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無雪期ピークハント/縦走
八幡平・岩手山・秋田駒

箱ヶ森・太田薬師

2005年06月20日(月) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
10.7km
登り
899m
下り
894m
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2005年06月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車

感想

 2005年某日、今日はとある『サークル内登山部』の本年の最初の活動日ということで、足慣らしの意味もあって近場の山に登ることにした。メインは「箱ガ森」であるが、ついでに隣の小さな山「太田薬師」も制覇してしまおうという欲張りな企画を立てた。

 まずは登山口へ向けて車を走らせる。箱ガ森・太田薬師へのアクセスはいたって簡単。かんぽの宿盛岡を目指せば簡単に辿り着くだろう。近くまで行けば登山道や散策路の案内もあるので迷うことはないはずだ。

 二山同時攻略ということで「箱ガ森」メインと言いつつ、車は「太田薬師」の登山口に停める。最終的にここに戻ってくるような周回コースを歩こうというわけである。
 太田薬師の登山口は山頂の薬師神社への登り口でもある。なにやらのぼりが建てられ、お祭りの準備がされている。明確な駐車場の案内が無いため、ここに車を停めておいてもよいものかどうか一瞬悩む。お祭りの準備をしている人がこちらを見ていたが、とくに何も言われなかったのでそのまま出発することにした。

 さて、まずは徒歩で「かんぽの宿盛岡」の入り口付近まで戻ってくる。箱ガ森散策コースの案内板があり、ここでルートを確認しておく。ルートより気になるのがやたらと立てられた「熊出没!」の看板である。こんな里山に熊?と思ったが、最近では住宅街での熊の目撃もあり里山といえどもなめてかかれない。熊鈴を装着する。

 登山口までのアプローチに林道を歩く。車が通れる道とはいえ、鬱蒼とした森に覆われていて、すぐにものすごい山の奥へ分け入ったような感じになる。道の脇には猪去沢が流れていて水音が聞こえる。マイナスイオンを吸い込んで森林療法の恩恵にあずかる。

 途中、滝がある。水が大岩の上を伝わって流れ落ちているような滝なのであまり迫力はないが、ウォータースライダーみたいに上から滑り降りたら面白いんじゃないか?などという話が出た。実際にやったら怪我するだけだとは思うが、想像するぶんには面白い。

 かんぽの宿から登山口までは2劼曚匹瞭擦里蠅世、ダラダラと続く上り坂のせいで、予想以上に体力を削られていく。まだ気温が低い季節とはいえ、湿気が多くほとんど風も通らない谷間の道なので熱がこもるのか早くも汗ばんでくる。

 このアプローチの道のりを歩きたくない、という人は登山口まで車に乗って行くことも可能だが、未舗装な上、ところどころ崖崩れしていたりと道路状況は良くないことを頭に入れていった方が良いだろう。実際、登山口には普通の乗用車が複数台乗り入れてきてはいたが、万が一にも車を傷つけたくない人は乗り入れてこないのが無難である。

 林道を歩ききり、ようやく箱ガ森の登山口へと到着する。すでに軽く疲労を感じる。登山口で最初の休憩をとる。

 休憩後に登山名簿に名前を記入し入山する。ここは地元の有志が登山道の維持管理をしているとかで「ようこそ箱ガ森へ」の横断幕も掲げられている。ありがたい話である。この先も要所要所に道案内の看板が立っているので、それに従って歩けば迷うことはないだろう。

 登山道に入る。まずは鬱蒼とした森の中を歩く。足下は落ち葉としめった軟らかい土のせいであまりよくない。油断しているとスリップする。今はまだ葉が若いから太陽光が透けて明るい感じだが、夏の盛には一層薄暗い道になりそうである。ここは新緑の季節か秋の紅葉の季節に来るのが良い感じがする。

 しばらく行くと少しだけ視界が開ける場所に出る。ここまでずっと森の中を歩き通しだったのでホッとする。いつのまにかだいぶ高度を稼いでいる事に気が付く。今日は曇り空であまり景色が良くないのが残念である。

 一瞬の眺望を楽しんだら、道は再び森の中へと入っていく。高度が上がったせいか木の葉の密度が薄くなり、だんだんと明るくなってきた。そうは言ってもまわりの視界はほとんどきかないため、足下を見ながら黙々と歩き続ける。途中、巨大な古木を見ることができる。樹齢がどれくらいなのかしらないが、立派なものである。中トトロくらいなら棲んでいそうな雰囲気がある。

 ずっと登り一辺倒だった道がフラットになった。どうやら尾根に出たらしいのだがあいかわらず木に遮られて眺望は望めない。尾根に出たのならここから先は楽になるだろうということで、軽くアップダウンを繰り返す道を軽快に歩く。

 このまま頂上まで尾根筋が続くと思っていた自分がバカだった、という事に気が付いたのは今まで平坦に続いてきた道が突然壁のような急傾斜になって目の前に現れたときだった。先ほどまでの道のりが子供だましに感じる程急な登りが待っていたのだった。道の脇にはロープが張られており、それを伝わって登っていくことが出来るが、岩と土が混ざった急勾配は思いの外強敵で、何度か足を滑らせかけた。しっかりした岩場ではないので浮き石もそこらじゅうに転がっており、実際私が足を乗せた石が下に人がいるというのに勢いよく転がり落ち肝を冷やした。箱ガ森登山の最大の難所と言っていいだろう。

 難所を抜けるとようやく頂上となる。箱ガ森の頂上は標高が低いため、まだまだ背の高い木が生えているため360°の眺望は望めない。盛岡方面に木の切れ目があるのでそこから盛岡の町を見下ろすことが出来る。

 頂上までは、かんぽの宿を出発から2時間ちょいで到達した。登山口まで歩いたせいもあるが、思いの外疲労が濃い。ちょっと箱ガ森をなめてかかっていたかもしれない。

 とりあえず頂上で疲労回復も兼ねて昼食にしようと思ったのだが、子供会か何かの行事らしく大勢の子供達に頂上の良い場所は占領されてしまっていた。いなくなるのを待っていられる程、胃袋に余裕がなかったので仕方なく隅の方の湿った草の上で昼食をいただいた。たくさんの虫にまとわりつかれて、ものすごく不快であった。

 子供達がいなくなったあと、頂上の看板の前で記念撮影をしたりしてしばし休息する。一等三角点を確認。今年二つ目の一等三角点である。三角点のすぐ横には、なにやら柵にかこまれた祠?のようなものがあるが、説明も何もないのでそれが何であったのかよくわからない。たぶん、この山の神様かしらん?と思い軽く手を合わせておく。無事に下山できますように…。

 疲労が回復した頃合いを見計らって下山の途に付く。下山は案内に従って先ほどとは違う下山道を行くが、これがただただ森の中を下っていくだけという代物で、登り以上に見せ場が無く退屈な道であった。途中で何カ所か「○○展望地」というような看板を見かけたが、すっかり木に遮られてしまっており少しも眺めが良くない。自然とあまり足を止めることもなく下り続けたため、林道に抜けるころには足が痛くなってしまった。思いの外きつい箱ガ森であった。

 林道を下り、太田薬師の登山口に着く。先ほどよりは疲労も回復してきており、どうしようか決めかねていると「山火事用心」の横断幕の下から高校生くらいの女の子が二人で現れた。「あー道路に出た〜」「よかった〜」などと大騒ぎである。どこから来たのか訪ねると太田薬師を裏側に降りてきたということ。距離はどれくらいなのか訪ねると「すぐですよぉ〜」とのこと。見れば手荷物の一つも持っておらず軽装の極みである。こんな格好で歩き回れる山ならば…ということで、太田薬師にも登ることに決めた。

 「山火事用心」の横断幕をくぐり、沢の中に並べられた石の上を歩いて渉る。しばらくは崖と沢に挟まれた狭い登り道を行くがすぐに薄暗い山林の中の道になる。地面はジメジメとしていてシダなどの植物が沢山生えておりあまり気持ちの良い道とは言えない。よくこんな薄気味悪い道を女の子二人で下ってきたものである。もっとも林道に出て来た時の騒ぎようから察するに充分に心細かったのだろうが。

 たいした道ではないのだが、最初から疲労している体にはこのちょっとした登り道がけっこうしんどい。山の肩に登ると道案内の看板があり頂上まであと数百メートルの記述がある。周りの木々も広葉樹になって乾いた山道になり歩きやすくなった。最後の急傾斜を登り切るとお宮がありそこが太田薬師の頂上である。

箱ガ森より盛岡の町が近く見える。

 最初に書いたように今日は神社のお祭りだったようで、お宮では氏子?が大勢で酒盛りをしている。集落の子供達も遊びに来ておりにぎやかな山頂である。にぎやかなのはいいのだが、登山の服装をしているのは我々だけで浮きまくってしまい、記念写真も撮らずに早々に下山の途に着く。

 下山は神社への参道を下る。参道と言うことで急傾斜ながらも階段がつけられており、ときおり地元の人たちとすれ違ったりもする。もちろん皆普段着で、物珍しげな目でこちらを見ていく。中には「ちょっと! あの人達熊鈴着けてるよ!」「このへんはほんとに出るんだな。ヤバイな〜、なにも用意してきてないぞ」とちょっと勘違いした人もいた。下の広場では民謡大会かなにかが催されているのか、大音量の唄が聞こえてくる。こんな状態で熊もくそもないだろうに。

 坂を下りきり鳥居をくぐると下山完了。本日の全行程終了である。広場ではやはり民謡大会が催されており地域のお年寄り達を中心に大いに盛り上がっていた。ひょっこり現れたよそ者の我々を気にする風でもないが、邪魔をしないように端を通り駐車場へ抜ける。車も邪魔にされることなく朝の場所に鎮座していてほっと一息である。

 箱ガ森は低山であり登山道もよく整備されていて敷居は低い山であるが、尾根歩きのような一息着ける場所があまりなく、連続して上り坂が続くため意外に手強い。なめてかかると我々のようにヘロヘロになること請け合いである…。
 あとは、やはり大半が樹林帯を歩くことになるので、春や秋が登山適期と言えそう。ただ、その季節は熊もウロウロしているようなので熊よけ装備をお忘れなく。

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