入笠山周辺の古道散策、法華道と半対峠
- GPS
- 08:52
- 距離
- 22.1km
- 登り
- 1,294m
- 下り
- 1,305m
コースタイム
09:30 栗立川ぞいの山荘、出発
09:40 道路の終点、多くの山道が交錯するなか法華道らしき方向に進む
10:20 林道出合、法華道 -10:30
11:15 御所ケ池 -11:25
入笠牧場南柵経由
12:40 マナスル山荘 山菜そば(800円) -13:10
13:30 入笠山 -13:45
14:10 大阿原湿原入口 -14:25
テイ沢を下る
15:10 小黒川林道出合
15:40 小黒川林道分岐(不明確)
16:15 半対峠(はんずいとうげ) -16:20
17:10 林道へ合流、右折し北上
18:00 ワチバ沢分岐、ワチバ沢を下る
18:20 栗立川ぞいの山荘、帰着
-
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
●栗立川〜稜線の林道出合 山道や獣道が交錯して、どれが法華道かは定かでないが、ほぼ北東方向に登る。 疎林であるため、ヤブ漕ぎまでには至らないので歩きやすい。 ●稜線の林道出合〜御所ケ池 林道はすぐに終点となり、山道に入る。交錯する山道をあてにせず、方向を定めて御所ケ池に至る。 ●御所ケ池〜入笠牧場の南柵 山道から林道に合流して上る。途中で高座岩への林道に合流し、これを逆に左折して進む。 ●入笠牧場の南柵〜マナスル山荘 三角点1806.9mあたりは日本離れしたダイナミックな景色を堪能できて素晴らしい。 草原ごしのカラマツ林のはるか向こうに、中央アルプスや北アルプスを遠望できる。 入笠山ピークからの景色をしのぐ。 ●マナスル山荘〜入笠山ピーク 特に記することはないが、今日は、山頂から甲斐駒や仙丈がいつもより近くに見えて良かった。 ●入笠山ピーク〜佛平峠〜大阿原湿原 佛平峠は仏平峠とも書くが、ここが法華道で、大阿原湿原のあるテイ沢の少し北側にある沢ぞいの道となる。 今回はテイ沢を下ったので、この部分の法華道は歩かなかった。あるいは、テイ沢の方が、法華道なのか? 大阿原湿原は、まだ、お花は皆無だった。 ●大阿原湿原〜テイ沢〜小黒川ぞいの林道合流1679mポイント テイ沢は日本庭園的な美しさを持った沢で、心が洗われる気持ちがした。 途中から山頂へ登るコースもあるが、沢沿いにしっかりとした道が林道合流地点まで付いていた。 ●テイ沢の林道合流地点〜小黒川ぞいの林道〜林道1604mポイント よくクルマが通る林道だが、今日は途中の工事で通行止めとなっていた。 約3km弱の単調な林道歩きとなるが、今日は暑くも寒くもなく助かった。 林道1604mポイントは見つからなかったが、大体の位置で川へおりて行った。 林道を作るのはいいが、ちゃんと旧道を保存するような工事をやってほしい。 ●林道1604mポイント〜小黒川渡渉〜半対峠(はんずいとうげ) 小黒川までの下りは、不明確な獣道をたどって降りた。 小黒川の渡渉は、雨や雪解けの時期以外は、探せば、靴を脱がないでも渡れる。 右岸の川沿いの道は不明確だが、川から離れると、すぐに明確な登り道となる。 半対峠の”対”は、濁ると”づい”のはずだが、なぜか”ずい”と読んで、”はんずいとうげ”となる。 半対峠には、なんの案内板もない。直下で林道と交差する。もっと歴史を大切にしてほしい。 ●半対峠〜1382mポイント〜林道へ合流 半対峠からしばらくは、極めて不明確な獣道をくだる。といっても、ヤブ漕ぎまではいかない。 およそ500mぐらい下ったら、徐々に明確な山道となってきて、半対沢の右岸をくだる。 林道へ合流し、村落へはくだらずに、右折して林道を進む。(林道は少し登る) ●半対沢の林道合流ポイント〜ワチバ沢との分岐〜ワチバ沢〜山荘 部分的に若干上りながら、ワチバ沢との分岐まで林道を進む。 ワチバ沢の右岸、左岸、右岸と、急な坂の林道をくだり、民家の前で右折して、栗立川の山荘へ戻る。 - |
写真
感想
●入笠山周辺で、歴史のある古道を散策した。関西では多くの古道や旧道は、整備され保存されている場合が多いが、長野県は山が深いこともあってか、整備・保存はまだまだという感じがした。
●今回のキーワードは、法華道(ほっけみち)と半対峠(はんずいとうげ)だ。
●法華道とは、入笠山(1955m)の南麓を通り、伊那市長谷非持(ひじ)と富士見町若宮を結ぶ全長約22キロの古道。室町時代に日朝(にっちょう)上人らが伊那に法華宗を広めるため行き来したと伝わる。また、単に伝道目的だけではなく、生活道としても頻繫に利用されたという。
高遠町芝平(しびら)出身の北原厚さんや地元の郷土史、自然の愛好者らが整備作業に入っており、現在復活しつつあるという話を聞くが、主として芝平からの尾根筋であるサブ道のほうの整備に力が入っていて、本道となる栗立川へ抜ける道は、全然手つかず。。。という感じがした。今後の進展を期待したい。
●話は変わって、半対峠の方は、次のような言い伝えがあるという。
戦国時代の武田家最後の高遠城主になった仁科五郎盛信は、天正10(1582)年、織田信長の長男の信忠に攻められ、城を枕に壮烈な戦死を遂げた。盛信の側室だったとされる春日姫は、半対峠を越えて甲斐の国に逃れようと途中の半対(はんずい)集落でかくまわれていたが、追っ手が厳しかったために織田軍に差し出され殺されたとされる。半対集落はいまや廃村寸前?だが、その近くにある高遠町荊口(ばらくち)の弘妙寺では、悲劇の姫の冥福を供養する法要が、今なお、ゆかりの檀徒らによっていとなわれているという。
個人的には縁もゆかりもないが、古道ファンの1人として、あるいは歴史を愛する1人の日本人として、できたら、こちらの古道の整備もなんとかならないものかと願っている。峠の近辺は荒れ放題だった。私設看板を作って掛けてこようかと思ったくらいだ。
●古道の散策に加えて、今回2つの”日本の美”に接し感動した。1つは、入笠牧場の南柵から少し入ったあたりのダイナミックな展望であり、もうひとつは、テイ沢の日本庭園的な渓流の景色だった。対照的な景観だが、とりわけ前者は、素晴らしかった。
●この5月始めに白馬で開催された、『塩の道祭り』は大盛況だったと聞く。日本の歴史を愛し、自然を愛でる、健康志向の高まりには目を見張るものがある。行政機関などにおいては、是非とも、これらの古道を復活させる方向に支援いただき、”村おこし”の起爆剤にしてほしい。これぞ、Win-Winのやりかただ。いまだに”廃村”という言葉を聞くのは、悲しすぎる。
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