飯豊連峰 川入→本山→大日岳

- GPS
- --:--
- 距離
- 32.6km
- 登り
- 2,729m
- 下り
- 2,748m
コースタイム
9:00御沢野営場-13:00三国小屋-15:00切合小屋-16:45本山小屋(幕営)
【5月20日】
6:00本山小屋発-7:30門内小屋-8:45大日岳-11:30本山小屋
12:45本山小屋発-17:30御沢野営場
| 天候 | 5月19日:晴れ 5月20日:晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2012年05月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
但し、道は荒れており、路肩の樹木の枝などが路上にはみ出てます。 枝で車両を傷つけないよう御注意下さい。 |
| コース状況/ 危険箇所等 |
○御沢野営場〜剣ヶ峰 長坂の樹林帯は所々に雪が残ってますが、ほぼ夏道状態。 危険個所は特にありませんでした。 横峰小屋跡からは雪道になります。 地蔵山付近は急斜のトラバースがありますので、アイゼンがあった方が良いです。 ○剣ヶ峰 岩綾上に雪は残っておらず、鎖も全て利用可能。 但し、雪が無くても危険区域である事には変わりが無いので、 通過の際は御注意下さい。 ブヨが大量に湧いてますので、虫対策もお忘れなく。 ○三国岳〜種蒔山 所々で夏道が出てますが、ほぼ全域雪道。 この区間は地形が複雑なので、トレースが無い場合は、 正確なルートを辿るのは難しいと思います。 三国小屋先のハシゴは雪で埋まっており使用不可。 ハシゴ部は雪壁になってました。 雪壁の高さは5m程度しかありませんが、 雪付が薄く崩れやすい状態なので直登は避けるべきでしょう。 ハシゴの脇の岩場は雪が付いていないので、そこを登るか、 もしくは西側を巻いてを登った方が良いです。 但し、巻き道は雪溶けが進んだ為に藪が出ている状態。 巻き道利用の際は険しい藪漕ぎになります。 ○種蒔山〜本山 種蒔山以降も雪道ですが、雪によって難所化しているような箇所は特になし。 傾斜も緩やかで、登りであればアイゼン無しでも問題無く歩けます。 (下りはアイゼンを付けた方が良いと思います) 草履塚から本山までの夏道上には雪はありませんでした。 ○大日岳 山頂直下の急斜部には、まだ豊富に雪が残っています。 最大傾斜は40°くらいありそうなので、 前爪のあるアイゼンとピッケルでの登攀が望ましいです。 尚、今回通ったルート上の水場はまだ利用出来ない状態。 雪は豊富にあるので、溶かす手段さえあれば何とでもなりますが・・・ 日中は気温も上がりますので、飲用水は多めに持参して下さい。 |
写真
感想
【5月19日】
御沢野営場までは雪が無く、道は荒れていたが車で通行出来る状態。
野営場の駐車場に着くと、そこには7台程すでに駐車してあり、
丁度4人パーティが登山道方面へと出発したところであった。
飯豊連峰の山開きはまだ先だが、融雪は進んでおり、最近はそこそこ入山者が居るようだ。
9時に野営場を出発し、長坂の登山道へと進んだ。
長坂の樹林帯は、ほぼ夏道同然の道が続く。
所々に雪はあるが、通行の妨げになる程ではなかった。
しばらく樹林帯を進むと、上部よりチェーンソーの音、
そして、かけ声が聞こえてくる。
それに続いて、大きな丸太が登山道外の斜面を転がり落ちてきた。
さらに登っていくと、そこには3名の登山者がおり、登山道の邪魔な倒木を除去している最中だった。
どうやら、山開き前に登山道を整備している模様。
地元の方だろうか。
ご苦労様です。
横峰小屋跡近辺からは全面雪道となり、しばらく雪道を進んだ後、
先行していた4人パーティに追いついた。
4人パーティは簡易アイゼンを付けている最中で、
聞いてみると、今日は切合小屋まで行くらしい。
私もそこでアイゼンを付け、4人パーティの後をついて行く形で雪稜を進んで行く。
傾斜はあまりなく、雪が程良く緩んでいるのでアイゼン無しでも問題無さそうな状態であるが、
地蔵山付近では急斜のトラバースが待っている。
ここはアイゼンがあった方が良いだろう。
地蔵山のトラバースに取り掛かったところで、行く手の先に三国岳、
そしてその直下に連なる剣ヶ峰の岩綾が見えてきた。
剣ヶ峰は川入コース上では一番の難所で、過去に何件も滑落事故が起きている。
岩綾上に雪が付いていれば通過は難航するが、見てみると登山ルート上には雪は全く付いていない状態。
剣ヶ峰の最低コルから先は雪が無くなっていたので、
そこでアイゼンを外して岩場の通過に取り掛かった。
雪が付いて無い、とは言え、剣ヶ峰は危険箇所である事に変わりは無い。
難しい岩場ではなくルートも判り易いが、ここの岩は滑りやすい。
特に雨や朝露などで岩が濡れている場合は、
登りは良いとしても、下りでは絶対に利用したくない区間である。
また、ここはブヨが多い。
(飯豊連峰の中でも特に多い気がする。)
今回は虫避けを忘れてしまったので、岩場の通過中は常に虫に悩まされ続けた。
あくまでも私の所感ではあるが、剣ヶ峰で事故が多発する要因の一つには、
この虫達の存在があるのではなかろうか。
岩場に取り付いている最中にブヨが耳に入り、反射的に岩を掴んでいる手を離してしまったり・・・等。
虫のせいでヒヤリとさせられた事も過去にある。
今回は問題無く通過できたが、剣ヶ峰の通過の際は、
虫対策も忘れずにしておきたいものだ。
剣ヶ峰を抜けて三国小屋に着けば、そこから先は飯豊連峰の主稜線。
ここから先は眺望に優れ、難所の剣ヶ峰を通過した安心感もあり、
楽しい尾根歩きとなる。
・・・が、それは夏山での話。
積雪期の場合は、三国岳〜種蒔山間は一筋縄では行かない難路となる。
この区間は地形が複雑なので、夏道が隠れている場合はルート判断が難しい。
5月の残雪期であれば入山者も増えトレースがあるので、その点は安心ではあるが、
今にも崩れ落ちそうなクラックの傍を通過したり、雪庇も遅い時期まで残っている為、
夏の様に楽に通過は出来ない。
今回の登山は剣ヶ峰よりも、この区間の雪の状態の方が心配だった。
その中でも特に厄介なのが、三国小屋より先にある雪壁の通過。
ここは、夏であればハシゴと鎖がかけてあるので、特に問題無く通過できるはずだが、
今は雪で覆われ、利用は出来ない。
雪壁の高さは5m程しかないので、ピッケルと12本爪アイゼンがあれば直登も可能、
ではあるが・・・
今は融雪が進んでしまっており、雪付きが浅すぎる。
雪壁の直登は不可能に近い状態だ。
この状況で考えられる通過方法としては2つ。
.魯轡寛の岩場を登る。
∪稱匹魎いて登る。
今回の登りは,諒法で通過した。
岩の上には雪解け水が滴り落ちており、滑りやすい。
且つ、ホールドに乏しい岩なので、ここは進路右手に生えている灌木を掴んで登った。
なかなか厳しい岩登りで、登攀距離は短いものの、
先に通過した剣ヶ峰の岩場よりも難度は高いだろう。
それに対し、△諒法は・・・
こちらは下山時に利用したのだが、面倒なルートである事に変わりは無い。
巻き道上の雪はすっかり溶け落ちており、藪が出ている状態なので、
巻き道を利用するには険しい藪漕ぎを強いられる。
岩を登るよりは安全なルートではあるが、藪の濃さはハンパ無い。
(藪、と言うより灌木帯に近いかな。)
体力的にはかなり負担のかかるルートだろう。
いずれにせよ、どちらの方法も通過に苦労を強いられる。
現時点での川入コース一番の難所はこの雪壁通過ではないかと思う。
その後は特に難所と思える区間はなく、トレースもある状態だったので苦労はなかった。
だが、クラックや雪庇の近傍を通過したりする等、不安定な雪の状態で通過するには危険に感じる箇所は幾つかある。
種蒔山を越えるまでは気の休まらない登山が続いた。
しかし、種蒔山を越えれば広い雪稜が広がり、ルートは一気に楽になる。
傾斜は緩く、アイゼン無しでも困難は無い。
切合小屋を通過し、草履塚手前に差し掛かると夏道上に雪は無くなり、
あとは本山小屋まで夏道を歩いた。
16時45分、本山小屋手前のテント場に到着。
この日はここで幕営する事にした。
この時期の本山小屋は空いているので、わざわざ幕営する必要も無いとは思うが・・・
ここのテント場は、個人的には結構気に入っていて、
天気が良い場合は、例え小屋が空いていたとしても幕営を選んでしまいたくなる。
飯豊本山、そして大日岳の展望が素晴らしく、所々に石が積み上げられており、それらが良い風防になる。
山中でのテント場としては、これまで利用したテント場の中でも最も好きな場所だ。
どの季節に訪れても、大概空いており、静かな幕営が楽しめる。
トイレが遠い、というのが難点ではあるが・・・
テントを設営した後は夕食。
到着時間が遅かったが、今の時期の日没は18時40分くらいなので、テント設営した後もしばらくは明るさが続く。
夕陽に染まる山々を眺めながら夕食、そして雪を溶かして水作り。
今の時期は水場は雪で埋まっている為、利用出来ない。
(本山小屋の水場に限らず、登山道上の水場は全て利用出来なかった。)
明日の朝食と飲用を含めて3リットル程調達しておいた。
19時を過ぎた頃、ようやく日の明るさは無くなって、辺りは夜の闇に包まれる。
しかし、空には一面の星空。
そして、西と東には夜景が広がる。
夜でも見所は多い。
【5月20日】
6時に本山小屋のテント場を出発。
テントは張りっぱなしにし、最小限の荷物で、まずは本山へ向かった。
本山へは20分程で到着。
今日も快晴で、頂上からの景色は全域見渡せる。
周囲の山々はまだ雪深く、白い山脈が幾重にも連なっている。
東北の山はあちこちで山開きが行われているが、やはり飯豊は別格。
完全な夏山になるにはあと1カ月は必要だろう。
本山から御西岳方面は、再び雪道となる。
川入コースに比べると雪は多めで、御西小屋の周囲は2m位の積雪量があった。
御西小屋を過ぎて大日岳方面へ。
ここの登山道も相変わらずの雪道だが、雪が無い箇所が多い。
川入コース上はなだらかな斜面が大半だったが、この区間では所々に急斜面の登下降がある。
アイゼンが欲しくなる区間であるが、何度もアイゼンの付け外しをするのは面倒。
ここはアイゼンは付けず、厳しい斜面はピッケルでフォローしながら進んだ。
そして、山頂直下の急斜部へ到着。
ここから山頂まではしばらく急斜が続く、さすがにここはアイゼンを付けた。
最大傾斜は40°位はあるので、川入コースではオーバースペック気味だった12本爪アイゼンが、
ここでは有効活用できる。
夏道上は雪付きが薄く、踏んだ場合は深く踏み抜いてしまうので、
出来るだけ夏道の軌道上は避けるようにルートを取った。
9時、大日岳山頂着。
大日岳は飯豊連峰の最高峰であるが、山頂を示すような標識は無く、
どの辺が山頂なのかよく判らない。
以前は、小さな手製の木札が置いてあったのだけれど、
風で飛ばされてしまったのかな。
少し寂しい山頂だ。
しかし、山頂からの眺めは最高峰の名に相応しく、本山頂上とはまた違ったパノラマが堪能出来る。
これまで幾度か大日岳には登っているが、いつもガスに巻かれて眺望無し。
大日岳からのパノラマ風景を見ることが出来たのは今回が初めてだったので新鮮味がある。
しばらく周囲の景色を眺めた後、来た道を引き返した。
御西小屋まで戻り、そこで昼食を取る。
天候が良く、日差しは温かい。
外で食事をしていても殆ど寒さは感じなかった。
天狗岳方面から一人登山者がこちらに向かってくるのが見えた。
今日、初めて出会う登山者だった。
話を聞いてみると、
昨日、梶川尾根より入山し、これからダイグラ尾根を下山するとの事。
ダイグラ尾根は、飯豊連峰の中でも最も険しい尾根道で、
御西小屋から本山経由で下るとなると・・・
私の足では丸一日かかるだろう。
今の時間からだと、下山時刻は何時になるのだろうか。
日が暮れてしまうかもしれない。
登山道の状態も、今の時期はかなりの困難が予想される。
本山山頂から見た限りでは、ダイグラ尾根上に雪はさほど無かったが、それから先は不明。
更に、この時期は桧山沢の吊橋は取り外されている。
雪深い時期であれば、沢にはスノーブリッジが掛かっているらしいが、
今の時期では期待薄だろう。
御本人はそれらを承知の上でダイグラを降りるつもりらしいから大したものだ。
今日の私の行程も結構厳しい行程だと思っていたけれど、
それを越える猛者に出会うとは思わなかったよ^^;
山歩きにはかなり馴れている方のようだったので、特に心配はしなかったが、
無事に沢を渡れたのだろうか・・・
少しだけ気掛かりなところである。
その方と別れ、本山のテント場へ戻る。
昼過ぎにテント場へ到着し、テント撤収。
天気はよく、テント場から望む本山方面は誰もいない。
日差しが温かく心地よい。
本山、そして大日岳の絶景が相変わらず広がっている。
あまりゆっくりは出来ないのだが・・・下山したく無いなぁ。
そんな気分なので、テント乾かす、靴下乾かす、等、
適当な理由を付けて、下山時刻を引き延ばす。
13時頃になって、ようやく重い腰を上げて下山した。
その後は速足で下山。
途中、切合小屋で泊まりの登山者一人と会っただけで、
あとは誰とも会わなかった。
明日は金環日食、と世間では騒がれているので飯豊にも大勢登山者が訪れるかな、
と思っていたが意外に人は少ない。
天体には詳しくないので詳細は判らないけど、飯豊からは見えないのかな?
三国岳まではペースが速く、登りの時間の半分程で一気に下る。
“この調子なら、17時前には下山できるな。”なんて楽観視する。
だが、そんなハイペースがいつまでも続くはずがない。
剣ヶ峰の岩稜を下り終えた頃にどっと疲れが押し寄せて、あとはカメの歩み。
長坂の下りが長かった事。。。
御沢野営場の駐車場に着いたのは17時半頃。
なんとか日没前には下山できたが、久々の10時間越え登山。
疲れてもう動きたくない。。。
18時には野営場を後にし、帰路につく。
この辺はソバの名産地なので、帰りに食べて行きたかったが、
遅い時間だったので、どこも店終いしていた。
残念ながら、ソバは次回に持ち越しとなった。
Luske












2日間晴天だったようで気持ちよかったと思います。
日の入り、日の出の写真は特にきれいですね。自分は山で日の出、日の入りを経験したことがないので、是非、山で見てみたいと思います。
雪山もそろそろ終わりかなと思っていましたがあと少しはいけそうですね。
Luskeさんがスローダウンするなんて!!
かなりすごい人だと思っていたので少し親近感(笑)
Luskeさん、こんばんは
御西小屋でお会いしましたね。
復路だったとはいえ、かなりハイペースでしたね
あれから記念撮影したり、小屋を覗いたりしてLuskeさんのトレースを追ったのですが、追いつけませんでした
下りのダイグラは予想通り、いや予想を越えた厳しい行程でした。
僕もスノーブリッジはほぼ無いだろうと思っていたので、薮の間から白いものが見えたときは歓喜しましたよ。
そちらは日没前に下山できたんですね
僕は飯豊山荘から舗装路歩きの途中で日没を迎えました。
梅花皮荘の明かりが見えた頃には僕ももう動きたくありませんでしたね(笑)
秋田まで250km下道ナイトドライブして帰りました
同じ日に同じ場所でそれぞれのドラマがありましたね。
お疲れさまでした。
またいずれ何処かでお会い出来るような気がします
これまで飯豊に登った中でも、最も好天に恵まれました
その好天下の景色の中でも、特に印象深いのは日の入り、日の出の景色です。
その時間は山が最も美しく輝く時間だと思います。
テント泊での山行が好きなのですが、その理由は日の出日の入りの瞬間を見たいから、
というのが大半をを占めます。
小生の拙い写真では、その美しさは十分には伝えられないのが歯がゆいところ
お仕事の都合などもあり、宿泊を伴う登山は難しいかとは思いますが、
ぜひ、Webberさんにもその光景を直に見て頂きたいものだと思います。
ところで、私、ぜんぜん凄くありません(笑)
帰りの行程でスローダウンなんて、いつもの事。
もう少しペース配分を考えた登山をしなくては・・・
山でお会いした方に、こうしてネットの場でお言葉を頂くのは感慨深いものがあります。
何度かtooleさんの記事は拝見させて頂いた事はあるのですが、その当人だったとは思いもしませんでした。
記事から思い描いていた人物像と一致し、
文字とは人柄を表わすのだなぁ、
としみじみ思います。
当方、日没に間に合うか心配だったので、往路は結構ハイペースでした
(その割には、テント場でのんびりしたり、謎な行動をとってますが・・・)
その下山中に、何度か、
「あの方、ダイグラのどこまで下ったかなぁ・・・?」
などと、気にしながら下山しておりましたが、無事下山されたようで安心しました。
川入コース以上に長丁場、そして危険箇所も多い積雪期のダイグラ尾根。
それを単独での通過とは・・・素晴らしいの一言です。
最後は、お互いに満身創痍の下山になったようですね(笑)
なにはともあれ、お疲れ様でした。
東北の山を中心に登っているので、またどこかでお会いする機会があるかと思います。
今回は、ちょと時間に余裕がありませんでしたが、今度お会いした際は、ゆっくり山談義に浸りたいものです
また、どこかの山でお会いしましょう!
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