記録ID: 1967010
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沢登り
大峰山脈
【大峰】白川又川(奥剣又谷)から八経ヶ岳
2019年08月10日(土) ~
2019年08月11日(日)

- GPS
- 32:00
- 距離
- 14.1km
- 登り
- 1,940m
- 下り
- 1,922m
コースタイム
1日目
- 山行
- 11:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 11:00
6:00
70分
行者還トンネル西口
7:10
180分
弁天の森
10:10
50分
火吹谷下降地点
11:00
110分
火吹谷と白川又川本谷の出合
12:50
120分
大滝
14:50
100分
水晶谷出合
16:30
30分
奥剣又谷と口剣又谷出合
17:00
奥剣又谷と口剣又谷出合すぐ上の台地
2日目
- 山行
- 11:40
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 11:40
6:00
40分
奥剣又谷と口剣又谷出合すぐ上の台地
6:40
40分
標高1060m二俣
7:20
20分
標高1200m二俣
7:40
30分
標高1280m二俣
8:10
150分
12m滝(高巻き開始)
10:40
120分
標高1520m付近二俣(高巻き終了)
12:40
90分
遡行打ち切り地点
14:10
70分
八経ヶ岳山頂
15:20
60分
弥山
16:20
80分
弁天の森
17:40
行者還トンネル西口
・1日目の沢遡行は釣りの時間も含むためゆっくりめです。
・2日目も沢遡行に時間がかかっていますが,一部大きめに高巻いたためで、ルート選択によってはもっと短い時間で遡行できると思います。
・2日目も沢遡行に時間がかかっていますが,一部大きめに高巻いたためで、ルート選択によってはもっと短い時間で遡行できると思います。
| 天候 | 両日とも晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
普通乗用車1日1000円。 |
| コース状況/ 危険箇所等 |
<奥剣又谷から八経ヶ岳山頂へのダイレクトルートについて> ・ 八経ヶ岳山頂から南東に直接派生している小尾根に乗れば山頂にダイレクトに詰め上げることができます。標高1520m付近の二俣はどちらをルートにとっても,詰めでこの尾根を目指しさえすれば大丈夫と思われます。 ・ ただし,この小尾根は急峻なうえ,杉やトウヒが密に生えており,藪漕ぎで結構消耗します。ガイド本や地形図には岩記号が出てきますが,岩壁は基本的に巻くことが可能で,登攀的要素はそれほどありません(一部,ちょっとだけよじのぼったりはしますが,簡単です。)。 <弁天の森南東尾根(奥剣又谷への下降)> ・ この尾根は道はありませんが,藪が少なく,気持ちがいいと言っていいくらいの尾根です。危険個所は特にないですが,ところどころ急峻な地形が出てきて直進を阻まれるので,その際は左右に適宜巻けば通り抜けられます。尾根がいくつか派生するので読図力は必要。 ・ 白川又川・火吹谷出合へ降りるには,標高1150m付近で南東に派生する小尾根に乗る必要があるので,読図注意。 <白川又川(火吹谷出合〜水晶谷出合)> ・ 今回は連日の猛暑で減水しており,渡渉が容易だったためあまり参考にならないかもしれませんが,後半(奥剣又谷に入ってから)よりは容易な印象でした。突破が難しい滝や淵が出てきた場合も,それほど悩まずに巻くことができます(ただし,取りつきと沢への復帰は斜面が立っている場合が多いので,ルート選定を慎重に。)。 ・ 水が本当に冷たいので注意!泳ぐならネオプレーンやウエットスーツ推奨(極力泳がず巻き中心に通過することも可能)。通常装備で淵を泳ぎ渡ろうとすると,心が折られます。水晶谷付近から急に水温が上がり,生ぬるく感じるくらいになります。 <白川又川(水晶谷出合〜奥剣又谷)> ・ 1280m二俣以降は両岸が立ってきて,滝が突破できない場合の高巻きに苦労します(確保体制が取れ、滝が直登できるならそれほどでもないかもしれませんが…)。かなりの急斜面の登行や,切り立った壁のトラバースも出てきます。このあたりは遡行者の技量やルート選択で違ってくるかと思うのですが,今回,小さく巻くことができず,やむなく大高巻きをする場面がありました。 |
写真
途中,イノシシの親子に遭遇した。かなり距離が近い(20mくらい?)のに全くこちらに気づかない。結局,100mほど並行して歩いた後,イノシシは悠々と谷に降りて行った。(写真右手にウリボウも写ってますが,分かりにくいかな?)
標高1150mあたりで南東方向の小尾根に乗り,白川又川と火吹谷の出合にダイレクトに出られるように地図を見ながら進んだ…つもりでしたが,谷に降り立ってみると水流が南方向に流れている。あらら,どうやら火吹谷のほうに降りてしまったようだ。途中から知らず知らず火吹谷方向の支尾根に入り込んでしまったものと思われる。
予定外の火吹谷下降をやらされる羽目になったが,火吹谷は滝の多い谷で,大きな滝の巻きを5回くらいやらされた。しかも,両岸の斜面が立っていて,結構ひやひやものだった。でも,結果的に火吹谷を覗けたし,滝もきれいたっだし,よしとするか。
このあたりの白川又川本谷は,時々両岸の壁が立つこともあるものの,概ね穏やかで,白い岩と青い淵の饗宴を心行くまで楽しめる。
(頻繁に泳ぐため,カメラが水をかぶって写りが悪いです。すみません。)
(頻繁に泳ぐため,カメラが水をかぶって写りが悪いです。すみません。)
美しい造形の岩と青い淵が続く。
渡渉や泳ぎが多いが,減水しているらしく容易。ただし,水は発作を起こしそうなくらいに冷たく,あまり長く浸かっていると,動きが緩慢になってくるのがわかる。
渡渉や泳ぎが多いが,減水しているらしく容易。ただし,水は発作を起こしそうなくらいに冷たく,あまり長く浸かっていると,動きが緩慢になってくるのがわかる。
写真写りが悪くて申し訳ないが,赤い壁の直下で撮ったもの。黒光りする岩の中でそこだけが顔料を塗ったように真っ赤。しかも赤いところから決まって冷たい湧水が噴出している。不思議だ。
水晶谷を少し歩くと写真のきれいな滝があり,その左手に小さなルンゼ(写真左手)があるのでそこから這い上がって巻きに入る。それほど難しくないが,谷に戻る部分が切り立っているので,慎重にルート選定を(うまく下りれば懸垂不要)。
口剣又谷と奥剣又谷の出合に到着。奥剣又谷は高い壁を穿って前方に勢いよく飛び出る飛瀑となって出合っている。
(滝のあるほうが奥剣又谷。一見,口剣又谷のほうが自然な進行方向に見えてしまうので注意が必要。)
(滝のあるほうが奥剣又谷。一見,口剣又谷のほうが自然な進行方向に見えてしまうので注意が必要。)
少し遡ると,左手に小高い台地が現れ,そこを今宵の寝床とする。おそらく昔は植林小屋でもあったのだろうか,気持ちの良い台地だが,ヤブ蚊が多いので注意。防虫ネット必携。(蚊の羽音がうるさすぎて,ラジオをつけっぱなしにして寝たくらいだった。)
20m滝。なかなかの美瀑だ。
右岸を巻いていく。落ち口に直接出る小巻きルートは,最後に微妙なトラバースとちょっとした岩登りがあるため,安全第一でほかのルートを探す。幸い,そこから少しだけ登ったところから簡単に巻けた。
右岸を巻いていく。落ち口に直接出る小巻きルートは,最後に微妙なトラバースとちょっとした岩登りがあるため,安全第一でほかのルートを探す。幸い,そこから少しだけ登ったところから簡単に巻けた。
正面に稜線が見えた。しかし,遠いなぁ…
右が八経ヶ岳で,左が明星が岳のあたりの岩記号部分だろうか?ものすごい岩塔だ…
八経ヶ岳方面も岩峰が見え隠れしている。うまくかわせるだろうか。
右が八経ヶ岳で,左が明星が岳のあたりの岩記号部分だろうか?ものすごい岩塔だ…
八経ヶ岳方面も岩峰が見え隠れしている。うまくかわせるだろうか。
右岸側の泥壁を登っていくが,かなりの急斜面で,感覚的には岩や木の根頼りの登攀に近い。登りながら上流方面にトラバースできそうなラインを探したが,岩が屹立している部分や急斜面の部分が多く,自分のリスク許容範囲内のラインが見つからない。
頃合いを見て谷に戻ろうとするが,やはり斜面の傾斜は強いまま。2ピッチの懸垂下降を行う。すると,谷の中に大きな滝が見えるではないか!このまま谷に戻っても,結局高巻きを強いられる可能性が高い。逡巡した挙句,登り返すことに…。これは体力的にも精神的にもこたえた。登り返しながら,トラバースできそうなルートを探したが,やはり簡単にトラバースを許してくれそうなラインは見つからなかった。
さきほどの小尾根にまた戻ってきた。しかし,地形図を見ると,この先,小尾根は斜面に吸収されており,そこの等高線の混み具合がわずかに緩くなっている。そこから谷に戻れるかもしれない。右手の谷方向に注意しながら小尾根を登っていく。高巻きを開始したときに水をくむのを忘れ,のどが渇いて仕方がない…。
谷に復帰。1520m付近の細かい二俣の手前あたりだった。浴びるように冷たい水を飲んだ。
ルート取りに試行錯誤している時間が長く無駄が多かったかもしれないが、安全に戻って来られてよかった。
ルート取りに試行錯誤している時間が長く無駄が多かったかもしれないが、安全に戻って来られてよかった。
と,ルンゼの幅いっぱいに大岩が立ちふさがった。左右どちらも簡単に登れそうにない。ここで遡行を打ち切り,岩壁の切れ目から右手の斜面に取りついて,八経ヶ岳の南東方向に延びる小尾根を経由して山頂を目指すことにした。
ごほうびのように霧が晴れ、辿ってきた白川又川の全容が眼下に現れた。地形図と照らし合わせながら長いこと眺めていた。一つ一つの谷の出合や屈曲に、通り抜けてきた緊張や感動が思い起こされる。
装備
| 備考 | ・40mロープ携行(懸垂下降で何度か使用) ・ナメについている赤い苔はかなり滑るため, ラバーの沢靴で遡行する場合は注意してください。 ・この時期はヤブ蚊が多いため, 泊まりの場合は防虫ネット等対策を万全に。ヒルは見ませんでした。 |
|---|
感想
奥剣又谷は長いこと遡行してみたいと思っていた谷だった。八経ヶ岳も、奥剣又谷からダイレクトに登頂することを夢見て、わざわざ登らずに取っておいたくらいだった。
当初は水晶谷を下降して上部だけ遡行することを考えていたのだが、連日の猛暑で減水しているのではと思い、火吹谷からの区間も含めて遡行することにした。結果として,夏の日差しに輝く白い岩と青い淵,豪壮な滝と険しい瑤飽呂泙譴織好院璽襪梁腓な谷を満喫することができ,八経ヶ岳へも狙い通りにダイレクトに登頂できたので,充実した遡行となった。下部は水量豊かでどこまでも明るく,上部は威圧感のある暗い険谷の中を落石の音が響き渡る,その対比もめりはりがあって素晴らしい。有名な谷なので他のパーティに会うこともあるかと思ったが,遡行中,一人の人に会うこともなく,静かに谷と向き合うことができた。
一部大高巻きを余儀なくされ,いわゆる「完全遡行」とは言えない内容ではあるが、自分の力量なりに無理せず行動できた点はよかったと思っている。何より,谷や動物たちに感謝しないといけない。特に,岩がちな急斜面で行くべき方向に悩んだときに,必ずと言っていいほど現れる獣道には何度も助けられた。またよろしくお願いします。
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