の右岸尾根も登ることもできるし登ったことも有る。
閑話休題。棒掛山に初めて登ってから20年位経った。上ノ峠から山頂経由で東尾根を下ったのだ。それは登山中に、熊狩りの下見だという人に教えていただいたルートである。その東尾根を下って行くと、一枚バーンの雪田に出た。雪田を下って行って、あとわずかなところで突然滑落。ピッケルで滑落停止姿勢をとり難は逃れた。ピッケルはあまり効き目がなく自然に止まったのだ、と今も思う。下見だから山頂まで行くつもりは無かった。第一に足元はスニーカーだったのだ。以後肝に銘ずる。
猿が目に付くようになった。私につかず離れず歩いているようだ。お猿さんも人恋しいらしい。霊長類というか人間のような糞も目に付く。たまにギャ、ギャっと叫ぶ。樹間越しだが展望は良い。尖頭の兎ヶ倉山は良く目立つ。
前方に急斜面が立ち上がる。斜面左寄りの松の連なりに絡んで踏み跡は付いているに違いない。踏み跡は薄いが新しいピンクのテープも付いていて迷うことは無い。最後は雪を踏んで山頂となる。眼前に蒜場山から烏帽子山、大日岳と続く飯豊連峰が横たわる。純白の雪。光り輝いている。素晴らしい光景だ。磐梯山を始め、遠くの山は春霞のため、それと分かる程度しか判別できない。それが何とも残念である。細い尾根を先端まで進み戻って大休止。至福の時を過ごす。
下りは、急斜面が終わったら右手へ下り、林道へ降りようか等と考えていたら、ルートを外して自然に林道を目指すことになる。積雪20cm位の残雪はあるが特に支障なく下る。林道が見えて来ると何と路面だと思ったところに水が流れている。変だなあ、絶対に林道のはずなのに。今季初の渡渉か、それとも延々トラバースか、等と考えながら下って行くと、コンクリートの路面を水が流れていたのである。
フキノトウが三個咲いている。奥深い山にも春は訪れた。林道をぶらぶら歩いて登山口に戻る。天候に恵まれ春の山を縦横無尽に歩いた山行である。
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