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Yamareco

記録ID: 192551
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ハイキング
甲信越

入笠山周辺の古道散策、法華道と半対峠

2012年05月19日(土) [日帰り]
 - 拍手
クマ その他2人
体力度
4
1泊以上が適当
GPS
08:52
距離
22.1km
登り
1,294m
下り
1,305m
歩くペース
速い
0.80.9
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

★上記ルートはGPSMAP60CSXによる実録で、道なき道を多く含みます。★

09:30 栗立川ぞいの山荘、出発                            
09:40 道路の終点、多くの山道が交錯するなか法華道らしき方向に進む
10:20 林道出合、法華道 -10:30
11:15 御所ケ池 -11:25
    入笠牧場南柵経由
12:40 マナスル山荘 山菜そば(800円) -13:10
13:30 入笠山 -13:45
14:10 大阿原湿原入口 -14:25
    テイ沢を下る
15:10 小黒川林道出合
15:40 小黒川林道分岐(不明確)
16:15 半対峠(はんずいとうげ) -16:20
17:10 林道へ合流、右折し北上
18:00 ワチバ沢分岐、ワチバ沢を下る
18:20 栗立川ぞいの山荘、帰着
-
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2012年05月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
コース状況/
危険箇所等
●栗立川〜稜線の林道出合
 山道や獣道が交錯して、どれが法華道かは定かでないが、ほぼ北東方向に登る。
 疎林であるため、ヤブ漕ぎまでには至らないので歩きやすい。

●稜線の林道出合〜御所ケ池
 林道はすぐに終点となり、山道に入る。交錯する山道をあてにせず、方向を定めて御所ケ池に至る。

●御所ケ池〜入笠牧場の南柵
 山道から林道に合流して上る。途中で高座岩への林道に合流し、これを逆に左折して進む。

●入笠牧場の南柵〜マナスル山荘
 三角点1806.9mあたりは日本離れしたダイナミックな景色を堪能できて素晴らしい。
 草原ごしのカラマツ林のはるか向こうに、中央アルプスや北アルプスを遠望できる。
 入笠山ピークからの景色をしのぐ。

●マナスル山荘〜入笠山ピーク
 特に記することはないが、今日は、山頂から甲斐駒や仙丈がいつもより近くに見えて良かった。

●入笠山ピーク〜佛平峠〜大阿原湿原
 佛平峠は仏平峠とも書くが、ここが法華道で、大阿原湿原のあるテイ沢の少し北側にある沢ぞいの道となる。
 今回はテイ沢を下ったので、この部分の法華道は歩かなかった。あるいは、テイ沢の方が、法華道なのか?
 大阿原湿原は、まだ、お花は皆無だった。

●大阿原湿原〜テイ沢〜小黒川ぞいの林道合流1679mポイント
 テイ沢は日本庭園的な美しさを持った沢で、心が洗われる気持ちがした。
 途中から山頂へ登るコースもあるが、沢沿いにしっかりとした道が林道合流地点まで付いていた。

●テイ沢の林道合流地点〜小黒川ぞいの林道〜林道1604mポイント
 よくクルマが通る林道だが、今日は途中の工事で通行止めとなっていた。
 約3km弱の単調な林道歩きとなるが、今日は暑くも寒くもなく助かった。
 林道1604mポイントは見つからなかったが、大体の位置で川へおりて行った。
 林道を作るのはいいが、ちゃんと旧道を保存するような工事をやってほしい。

●林道1604mポイント〜小黒川渡渉〜半対峠(はんずいとうげ)
 小黒川までの下りは、不明確な獣道をたどって降りた。
 小黒川の渡渉は、雨や雪解けの時期以外は、探せば、靴を脱がないでも渡れる。
 右岸の川沿いの道は不明確だが、川から離れると、すぐに明確な登り道となる。
 半対峠の”対”は、濁ると”づい”のはずだが、なぜか”ずい”と読んで、”はんずいとうげ”となる。
 半対峠には、なんの案内板もない。直下で林道と交差する。もっと歴史を大切にしてほしい。

●半対峠〜1382mポイント〜林道へ合流
 半対峠からしばらくは、極めて不明確な獣道をくだる。といっても、ヤブ漕ぎまではいかない。
 およそ500mぐらい下ったら、徐々に明確な山道となってきて、半対沢の右岸をくだる。
 林道へ合流し、村落へはくだらずに、右折して林道を進む。(林道は少し登る)

●半対沢の林道合流ポイント〜ワチバ沢との分岐〜ワチバ沢〜山荘
 部分的に若干上りながら、ワチバ沢との分岐まで林道を進む。
 ワチバ沢の右岸、左岸、右岸と、急な坂の林道をくだり、民家の前で右折して、栗立川の山荘へ戻る。

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クリンソウ。このあたりは鹿が多くて、下草はほとんど食われているが、クリンソウは毒があるのか、食われずに残っている。
2012年05月19日 09:40撮影 by  DSC-TX10 , SONY
1
5/19 9:40
クリンソウ。このあたりは鹿が多くて、下草はほとんど食われているが、クリンソウは毒があるのか、食われずに残っている。
栗立川ぞいの車道の終点。ここから山道だが、交錯している。
2012年05月19日 09:40撮影 by  DSC-TX10 , SONY
5/19 9:40
栗立川ぞいの車道の終点。ここから山道だが、交錯している。
ヒトリシズカ。この花も鹿が食わないので、毒か何かあるハズ。『美しいものには・・・』、世のならわし。
2012年05月19日 09:51撮影 by  DSC-TX10 , SONY
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5/19 9:51
ヒトリシズカ。この花も鹿が食わないので、毒か何かあるハズ。『美しいものには・・・』、世のならわし。
稜線の林道に出る。こんなりっぱな林道は、法華道の復活には要らない!
2012年05月19日 10:24撮影 by  DSC-TX10 , SONY
5/19 10:24
稜線の林道に出る。こんなりっぱな林道は、法華道の復活には要らない!
御所ケ池。写真ではうまく捉えられていないが、静謐な感じがした。ここまでルーファイできれば、入笠牧場までは近い。
2012年05月19日 11:14撮影 by  DSC-TX10 , SONY
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5/19 11:14
御所ケ池。写真ではうまく捉えられていないが、静謐な感じがした。ここまでルーファイできれば、入笠牧場までは近い。
入笠牧場の開放的な景観。気持ちいい。
2012年05月19日 11:58撮影 by  DSC-TX10 , SONY
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5/19 11:58
入笠牧場の開放的な景観。気持ちいい。
入笠牧場からカラマツ林ごしに、中央アルプスを遠望する。
2012年05月19日 12:03撮影 by  DSC-TX10 , SONY
5/19 12:03
入笠牧場からカラマツ林ごしに、中央アルプスを遠望する。
入笠牧場から北アルプスも遠望できる。日本のものとは思えないダイナミックな牧歌的景観。
2012年05月19日 12:06撮影 by  DSC-TX10 , SONY
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5/19 12:06
入笠牧場から北アルプスも遠望できる。日本のものとは思えないダイナミックな牧歌的景観。
マナスル山荘。山菜ソバ800円をいただく。ソフトクリームはまだのようだ。アルバイト募集中らしい。
2012年05月19日 12:49撮影 by  DSC-TX10 , SONY
5/19 12:49
マナスル山荘。山菜ソバ800円をいただく。ソフトクリームはまだのようだ。アルバイト募集中らしい。
入笠山頂上。天気がいいので人出も多い。
2012年05月19日 13:27撮影 by  DSC-TX10 , SONY
5/19 13:27
入笠山頂上。天気がいいので人出も多い。
入笠山頂上から甲斐駒と仙丈を望む。今日は大変近くに見える。
2012年05月19日 13:28撮影 by  DSC-TX10 , SONY
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5/19 13:28
入笠山頂上から甲斐駒と仙丈を望む。今日は大変近くに見える。
入笠山頂上から八ヶ岳南部を遠望する。
2012年05月19日 13:28撮影 by  DSC-TX10 , SONY
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5/19 13:28
入笠山頂上から八ヶ岳南部を遠望する。
入笠山の山道を南へ降りて車道との合流点が、佛平峠(仏平峠)で、この東西が法華道となるのか?
2012年05月19日 13:55撮影 by  DSC-TX10 , SONY
5/19 13:55
入笠山の山道を南へ降りて車道との合流点が、佛平峠(仏平峠)で、この東西が法華道となるのか?
大阿原湿原。まだお花は皆無。木道はよく整備されている。下はテイ沢に続く。
2012年05月19日 14:09撮影 by  DSC-TX10 , SONY
5/19 14:09
大阿原湿原。まだお花は皆無。木道はよく整備されている。下はテイ沢に続く。
大阿原湿原の西端。ここからテイ沢となる。
2012年05月19日 14:34撮影 by  DSC-TX10 , SONY
5/19 14:34
大阿原湿原の西端。ここからテイ沢となる。
テイ沢の日本庭園のような景色。このカメラでは捉えがたい。
2012年05月19日 14:43撮影 by  DSC-TX10 , SONY
5/19 14:43
テイ沢の日本庭園のような景色。このカメラでは捉えがたい。
テイ沢を下って、小黒川ぞいの林道に合流し、これを南下する。ここは単調な林道歩き。
2012年05月19日 15:16撮影 by  DSC-TX10 , SONY
5/19 15:16
テイ沢を下って、小黒川ぞいの林道に合流し、これを南下する。ここは単調な林道歩き。
愛想のない半対峠。荒れ放題だ。西側の下りのルーファイも難しかった。
2012年05月19日 16:14撮影 by  DSC-TX10 , SONY
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5/19 16:14
愛想のない半対峠。荒れ放題だ。西側の下りのルーファイも難しかった。
半対峠には測量点があったが、私的なものか?
2012年05月19日 16:16撮影 by  DSC-TX10 , SONY
5/19 16:16
半対峠には測量点があったが、私的なものか?
撮影機器:

感想

●入笠山周辺で、歴史のある古道を散策した。関西では多くの古道や旧道は、整備され保存されている場合が多いが、長野県は山が深いこともあってか、整備・保存はまだまだという感じがした。

●今回のキーワードは、法華道(ほっけみち)と半対峠(はんずいとうげ)だ。

●法華道とは、入笠山(1955m)の南麓を通り、伊那市長谷非持(ひじ)と富士見町若宮を結ぶ全長約22キロの古道。室町時代に日朝(にっちょう)上人らが伊那に法華宗を広めるため行き来したと伝わる。また、単に伝道目的だけではなく、生活道としても頻繫に利用されたという。
 高遠町芝平(しびら)出身の北原厚さんや地元の郷土史、自然の愛好者らが整備作業に入っており、現在復活しつつあるという話を聞くが、主として芝平からの尾根筋であるサブ道のほうの整備に力が入っていて、本道となる栗立川へ抜ける道は、全然手つかず。。。という感じがした。今後の進展を期待したい。

●話は変わって、半対峠の方は、次のような言い伝えがあるという。
 戦国時代の武田家最後の高遠城主になった仁科五郎盛信は、天正10(1582)年、織田信長の長男の信忠に攻められ、城を枕に壮烈な戦死を遂げた。盛信の側室だったとされる春日姫は、半対峠を越えて甲斐の国に逃れようと途中の半対(はんずい)集落でかくまわれていたが、追っ手が厳しかったために織田軍に差し出され殺されたとされる。半対集落はいまや廃村寸前?だが、その近くにある高遠町荊口(ばらくち)の弘妙寺では、悲劇の姫の冥福を供養する法要が、今なお、ゆかりの檀徒らによっていとなわれているという。
 個人的には縁もゆかりもないが、古道ファンの1人として、あるいは歴史を愛する1人の日本人として、できたら、こちらの古道の整備もなんとかならないものかと願っている。峠の近辺は荒れ放題だった。私設看板を作って掛けてこようかと思ったくらいだ。

●古道の散策に加えて、今回2つの”日本の美”に接し感動した。1つは、入笠牧場の南柵から少し入ったあたりのダイナミックな展望であり、もうひとつは、テイ沢の日本庭園的な渓流の景色だった。対照的な景観だが、とりわけ前者は、素晴らしかった。

●この5月始めに白馬で開催された、『塩の道祭り』は大盛況だったと聞く。日本の歴史を愛し、自然を愛でる、健康志向の高まりには目を見張るものがある。行政機関などにおいては、是非とも、これらの古道を復活させる方向に支援いただき、”村おこし”の起爆剤にしてほしい。これぞ、Win-Winのやりかただ。いまだに”廃村”という言葉を聞くのは、悲しすぎる。

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